コロコロのアート 見て歩記&調べ歩記

美術鑑賞を通して感じたこと、考えたこと、調べたことを、過去と繋げて追記したりして変化を楽しむブログ 一枚の絵を深堀したり・・・ 

■ヨコトリ2020:アンドレアス・クライナー《マルチチュード》体験のコツと「わからない」を楽しむ

プロット48の人気のインスタレーションアンドレアス・クライナー《マルチチュード》は、暗闇の中でピアノ演奏に合わせて光る夜光虫(藻)の幻想的な世界を体験できます。多くの人が一押しする必見の作品。体験のコツやポイントを紹介。そして、夜光藻を光らせるピアノの音について「わからない」を調べてみました。 

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 アンドレアス・グライナー《マルチチュード》2014年

こちらの記事は、下記より移動しました。

 

 

 

 

アンドレアス・グライナー《マルチチュード》 (2020.08.23)

夜光虫(藻)がピアノ演奏の振動で光るパフォーマンスです。予約は必要ありませんが、定員制で1日3回。午後からのみ。少し早く行く必要があります。

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演奏をしていない時は、見学ができ、スタッフさんから解説をしていただけます。

 

〇会場入り口

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〇パフォーマンス開始時刻 

午後から3回、次の通りです。

(午前中に行われないのは、夜光藻が発光するように午前中、紫外線をあてているためかと思われます、)

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定員:15名・・・先着順
時間:20分・・・途中、退場ができません

〇注意事項

*携帯の電源を切ることは勿論ですが、画面の明るさも、パフォーマンスに影響しますのでバックの中に。(1回目、携帯の電源を切り忘れました。演奏中、着信がないかと、ハラハラどきどき、気が気でありませんでした。)

・時計の文字盤の蛍光も影響するので見えないように配慮するか、バックの中へ・・・

 

〇解説パネル

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■夜光虫のピアノ体験のコツ(2020.08.24)

〇何分前から人は集まる?

定員が15名。1日3回だけの開催。
大体、30分ぐらい前から、集まってくるようです。待機場所は、ピアノの演奏室内で椅子に座って待つことができます。外で並ぶ必要はないので、助かります。

30分前に様子を探りに行きました。1組が解説を聞きながら見学していました。「このあと、15時から演奏が始まりますので、このままお待ちいただくことができます」という案内に「じゃあ、待つことにしようか・・・・」と座り始めました。

 

〇待機のスタートは、最初の人に左右される

ここで並び始めてしまうと、人の心理として、次から来る人は、焦って待機を始めてしまいます。そのため、早めに定員に達してしまうことになると思います。評判なのでこれから人も増え、会期も終わりに近づくと、30分以上前から並ぶようになりそうです。、早くから待つことがデフォルトになる原因になると思うので、最初の人は、少し我慢して、時間をずらした方がいいのでは?というのが、個人的な感想です。

私が見たのは「15:00~」。30分前は、まだ余裕があったので、14:40頃まで、1階の展示を見ていました。15分前に一杯になりました。

 

〇見学のコツ

1階の鑑賞をする際に、アドレアス・グライナーの演奏を、予定しているなら、1階部分の鑑賞は、後回しにしてピアノ演奏の待ち時間を利用して見るよう計画するのがおすすめです。

ピアノ演奏するの部屋の前にモルKパティルの作品が展示されています。

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それらを見ながら、人の入りの様子をチェックして、時間を調整をするとよいでしょう。

ちなみに、下記の映像作品もあります。

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所要時間
 (左)アモル・K・パティル 《のぞき見 3》 3:00
 (右)イシャム・ベラダ 《数理的前兆 #3》 4:55

丁度待ち時間に見るのに適した長さです。

 

〇待機時間が早まらないように

30分前に並びが始まっていると、つい、焦って一緒に並びたくなってしまいます。しかしすぐに一杯にはならないので、どれくらいの人数がいるかを確認します。その人数から、15人集まる時間を推測し、1階の作品を鑑賞しながら待つこともできます。

一方、疲れているようでしたら、演奏室に座って休憩にあてるのもよいかもしれません。 

 

〇待ち時間なしで見ることもできる 

その日の状況によっては、時間ギリギリで飛び込んでも、見ることができることもありました、(9月初旬、火曜日、13:00~) 

 

〇時間ギリギリだと、弱い光が見えない? 

