「何でも鑑定団」に出品され、なにかと話題となった曜変天目茶碗。その真贋をめぐって論争がおこり、奈良大学が陶器の分析を行った結果を発表しました。その結果がさらなる話題になっています。これらの経緯について、思ったことや疑問などをまとめてみました。
- ■この記事を見て思ったこと
- ■日本に3つの曜変天目茶碗を比較
- ■「奈良大学の写真」と「鑑定団の茶碗」(ネット上の写真)
- ■曜変天目茶碗の定義とは? しかし・・・・
- ■古美術鑑定家とは
- ■文化財登録調査を中止
- ■ちょっと余談
- ■科学は万能か?
- ■問題は何か?
- ■蛇足 追記
- ■追記 (2017.03.05)
- ■続報 (2017.03.19)
- ■続報 (2017.03.27)
- ■参考 (2017.03.31)
- ■続報 (2017.04.04)
- ■続報 (2017.06.16)
- ■続報 (2017.06.19)
- ■曜変天目茶碗を物理化学の反応生成物ととらえると・・・
- ■関連
- ■脚注
⇒*1
■この記事を見て思ったこと
〇タイトル
「テレビで話題になってしまった茶碗」「テレビで話題になった茶碗」
この表現の違い。あえて前者のことばを選んだという意図を感じさせられました。
〇文責はどこに?
このお知らせは、「大学がリリースしたもの?」なのか、「分析した教授によるもの?」なのか「文化財学科としてリリース」なのかがよくわかりませんでした。署名を明記しないんだ・・・と思って見ていました。
よく見ると「文化財学科」のお知らせというページの中に書かれていたので、「学科」としてのお知らせということのようです。そのためか、奈良大学のトップページからのお知らせには掲載がされていませんでした。 ⇒奈良大学
〇写真が違う
これまでの報道で見ていた曜変目茶碗と、こちらの写真の見え方が明らかに違うと思いました。写真の解像度(?)や、撮影のしかた、テレビ内の画像から引用、掲載する写真の大きさによって随分、見え方が違ってくるもんなんだんなぁ・・・と。
最初にネット上にある、鑑定団に出品された写真を見た時は、これは違うんじゃないかと、素人ながらに思いました。しかし、この写真だと、少しクリアーになって見えます。
以下は、同じ写真です。しかし写真の掲載サイズで見え方が随分、違います。
出典:テレビで話題になってしまった茶碗の分析を本学で行いました
| 文化財学科からのお知らせ | 文学部:文化財学科 | 学部・大学院 | 奈良大学
▼徳島新聞による大学提供の写真
また、ネット上で見ていた鑑定団の曜変天目茶碗が下記です。
〇鑑定団の曜変天目
出典:国宝級の曜変天目茶碗か テレ東の鑑定番組で発見 :日本経済新聞
「開運!なんでも鑑定団」の番組内で「曜変天目」と鑑定された茶碗(テレビ画面から)
テレビでOAされたのと同じ(?)画像を、切り抜いて掲載したとしても、見え方はこんなに違います。(加工が入っているのでしょうか?)
そんなわけで、OAで見た状況は、環境によってもかなり違うことがわかります。
〇実験結果は?
大学の発表で、下記のように記載されていました。
その結果は、発色の原因と考えられるような元素は検出されず、赤、青、緑、白(黄)、黒のどの色に見える部分も含まれる元素には大きな違いがないことが分かりました。
http://www.topics.or.jp/localNews/news/2017/02/2017_14882573150769.html
このことで、この茶碗がホンモノであることは証明できませんが、ニセモノだと言う人達が主張しているようなモノではないことは確実になりました。
上記のリンク先に、実験結果のレポートが掲載されているものと思ってクリックしました。さすが、大学のHPで行うアナウンスは、結果まで提示するんだ・・・・と思っていたのですが、徳島新聞の記事へのリンクでした。ちょっとがっかり・・・・ そして学校側のお知らせ記事には、署名もなく終わっていて、消化不良状態でした。
〇「蛍光X線分析装置」ってどんな検査?
ここで使われた分析装置。この測定ってどんな測定なのでしょう?
