コロコロのアート 見て歩記&調べ歩記

美術鑑賞を通して感じたこと、考えたこと、調べたことを、過去と繋げて追記したりして変化を楽しむブログ 一枚の絵を深堀したり・・・ 

■島根県立美術館:野外彫刻(岸公園)

島根県立美術館の見どころの一つ、夕日とともに、野外彫刻の鑑賞ができます。入館料なしというのもうれしい計らい。現代アートは一見、難しく感じますが、その時によって、見え方が変化し、好みでない作品のよさが見えてきたりしました。 触ることもできるので、それぞれの楽しみ方をみつけてみてはいかがでしょうか?

 

 

島根県立美術館 野外彫刻 無料開放

島根県立美術館宍道湖側には芝生を中心とした親水公園(岸公園⇒*1)が広がっています。公園内には、7つの彫刻が設置されており無料開放されています。

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夕日とともに楽しめるスポットとしても人気です。

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〇作品の配置図

美術館と宍道湖の間にある岸公園に展示された彫刻 7作品の配置(①~⑦) あとで知ったのですが、これらの作品は触ることもできます。

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写真は周辺案内図パネル 部分拡大 

 

〇作者と作品名

上記配置図の番号と作品名と作者

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写真は周辺の彫刻案内パネル部分拡大

 

〇作品解説

野外彫刻マップ  島根県立美術館|SHIMANE ART MUSEUM

松江観光協会 - モデルコース|もっと知りたいコアな松江|松江散策モデルコース|毎日がアートプロジェクト (松江パブリックアート散策)

 絶景!宍道湖の夕日を見るなら島根県立美術館へ│観光・旅行ガイド - ぐるたび

 
 
 

■始めて見た野外彫刻(2019年8月)

最初に訪れたのは、2019年8月。この時は、野外彫刻を鑑賞する時間的なゆとりは全くありませんでした。松江一帯を散策してから、夕日目当てに美術館へ移動。常設展を見てから、嫁ヶ島の夕日を目指して歩く途中、遠目に彫刻を眺めただけでした。

どこにどんな彫刻があって、ここがどれくらいの広さなのか、それぞれの彫刻は何を表しているのかなどわからず、夕日の添え物のような感覚で見ていました。

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これらの彫刻が何を表しているのか、さっぱりわかりません。

 

唯一、知っていたのは『宍道湖うさぎ

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〇展示彫刻 最初の印象

展示されている彫刻のタイトルや解説も見ずに、何を表現しているかを想像したときの印象。作品から直観的に受けた印象というのは、作品の背景がわかってくると、次第に消えてしまいます。そこで、「好き」「嫌い」も含め、感じたままの偽わらざる印象を記録しておくことに。

その後、作品名や制作意図などを知ると、受け止め方は、どんなふうに変化するのでしょうか・・・・

 

①モニュメント『風門』澄川喜一(1998年)

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天に突き上げる2本の突起物。何を表しているのでしょうか? その先へ視線を誘導します。宇宙との交信みたいなことを示唆しているのでしょうか? 夕日を見ていて感じた、宇宙とのかかわり。そんなことがこめられているのかと思いながら・・・・ その間には、架け橋のようなものがあります。これは何を意味しているのでしょう? 

 

  

➁『語り合い』 清水久兵衛(1999年)

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美術館の入り口側にも、彫刻は展示されています。ただ、バス待ちで眺めていた時、こちらが作品という認識を全く持ってませんでした。2度目に訪れたときに、パネルで紹介された彫刻を照らし合わせていて、➁はどこにあったっけ?と確認。あのエントランスの前の建造物が作品だったと理解した次第。