タイミングよく待ち時間なしで、ギリギリに入れた場合、目が暗さに慣れていないせいか、弱い光が若干、見えにくくなった気がしました。待ち時間も、作品鑑賞の準備を整えるインターバルと考え、少し余裕を持っていた方がよさそうです。

 

〇立つ位置によっても聞こえ方が変わる

ピアノの回りを取り囲みますが、どの位置に立つかによっても、若干、聞こえ方や見え方が変わります。機会があれば、場所を変えてみるのも、面白いと思います。

 

以下ネタバレ注意 

■夜光虫(藻)について 

〇会場で待機する夜光藻

会場に入ると、イスにボトルやタンクが置かれています。

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これは、紫外線をあて光る準備が整った夜光虫(藻)です。夜光虫と言っていますが、藻の種類。

 

〇夜光藻の正式名称

名前は、ディノフラゲラ・ピロキスティス・フシフォルミス(Pyrocystis fusiformis)単細胞の藻類です。 

夜の海で、波にゆられ光っている様子です。

 

〇ピアノへセッティング

演奏時間が近づくと、容器に入った夜光虫(藻)がピアノの上に・・・・

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会場は、遠近法の効果で広く感じるようになっています。浮世絵の歌舞伎舞台を見ているようです。

準備が整うと会場は真っ暗に・・・ そして演奏と光の競演が始まります

 

 

■作者のプロフィール

生まれ:1979年 アーヘン(ドイツ)
活 動:ベルリンを拠点
経 歴:医学、解剖学、彫刻を学ぶ。生物、
作 品:自然のプロセス、デジタル・アートを作品に取り入れる。
自然科学、人文科学、文化における人と自然との関係、またその影響を探究。

出 品:
2016年 ベルリニッシュ・ギャラリー(ドイツ)
2019年 ゴスラー・メンヒェハウス美術館(ドイツ)で個展

プロフィールと、下村氏のソースがつながる。 

ーえ??ブロンズのスカルプチュアから解剖学?面白すぎ!その答えは見つかった?そこで何を身につけたと思いますか?

ある意味どうしてこうゆう形なのかは答えを見つけたかも、うーん、見つけてないとも言えるかな(笑)。他にも色々な疑問とたくさんの答えを見つけた。同じことを説明するのにも色々違う方法があることや西洋と東洋のアプローチの違いとか。タイマッサージも勉強したし。それから、効率的になることも学んだかな。

 

 

■わからないを楽しんで独学してみる

演奏が始まるといろいろ疑問が沸いてきました。わからないことも出てきます。それらを一つずつ、調べたり、聞いたり、再訪したりしながら、ひも解いていきました。「わからない」の解明。その派生で、知りたいことも出てきました。独学した足跡を記録しました。

 

〇ピアノの音と光の反応が違う!?

夜光藻は、ピアノ自動演奏の弦の振動で。真っ暗な中、光ると解説がありました。静かに演奏が始まります。ロングトーンの単音が間欠的に響きます。

そこに、突如、破裂音がしました。思わず声を出しそうに・・・ピカッと一瞬、強く光りました。

ところが、演奏が続いているのに、破裂音のところでしか光らないのです。振動に反応するなら、ずっと光っているはず。そういえば、最初の導入の単音にも、反応していませんでした。おかしい・・・・

特定の周波数に反応する性質があるのでしょうか?

 

〇発光する音は、自動演奏ピアノの音?

どうも、ピアノの音ではない音に夜光藻は反応しているようです。自動演奏ピアノがこんな音、だせるのでしょうか?自動演奏ピアノってどんな原理で音を出しているんだろう。

もしかして、別録された音源が流れていたのでは? スピーカーが設置されていたのかも・・・・ 今度、確認してみることに。

 

〇自動演奏ピアノの音は、電気音?

自動演奏ピアノが、電気を使って音を出しているのだとしたら、これらの音は、理解できます。自動演奏ピアノって電子回路、つかってるんだっけ?