蛍光X線分析でトップにヒットしたのが下記のサイトでした。
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以下、紹介した分析装置は、奈良大学で使っているものとは違うというご指摘を受け、削除致しました(2017.03.09)
PL ご指摘内容
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以下、削除した部分につて、訂正線を入れて記します。(2017.04.22)
正直なところ、これを見ても私にはわかりませんでした。ただ、この中で気になったことがありました。それは・・・
試料室はほとんどの装置が減圧にできるようになっている。これは大気中の雰囲気ではX線が吸収され強度が減衰してしまうからである。軽元素の測定では測定雰囲気の設定が重要になる。
「 測定雰囲気」ってなんでしょう。
⇒測定雰囲気とは、真空における高性能分析装置で電子顕微鏡に付随するようなもので、奈良大の装置は簡易的なものと考えられるため、ここでは意味がないとのこと。
[2017.04.27追記]
>顔料層の上に更にガラスの釉薬がかけられていたら当然検出できなくなります
曜変天目茶碗の釉薬は、特殊ガラス質だという解説を『碗の中の宇宙』安藤堅著 の中で見ております。上記の解説が正しいとすれば、元素の検出は当然、できなかったということになります。
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実験をする時というのは、その検査機器の精度や、測定者の技術、習熟度、条件設定や実験の基本設計など、いろいろな状況によって左右されるものです。そのため、結果報告だけでなく、生の実験データを見て、実験の基本設計(手順)が間違っていないかなど、確認する必要があると思っています。生データを見ることができればよかたのにと思いました。
しかしながら、蛍光X線分析の原理を見ても、残念ながら自分が理解できるジャンルではないので、全くのお手上げ状態。生データがあったとしても、それを判断することは難しいです。実験結果を見て、理解できる方に判断していただけたらいいと思いました。
ただ、今回の結果を受けて、意義を申し立てた陶芸家が次のように語っています。
一方、陶器は化学顔料が使われた模倣品だと主張していた曜変天目研究家の陶芸家・長江惣吉さん(54)=愛知県瀬戸市=は、今回の分析結果について「これだけでは真贋は分からない。正確な分析に欠かせない器の洗浄が行われておらず、分析方法に疑念も残る」と話した。
正確な分析に欠かせな器の洗浄が行われていない・・・・ 具体的に実験がどのような手順で行われたことを、どのように知ったのでしょうか? 実験の詳細レポートを、何等かの形で見ていることが考えられます。
実験をする上で、最低限の条件として担保されていなくてはいけない基本の操作というものがあります。この分析において、洗浄というプロセスが絶対的なものなのかどうかは、私は知りません。⇒【*2】
ただ、このような指摘をされた陶芸家の方は、蛍光X線分析にかかわる知識を持っていらっしゃることが伺えます。奈良大のレポートをどのような形で入手したのか。見せて欲しいと言って、奈良大は提供したのでしょうか?⇒【*3】
■日本に3つの曜変天目茶碗を比較
曜変天目茶碗は日本に3つと言われており、それがどういうものなのか、そして撮影によって同じものがどのように見えるか・・・を比較してみました。
〇藤田美術館
出典:曜変天目茶碗 - Wikipedia 出典:曜変天目茶碗と日本の美 | Stundenbirne
茶碗内部を同じ角度で撮影したもののようですが、光の当て方でしょうか? こんなにも見え方が違っています。
「曜変 ~陶工・魔性の輝きに挑む~」... | Facebook
プロのカメラマンが撮影した写真を、美術館側から提供されたものと思われます。 光も鮮やかです。またプロのカメラマンは、画像の加工をしていることが考えられます。加工技術も含めて作品であると、以前、プロの方から伺ったことがあります。
プロのカメラマンが撮影した作品を絵葉書にしたものです。
以上の写真からもわかるとおり、プロのカメラマンの撮影、それをそのまま提供したものなのか、絵葉書となったものなのか、テレビ画像を撮影したものなのか・・・・撮影の状態によって、同じ曜変天目茶碗もかなり見え方が違います。以下、他の美術館の曜変天目茶碗も同様です。
〇静嘉堂美術館
① ②
②出典:われおもふこと : 【国宝】曜変天目茶碗@静嘉堂文庫美術館
背景もライティングも違います。
〇大徳寺
① ②
②出典:茶碗の中の宇宙 4個目の曜変天目茶碗!?: 世界の謎と不思議
① ②
①出典:世界に4点しか存在しない耀変天目茶碗の神秘的美しさに迫る! | GOLDDUST
大徳寺の曜変天目茶碗の一般公開はないらしく、画像が少ないです。
以上のように、同じ曜変天目茶碗も、撮影環境によって随分と見え方、光り方は違うことがわかります。
■「奈良大学の写真」と「鑑定団の茶碗」(ネット上の写真)
「鑑定団」の曜変天目茶碗が、奈良大学で分析したという写真を見た時に、ネット上で見ていた写真の雰囲気と随分、違うなぁ・・・というのが最初の印象でした。実際に見なくてはわからないというのは確かに言えるかも・・・と思う一方で、いろいろ思うところがあり・・・・
出典:テレビで話題になってしまった茶碗の分析を本学で行いました
| 文化財学科からのお知らせ | 文学部:文化財学科 | 学部・大学院 | 奈良大学
■曜変天目茶碗の定義とは? しかし・・・・
以上の一連の「曜変天目茶碗」を見る限り、この茶碗は本物なのか・・・と言ったら、素人目にも偽物とわかるレベル。と言われた専門家がいたと言いますが、全くの素人の私の目にも、偽物ではないのか? と思ってしまうのでした。
そこで思ったのは・・・・「何を持って曜変天目茶碗というのか」ということでした。
ただ、今回の場合は、「定義」とかいう以前に、3つの曜変天目茶碗を並べて比べてみたら、明らかに違う・・・と直感的に感じられたのでした。古美術鑑定家は、なんでこんなもの(私にはそう見えました)を本物といったのだろう・・・・ 素人の私までがそのように思ってしまう茶碗です。「茶碗」もろくに見たこともありません。曜変天目についても何も知らない素人の判断です。でも、なんかこれ、本物じゃないんじゃない? と感じてしまうのです。一般の美術好きは、こういう見方をしていいと思っています。本物ってテレビに出て鑑定している人が行ってるらしいけど、私にはそうは思えないんだけどな・・・・ 一連の写真を見て、みなさんはどう感じたでしょうか?