これは、美術館の付帯設備で、パイプを連結させた何かの配管。よくわかりませんが、空調の排気口を場所柄、オブジェっぽく見せているのでは?と勝手な想像をしていmした。排出する空気は、地下にパイプを埋めて、ここまで誘導してるのかなとか・・・ あるいは、空気を冷却して、循環させているとか? 今思うと、無意識ながらあれこれ考えていたことに気づきました。(この形から、プラントがイメージされ、なぜか「オ〇ムのサ〇ィ〇ン」を思い浮かべていたというのが本当のところ。)

 

③『舞う・風・ひかり』 伊藤隆道(1998年)

美術館の宍道湖側の出口を出ると、一番遠い位置にある彫刻。ここまで来る人はあまりいなさそう。

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私は、白潟公園側から徒歩で美術館にたどり着いたので、最初に出迎えてくれた彫刻です。ぐるぐる回りながら形が変わります。風の力で回っていて、風の状態を表現しているのだと理解しました。 

ここに吹く風を視覚的に見せ、動きで表した作品。一見、シンプルに見える曲線ですが、回転によって形は変幻自在となり、風の形が、刻々と変化していることを表しているのだと思いました。またこの輪の中を通り抜ける風が、回転させているイメージから、風の吹く方向がランダムに変化していることを表した作品だと思いながら見ていました。

 

④『つなぎ石作品-35』山根耕(1998年)

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始めて見た時から、何かを感じるのですが、それがみえてこないもどかしさがありました。この石は何を表しているのでしょう。ずっと考えていました。何か見えそう、喉元から出てこない感じ。結局わかりませんでした。

 

⑤『宍道湖うさぎ』薮内佐斗司(1999年)

海に向かって、隊列をなしています。因幡の白兎がモチーフなのだろうというのはわかるのですが、初めて見た時、因幡の白兎の話をよく理解していませんでした。

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自分が理解していないと、それ以上、近づこうとしないものなんですね。出雲大社でも、ウサギの彫刻はスルー状態でした。因幡の白兎の話も知ろうとしないし・・・・ 

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ウサギのポーズは、3種類。2種類を交互に配置し、先頭の1種類だけ違うようです。

 

⑥『WAVING FIGURE』建畑覚造(1998年)

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曲面の線を、3本の丸棒が支えているように見えます。「人」という字をイメージしていました。お互いを支えあっている。支える3本の柱は、何を意味していおでしょうか? ここの暮らし、生活の何かを意味しているようんが気がしますが、そこまでの理解がないのでわかりませんでした。 

 

⑦『会話』渡辺豊重(1998年)

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正直なところ、興味を抱けなかった作品。この場所に不釣り合い・・・と思っていました。

 

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この自然の中で、真っ白というのは唐突な印象を受けます。景色となじんでおらず浮いて見えます。形も何を言いたいのか全く理解不能。 

以上が、タイトルも見ず、作品の知識が全くない状態で彫刻を見た時の印象です。 

 

 

■作品名を知り、解説を見たら・・・ 

2回目の訪問は2020年10月。今度は、時間をかけてゆっくり鑑賞しようと思いました。初めて見た時は、通りすぎただけ。結局、よくわからないという感想でした。その後、一部の作品の解説は、気になってタイトルや解説を見て、なるほど‥・と思ったり。

最初に見てから時間も経過し、この地方のことも少しわかってきたので、何かが見えてくることもあるかもしれません。一度入れた情報はリセットして、もう一度、見直してみます。まずはタイトルだけを見て、どういう作品か考えたあと、解説を見て理解してみることにしました。

 

①モニュメント『風門』澄川喜一(1998年)

この作品を見たあとに、『風門』という作品名であることを知りました。タイトルがわかると、作品についても、見えてくる世界が広がります。この突起物が風の通る門を意味しているということのようです。諏訪湖の御神渡、氷の上を渡ると言われる神がイメージされました。f:id:korokoroblog:20191026103400j:plain

 

この柱の間を抜ける風に、何か意味があるのだと思いました。この先の風が吹いてくる方向に何かがありそう。神様が祀られているとか? この土地、特有の風が吹くとか。

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年1回(?)、神様が風とともに、この突起物の間の橋を渡るといった言い伝えがあるのではないかとか?