 

〇夜光藻の生態や性質は?

そもそも夜光藻って何? どんな仕組みで発光しているのか、その生態や性質を理解しないと・・・・

 

 

■ディノフラゲラ・ピロキスティス・フシフォルミスについて

どのような性質を持っているのか調べてみました。またどのような仕組みで光っているのでしょう? 

ディノフラゲラ・ピロキスティス・フシフォルミスの生態

夜光藻と言われるプランクトンが光るのは、どのような仕組みなのでしょうか?その生態に興味を持ちました。

en.wikipedia.org

解説パネルにあった「ディノフラゲラ・ピロキスティス・フシフォルミス」の名称で調べても、ほとんど情報がありません。読み方によっても影響します。そんなときは、学名で調べると、情報が得られます。Pyrocystis fusiformisで調べたらいろいろ出てきました。

 

日周鉛直運動

昼夜を逆転させて、紫外線をあてていると解説がありました。これを聞いて科博の「風景の科学展」で見た東尋坊の写真を思い出しました。動物性プランクトンの日周鉛直運動について、解説がありました。

昼は魚の捕食を避けるために海底にいますが、夜は水面に上がります。夜光藻とも関係があるかも・・・・ と思ったら、このプランクトンは、植物性プランクトンでした。植物性のプランクトンは、昼は水面で紫外線を受け、夜もそのままと言われています。

しかし、鞭毛藻は日周鉛直運動をするという研究もあるようでした。鞭毛によって動物のような性質を持つからかな?

 

サーカディアンリズムを供える

サーカディアンリズムとは、日本語では「概日リズム」や「体内時計」と言われます。約24時間周期で変動する生理現象で、動物植物菌類藻類などほとんどの生物に存在します。日周鉛直運動のことを意味するのでしょうか?

 

〇Pyrocystis fusiformisが音に反応する仕組み

海の一部の地域では、Pyrocystis fusiformisと呼ばれる小さな微生物が集まり、波が形成されて衝突すると水を照らすと聞いた大学生が音楽への反応を実験。

単一のビートに最も明るく輝き弦と低振幅の振動を聞いた後、最も早く消えることを観察したそう。

 

 

■ピアノの音の謎

ピアノの音と、光の反応が不一致の謎

ピアノの音と弦、聞こえてくる音と音楽。現代音楽の和音? この音楽の音は、ピアノの音だけなのだろうか? 他の音も紛れているような・・・ 

弦を叩いたり、ひっかけるような音もしていました。バイオリンのピチカートのようでもあります。

ピアノの音だけではない・・・・ その音はどこから発している?  自動演奏ピアノは、エレクトーンのようにピアノ以外の音も出せるのでしょうか?

暗闇の中で耳に届いた音は、どこから聞こえていたのでしょう? ピアノからだとばかり思っていたけど、スピーカーも設置されていて、別の音源があったのかもしれません。暗くて音源の認識ができなかった?

 

〇夜光藻の発光と、弦の振動(動画)

下記の動画の前半の演奏デモがヒントになりそう…

 

〇学生実験結果による発光の仕組みと一致?

また、学生の実験もヒントになりそう。曲が始まると、間欠的に一瞬光りました。後半は、連打とともに明滅していました。前半は低音、後半は高音域だった記憶があります。なんとなく理由が見えてきたような・・・・単一ビートで強く光らせ、弦と低振幅の振動を聞いたあと消える。耳に届いた状況とほぼ一致しているような気がします。

「ピアノの弦の振動で光る」というのは、振動で光ったあとに消えるというメカニズムの複合だった?

 

 

■自動演奏ピアノの音の原理

ところで、自動演奏ピアノは、どのように音を出しているのでしょうか? 電気的に出しているなら、あのノイズのような複雑な音を奏でるのも理解ができるのですが・・・・自動演奏ピアノは、ピアノ以外の音も出すことができるのでしょうか?

〇昔の自動演奏ピアノの原理

昔の自動ピアノは、オルゴールのようなピンとシリンダーを使っていました。
送風装置がピアノの鍵盤をたたいて音を出す
Today's FLAT4:■「自動演奏ピアノ」ってご存じですか?!

