コロコロのアート 見て歩記&調べ歩記

美術鑑賞を通して感じたこと、考えたこと、調べたことを、過去と繋げて追記したりして変化を楽しむブログ 一枚の絵を深堀したり・・・ 

■④出雲大社:はじめての参拝はここがポイント お見逃しなく

はじめて訪れる出雲大社。下準備をせずに行くと、陥りやすい間違いや見逃しやすいポイントがいくつかあります。あとから後悔をしないために、事前にチェックしておくと便利。また、要チェックポイントについて、ミニ知識を紹介しています。 

 

 

■初めての出雲大社 陥りがちな勘違いや見逃しポイント

始めて出雲大社を訪れた時。基礎知識や建物の概要など全く理解していませんでした。勘違いをしてしまうポイントがいくつかあります。どのように参拝すればよいのかもわからなかったので、気が向くまま回りました。その時のル―トに沿って、見逃しや勘違いしやすいポイントを紹介。立ち寄るべき場所を紹介します。

まず、初めて訪れる人が一番、陥りやすいのは、出雲大社のメインの建物は何かということです。メインは「御本殿」です。しかし、有名な「大しめ縄」が目標物となっています。建物の基本的な種類や配置などを理解していないと、どの建物がどんな役割かもわからず、見逃してしまいます。

 

〇勘違いしやすい建物は?

最初に、勘違いしやすい建物を、ざっと把握しておきましょう

松並木の参道を抜けると銅の鳥居(第4の鳥居)があります。

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その先が一般的には「境内」と言われている領域で、その周りには、石垣と塀をめぐらした「荒垣」と呼ばれる塀で囲われています。

鳥居の向こうにしめ縄が見えます。初めて訪れる多くの方が、これを本命の建物だと思ってしまいます。

 

境内の構成は、下記の図がわかりやすいです。

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引用:出雲大社境内のご案内 | 出雲大社正門前商店街(掲載許可)

「×印」は、メインの建物と勘違いをしやすい部分です。これを見て帰ってしまう人も意外に多いと言われているところ。以下、間違いやすいポイントを紹介します。

 

〇第1のポイント:「拝殿」を「御本殿」と勘違い

最初に目にするしめ縄。出雲大社と言えばしめ縄です。これがあの有名なしめ縄! しかし、思っていたよりも小さいなぁ・・・(まあ、観光地ではよくあること。札幌の時計台もそうだし・・・・)そんなことを思いながら、ここがメインの建物だと思う方が非常に多いようです。

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多くの方が並んでお参りをされているのを目にします。そのため、ここで参拝をして、帰ってしまう方も少なくないようです。出雲大社の敷地は、まだまだ広いです。しっかり、他も参拝しましょう。

 

〇第2のポイント:「八足門」(やつあしもん)を「御本殿」と勘違い

拝殿の裏手にいくと、立派な門(八足門)があります。お賽銭箱もあり、お参りができる設えです。

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こちらが、正式なお参りの場所だったのかな? 

⇒八足門について(*1

この門が、正式な参拝場所、御本殿なのだと勘違いしてしまいます。奥の方に、何かあるような気配・・・ それが御本殿なのでしょうか?

門から少し離れると、奥の方になにか気になる三角屋根の建物があります。どこかで見たような気もします。

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「八足門」の右手に、回廊のような道が見えます。時計と反対回りに進みます。(⇒出雲大社参拝ルート 推奨は、時計と逆回りです。最初は知らずに反対ルートでで回ってしまいました。)

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奥に進むと3つの建物が見えてきます。奥にはこんなに建物があったのか・・・ 建物の屋根と上部だけしか見えず、全体像はよくわかりませんでした。

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この中のいずれかが 御本殿なのかなぁ・・・・

 

〇第3のポイント:真後ろから御本殿の全貌が見える

取り囲まれた塀に沿って歩くと、次第に一番、奥の建物が大きくなっていくような感覚がありました。

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そして、真後ろに立った時、建物はその全貌を表し、迫りくるような威厳を感じさせられました。

遮るものがなくなり、堂々たる姿。今にも、手が届きそうなほどの近さで存在します。

屋根から得も言われぬ異彩な空気が放たれています。構造など詳しいことはわかりませんが、なんだかすごい・・・・ 

 

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この深い緑の色に心惹かれます。このあたりの山の幽玄さと融合しているようです。どうやってこのような色を出しているのでしょうか? 古くは、神社の御神体は山の中の木であったこともあるようです。緑に囲まれた日本の国の特徴を表しているような気がしました。何か関係があるのでしょうか?