解説によれば、突起物と思っていたのは、しめなわに下がっている紙の四手(しで)のかたちがヒントになっているようです。(四手は下に向かってるけど、この彫刻は上に向かってます) 

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出雲大社を有する神の国、しめ縄の四手が、モチーフになっていたのでした。

 

四手をイメージした風の門。下から見上げることで、空の高さを感じさせるようです。狭い場所を抜ける風は、実際より強く感じさせそうです。そこに神的なものを感じたり・・・・

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この間に渡された橋は、神様でなく人も通ってよいのだそう。(と言われてもなかなか、ここを渡ろうとは思わないかも)

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➁『語り合い』 清水久兵衛(1999年)

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解説によれば、3本の柱には、銀色の羽がついており、その柱の先端が曲がっていて、美術館に訪れた人が向かいあって話し合っている様子を表しているとのことでした。

見る角度で、見え方は全く違います。3本の柱は2本しか見えません。柱を覆う羽根は、壁のようなパネルに見えました。そして、上部は高いため、向き合ってることには気づかず、話している様子には、見えませんでした。

最初に見た時に、この構造物は、どんな機能を持っているのだろうと、無意識に想像していました。設備機器なのだろうと最初に思ってしまったので、「語り合い」という作品だと聞いてびっくり。制作意図と受け取っていたことに大きなギャップを感じた作品でした。

別の意味で、この作品と語り合いをしていたのかもかもしれません。「あなたはどんな役割をここで担っているの?」「どういう仕組みで動いているの?」と

 

 

③『舞う・風・ひかり』 伊藤隆道(1998年)

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解説によると、この作品の回転は、電動とのこと。確かに規則的な動きをしていましたが、しかし、この場所に長く留まれば、きっと緩急の動きを見ることができるのだろうと思っていました。

形が変化する面白さは、感じさせられていたのですが、光の変化、景色の変化まではとらえることができませんでした。せめて1周する間、留まっていたら、面白い造形に出会えそうな気がしたのですが、この先にまだたくさんの作品や見どころがあると思うと、切り上げてしまいました。

  

④『つなぎ石作品-35』山根耕(1998年)

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解説によると、古代の遺跡を思わせるような作品とあり、それを聞いて、古代歴史博物館で見た石棺を思い出しました。そしてタイトルの『つなぎ石』に、古代から今につながってきた歴史の流れを思い浮かべました。横につなぐことで、やさしい表情を見せるとのこと。

  

タイトルが「つなぎ」ということなので、つなぎ目に注目してみました。どんな接続になっているのでしょう?

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石どおしは、接していないようです。

 

さらに石と石のつなぎ目によってみると‥‥

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膨張の影響など、考慮されているからでしょうか?

一見、つながっているように見えますが、実は、ぴったりつながっているわけではない。というのは、ちょっと教訓めいているかも・・・・ (笑) 

のっかった部分と下の石の接面は、どうなっているのか・・・・ そんなことを考えてます。

 

この石を見ながら、思い出したこと。古代歴史博物館で見た横穴式石室です。『つなぎ石』のタイトルから、古代から今につながって伝えられる歴史の連続性を感じました。石を横につなぐことで、やさしい表情を見せるとのこと。

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石を平たく加工することによって、隣り合わせたり重ねたり・・・

四角い切石を横に繋げることによって、横穴を形成し優美な形を今につないでいます。

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出雲の歴史に触れると、この石の彫刻にもストーリーを感じます。

 

この公園に展示された作品は、この地域特有の神の国ということが、込められており、伝わる歴史や風習、暮らしのようなものが盛り込まれていると感じました。

 

 

⑤『宍道湖うさぎ』薮内佐斗司(1999年)

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雪の中を駆け抜けるウサギ・・・・ なんだかコマ送りの動画を見ているような・・・ 野外彫刻の中では、一番人気の作品のようですが、実は、あまり好きではなかったのです。しかし、このシーンを見たら、一変してしまいました。うさぎと雪って合うものですね。(⇒*2

 

 

⑥『WAVING FIGURE』建畑覚造(1998年)

ステンレスの素材に、周囲の自然が映りこみます。そして、波状のはずのラインが直線になるポイントがあるというので探してみました。

それはいったいどこ? ここかな? ここかな?

