ヨコトリ2020の作品やアーティストについて調べてみても、なかなか情報を得ることができませんでしたが、英語で調べ、googoleの翻訳機能を使うことで、世界が格段に広がりました。気になっていたことを調べた結果を記録。
- 1 ■展覧会会場の窓 ここはどこ?
- 2 ■サウンドスーツについて
- 2-1(2020.07.08)サウンドスーツってどんな作品?
- 2-3 (2020.07.01)見る人に共謀な実態に遭遇させる
- 2-4 (2020.07.01)動画:Nick Cave's "Heard" Performed at University of North Texas
- 2-5 (2020.07.08)ニック・ケイヴが、サウンドスーツについて語る
- 2-6 (2020.07.08)アフリカ部族芸術 儀式の基礎を呼び起こす
- 2-7 (2020.07.09)サウンドスーツの腹の中に入れたような作品
- 2-8 (2020.07.09)ロドニー・キング事件、無罪判決のレスポンスとして
- 2-9 (2020.07.11)ニック・ケイヴ バイオグラフィー
- 3 ■展覧会「Until」について
- 4 ■展覧会「Until」構成要素・展示概要
- 5 ■Untilの由来 「無罪が証明されるまで無罪」
- 6 ■人種差別の歴史ー芝生の旗手
- 7 銃社会について
- ■開催を前に・・・
- ■関連
- ■補足
1 ■展覧会会場の窓 ここはどこ?
1-1 窓のある会場って?
上記の作品写真で気になっていたのは、展覧会場の窓。美術展の会場と言えば、たいていは光が遮断されているのが一般的です。このような窓がある場所というのは、どんな場所なのでしょうか?
光を避けたい美術作品の展示場所として、これだけの窓があるというのは、会場はもしかしたら美術館ではないのかも。ここはどこ?どんな場所なんだろう・・・・ と気になっていました。
1-2 会場と窓の関係は?
上記の撮影は、夜行なわれたようですが、この窓から光が入ると、展示物の見え方は、かなり印象が変わるはず。
朝・昼・夜の時間帯によっても、楽しむことができそうです。建物の広さはどれくらい? 窓の占める割合は? この会場の全体はどうなっているのだろう・・・・ 気になったのは、窓と建物の関係と、この作品の全体像でした。
作品名で検索すれば、わかると思ったのですが、全くみつかりませんでした。しかし、英語で検索することによって、次第に全貌が見えてきました。
1-3 会場の様子
こんな写真を発見。
やっと、会場全体の様子が把握できました。窓は、思った以上に多く、自然光に満ち満ちていそうです。作品もスピナーだけでなく、他の展示もされています。
1-4 マサチューセッツ現代美術館について
「マサチューセッツ現代美術館」の展示であることがわかりました。
通称: MASS MoCA(マスモカ)
(Massachusetts Museum of Contemporary Art)
公式 twitter/MASS_MoCA
HP: Nick Cave<span class="title-light">Until</span> | MASS MoCA
ニック・ケイブを調べていると「MASS MoCA」の文字が散見がされました。MASSは、マサチューセッツ?と思っていたら「MASS MoCA」がマサチューセッツ現代美術館であることがわかりました。何の略かといえば、 (Massachusetts Museum of Contemporary Art)で、マスモカと略称で呼ばれていることが判明。
日本語で「マサチューセッツ現代美術館」「ニック・ケイブ」で探しても、なかなかたどることができませんでした。 ⇒5-1 作家・作品紹介WEBのプロフから
1-4 MASS MoCAの代表的スペース
この展示会場、マサチューセッツ現代美術館(MASS MoCA)の代表的なサッカーフィールドサイズのスペースで5号館。両サイドの壁は、全面が窓になっていたこともわかりました。会場全体はこんなに広かったのです。
世界の美術館の中で現代美術の最大のスペースの1つだそう。アーティストにとっては、手ごわい挑戦の場。ニック・ケイブが最初に博物館を訪れたとき、彼はこの空間に横になっていて、圧倒的な次元に熟考し、気が遠ざかっていたようです。
