日本の夕陽百選に選ばれた宍道湖。夕日を見る絶好のロケーションの一つが島根県立美術館です。ロビーやアートライブラリーなどは、無料開放も行われています。無料で利用できる部分を中心に、見どころを紹介します。
- ■島根県立美術館について
- ■島根県立美術館へのアクセス ⇒移動
- ■全ての人が楽しめる、夕日と融合したロビー
- ■アートライブラリーも無料で利用可能
- ■島根県立美術館を知ったのはいつ?いつから話題に?
- ■宍道湖夕日スポット(美術館周辺の見どころ)⇒移動
- ■山陰合同銀行本展ビルからの眺め ⇒移動
- ■島根県立美術館の展望テラスから
- ■夕日が見れなくても・・・・
- ■付記:見えない幽事を支配(追記:2019.12.30) ⇒移動
- ■関連記事
- ■脚注・補足
■島根県立美術館について
島根県立美術館は「水と調和する美術館」「夕日につつまれる美術館」のコンセプトのもと建てられた美術館で、設計は、建築家・菊竹清訓氏によるものです。1999年3月に開館し今年20年を迎えました。
宍道湖が美術館に映し出されています
収集作品は、水の都・松江の「水」を主題とした国内外の作品や、島根ゆかりの作家や作品。それらの企画展示も行われます。
〇風景と一体化
建物は風景と一体化して溶け込んでいるようです。水面と大地をつなぐ「なぎさ」をイメージしたものだそうです。
白潟公園から望む
〇上から見る
建物を上部から見ると、その形も特徴的です。大屋根はチタン製で、日光を柔らかく反射します。天候によってもその様子は変化します。屋根の丸く切り抜かれた部分は、展望テラスです。
山陰合同銀行本店 展望室からの眺め
〇対岸から見る
対岸、千鳥南公園あたりから見た島根県立美術館。背後の山並みを遮らないように、建物の高さを低くおさえているそう。絶妙なバランスです。
レイクラインバス 千鳥南公園付近からの眺め
〇メインエントランス
メインエントランスは、宍道湖の反対側に設けられています。これは、冬の北西から吹く季節風を避けためだと言います。細やかな配慮がうれしいです。
メインエントランス
〇ロビーからの眺め
全面ガラス張りのロビーからは宍道湖が一望でき、室内から夕日の絶景を鑑賞できるよう、ソファも設置されています。
ロビー
ロビーには、ミュージアムショップや、リストランテヴェッキオロッソが併設。ランチやティータイムに利用しながら、待ち時間を過ごすことができます。
〇自然との調和を考えた美術館
水、夕日、光、風・・・・ 宍道湖という美しい自然の景観の中に溶け込み「調和」がコンセプトです。
宍道湖の夕日は「日本の夕陽百選」にも選ばれました。島根県立美術館は夕日を見る絶好のスポットとして親しまれています。
島根県立美術館の最大の鑑賞作品は、もしかしたら「宍道湖の夕日」なのでは?と思ってしまうくらい、夕日中心に考えられている美術館だと感じました。
■島根県立美術館へのアクセス ⇒移動
下記に移動しました。
■全ての人が楽しめる、夕日と融合したロビー
〇全面ガラス張りのロビーで宍道湖の夕日 無料開放
穏やかな波状のカーブを描く高い天井を持つロビー空間に足を踏み入れると、目の前に美しい湖の景観が広がります。
日没の時間が近づくとロビーに人が集まってきます。「日本の夕陽百選」にも選ばれた夕日の絶景スポットの一つとして親しまれています。こんなに素敵な美術館のエントランスロビーが、なんと、入場無料で開放されているのは驚きです。
全面ガラス張りで、ソファが備えられ、暑い夏や寒い冬でも、くつろぎながら、夕日を眺めることができます。
それだけでなく、夕日を鑑賞するための様々な情報や設備も整っています。
〇夕日マットも用意(期間限定)公園の彫刻展示も無料
エアコンディションされた屋内から夕日を見るのもよいですが、日没前後の空気も、ぜひ肌で感じておきたいところです。
ロビーからは、直接、屋外の彫刻が展示されている岸公園に出ることができます。外でたそがれるためにマットが用意されていたのは心憎い配慮です。