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ウェーブの波の凹凸が、見る角度によって、陰がなくなり、直線的な織物のようにみえます。そのことを言ってるのかなと理解したのですが・・・・

結局、わからずコンシェルジュのところに確認に行ったのですが、今ひとつよくわかりませんでした。

このような捉え方もあります。

flim-flam.sblo.jp

 

⑦『会話』渡辺豊重(1998年)

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『会話』と言っても、イマイチよくわからず、ここからのアングルだと、話しかけているのに、ソッポ向かれているようにも見えます。正面から見ると、ジャンケンをしているのかな?と思っていました。

 

ところが、2月、雪の日。モノクロの世界にで見たそれは・・・・ 溶け込んでいて、馴染んでます!

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モノクロの世界には、合うんだなぁ…

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そして、あまり興味がなかったため、近づいて見てなかったのですが、

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ボタンのついた洋服を着ていたのでした。ジャンケンする手をイメージしていましたが、人だと認識しました。 

裏側はどうなっているのかな?と思って回ってみると、同じように洋服を着ています。そして、裏側の足元には水たまりができていました。風が強い日だったので、水紋ができて流れていました。

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雪が降る前に撮影したものです。この日のこのお天気だったからこそ、遭遇できた光景。ここに水たまりができることなんて知らなかったし、風が強いから、こんな水紋を見ることができました。穏やかな宍道湖しか見てませんでしたが、ここの自然の厳しい部分を体験しました。 

そしてこの彫刻のボディーのボタンを見たら、擬人化され、寒くて冷たい雨が降ってる中、ずっとここにいるのね・・・ そんな気持ちが芽生えてきてました。

この作品、よくわからない。景色に馴染んでない。私の好きなテイストじゃない。と思っていました。しかし雪景色の中に佇む様子を見て、状況が変化すると、作品に新たな感情が生まれるという新しい体験でした。

野外彫刻は、見た時の自然がおこす偶然性。それによっても受け止め方を変化させます。

 

 

■野外彫刻を見るおすすめルート

一般的には、来館者入口から入って、館内のガラス張りのロビーを通り、外にでて、野外彫刻を見ることになります。(青矢印)このルートだと、③の作品まで行って戻ることになり、同じルートを戻ってくることになります。

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そこで、点線の青矢印のルートがおすすめ。松江駅から歩いて、島根県立美術館に向かいます。

 

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島根県立美術館の表示が見えたら、ここを右に行くと、野外彫刻を効率的に見ることができます。

 

■感想・雑感 

現代アートってよくわからないです。何も知らずに見ても、何もわかりません。タイトルを見ると、そういうことだったのか・・・・ とあれこれ想像ができ、解説を見ると、その場所で見聞きしたことが、いろいろ加わり、作品が深まっていきます。

地域ならではの特色が盛り込まれていたり、人と人とのかかわり、コミュニケ―ションがテーマになっていて、「会話」「語り合い」など共通点が見えました。

あとは、あまり好きでないと思った作品も、雪景色の中で見ることで、全く違う印象に変化したことが、今回、面白いと感じたことでした。

 

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島根県立美術館

■島根県立美術館:夕日の見える美術館の見どころ(無料開放を中心に) 
■島根県立美術館:アクセス おすすめは徒歩&バス便利用時の注意 
■島根県立美術館:野外彫刻(岸公園) ←ここ
■島根県立美術館:野外彫刻 『WAVING FIGURE』 建畑覚造 
■島根県立美術館:宍道湖うさぎ 噂を追いかけてみる