このコラボレーションの始まりは、3年前のスタジオ訪問にさかのぼります。MoCAディレクターは、この広いビルディングファイブ(5号館)の大きさに、ニック・ケイブの代表作、人間大のサウンドスーツを引き継いだだけはと懸念をしていたと言います。この大きなスペースをいかに使いこなすかは、アーティストにとって難題。依頼を受けたからといって成功をするわけではありません。
ここで展示された作品「Until」の全貌が次第に見えてきました。
参考:MASS MoCAのNick Cave 10月のインストールのプレビュー
1-5 多目的ホールのような場所
ここは、多目的ホールのような使われて方をしているようです。
結婚式が行われたり
こんな展示や・・・
このような展示も行われています。
1-6 お天気や 光の状態による変化
壁面一杯の窓。日々、様相が変化して楽しめそうです。お天気のよい日差しが入る時間帯は・・・・
自然光の中で、様々な表情を楽しむことができそうです。
1-7 ヨコトリ2020 吹き抜け美術館エントランス にて
ヨコトリ2020では、横浜美術館の吹き抜けエントランスで展示される予定です。
横浜美術館の屋根は、自然光が入る天井だったかと思います。そこに設置される作品。どんな世界が広がるのか楽しみです。
下記でも、昼や夕方によって、ロケーションの変化による体験の違いについて言及されていました。
それもまた魅惑的で印象的で、華やかなシャンデリアと何千ものきらめく吊り下げのクリスタルで作られています。昼間でも明るく、明るいです。私たちは夕方に再び訪問するよう招待されています。その時必ず違う体験になるでしょう。
(2020.07.14)横浜美術館 エントランス
高さ約20メートルの広々とした吹き抜けのエントランス。横浜美術館のシンボル的スペース。ヨコトリ2017のエントランスの様子。天井から柔らかい光が注いでいます。
また3年経ったか https://t.co/QWMoW2T2vn
— strayingtokipi (@strayingtokipi) 2016年11月11日
2 ■サウンドスーツについて
ニック・ケイブの代表作として、着脱可能な彫刻作品が、プロフィールに紹介されています。この作品はどのような作品なのでしょうか?
⇒5-1 作家・作品紹介WEBのプロフから
2-1(2020.07.08)サウンドスーツってどんな作品?
ニック・ケイヴの代表作、着脱可能な彫刻作品《サウンドスーツ》とはどのようなものなのでしょうか?
《回転する森》を写真鑑賞する際、つかみどころがなく代表作と言われる、《サウンドスーツ》の作品がどんなものなのかわかると何かヒントになるかも・・・と思ったのですが、これまた調べることができませんでした。
鮮やかな色彩と豊かな装飾性を特徴としています。
2-2 (2020.07.01)着用者が誰かを隠す 見る人にゆだねる
個人の体を完全に覆う衣装、Soundsuitsシリーズは、着用者が誰であるかをカモフラージュします。性別、人種、階級を隠すための、第2の皮膚であるともいえます。観客は先入観なく見ることを強いられます。
参考:ニックケイブのサウンドスーツの彫刻–あなたが知る必要があるすべて
2-3 (2020.07.01)見る人に共謀な実態に遭遇させる
パフォーマーの全身をカバーして、性別、人種、階級を偽装することを目的としたパフォーマティブツールとして機能しています。それによってオブザーバーは、さまざまな感情を呼び起こさせられ、そこに潜んでいる凶暴な実態に直面します。
人間の髪の毛を染めた彫刻的な衣装、プラスチック製のボタン、ビーズ、サイザル麻、針金、羽毛、スパンコールなどをまとっています。
サウンドスーツは、社会的および物質的な文化の象徴。同時に異なる概念を伝えることができるため、それらの意味は固定されていません。時間、空間、運動の文脈に関して変化します。
参考:アクロン美術館で調査されたニックケイブの見事なアートワーク
2-4 (2020.07.01)動画:Nick Cave's "Heard" Performed at University of North Texas
「Soundsuit」というKWを手にすることで、情報が広がり、その背景にあることがいろいろ引き上げられます。
2-5 (2020.07.08)ニック・ケイヴが、サウンドスーツについて語る