*注:マットは「黄昏の絵画たち-近代絵画に描かれた夕日・夕景」の期間限定
しかもこのマット、夕日をモチーフにデザインされていました。
館内ロビーから宍道湖の湖岸へ出るためのドアは、開館20周年を迎えるにたり、行き来がしやすいようにリニューアルされたそうです。
リニューアルは「すべての人が楽しめる」「夕日と融合する」「外国人にやさしい」の3つを柱で行われたとのこと。
〇日没によって変わる閉館時間
インフォメーションやロビーには、日没時間が表示されています。こちらの美術館は、日没から30分後が閉館時間というユニークなシステムです。
↑ 2019年8月末に訪れた時の表示
「日本の夕陽百選」に選ばれ、この地域の財産ともいえる宍道湖の夕日を、十分に楽しんでもらいたいということから、3月から9月の期間、閉館を日没後30分に設定しているのだそうです。
こちらは、2度目の来館、10月に訪れた時の日没と閉館時刻。
↑ 閉館時間は30分以上、早くなりました。
日没と閉館時刻は一覧で提供されています。⇒日没時刻と閉館時間(2019年)(*1)
〇黄昏365で、美術館スタッフの写真鑑賞(期間限定)
みんなに愛されている宍道湖の夕日ですが、残念ながら、見ることができないこともあります。そんな時は、美術館スタッフが毎日撮影した夕日写真を見ることができます。(「黄昏の絵画たち-近代絵画に描かれた夕日・夕景」の期間限定展示のようでした。)
毎日、夕日を見続けてきた美術館スタッフが捉えた写真。これもずっと見ていたい作品の一つでした。
〇過去の展覧会の図録も設置
こんな素敵な美術館が、これまでどんな展覧会が行われてきたのでしょうか?気になってきます。傍らに目をやると、図録も用意されていました。これまで企画された展示の追体験をここですることができます。美術館の歩み、歴史に浸りながら、出雲の国の成り立ちなどにも思い馳せて過ごすのもよいかもしれません。
■アートライブラリーも無料で利用可能
〇美術書や美術作品の検索システム
中2階のアートライブラリーは、美術図書や、美術作品の情報検索が、最新システムで調べることができます。
左手には検索システム、美術書や、こちらにも、過去の図録があります。先日行われた企画展「黄昏の絵画たち 近代絵画に描かれた夕日・夕景」の図録はこちらに置いてあるそうです。
〇シンボルマークを形どったソファ
ベンチは、島根県立美術館のシンボルマークを形どっているようです。
このシンボルマークは、田中一光氏デザインによるもので、様々なイメージが複合しています。流れる水、宍道湖、島根のS、そして美術館の建物の形状でもあるそう。
〇夕日が展示作品 最高のシチュエーションで
なんと、こんな素敵な空間、中2階のアートライブラリーまで、無料で利用することができるのです。
宍道湖の夕日を愛して止まない人達が、来館した人たちに、その魅力を一生懸命、伝えようとされているのが伝わってきます。館をあげて夕日を見るための最高のシチュエーションを整えている美術館だと感じました。
美術館の外には、宍道湖の夕映えの見ごろ時間がグラフになっていました。
夕日を見るための情報が、至るところで提供されています。
■島根県立美術館を知ったのはいつ?いつから話題に?
〇夕日の美術館の評判はいつから?
「夕日が美しい美術館がある」「日没に合わせて閉館時間が変わる」そんな情報を耳にしたのは、いつのことだったでしょうか? 確か2年ぐらい前(2017年頃)だったように記憶しています。
〇20年も前から存在するのに
しかし、島根県立美術館は、1999年にオープンしています。今年でかれこれ20年。関連イベントがいろいろ行われています。
20周年を迎える各企画展を紹介するポスター
閉館時間を日没によって変えるのは、開館当時からだと言います。しかし、そんな話は耳にしたことはありませんでした。夕日の美術館の話題を耳にするようになったのは、ここ数年のことのように感じます。なぜ、急に注目を浴びるようになったのでしょうか?