(そういえば、六甲オルゴールミュージアムで自動伝送ピアノを見た時に、その原理を聞いた記憶がよみが選りました。)

1876年フィラデルフィア万博にて 空気式(紙巻自動ピアノ)を発表。

 

〇現代の自動演奏ピアノの原理

現代は、コンピューターと連動しています。機械的な小さなピストンを、ソレノイドという電磁式の電気で動かせる装置を動かします。原理は、アコースティックピアノと全く同じ。物理的にハンマーで弦を叩くことによって音を出しています。

 

ヤマハ自動演奏ピアノは・・・

奏者が鍵盤を押す代わりに、電磁石で鍵盤を下から突き上げてハンマーを動かすというもの。 自動演奏の仕組み自体は、鍵盤下に設置された電磁石に電流を流し、鍵盤を下から突き上げてハンマーを動かし弦を叩くというシンプルなもの。

 

関連:ソースブックを独学していた時、ピアノ演奏の独学について触れる機会がありました。チェンバロからピアノへ変化することで、音だしのしくみとともに演奏法も変える必要があることを知りました。またピアノの調律をどのようにするかといった動画を目にしたことも、ハンマー、弦、振動の仕組みが身近に感じられており、その振動によって光るということに興味を持ちました。自動演奏はどのように音だしするのか? そこも気になり出しました。 

 

 

■夜光藻の光合成 発光のメカニズム

 Reed Bio 342

〇発光のメカニズム 

渦鞭毛藻の生物発光は、主にストレス反応 水の流れなど、環境の変化に対する機械的な応答。メカノトランスダクションにはGタンパク質が含まれる 

発光反応成分:ルシフェリン、ルシフェラーゼ、ルシフェリン結合タンパク質

昼間ではなく夜間のみに光を放出することが示されています。生物発光の放出は、日中よりも夜間の機械的刺激の結果としてより一般的に生成。一定の温度と光の条件下で維持され、数週間同じリズムの発光を示しました。

ソースブック 下村氏の「ノーベル賞への道」につながります。ルシフェリン、ルシフェラーゼ、GFP・・・・ 

 

昼夜逆転のコントロール

太陽時間の昼と夜、展示用に昼と夜を逆転してコントロールされています。演奏が終わると、夜光虫(藻)は、かなりお疲れ状態になるそう。一日、一回かぎりの輝きです。

そのあとは、手厚い「ケア」がほどこされます。他の夜光虫と交代して、紫外線のもと静かに眠る。夜光藻にとっては、昼夜を逆転させられ本来の生体リズムを狂わされているわけで、展示のためにむりやり発光させられて、もしかしたらその行為を「毒」と思っているかも・・・・(笑)  美しさの裏に隠れた毒の存在?

開催時間が午後からだけ。何で午前中に行わないのかしら? と思っていましたが、人間側の勝手な要望なのでした。

このパフォーマンスは、音楽と発光の美しさよりも、「振動で発光する藻」というメカニズムと、耳に届く音の違いに興味が沸きました。おかしい、おかしい・・・・ 演奏中もずっとそのことばかり考えていてパフォーマンスを楽しめていなかったような・・・・ 

 

振動と発光の原理がわかった(2回目:2020.08.28)

〇「わからない」を確かめに再訪

なんとなく振動と発光の原理がわかった気になったのですが、やはり腑におちません。次のことを確認するために再訪しました。

・ピアノの音と光りの関係
・ピアノの音でないような音は何の音 別の音? ピアノの和音? 不協和音?
・音楽は「ピアノ+別の音」で構成されているのでは? 音源ソースの確認
・スピーカーからも、音を発しているのでは? スピーカーの有無と場所の確認。

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会場に入るとスピーカーを発見。やはり、スピーカからも、音が出ていたのだと確信。しかし・・・

  

〇演奏前の調整でわかったこと

開演前、夜光藻を設置し、音の調整をしていました。

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ピアノの音ではないと思った音が、キーを叩いた時に響いてきます。その音はスピーカーでからではなくピアノから聞こえています。目の前で調整している様子から、ピアノが発する音だと確認しました。

弦をはじくような音です。ハンマーでたたいて響いている音ではなく、弦をひっかいているような音。自動演奏ピアノで、その音はどのように出すのでしょうか? ピアノらしからぬ音なので、電子音かと思い、別の機器を通してスピーカーから音が出ていると想像していました。

あるいは、現代の自動ピアノは電気信号でいろいろな音を作ることができるのかも・・・・ 夜光藻が光る音源が、どういうものなかわかるまで、おちつきません。 

 

〇夜光藻を光らせる音の正体は?