サウンドスーツは、フリーマーケットや埋め立て地への訪問中に収集されたバッグ、帽子、服、スパンコール、ボタン、おもちゃ、その他の珍しい物をまとっています。
「彼らは鎧であり、違いを打ち消し、見た目を超える必要があるフィルターです。彼は2012年10月にリール3000と刻印されたイベントFantasticに参加したときに説明しました。そのおかげで、私たちのアイデンティティは隠されています。クラス、人種、出身に関係なく、判断はありません。」
アメリカで発生した人種差別的事件(マイケルブラウン、エリックガーナー、およびトレイボンマーティンの殺人)について言及しています。
「私があなたの手を使ってサウンドスーツに飛び乗るようなものです 」
ニューヨークタイムスで説明しました。
Untilは、幻想的で挑発的でありながら楽観性に満ちた喜びの庭への旅です。ニック・ケイブは人類とその議論と推論の能力を信じたいと言っているからです。
「この作品は、劇場の舞台であり、集団討論の場でもあり彫刻でもあります。」
展覧会の10か月を通して、ダンサー、ミュージシャン、作曲家、詩人、地元のコミュニティのメンバーとの一連のパフォーマンスとディスカッションの時間が予定されています。
「彼らは鎧であり、違いを打ち消し、見た目を超える必要があるフィルターです。彼は2012年10月にリール3000と刻印されたイベントFantasticに参加したときに説明しました。そのおかげで、私たちのアイデンティティは隠されています。クラス、人種、出身に関係なく、判断はありません。」
参考:Nick Caveで人間を信じる
アイデンティティをあえて隠した作品。そんなスーツに身を包んだ作品。その中に抑え込んだものを見た時に受け取るもの。中の人を知らずに見る、知って見る。人の感情の中に潜む、ある意味、毒があらわれてくるのかも・・・・
知ることによって作品に上乗せして見てていた生きにくさ。
2-6 (2020.07.08)アフリカ部族芸術 儀式の基礎を呼び起こす
性別と人種を見えなくすることで、アイデンティティに関する問題について、見る人へ意識を問いながら、人体を変換するというサウンドスーツ。
アフリカ系アメリカ人のニック・ケイヴ。芸術家の作品は、アフリカの部族芸術、パフォーマンス、および儀式の基礎を呼び起こします。
素材は草などの自然素材と似ており、刻まれた木と織られた繊維です。彼は明らかに無機質ですが、しばしばカラフルな飾り気もあります。
参考:MASS MoCAのNick Cave
2-7 (2020.07.09)サウンドスーツの腹の中に入れたような作品
ウェアラブル彫刻で「サウンドスーツ」と呼ばれるニック・ケイブの代表作。MASS MoCAの代表的なサッカーフィールドサイズのギャラリーで作成されました。Untilというタイトルの新しい没入型インスタレーションは、MASS MoCAに期待を裏返します。これまでで最大で、最も複雑、そして政治的に刺激的なものとなりました。
「これは私があなたをサウンドスーツの腹に入れているところです」と彼はニューヨーク・タイムズに語りました。
参考:ニック・ケイブ Until
2-8 (2020.07.09)ロドニー・キング事件、無罪判決のレスポンスとして
1991年:ロサンゼルスの警官に殴打された若い黒人ロドニーキングの死
1922年:ロドニー・キング事件、無罪判決。
それをきっかけにロサンゼルスで暴動が起きます。
⇒ロドニーキング事件について ★
そのレスポンスとして制作
最初のサウンドスーツは、小枝で作られており、ロドニーキングへの暴力に直接的に反応した作品です。⇒参考:最初のサウンドスーツとロドニーキング
残忍で力強い社会正義についての視覚的イメージとして表現しました。動きと素材は祝福(?)として理解されています。
2-9 (2020.07.11)ニック・ケイヴ バイオグラフィー
彼の大家族は彼を芸術家になり、現場で必要な注意力を刺激しました。彼の旅は、彼が古い兄弟の私を手から下に生地を操作していたときに始まりました。
高校卒業後:カンザスシティアートインスティテュートに入社
1982年:美術学士号を取得
卒業後:ダンスに挑戦、アルヴィンエイリーからトレーニングを受ける
参考:バイオグラフィー
・テーマ:人種、ジェンダー、社会階級に基づく差別への問いを投げかける。
3 ■展覧会「Until」について