〇twitterで全国区に広がる
それは‥‥
「閉館時間は、日没の30分後」というツイートが上がり、拡散されて、多くの人の耳に届いたということらしいです。
参考:【粋な計らい】島根県立美術館が閉館時間をハッキリ定めていない理由が「なんて素敵な」 | COROBUZZ
私は、行かれた方のブログで知ったと記憶しています。それ以来、いつか行きたい美術館の一つとして、温めてきました。⇒(*2)
■宍道湖夕日スポット(美術館周辺の見どころ)⇒移動
■山陰合同銀行本展ビルからの眺め ⇒移動
下記に移動
■島根県立美術館の展望テラスから
一度、美術館を出てから戻って再入館。まだ見ていなかった常設展や、企画展を回っていました。ふと、展望テラスがあったことを思いだしました。夕日は無理かな?とダメ元で立ち寄ってみると・・・
空を見上げたら、雲間に沈もうとしている夕日が・・・ 16:45
マジックアワーに入る時間です。
夕日、夕景にもいろいろな景色があります。今日は、もう無理!と思ってもこうしてちょっとだけ顔を出すことも・・・・
そして雲間に消えた夕日 日没前(17:10頃)
日没後の空 17:40
雲の中に夕日は、まだ隠れているように見えますが、すでに水平線の下に沈んでいます。沈んだ夕日も、空を照らして輝きます。
夕日の姿が見えなくても、雲の状態によって、光は七変化し楽しませてくれます。雲がない空よりも、雲があった方が、変化は大きくなります。
出雲地方は、その名の通り、雲の出づる場所。天候は目まぐるしく変化しています。たとえ土砂降りであっても晴れ間を覗かせたり。一瞬の雲間ができれば太陽は顔を出します。風が雲を吹き飛ばせば、光が現れます。
運を天にまかせつつも、チャンスはどこかにあるものなので、念じていれば雲も吹き飛ばせるかも?(笑)
夕日が見えることは、当たり前のことではなく、一期一会の奇跡。
■夕日が見れなくても・・・・
2度目に島根に訪れたのは、開館20周年を記念の企画展「黄昏の絵画たち 近代絵画に描かれた夕日・夕景」(会期:2019年9月4日(水) ~ 11月4日(月・振休)すでに終了)を見るためでした。
その中の一枚の絵に、心がつかまれました。
《雨の夕》山脇信徳
これも、夕景なんだ‥‥ 雨の降る夕方も夕景・・・・ 「夕日」と「夕景」という2つの概念で展示されている企画でした。
これまで、夕日や朝日を見ながら、雲の中に隠れている太陽を見ようとしてきました。「夕景」も「夕日」として捉えていたことに気づきました。しかしこのような雨の「夕景」の中に、太陽の存在を意識することはありませんでした。
今年は、宍道湖に2回、2泊と3泊で訪れました。その間、夕景らしい夕景を見たのは1日だけでした。夕日が定評のこの地域ですが、夕日を見ることは、実は難しいことだと感じ始めていたところです。
一方で、雨や曇りだったとしもて、一瞬の間隙で顔を出す夕日もある。それを見逃さない。あきらめない。と思っていました。
ところが・・・・ 今回は、ザーザー降りの雨の絵画。それを「夕景」として展示された一枚に、これまで抱いていた、夕日、夕景という概念を根底から覆されました。
太陽の存在などみじんも感じられない雨の日の夕方。しかしその背後には、いつもと同じ太陽が存在していることに気づかせてくれました。
見えない太陽を見る。描かれていないものを見る。絵の背景に隠れているものを見つけ出す。そんなことを教えてくれた一枚でした。
土砂降りの雨中でも、夕日を求めて日御碕に行こうとしました。もしかしたら、見えない太陽の存在を感覚的にとらえていたのかも・・・・
光が雲の間からお出ましにならなくても、その裏で照らしている。見えなくても、心で感じる夕日もあること。夕日という捉え方が大きく変わった出来事でした。
そして神話の国、出雲。日本神話の主神、天照大御神の天岩戸の話とも重なりました。時に機嫌を損ねて雲隠れすることもありますが、切望されておでましになる。
地平線の下に太陽が沈んだあとは、また別の光が浮かびあがります。
■付記:見えない幽事を支配(追記:2019.12.30) ⇒移動
下記に移動しました
最後に「目に見えないものを見る」ということを決定づけてくれたのが、今回の展覧会であり、宍道湖、出雲地方の夕日でした。このご縁、去年の神在月の会議で、結びつけておいてくれたのかもしれません。
■関連記事
【島根県立美術館】
〇■島根県立美術館:夕日の見える美術館の見どころ(無料開放を中心に)
↑ここ
〇■島根県立美術館:アクセス おすすめは徒歩&バス便利用時の注意
〇■島根県立美術館:野外彫刻(岸公園)
〇■島根県立美術館:野外彫刻 『WAVING FIGURE』 建畑覚造
〇■島根県立美術館:宍道湖うさぎ 噂を追いかけてみる
【企画展】
〇■島根県立美術館:黄昏の絵画たち 近代絵画に描かれた夕日・夕景
〇■島根県立美術館:柳宗理デザイン 美との対話
【宍道湖の夕日】
〇■宍道湖周辺の夕日スポット
〇■宍道湖の夕日を見るコツは? あきらめない チャンスを逃さない
〇■島根旅行記:松江・出雲 3回訪れて見えた目まぐるしく変わる山陰のお天気
■脚注・補足
*1:■日没時刻と閉館時間ちなみに、2019年、一番遅い日没は19:27、閉館時間は19:57。ほぼ20時まで開館しています。一方、一番早い日没は、16:55。上記と同じルールだと、17:25の閉館となります。しかし、10月~2月の間は、18:30が閉館時間です。閉館時間は日没に合わせて短くせずに、18:30を定時にしています。
都内部でも17時閉館の美術館は多い中、地方の美術館でこの時間まで開館されていることが驚きでした。さらに、コレクション展は300円という入館料にも・・・・
*2:■【追記】2019.12.30 情報元発見 どこで島根県立美術館を知ったのかが思い出せず、ずっと探していました。やっと見つかりました。⇒〇極上の日没風景が見られる島根県立美術館 | MCs Art Diary