演奏が始まりました。音は、やはりピアノから鳴っています。しかし、夜光藻が光る爆裂音のような音が、どのように鳴っているのかがわかりません。

また、その和音の音を確認しようとしていることに気づきました。旋律はわからないなりに音を追っています。ところが爆裂音の和音は、全く未知の音で、認識できません。馴染みのない現代音楽の不協和音だからかでしょうか? 現代音楽もよくわからないからなぁ‥‥ 

聞き取ることできない。得体のしれない音。それが気になってしまって、演奏に入り込めない理由だったことがわかりました。 

 

〇弦を弾くような音は?

演奏が終わって、弦を弾くような鈍い音は、なんなのか伺いました。 

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ピアノに印がついた部分の弦の上にタンクの位置を調整していたことがわかりました。この音をイッセイに慣らすと夜光藻が光るということだったのです。(聞き取れなかった和音の正体は、8音階全ての音を、イッセイに鳴らした音だったのでした。聞きとれないわけです。)

 

〇鈍い音は、タンクで弦を抑えていたから

弦はタンクでおさえられているため、従来のピアノの音とは違う、鈍い音を発します。それが破裂音のようい聞こえていたことがやっとわかりました。ピアノの音じゃない音が交ざっている。それは何? どういう音? どうやって自動演奏のピアノでその音を出してるの? それがずっとひっかかっていたのでした。

 

〇光らない音

●印のない音が演奏されている時は、夜光藻のタンクが載っていないので、光らないのです。「振動で光る」という仕組みと、実際の聞こえ方、得体のしれない音の正体がわかってやっと納得できました。 

 

〇なんでも分けて捉える習慣

「物事を分けて捉える」というモノの見方をここでもしています。ピアノの音じゃない音がしてる。それは何の音? どうやって音出ししてるの? 「ピアノの音」と「そうじゃない音」に境界をつけて分けて捉えてます。

あるいは、自分がこれまで「聞いたことある音」「聞いたことのない音」に・・・・ さらにその「和音の音も分けて認識」しようとしていました。どんな音で構成された和音なの?発せられる音を分割。とにかく納得できるところまで分けて、境界をつけて、自分なりに理解ができると、やっとそこから鑑賞が始まるのでした。

  

 

■原理がわかれば、感覚で聞ける?(3回目:2020.09.09)

音の素性がわからず、それが気になって演奏として聞くことができなかったのですが、おおよそのことがわかったので、純粋に演奏として聞けるようになったかな?と思い、3度目。

〇立つ位置を変えてみた

これまで、立つ位置はずっと鍵盤側でしたが、ピアノのバックに立つと何か変わるかも?と条件を変えて・・・ そういえば、ピアノコンサートでは手が見える下手側が好まれるけど、音を聞くには、上手がいい。ピアノの位置によって音の反響がどう変化するかというレクチャー付きのコンサート行ったことがありました。

 

〇ピアノ演奏は手を見たい 暗くてみえないのに・・・

自動演奏で手はないし、暗くて見えないのに鍵盤側を無意識に選んでました。音の反射を考えたら弦のある方がよいことを思い出しました。

そして光の状態も違いました。鍵盤側は、ペダルがわずかな光に反射して見えてたのですが・・・反対側は、外壁から漏れる光が目に入りました。

 

〇グランドピアノの音のゆくえ

グランドピアノの音は、屋根にあたって反射し、コンサートホール後方に届くということを思い出しました。第76回「手がみたい!でもちょっと待って」

 