■古美術鑑定家とは
そして、古美術鑑定家というのは、美術界に置いてはどういう位置づけなんだろうというのは、以前から気になっていたことでした。研究者と鑑定家。その違いは? なんてことを考えていたのですが、鑑定家というのは、学術的な世界とは違うところにいて、そこには別の力が働いている業界。美術界とは別物と考えた方がいいのでは? と勝手に解釈していました。
そんな折、ある美術館の記念講演の登壇者として、有名鑑定家が招かれているのを目にしました。鑑定家という立場は、美術界とは一線を画す存在と思っていたので、意外でした。美術館が鑑定家を、講師として迎え入れるんだ・・・・と認識を新たにしました。その一方で、もしかしたら人気を利用した人寄せパンダ的な器用なのかも・・・・ と想像したりも。鑑定家と美術界の関係ってどうなんでしょうか? 協力関係なのか、競合関係なのか、敵対(?)関係なのか・・・謎です。
丁度、いい機会なので「鑑定士」というものについて調べてみたら、参考になる記述を見つけました。
→学芸員と鑑定士の違いは? 鑑定士に求められるものは?
→古美術鑑定家は、自称の肩書 「鑑定士」の資格はない。
→「鑑定士」を名乗るには・・・ などが書かれています。
メディアによって、次第に大きくなっていく権威。というものを思い浮かべました。「〇〇の鉄人」しかり、「カリスマ〇〇」しかり・・・ メディアに取りあげれら知名度が上がると、第一人者として、本人も番組も必要以上の権威意識が生まれてくるような気がします。一般人はもちろんのこと、その世界でも一目置かれる存在になっていく(一方で、真の実力のある方からみたら、思うところがあったり・・・)あるいは、その力を利用するという状況が生まれてもおかしくないことは想像できます。学者にしても御用学者や、メディア受けする発言をする方たちもいます。 ⇒【*4】
以上のようなことを考えると、蛍光X線分析装置の測定にも、測定の手技や、測定者の技術、測定機器の精度など、結果に影響するいろいろな側面があるのではないかと思っているところです。(この分析と、顕微鏡による鏡見検査は、全く性質が違うものです。それを同列で比較するのは、適切ではありませんが、実験、分析の結果には、技術者の手技、レベル、どういう機器を使ってどういう分析を行うかによって、結果も変わるのでは? ということでした。)
ちなみに、奈良大学の分析機器は、最新のものが使われているのだろうということは、想像されます。他の(今津節夫教授)保存科学の検証で、奈良の阿修羅像のCT画像解析を行っていることが記されていました。
阿修羅像、制作当初は正面で合掌 CT画像解析で判明 (朝日新聞デジタル)
CT撮影は、2009年の「国宝 阿修羅展」に合わせて九州国立博物館で行われた。その後、今津節生・奈良大教授(保存科学)らが解析を続けた。その結果、正面側の両腕のわきの下に木屎漆(こくそうるし)(木粉と漆のペースト)が詰められ、それが両ひじを外側へ開き気味に押し上げていたことが判明した
〇【追記】(2017.4.30)
失念していた大学側のリリースがみつかりました。
文化財学科の先生のお仕事が報道されました | 文化財学科からのお知らせ
| 文学部:文化財学科 | 学部・大学院 | 奈良大学
(大学側のトップページで見ていたと思っていたのですが、文化財学科内でのリリースでした。)
■文化財登録調査を中止
茶碗の持ち主は、徳島県の文化財登録のための調査を予定していたが、中止となったという報道がされました。
「所有者は、本日を持って、天目茶碗及び、付随資料の外部への提供をとりやめること。今後の天目茶碗の所在、行方等について一切、ノーコメントとすることに致しました。」
という書面が提出されていました。
下記にその経緯の詳細をがあります。
当初、この話を聞いた時は、 出品者は、とんでもないことに巻き込まれてしまってお気の毒に思えてしまいました。たまたま、出品したものが、国宝級と鑑定されてしまったがために、とんだ災難に巻き込まれてしまったと言ってもいいと思います。
この方が、これは本物だ・・・と言って持ち込んだわけではないのです。それなのに偽ものを持ち込んだというような物言いがついたような状況。鑑定家が本物だと言っただけなのに・・・・ これ以上、さわぎに巻き込まれたくない。静かにしていたい・・・・そんな気持ちは、重々、理解できます。
次のようなコメントもされていたそうです。
茶碗の所有者の「鑑定番組、鑑定士の方には今でも感謝しています。ただこのような事態になってしまったので、本物か偽物かということより、ただそっとしておいてほしいです」というコメントを伝えた。
もう、これ以上はかかわりたくない。今後、一切資料を外部へは提供しないと語られていたのですが、今になってどうして急に、分析をしようと思ったのでしょうか? 大学側がアプロ―チしたわけではなく、所有者から申し出があったと語られています。
この茶碗の所有者から、本当にニセモノだと言っている人たちが言うようなモノなのか調べることができないかとの相談を持ちかけられました。
今後、一切、資料は提供しない・・・と言っていたラーメン屋の店主。やっぱり思い直して科学的に分析してもらおう・・・と考え直すのは、何がきっかけとなったのでしょうか。また、分析するのにどこにそれを持っていったらいいのか、それをどうやって調べて、奈良大学を選んだのか。どうやってアポをとって連絡をするのか。他にも分析できるとことはあったのではないか・・・・