 

【企画展】

■島根県立美術館:黄昏の絵画たち 近代絵画に描かれた夕日・夕景
■島根県立美術館:柳宗理デザイン 美との対話

 

宍道湖の夕日】

■宍道湖周辺の夕日スポット
■宍道湖の夕日を見るコツは? あきらめない チャンスを逃さない
■島根旅行記:松江・出雲 3回訪れて見えた目まぐるしく変わる山陰のお天気

 

■脚注・補足

*1:■岸公園 美術館の宍道湖側に広がる公園。この土地は、近代スポーツ界に大きな足跡を残された岸清一先生のご遺族の方からのご寄付によるもの。宍道湖を埋め立て昭和40年岸公園としたそうです。

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*2:宍道湖うさぎにまつわる話
宍道湖側から数えて2番目のうさぎに優しく触ると幸せが訪れる。そして、西に出雲大社があるので西を向きながら、さらに宍道湖産のヤマトシジミを供えると効果が倍増するという噂があります。 

それを聞いた時、その噂の大元ってどこから発生したのか? それがどうやって広がったのか。そちらの方に興味がありました。美術館のHPにも書かれていたので、美術館が話題作りに創った話だったのかな?と思ったら、噂とお断りがされていました。

もしかして作家さんが、作品とともにストーリーとして作ったってことなのでは? もし、そうだとしたら、そういう手法はあまり好きじゃないなぁ・・・と、感じていました。

しかし、それが現代アートというもので、そうしたことも含めて形にするのが作品。ここの土地柄、信仰なども絡めて、世の中にムーブメントを起こさせる。個人的にそのような手法が好きか嫌いかは別にして、そういう世界の作品なんだと捉えていました。

さすがに、シジミを置くということまでは、ストーリーには組み込んでなかったでしょうから、このような噂がどう広がって、人にどういう行動をとらせるのか。どこで、どんなふうに尾ひれが加わり拡散していくのか。そちらに興味を感じていました。 

そんなわけで、オープン・マインドのハート型のモニュメントを見た時は、すかさず、2匹目のドジョウを狙った作品と思ってしまったのでした。そのうち、このハートの中に、〇〇が見えたらご利益があるなんて噂話が現れ、広がっていくのだろうと想像していました。

ところが、今回、いろいろ調べていく中で、作家さんはこの噂には、全く関与していないことがわかりました。自然発生的に、口コミや旅行雑誌などから広がっていったようです。

同美術館でもうわさの出どころはわからず、口コミや旅行雑誌などに掲載されたことから広がったようだ。

引用:asahi.com(朝日新聞社):「宍道湖うさぎ」2体目にご利益?シジミ供え効果アップ - 列島こんな話

これで疑いが晴れました。(笑)、そして、雪の中を無邪気に駆け巡るウサギの姿を見たら、このウサギの配置や、動きの表現など、すごいかも。実際のウサギの動きの行動の軌跡を再現されているかも・・・・と思えてきました。 
そして、因幡の白兎が、サメを並ばせたことも、このウサギの並びから想起させられるなぁ・・・・と。

大きな誤解が、作品を見る目にフィルターをかけていました。好き嫌いを決定づける様々な要因、それが解けると印象も変わります。

 

【追記】2020.02.22 

美の巨人たち

旅人・佐野史郎を“法隆寺生まれ法隆寺育ち”の高田聖子が案内!新美の巨人たち 1時間SP「法隆寺の秘宝」 | テレ東からのお知らせ : テレビ東京

上記番組内で、仏像の作り方の解説があり、薮内佐斗司のお名前を見ました。東京芸術大学大学教授、保存修復の専門家であったことを知りました。また、澄川 喜一氏のもとで学んだことなど・・・  作家のプロフィールが見えてくるとまた、作品の印象が変わります。