ただならぬ気配を感じさせられたので、もしかしてこれがメインの建物なのかもしれない・・・ しかし、そんな場所を後ろから見るなんてことが許されるはずがありません。違うかも・・・・ でも!この迫るような気配は、単なる気のせいとは違うと感じていました。

いろいろな想像や感情が交錯して、かき乱されるような感覚でした。

 

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御神殿を後ろから見る。しかも写真の撮影まで自由にできるのです。ここが、そんなに大切な場所なら、こんな簡単に公開はしないでしょうし、ここを立ち入り禁止にしてもおかしくないはず。突如目の前に現れた姿に圧倒されながらも、それを目にしているという状況を飲み込めませんでした。

しかしこの気配は、八足門から、ちらりと見える屋根からも、伝わるほどのパワーを持っていました。 

 

始めてここを見た時、この建物が「御本殿」であることを、知りませんでした。一通り出雲大社全体を見終わったあと、この建物が、どの建物よりも威厳があると思いました。しかし御本殿はあの大しめ縄のある建物だと理解していたので、ここが御本殿だと知ったのは、次に訪れた時でした。

回りには小さな祠のようなものがいろいろあり、解説もされています。しかし、強く惹かれることもなく、解説を見てもチンプンカンプン。追々、理解しようと、記録写真を撮影して終わってしまいました。

 

〇第4のポイント:西側の拝礼所からお参りを

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神様は正面を向いているのが一般的です。ところが、出雲大社大国主大神は、西側を向いていらっしゃるのだとか。(その理由は所説あるようですが)そこで、西側から参拝するのが正式(?)ということで、西側に拝礼所が設置されています。

見逃してしまいそうな拝礼所ですが要チェックポイントです。出雲大社の公式サイトには、書かれていないようです。)

 

〇第5のポイント:「素戔社」は隠れパワースポット

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素鵞社(すがのやしろ)スサノオノミコトが祀られています。大国主大神の父であることから、隠れパワースポットとも言われている場所。裏の八雲山からもパワー出ているらしいです。

何かに引き寄せられるように、ここに立ち寄っていました。敏感な方は、ここから霊気を感じるらしいです。敏感ではありませんが、気付いたらこの階段を上っていました。

裏の八雲山は一般の人は入ることができない禁足地です。社の裏手は、そんな山の岩場があり八雲山からのパワーに触れることができます。そして、稲佐の浜の砂と引換に、砂を持ち帰ると厄除けになるという見逃せないスポット。ぜひ裏側まで回ってみて下さい。

 

〇第6のポイント:神楽殿のしめ縄を見逃すな(でも御本殿ではない)

境内を出ると、大きなしめ縄に遭遇します。

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ぐるっと回ってきましたが、結局、ここがメインスポットだったわけね。でも、境内から離れた場所だし、わかりにくいし、本当にここがメインスポットでいいのかしら? 見逃してしまう人も多そう…

出雲大社といえば、しめ縄が代名詞。しめ縄のある場所が、出雲大社のメインスポットだと多くの方が思っているはず。

10月に再訪するまで、ここがメインスポットだと思っていました。ほんと、見逃さなくてよかったなぁと思いながら・・・・ 

ところが、出雲大社のメインスポットは「御本殿」だったのです。あの荘厳な屋根、威容を放っていた建物が、御神体を祀っている御本殿だったのでした。

 

〇参拝のおすすめポイント

何も知らずに感じるままに参拝してみるというのも面白いと思いました。自分はどんなところに興味を抱くのかがわかります。
あるいは、こちらの興味を喚起させる力を持った建物との縁を感じてみるというのも、いかがでしょうか? 呼ばれる感覚というのもあります。意外にも重要な場所を、感覚的にキャッチできていたりするとうれしいものです。

一方、せっかく行ったら、ポイントは見逃したくないという方や、参拝の目的がある場合などは、ある程度、予備知識を得ておいた方がいいかもしれません。

見逃してしまったら、またでかける。そんなふうに捉えてみてもいいかもしれません。その後、2回訪れることになりました。2度目になると、急激な広がりがあります。そして3度目は、これまで見えなかった細部が浮かび上がってきました。

 

 

以下、あとで調べてわかったことを追加していきます。
まずは、一般的な神社建築と、出雲大社の建築について紹介。

■神社建築について

〇神社の建物の配置

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『日本人なら知っておきたい神道武光誠著(p140)