(以下、想像のお話なので誤解を招かぬようカットしました。 2017.03.09)
(訂正線で復活 2017.04.22)
■ちょっと余談
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以下に紹介した、検査や分析に関する精度につきましては、蛍光X線分析の原理とは全く違う顕微鏡検査における精度の話なので、誤解や風評を招く恐れがあるとの指摘もあり、削除致しました。 (2017.03.09)
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以下、取り消し線で修正した上で記載します。
横道にそれますが、蛍光X線分析とは、別の話として、こんなこともありますという例です。科学の実験の結果として(+)と(-)という結果が得られたとします。それは科学的に証明されたと思ってしまいがちです。しかし、この結果というのは、検査方法や手技、測定機器、あるいは検査者の技術レベル、主観によって、(+)にもなれば(-)にもなることがあります。
たとえば、昔、青いセロハンの蟯虫検査がありました。学生時代、蟯虫検査のバイトをしました。その検査法は、顕微鏡で「一視野」だけを見て、蟯虫が「いるか、いないか」という判断でした。
ところが、蟯虫検査は、「全視野」を見て判断している施設があることを知りました。「一視野だけで判断」「全視野を見て判断」というように、どういう検査をするかというのは、施設ごとに取り決めがありました。中にはダブルチェックする施設もあります。というように、同じ(-)という結果にも、検査の方法で結果が変わることがあります。
またどんな人が検査をするか、検査を学生バイトにさせるところ、研修を受けトレーニングされた技師にさせるところ。また、管理者による中抜き検査を実施するところ。検査をする人の質、検査方法によって「結果が変わる」ということがあります。蛍光X線検査については、よくわかりませんが、性質の違う検査ではありますが同じようなことがあるのでは? と思いました。
奈良大学の分析をされた教授は、探偵ナイトスクープなどにも出演されているようです。メディアとのつながりもあるようです。
⇒テレビ出演のお知らせ【H29.2.17 『探偵ナイトスクープ』】
【追記】(2017.04.26)
上記のような記載の中に、直接的な表現は避けていましたが、いろいろな意味を込めていました。一番の問題は、 奈良大の分析機器の精度はどの程度のものなのか・・・・ それを明確にする必要があるのではないかということでした。
それにかかわるコメントをいただきました。
ももも
奈良大学の保存学科のリリースにつぎような情報があることを見ていました。
〇本学での文化財調査のようすがテレビで放映されることになりました
上記のリリースから奈良大は国宝、阿修羅のX線CTによる健康診断を請け負うほどの大学なのだと認識しました。そのことから検査機器の精度は一級品であることが想像されました。しかし、この診断を行った研究室は同じ文化財学科でも、今津先生のところであって、魚島教授のところではありません。
また百万頭の分析について次のように書かれています。
>奈良大学文化財学科のスタッフの豊富さと、機器の充実がおわかりいただけるかと思います。
これも、百万頭の分析機器のことであって、《曜変天目茶碗》においてはどのような検査機器を使って、どのように検査をされているのかはわかりません。魚島先生のところの分析器は、精度の高いものを使われているのかどうかという疑問を持っていました。EDAXを使った分析をよくしているとおっしゃる専門家らしい方からコメントがよせられ、奈良大の分析機器は簡易的なものと考えられると伺っていたことも影響しています。(おそらく同業でそのあたりの情報をお持ちなのだと判断しました)
ただ、上記のテレビの番組が、探偵ナイトスクープで放送されています。過去に魚島先生がこの番組に出演されているという情報も目にしていたので、百万頭の分析は、魚島教授の研究室であると考えることもできます。分析器もいくつかあって、求められる精度によって使い分けるのかも・・・とか、あれこれ考えていましたが、いずれにせよ、データを公開すればすむことです。なぜそれをしないのだろう・・・という疑問の方が大きかったのです。
その後の報道で、《曜変天目茶碗》の分析は定性分析だったということを語られました。蛍光X線検査における定性分析がいかなるものかはわかりません。しかし「いにしえの定評ある私学の分析」と自負されるのであれば、これだけ騒がれている中で、どのような分析をしたのか、そのレポートを提示することが、定評ある分析をする私学の使命では? と言いたいというのが本音でした。他の学科が最新機器を使っていることは承知しています。だからといって、すべての研究室がそうだとは思っていませんでした。魚島教授の分析はどのように行われていたのか。それを明らかにすることが大事では? と思っていたのでした。その後の報道で、定性分析だったことがわかり、『成分の有無』を調べる目的のもので、おおまかな量はわかっても、具体的に数値が出せない。との見解を出されています。
>専門的な事よりも奈良大学をチョイスしたプロセスの方が気になってしまうのでしょうか?⇒【*5】
■科学は万能か?