〇単音の長いひびき

オープニングの単音。響きが長く感じられます。ぺダルによるものでしょうか? それとも今回は、後方で聞いているからでしょうか? 残響音のような音があるような気もします。そして、次の音への間隔がこれまでよりも長く感じました。

 

〇光が弱いのは・・・

強く光ったあとの光が弱いくて、確認しにくいのです。今日の夜光藻の調子、悪いのかな? これまで見たよりも、光が鈍い。と思ったところで、思いあたることが・・・ 裏横浜方面から日差しの強い中、歩いてきて、時間ギリギリで、滑り込みました。暗さに慣れる間もなく演奏が始まりました。目が慣れていないのです。そのため、わずかな光をキャッチできないのでした。

このインスタレーション、直島の南寺と重ねていました。外の明るさと目の順応。室内に入るまでの光と、室内に入ってから待つ時間。これによって、光の見え方が違うのと同じだと思いました。

関連

光ってるのがよくわからないという人がいます。それは、ここに座るまでの環境と、待ち時間をどれくらいとるかによっても見え方が変わるというのが、光関連のインスタレーションで経験したことでした。

 

〇目をつぶって鑑賞

それと、演奏中、気付くと目をつぶっていました。睡魔がおきていたのでしょうか? 闇との境界がわからなくなると、目を開いていても閉じていても同じ感覚になります。今回は、音に集中したくて、目を閉じていたようです。

夜光藻が光る現象を見るよりも、光らせる音が、どんな音なのか。その和音をつきとめることに意識が向いていました。どの音を同時に押しているのか‥‥ 

 

〇あたらしい音が

音出しの原理がある程度理解できたので、今度は、光の競演を理屈抜きで感覚的に楽しめるだろう思って参加した4回目。結局は、さらに音を分解しようとしていました。

エンディングに向けて、音が早くなり密になります。これまでの3回は、これらの音が、混沌としていて、どういう音なのか、聞き取れませんでした。どんな音がどのように振動をおこして、光っているのか、全くわかりません。

しかし、今回は、夜光虫を光らせる音と、そうでない音が分離できていました。そしてまた新たな音が登場したのです。エンディングのフェードアウトの部分。

弦を抑えてでる鈍い閉じ込めたような音です。カタカタと鍵盤をたたくような細やかな音。しかし夜光藻は発光していません。消音ペダルを踏み込んだような音なのですが、この音の正体はなんでしょう?

 

〇音の強さで光り方が変わる

夜光藻の入ったタンクの重みで弦を抑えて、振動を伝えています。夜光藻の発色は、振動の強さによって反応が違うことがわかりました。音が強いと強く光ります。音が弱いと光らないのです。エンディングの音は、タンクが載っている部分の音です。それなのに光らないのです。その理由は振動が弱かったからなのでした。

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最初のガツンというショッキングな音で、強い光を一瞬、発します。後半は、細やかなソフトタッチの弱い音で光らずにフェードアウトしていきました。

 

〇同じ弦に2つのタンク

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後ろで聞いたことで、タンクがどのように位置しているかがよくわかりました。同じ弦に2つのタンクが載っている部分がありました。ここの音は、どのような音になるのでしょうか? 2つのタンクでおさえていても、影響はそれほどないらしいです。

 

〇縦じまに光る瞬間

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後ろで見ていたら、タンク内が縦じまになって光る瞬間がありました。それは、印のキーが単音で振動させたからだと理解できました。

 

〇光と闇と演奏

暗闇の中の演奏で思い出されたのが、盲目のピアニスト辻井伸行さん。見えない鍵盤を弾き、コンテスト優勝の快挙。しかし、一流のピアニストは、目を閉じた状態で演奏ができるもので、特別なことではないと聞きます。

視力を失った状態で描いたモネ。しかし一般画家でも、目が見えなくなっても描けるるといいます。

見えないことで鋭敏になる感覚。見えないのに鍵盤の近くに立ったり、目を閉じたり。それは暗闇の中で音に集中し、聞き分けようとしていたのだと思います。暗闇が感覚を鋭敏にしてくれていたのかもしれません。

 

〇毒であり友達でもある?