神社の多くは、御本殿の前に拝殿が設けられ、御本殿は目に触れにくいようになっています。

中には全く見ることができないところもあると言います。御本殿の回りには垣があったりして、近寄ることすらできない場合も多いようです。御本殿は聖域なので、直接参拝する事ができないため、拝殿で参拝するようになっています。

 参考:〇神社に行こう! 神社空間を読み解く⑨本殿 | nippon.com

 

〇拝殿と御本殿の違い

「拝殿」と「本殿」の違いについて、下記が詳しいです。

神社の拝殿とは何か? 本殿との違いを知っておきましょう。
神社の本殿と拝殿の違いって何?神社でのマナーもご紹介します!|終活ねっと

上記から拝察すると、
 ⇒拝殿拝礼をするための建物。
 ⇒本殿ご神体が祀られる場所。

ご神体は、大切なものなので、人目にふれないように祀られています。そのため、拝む場所と祀る場所を分けているというのが基本的な配置です。

 

〇御本殿は、ご神体を祀る場所

御本殿は、ご神体が安置されている場所だということ。大国主命を祀っている場所です。神体⇒神体(シンタイ)とは - コトバンク

ところが、「御本殿」「ご神体」の意味を、感覚的に、漠然としかとらえていませんでした。神社のご神体は、木や岩、鏡などいろいろあることもわかっています。その中でも鏡であることが多いことも・・・・ しかし、その成り立ちや、どのような経緯を経ているかは、理解できていませんでした。

原始宗教の自然崇拝では、山や岩そのものが御神体となり、しめ縄を張って建物の中に囲われていない岩や石もあります。御本殿がない場合もある・・・・

御本殿は、ご神体が祀られている場所。ということよりも、「御本殿」と呼ばれる「建物、場所」という認識でした。

出雲大社では、この中に立ち入ることができ、御神体を見ることができるのは、神職の方だけ。天皇陛下ですら、入ることができないそうです。それほどまでに神聖な場所なのです。

 

出雲大社は特殊?

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出雲大社は、御本殿と拝殿が離れている特別な配置です。そのため御本殿の前に八足門があり、そこで参拝ができるようになっています。

 

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(左)拝殿 (右)八足門 奥に御本殿

従来の神社の配置から考えると、御本殿の後ろに回るということは、できないと考えてよいのではないでしょうか? 裏手に回って、至近距離で、建物の姿を拝観できるのは、非常に貴重なことなのだと思われます。

 

出雲大社の特殊性 遷宮

そして、出雲大社の場合は、60年に1回の遷宮(御本殿が改修)があり、その時は拝殿に、ご神体が移動し、この建物が御本殿の役割を担う重要な建物。(仮御殿)そのため、立派な建物なのだそう。

2013年(平成25年)平成の大遷宮では、仮御殿として御本殿の役割をしていました。(2008年~2013年 5年間 仮御殿として)

・2008年( 平成20年)4月 「仮殿遷座祭」大国主大神が御本殿から御仮殿に御遷座
・2013年(平成25年)5月10日「本殿遷座祭」大国主大神が御本殿にお還りになる

 

〇本殿、拝殿のない例 

神社の形態は、いろいろあり本殿や拝殿がない場合もあります。

【本殿がない】
 ⇒大神神社(おおみわじんじゃ)背後の三輪山御神体なので拝殿のみ
 ⇒諏訪大社の本宮 宮山を御神山 拝殿が左右に片拝殿が連なっています。
【拝殿がない】
 ⇒伊勢神宮 熱田神宮・・・拝殿なし

 

 

■改めて御本殿について

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〇あの威厳のある建物が御本殿だった!

改めて訪れた時に、「御本殿」の意味を理解しました。
↓ こちらが、出雲大社の全景、御本殿の周りの様子です。

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古代歴史博物館にて撮影 

中央にある一連の建物すべてが御本殿といわれる一帯だと思っていました。

▼これらの建物が、まとまって御本殿なのだと・・・・

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しかし、何も知らずに見ていても、この中の1つが、どんどん存在感が大きくなっていきました。それは言いようのない感覚で、裏手に回ると、圧倒的なパワーで迫ってきました。

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訪れたあとに「新美の巨人たち」で出雲大社の特集がありました。そこで、この建物の建築的なことなどがわかり、最初に感じたパワーは、伊達ではなかったと思いました。

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〇本殿の外観

こちらが御本殿の全貌です。

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古代歴史博物館にて撮影 

遷宮前の様子。かなり傷んでいることが見てとれます。楼門と御本殿が階段でつながっています。

 