依頼主は、科学的な根拠が持てた。と語っています。しかし、科学は、万能ではないと私は思っています。今回の分析も、結果として認めますが、その背景によって、いろいろ結果は変わるだろうとも思っています。分析を依頼した男性は「科学的な根拠が持てて納得できた」と言っていますが、偽物とする一つの理由が、否定されたというだけです。またこの分析が、正しいと担保はされているわけではないと個人的には思っています。
いつぞやには、尾形光琳の《紅白梅図屏風》が実は金ではない。という科学的な分析による結果がでました。しかし、それが何年後かに覆されたという前例があります。その時の技術が未熟だったことに加え、メディアのフライング的な部分もあったように聞いています。
その結果を聞いた若冲の第一人者として名高い先生は、「金ではない」という判断をそのまま受け入れました。講演会で、そのことを悔いていらっしゃり、あれから科学データが出たとしてもすぐに信じないとおっしゃっていました。一方、科学的に「金でない」と判断されたとしても、「これはどう見ても金だと思う」と判断した学者もいます。科学の結果がいかなるものでも、自分の経験からの判断というものもがあると思うのです。
奈良大学の判断は次のとおりです。
ニセモノと主張する人たちが言うような発色させるための釉薬(うわぐすり)が使われているのかを確認しました。
その結果は、発色の原因と考えられるような元素は検出されず、赤、青、緑、白(黄)、黒のどの色に見える部分も含まれる元素には大きな違いがないことが分かりました。
http://www.topics.or.jp/localNews/news/2017/02/2017_14882573150769.html
このことで、この茶碗がホンモノであることは証明できませんが、ニセモノだと言う人達が主張しているようなモノではないことは確実になりました。
文化財学科では、「現地現物主義」という考え方を大きな柱として日々教育を行っています。
今回の例はほんの一例ですが、文化財の調査に臨む姿勢として、何かを感じ取っていただければ幸いです。
結局、ここで言われていることは、「偽物」であると考えられる「理由」としてあげられた「発色させるための釉薬(うわぐすり)が使われているのかを確認」したところ、赤、青、緑、白(黄)、黒の色を発色するために必要と考えられる釉の元素はみあたらなった。どの色においても、確認できる元素に大きな違いがないことがわかった。というものす。
元素に「大きな違いない」というのは、ある意味、主観が混ざっているとも考えられます。「大きな違いはない」けども、「小さな違いはあった」と読み取れます。全く違いがなかったら、「元素に違いはない」と言い切るはずです。その「小さな違い」を、どこまで許容するか・・・ という判断がそこにあったと考えられます。
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【追記】(2017.03.29)
なんでも鑑定団“国宝級茶碗”騒動おさまらず 専門家ら論争、真贋の行方は…:イザ!
より
その結果、約10種類の発色元素がごくわずかに検出されたが、魚島教授は「発色に影響を与えない程度で、有意に検出したレベルではない」として誤差の範囲内と分析。発色元素を含む釉薬が塗られている、との長江さんの主張を否定した。
気にかかっていた「大きな違いはない」という表現は、今回は「有意に検出したレベルではない」という言葉が用いられていました。これはイザ!のインタビューを受けた時の答えということでしょうか?。(イザ! がイマイチどういう媒体かつかめていませんが)保存学科としてリリースする文章では、「大きな違いがない」でした。誰に向けて情報を発するかによっても、選ぶ言葉は変わるのかもしれません。【*6】
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やはりそれらを客観的に判断するには、実際の測定データを示してもらって、結果についてどのような処理がなされているのかも含め、その判断ができる方に、委ねないと本当のところはわかりません。
■問題は何か?
ここでスタートの問題は、本物なのか? 偽物なのか? だったはずです。しかし、この分析は、偽物だと主張する根拠の理由を確認すたということだけに絞られています。
偽物だと主張する理由は、科学的な分析で、間違っていたと確認されました。
本物、偽物の判断というのは、いろいろな経験や知見に基づき判断されるものだと思います。そこに科学が力を貸してより確かなものにしていくのだと・・・・
偽物と判断された方は、これまでの経験や知識から偽物と判断された部分もあると思うので、提示した理由は、その一つにすぎないのだと思っています。インタビューでは、手短にそれを代表的な理由として語ることになったと思うので、それが違っていたから、叩かれたという状況がおきています。
【追記】(2017.04.26)
(あとになって、いろいろなメディアで長江氏が発言をされていることを知りました。)
⇒偽物?なんでも鑑定団 曜変天目茶碗 長江惣吉 - YouTube
上記を見る限り、偽物である理由が絞られてしまっているので、奈良大の結果から、批判されてしまうのはしかたがないかなとも思われました。
提示した根拠が間違っていたので、しかたながないのかもしれませんが、経験は、科学に勝ることもあるはず。《紅白梅図屏風》でもそうだったように・・・・
(以下、事例が適切でないと思われるのでカットしました)
〇科学は経験には勝てない?