夜光藻は、本来の生体リズムとは違う、昼夜を逆転させられ、無理やり振動を与えられて光らされています。これらの人間の行為を毒と感じているかも・・・・と思っていました。しかし「振動を与える側」と友情関係で結ばれた演奏と考えることもできるのかもしれません。

原理がわかれば、光の競演を感覚的に見ることができるようになると思ったのですが、結局は、さらに音を分解していました。原理がわかることで、また新たな音が登場してきました。

この作品を、音楽を生業にしている方は、どのように聴くのだろうと考えていました。また趣味で楽器を演奏する方は・・・ 今回の演奏で、終わってから「ピアノとは違う音がするけど・・・・」質問していた方がいらっしゃいました。「そうよね。そこ気になるわよね・・・・」と、同じところに着目する仲間をみつけたようで、友情を感じました(笑)

 

マルチチュードとは?

①多数。群衆。
グローバル化された社会の中で,相互に結びつき変革の主体となる存在。イタリアのアントニオ=ネグリらが提唱。
 
 

〇ピアノが好きだった遠いあの日

いつの頃からか、音楽が苦手と思うにようになってました。それは知らずのうちに、身の程を知ったから・・・・ 演奏家や指揮者による音楽の違いなんてわからないし・・・ そこには社会のシステムや教育といった壁も存在していました。

でも、ピアノの音、やっぱり好きなんだなぁ… このインスタレーションを体験して思いました。音を聞きわけたり、聞き取ったりできる耳がないと思っていたのですが、意外に聞き分けていたし・・・・ 最初に直観で「あれ?」と感じたことが、ポイントになっていたり。

プリペアド・ピアノの動画「モーツアルト ピアノソナタK.545 ハ長調」 どんな曲かと思ったら、これ、昔、弾けた曲じゃない・・・・と懐かしさとこんな音楽になってしまう驚きが。
 
そして、鑑賞はコンプリート癖に加えて、リピート癖もあることがわかりました。 とくに光に関するインスタレーションは、条件を変えて試してみるようです。
 
 

■関連資料

〇ピアノの音が出る様子(2020.09.11)

新型コロナウイルスで、活動の場が減少しているアーティストへの支援として、これまでにない、全く新しいフェスティバルがWEB上に誕生しました!コロナ禍の中、柔軟に芸術表現や鑑賞のメディアを替えていく新しいフェスティバルです。横浜WEBステージ

上記の試みの中で、ベートーベン《月光ソナタ》第3楽章の演奏されています。

www.youtube.com

奏者の指、ピアノ内部のハンマー、ペダリングとそれに呼応したピアノ内部の動きを、四分割画像で同時に見ることができます。

演奏者がピアノの鍵盤をたたく。それがどのように音を出しているかがわかりやすいです。それによって、夜光藻の光と演奏の関係も、よりわかりやすくなりました。

 

倍音に反応して発光

この演奏、ピアノの倍音に反応して光っているという記載を見ました。倍音は、チェロの演奏で耳にしたことがあるのですが、単純に振動数の倍の音という認識しかしていませんでした。いい機会なので調べてみることに。

 闇のなかでピアノの倍音に反応して夜光虫が光るアンドレアス・グライナーの作品

コムアイ×ドミニク・チェン ヨコトリで考える孤立と共生の感覚 - インタビュー : CINRA.NET

倍音とは?

www.onosokki.co.jp

ピアノで解説された倍音の響きが、とてもわかりやすかったです。

www.youtube.com

演奏が始まって単音の響きが長いと感じました。ペダルでここまで響くものなのかなぁ… と漠然と思っていたことなのですが。今回、夜光藻のタンクで弦がおさえられていることによって、倍音が生じていたと考えらえそうです。

 

プリペアド・ピアノ

www.youtube.com

初めて知ったプリペアド・ピアノ。これまで存在を知らなかったけど、誰もが知ってるのピアノなのかしら?

www.nemo2sha.com

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確かにこの状態を見た時、このピアノは、この演奏のための、専用ピアノなのか? このピアノを展示のたびに持ち歩るいているのか。据え付けのピアノで行う場合は、水の入ったタンクを載せてもらえるのか・・・ なんてことがふとよぎってました。