 出雲大社本殿 模型  

古代歴史博物館にて

後ろは御本殿。その前に、楼門とをつなぐ階段 

配置図と御本殿の柱図です。 

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 古代歴史博物館にて撮影 

 

〇本殿の仕様  

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造り:大社造りと呼ばれる日本最古の神社建築様式。
再建:1744年(延享元年)
大遷宮平成の大遷宮で大屋根や千木などが新装
高さ:約24m
屋根:厚い桧皮葺きの屋根
千木:棟の上には長さ7.9mの二組の千木が交差
御神体稲佐の浜のある西の方角を向いて鎮座。
    本殿正面からは神様を横から参拝する形になります。

 

〇本殿の屋根 

予備知識がなくても、この屋根が放つ異彩が感じられます。 

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【檜皮葺】

2回目に訪れたあと、新美の巨人たち:テレビ東京で、出雲大社が取り上げられ、屋根の構造や知恵など紹介されました。分厚い檜皮葺にでできており、厚さは1mほど重ねられているとのこと。約70万枚もの膨大な檜皮(ひわだ)が敷き詰められています。何かわからないパワーは、そのような構造がもたらしていたのかもしれません。檜皮は防水性に優れ、伝統的木造建築の最高の屋根材とされています。

参考:檜皮屋根師 徒然日記

 

【破風板】【千木】【鰹木】【ちゃん塗】

心惹かれた屋根の緑色。その部分は「破風板」といわれています。今回の遷宮の時に130年ぶりに再現された「ちゃん塗り」という塗装法が施されていました。明治の遷宮の時に屋根に使われる銅板の塗装で、松ヤニやエゴマ油、鉛、石灰が混ぜられた方法です。

 

◆ちゃん塗について ⇒No.28 「ちゃん塗り」の技術|ハリマ化成グループ

大屋根の千木、鰹木は、黒ちゃん(油膜=墨を混ぜる)と言われ、破風板は緑ちゃん (緑青を混ぜる)と呼ばれます。緑ちゃんは、なかなかうまく行かず、試行錯誤が繰り返されたのだそう。

今回の遷宮では、過去の技術を再現し伝承することにこだわりました。120年の間に変化した色と、それに見慣れた人たちの反応をどう考えるか・・・など。しかし、神は細部に宿るの精神で・・・ 伝統を引き継ぐことを選択。

「緑ちゃん」の試行錯誤の苦労は、建物にもしみこんでいたのかもしれません。何か訴えかけてくるような感じがしていました。この話を聞いてぞくっとしました。何かわからないけども、その裏にあったことが、今、明らかになりました。

 ⇒千木(ちぎ)とは - コトバンク
 ⇒鰹木(カツオギ)とは - コトバンク

 

参考:修復前の千木 ⇒出雲大社御本殿大屋根特別拝観レポ - うんせきブログ

 

【面積】【屋根長】

 

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出雲大社の屋根は、一般の約1.5倍の長さの檜皮も用いています。御本殿大屋根の面積は約180坪、軒先の厚さは約1mです。

 

遷宮年 

60年に1回。これまでの遷宮をたどると・・・・

1744年(延享元年)25回 ・・・・現在の社殿
1809年(文化6年)  26回 (65年)
1881年明治14年)27回 (72年) ちゃん塗
1953年(昭和28年)28回 (72年) 千木・鰹木修復せず ・・・資料焼失
2013年(平成25年)29回 (60年) ちゃん塗復活 

明治に行われた遷宮でちゃん塗が行われ、132年の月日がたっているため、資料もなく経験者もいない状況は、非常に困難であったことが想像されます。

 

 

 〇本殿背後の八雲山

後の八雲山が雲につつまれ幻想的です。

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2回目に訪れたあとに、背後の山が八雲山と知りました。スサノオミコトが、初めて詠んだ和歌の題材。ヤマタノオロチを退治し、櫛稲田姫と結婚した時に「八雲立つ・・・」と読みました。小泉八雲の名も、出雲の枕言葉、「八雲立つ」なのでこの歌との関連があるのかな?と想像していました。

何気なく撮影した写真ですが、この土地の特徴的なポイントとなる様子をおさえていました。八雲山の湿潤さと屋根の作り。生憎の雨でしたが、それによって八雲山に雲がかかる光景に遭遇できました。

 

正確には八雲山は、こちらの山になります。

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裏山の八雲山から下りてくる湿気を含んだ空気で傷みやすいという環境。そのため、檜の皮を何層にも重ねる工夫がされたそうです。また勾配をきつくして雨や雪が流れ落ちやすいようにしているのだそう。

 

 

平成の大遷宮って何?