科学は経験には勝てない。という面もあると思うのです。提示した理由の一つは、科学的には確認できなかったけども、この茶碗はどう見ても偽物という判断を下す。ということもあると思うのです。
経験も知識もない私でさえも、これは偽物ではないか? と感じました。単なる直感。理由も根拠もありません。他の曜変天目茶碗と比べたら、本物には思えない・・・ ただそれだけが理由です。
山田五郎さんも、偽物ではと言われています。
自分は、知識もないし専門家でもない。でも、違うと思う・・・・と
多分、山田五郎さんも、直感的なものだと思います。しかし五郎さんの直感は「知識であり、経験に裏打ちされて高速回転した論理思考」によってもたらされた直感だと思うのです。曜変天目茶碗がいかなるものかを把握し、実際に見ていらっしゃるように伺えます。山田五郎さんのこれまでの経験や知識が、これは偽物では・・・という判断をされたのだろうと思いました。知識、経験が厚くなれば、その直感は、実物を見ていなくても当たる確率は高まるはず。
山田五郎さんには及びませんが、ささやかながら私もこれまで見てきた美術品の鑑賞経験。(しかしながら、その中に茶碗はないのですが)でもなぜかわからないけど、これは、違うのではないか? と思っている一人です。
【追記】(2017.04.26)
山田五郎さんについては、いろいろなとらえ方があることがコメントからわかりました
PL様より
山田五郎さんの美術の見識って、ものすごく?と疑問に思っています
no name
奈良大学の科学鑑定はケチをつけて、山田五郎氏の発言は持ち上げるというのは、呆れを通り越して滑稽ですね。
〇情報をいかにとらえるか
今回、この問題は、情報をいかに自分の中に取り入れ、咀嚼するか。そして判断をするか。それを問われていると思って、自分なりに考えてみると面白いと思うのでした。
おかげで「曜変天目茶碗」がどこにあってどんなものかがなんとなくわかりました。今度、どこかで展示されることがあれば、ぜひ行ってみようと「茶碗」というものに興味が持てるようになりました。
そして、古美術鑑定家ってどういう存在? 以前から感じていたことが、今回の件で、ちょっと見えてきました。鑑定人は、3つの曜変天目茶碗をすべて、御覧になっていらっしゃるのでしょうか? 一つの茶碗は、未公開だそうです。
そして、大学からのメッセージ
文化財学科では、「現地現物主義」という考え方を大きな柱として日々教育を行っています。
今回の例はほんの一例ですが、文化財の調査に臨む姿勢として、何かを感じ取っていただければ幸いです。
これまで、美術作品を見てきましたが、実際に見るのと、写真で見るのとは全く違うということは、美術展に出かけて実物を見るたびに、強く感じさせられてきました。しかし・・・・ 実物を多く見るという経験を重ねると、現物を見るまでもなく明らかに偽物と判断できてしまうケースというのもあると思うのです。今回の茶碗は、そのケースではないかというのが、素人のたわごとです。他にも明らかな偽物とすぐに判断された専門家がいらっしゃいました。現物主義は絶対条件ではあるけども、それをしなくとも判断できるレベルの茶碗だったということでは? 素人の私でさえも、これ偽物じゃない? って思わせてしまうレベルの茶碗。
(たとえば、中国のミッキーマウスもどきを見て、あれは偽物だと、誰もが実物を見なくてもわかります。そんなレベルの茶碗だということ)
奈良大学の文化財調査に臨む姿勢から、私が感じたことは、現地現物主義を唱えるのであれば、その調査の結果を、ぜひ公に見ることができる状態にしていただきたいということでした。
あと、個人的に、分析を行った教授に、この茶碗を見て、本当は、どう思われたのかを伺ってみたいと思いました。分析の目的は、発色のための釉が使われているかどうかという点だけに絞られています。真贋を判定するものではありません。しかし、分析結果は別として、教授がご覧になった印象から総合的な判断をすると、どのように思われたのか・・・・と心の内を知りたいと思いました。⇒【*7】
【追記】(2017.06.10) 客観的チェック、だれでもアクセスできることが重要
(略)もし例外的な場合があるならその背景は何か、ということを綿密に数字に語らせた。科学的に厳密で後の検証に堪えられる手続きで研究し、客観的にチェックされ、だれでもアクセスできる論文に仕上げる。
■蛇足 追記
(蛇足・追記は、おまけなのでカット)
↓カット部分
■追記 (2017.03.05)
魚島純一教授の徳島県立博物館時代のページ ⇒ 魚島純一のページ
〇博物館資料を覗いてみよう (X線透過撮影画像の紹介)
徳島県立博物館時代は、調査の結果をいろいろ提供されていたようです。
⇒【(■(2017.05.03記)徳島県立博物館時代、地道な研究をされていることが伺われる記録・・・という意味を込めて紹介しました。
ーーーーーーーーーーーーーーー))】
■続報 (2017.03.19)
欠陥? 分析機器の特徴ということだと思うのですが・・・・
新聞のタイトルが紛らわしい。誤解をまねきやすい。
「奈良大の分析に欠陥」と判断したのはだれなのか・・・・?
タイトルを見ただけでは、第三者機関による指摘があったのだと思いました。が分析の「欠陥を指摘」したのは陶芸家でした。
これは「欠陥」ではなく、分析機器による「分析の特徴」ということなのでは? 陶芸家の言葉をそのまま使ったタイトルが、誤解を招く気が・・・
この世界の分析機器のことはわかりませんが、どんな測定法も、分析特性があり、得手・不得手があると思われます。そうしたことを含めて、分析結果を見て判断できる目が必要だと思うのでした。
文化財保護の学科があり、国宝の分析を行っている大学なので、最新の機器を備えているのだろう・・・・精度の高い機器を使っているのだろうという推察をしていました。しかし、専門家レベルの目で見たら、分析方法については、いろいろ指摘もあると思うので、データを公開して、第三者の判断ができるようにすればいいのに・・・と思うのですが・・・・・ ただこれ以上、騒ぎが大きくなるのは、持ち主もお気の毒なので・・・・
雑感として思うのは、わかっている人は、語らない。かかわりたくないから、口をつぐんでいる。そんな気がするのでした。
■続報 (2017.03.27)
長江さんは、魚島教授の分析結果を見た上で、茶碗に塗られている釉薬の発色元素を詳しく分析するためには、分析装置から発する蛍光X線の入射角度が適切ではなかった可能性があると指摘。X線の入射角度によっては発色元素が検出される余地があるとしている。
長江さんは魚島教授に分析結果の詳細を公表するよう求めているが、これまでに返答はないという。
ここまで騒動が広がった理由の一つには、番組を放送したテレビ東京が放送前、「番組始まって以来、最大の発見!」と題したニュースリリースを行っていたことも無視できないだろう。
その結果、約10種類の発色元素がごくわずかに検出されたが、魚島教授は「発色に影響を与えない程度で、有意に検出したレベルではない」として誤差の範囲内と分析。発色元素を含む釉薬が塗られている、との長江さんの主張を否定した。
■参考 (2017.03.31)
https://twitter.com/lifesch_doc_P/status/843063470853513216 より
黒の部分にマンガンがないっていうのは、他の色の部分にはしっかりあった可能性もあるので、その場合釉薬は一種類とする奈良大学の見解に基づけば黒の部分にもマンガンはあるが、測定時はノイズなどではっきり出なかっただけであると解釈すべきかなと思うんですよね。
https://twitter.com/gachikibou/status/846383869158813696 より
これ実は微量じゃなくても出ない可能性は十分あるんですよ。 ノイズが多いく、機械がどのピークがどの元素か判別でず、検出されないと扱われてる可能性もあるんですよね。 生データが開示されるまでは正直判断できないと思われます。
返信先: @gachikibouさん
恐らく報道も長江氏も奈良大学の分析の意図を理解できてないのだと思われます。本来茶碗の鑑定を行うのであれば他の窯変天目やお土産天目とで比較すべきです。でも今回は茶碗内での色ごとの分析しかしていません。これは釉薬が複数かどうか調べるだけの雑な分析ですなの。
■続報 (2017.04.04)
「私は奈良大の研究結果を取り寄せたのですが、宋時代以降の塗料の成分は『ごくわずか』と書かれているのみで、含有量の数字がなかった。少しでも含まれているなら偽物の可能性がある」
取り寄せを依頼すれば、だれでも入手はできるのでしょうか?
マスコミは結果の取り寄せの依頼はしないのでしょうか?