〇11年かけた遷宮

2013年(平成25年)平成の大遷宮が大きな話題となりました。これは、修造が終わった御本殿に大国主大神がお還りになる「本殿遷座祭」に注目が集まったことによります。

しかし、遷宮は2008年(平成20年)4月から始まっており、2016年(平成28年)8月までの8年間が第1期で、御本殿やその他の御社殿の修理が行われていました。

この間、2008~2013年までの5年間、大国主大神は、仮御殿に移動されていたことになります。

その後も、引き続き第2期としてが2016年(平成28年)4月~(2019年)平成31年1年3月まで宝物殿改修、庁舎の建て替えが続けられていました。

2019年3月末で全ての事業を終えることができました。実に、11年の歳月をかけて遷宮が行われ、令和という新しい時代を迎えたのでした。

 

 

遷宮年 

現在の社殿が作られたのは、1744年、江戸時代中期です。それから遷宮はたった4回しか行われていないことに驚きました。60年という期間の長さを改めて感じさせられます。生きているうちに遭遇できるかどうか・・・・ 2度、遭遇することはないと言っていいでしょう。

平成の前あ、昭和28年、戦前です。そしてその前は明治時代なのです。60年という周期で伝承していくことがいかに大変なことなのかがわかります。

1744年(延享元年)25回 ・・・・現在の社殿
1809年(文化6年)  26回 (65年)
1881年明治14年)27回 (72年)
1953年(昭和28年)28回 (72年)
2013年(平成25年)29回 (60年)

 

出雲大社伊勢神宮の同時遷宮

2013年、平成の大遷宮伊勢神宮でも式年遷宮が行われました。それが、どのような意味があるのかなど、知ることもなく今に至りっていました。

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 〇出雲大社伊勢神宮遷宮の違い

ボランティアツアーで、出雲大社の修復は伊勢神宮とは考え方が違うという解説がありました。伊瀬神宮は20年に一度、定期的に全てを新しくして維持をします。一方、出雲大社は、60年ごとということではなく、状況によって決められています。遷宮の一覧の( 年)の部分が、間隔を示しています。昭和と明治の間は、75年、その前も75年でした。そのため、伊勢神宮と同時というのは、なかなかないことなのだそうです。
 
また、出雲大社では、1744年から、同じ建物を修繕しながら使い続けています。伊勢神宮のように、全てを建て替えているわけではないことを知りました。古代から使われている木材も生かされていると言います。老朽化した部分を中心に大修繕を行っており、今回や屋根がその対象となりました。

 

 

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瑞垣の屋根に生えたコケ。屋根から雨雫が落ちていました。このコケの生え方や、建物の朽ち方に美しさを感じました。 この塀や屋根が、どんなものなのかわかっていませんでしたが、強く惹かれた部分でした。
 
その一方で、遷宮で修復されたはずなのに、新しさがなく、もうコケが生えてしまっている。ここの環境の湿気分布をこのコケが物語ってるのかなぁ・・・・と思いながら、日本建築の維持って大変なことだなぁ・・・・と思ってコケを眺めていました。
  
朽ちていくことも受け入れながらそこに美を感じ、いかに共存していくかを考えた修復の知恵。一方、再生、復活で真っ新によみがえらせながら技術を継承していくという選択。それぞれの場所が伝承し、長き渡り今に伝えてきた力を感じさせられました。
今の記録技術を持って、この先に残していくもの。それは、今を生きた私たちの大きな足跡であり、財産でもあると思いました。
 

  

出雲大社関連(ブログ内)

■脚注 補足

*1:■八足門について 
・大しめ縄のある拝殿の奥に位置する門。
・御祭神に最も近づける門。
・通常はここから御本殿を参拝します。  

・八足門から内側・・・「御本殿」が存在し、楼門と回廊がご本殿を取り巻きます。
御祭神の「大国主大神」は二重の門で手厚く守護されています。

 

〇特別に垣根に入ることができることも

八足門の開放:正月五カ日は開放、楼門(御本殿と八足門の間の門)まで入ることができます。 お正月や特別な神事の日には、一つ目の垣根の中までなら、入ることができる日があります。あるいは、御祈祷を受けた場合も可能。しかし御本殿に参拝することはできません。

 

下記のような企画もあるようです。 

www.ichibata.co.jp