一方の奈良大・魚島教授はこう反論した。
「私が行なった『定性分析』とは、『成分の有無』を調べる目的のもので、おおまかな量はわかっても、具体的に数値が出せない。そもそも私はこの茶碗の真贋に言及していません。調査でわかったことは、偽物だと主張する人が指摘したような顔料・釉薬が使われていないということのみです」
この答えは、取材の インタビューに答える形で反論したのでしょうか? ニュースポストセブンは、対面取材をしたのでしょうか? あるいはメールによる問い合わせ? 誰の質問に対して反論したのかイマイチ不明・・・・
初めて、行われた分析が「定量分析」でなく、「定性分析」であったことがここで明らかにされたような気が・・・・ 奈良大が行った方法の分析精度はどの程度のものだったのか。専門外の物にはわかりません。そこを明らかにする必要があるんじゃないかなと思っていました。が、専門家の間では、奈良大の分析精度は低いらしいことがささやかれているような印象を持ちました。
追加情報がありますが、どういう取材をしているのか。教授の言葉は直接の言葉なのかがよくわかりません。
■続報 (2017.06.16)
■続報 (2017.06.19)
茶碗の内側にきらめく光彩は「偶然の産物ではなく、蛍石という鉱石を使った酸性ガスによる化学反応」との結論に至った。酸性ガスは父が着目して採用した技法。蛍石は自身が建窯で目にしている。窯が1300度超の最高温度に達した後、冷却段階で蛍石を投入すると酸性ガスが発生。釉面に微細な凸凹、薄膜が形成され、光彩が生まれるという。
◆蛍石 wik ipdeaより
鉱物(ハロゲン化鉱物)の一種。主成分はフッ化カルシウム(CaF2)
加熱すると発光し、また割れてはじける場合がある。また、不純物として希土類元素を含むものは、紫外線を照射すると紫色の蛍光を発する。蛍光する蛍石はイギリスや中国で産出されたものの中から稀に見つかることがある。
参考 h陶磁器の欠陥と対策
酸性ガスによる影響についての記載を見ることができなかったように思いますが、陶磁器のいろいろな表情が化学的に説明されています。
■曜変天目茶碗を物理化学の反応生成物ととらえると・・・
ということで、実際の曜変天目茶碗を見てきました。その感想です。茶碗を物理学の研究者が観察してオリジナル曜変天目茶碗を作った安藤氏にならって、作品の観察をしてきました。
⇒■東京国立博物館 特別展『茶の湯』《曜変天目茶碗》を見てきました
曜変天目茶碗を、物理化学反応の生成物ととらえ、研究した記録がまとめられた著書を読んでまとめた記事です。
■関連
■「茶碗の中の宇宙」&「特別展『茶の湯』」がコラボのお得なチケット
■脚注
*1:2018.12.20 2年前の今日、新たな曜変天目発見の騒動が勃発。1週間ほど前、ひさびさにこの記事を見かえしたらら、奈良大のリリースが削除されていました。いつ削除されたのでしょうか?
*2:[2017.04.27記]素朴な疑問として、洗浄が基本操作である分析において、「洗浄をしていない」ということをわざわざレポートに記載するのものなのでしょうか・・・・
化学分析において、試験菅洗浄後、純水処理をすることは「基本の基本」です。それを、しなかったと記載するのと同じようなことではないかと思ったのですが・・・ わざわざ洗浄をしなかったことを明記したことの意味がよくわかりませんでした。
記載されてはいないけども、レポートからそのように読み取れたということなのでしょうか? やはりレポートの原文をみないと判断ができません。
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*3:[2017.04.27記]のちに陶芸家の方は、どこかの大学と共同研究をされていて、曜変天目茶碗の分析に立ち会っていたこと、実際にさわって見ていることがわかりました。
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*4:■[2017.04.27記]渦中はいろいろな批判がされてました。その矛先の中心が陶芸家に集中していることにある種の疑問を感じていました。いろんな受け止め方があっていいはず。鑑定家に対して言及する人がいてもいいし、テレビ局に対しての批判がもっとあってもいいはず。その声がほとんどないかのように、打ち消されているようでした。ここまで批判をされてしまうのは、何か別の力を感じさせられました。それによって、かかわりたくないと思わされてしまった。偽物だと思っている人は他にもいっぱいいると思うのです。しかし、それに言及をしたらどうなるか・・・それを見せつけられてしまった感じ。というか専門家はそれに対して、大きな声を上げないものなのだと理解しました。
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*5:[2017.04.27記]奈良大がターゲットになったのは、別の意味があるのではないかと感じていました。研究者の中には御用学者と言われるかたがいます。そしてメディア受けすることをメディア向けに発する研究者もいます。医師の世界では、メディアに出ている医師は信用するな・・・と語る医師もいます。真の研究者はマスコミなど相手にしない。専門書でなく一般向けの著作を出す医師は、格下に見られているとも聞きます。文化財の研究においても、どこかそういう部分があるのではないか? という推測がありました。ただ、魚島教授のこれまでの経歴を拝見すると、⇒ ここからもわかるように、地道に研究をされてこられた方という印象を受けます。そのため、そうであってほしくないという思いがありました。
専門的なことよりも、「奈良大学をチョイスしたプロセスの方が気になってしまう」というのは、直接的に言えないことを言外に込めた意味がありました。そしてほんとうに気になってしまったのは、なぜ奈良大は、データを公開しないのか。そのことが一番、気になっていました。
いろいろな方面から指摘され、データを公開することになるだろうと思っていたのですが、熱しやすくさめやすいマスコミとそれをとりまくギャラリー。このままフェードアウトしていく様相を呈しています。
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*6:[2017.04.27記]当初の発表を見た時、「大きな違いはない」という表現が研究者らしくないと感じていました。これは、一般向けに投げかけたものなのだろう・・・と。その意味することは・・・・
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*7:■個人的に思っているのは、「教授も、鑑定家もあれを本物だと、思ってはいない」ということでした。では、なぜこんなことがおきてしまったのか・・・・
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