3-1 大規模個展「Until」
2016年から世界巡回中を巡回する個展「Until」 ⇒(*10)
MASS MoCAに始まったニック・ケイブの「Until」展は、2016年からスタートし、世界を巡回しています。
〇 MASS MoCA、マサチューセッツ州(2016年10月15日〜2017年9月4日)
〇オーストリア(2018年11月23日〜2019年3月3日)
〇トラムウェイ(2019年8月3日から2019年11月24日)
〇シドニー(2019年11月23日~)
3-2 「Until」について
Untilは、3年間にわたって制作されました。
情感豊かですが複雑な作品でもあります。
「Until」は、幻想的で温かみもあり、癒されるかに思えます。しかしその内面には、挑発的なしかけもあって、感情は複雑に揺さぶられます。それでも楽観性があり、喜びに満ちた庭へ招待されるような旅でもあります。
展覧会のために組み立てられた膨大な量の材料は驚異的です。
16,000の風車。何百万ものプラスチック製のポニービーズ。何千ものセラミックの鳥、果物、動物。24のシャンデリア。13金色の豚; 17鋳鉄の芝生の騎手; グラスファイバーのワニ; そして10マイル以上のクリスタル。
これらの物質的な構成に加えて、ケイブのプロジェクトは、銃の暴力、警察の残虐行為、人種差別の複雑な問題について議論するための場を作ろうとしています。アーティストとして、そして人間として感じている切迫感について訴えかけます。
Until(まで)が意味すること
「市民のリーダー」や「警察の委員」から「親や子供」まで・・・というように、あらゆる立場の人たちをを含み、それらの人が集まって形成される社会、集団が集まるコミュニティが直面している問題を、共有できる場を作ることを目的としています。
それは非常に「困難な会話」でありますが、「タウンホールの集まりを別の方法で考える」ことで、「MASS MoCAの社会経済の多様性」を変える試みをしているとケイヴは語ります。
参考:Rethinking the Town Hall: Nick Cave on ‘Until,’ His Massive MASS MoCA Installation – ARTnews.com
3-3 《回転する森》は「Until」の一部
ヨコトリ2020《回転する森》は、「Until」の一部となります。
「Until」は壮大な構成要素を持つインスタレーションです。ヨコトリ2020のニック・ケイブの作品は、その中の構成要素の一つである《回転する森》の部分を、会場に合わせて新たに制作して展示します。
大規模なインスタレーション「Until」は、どのような展覧会なのでしょうか? 以下、構成要素とともに全体の展示を紹介します。
4 ■展覧会「Until」構成要素・展示概要
4-1 天国の雲 Crystal Cloudscape
◎天国を意味するクラウド
おびただしい量のクリスタルでできた巨大な雲
◎天国への黄色い階段を上ると・・・・
鮮やかな黄色の4つのはしごは、頑丈ですが少し急です。輝く構造物の上部につながります。トップレベルまであがると雲の上から様々な角度で見ることができます。リフトを使って展望台から見ることも可能です。
◎天国の雲の中で発見されるオブジェクトは・・・・
数十のセラミック鳥、金色の豚、色とりどりの植物でブリコラージュされたものがつまっていて、異様な雰囲気を放ています。過去と現在の両方のアメリカの固有種を参照する不気味な発見があります。
◎天国の雲はキラキラ・・・「天国に人種差別はあるのでしょうか」
長さ12m、幅6mの雲には数千のクリスタルやビーズが・・・
中央の頭上に吊るされている巨大な雲には、きらめくクリスタルがちりばめられています。そして、雲の下側にはシャンデリアが覗いており、下を照らします。豪華で壮大・・・重さは5t! ⇒(*21)■(2020.07.12)Untilの天国の雲が5t?
4-2 スピナー
光を分散させ、床に影や模様を投げかけます。それは魅惑的です。その広大なエンベロープ。しかし、それはまた、風が吹く、モビールが揺れる、チャイムが鳴る庭に座っているようです。
引用:Nick Cave: Until - AUDREY Journal
行はグリッドのように並べられます。脳は形を作り始めます:スターバースト…円…同心円。次に:銃(!?)…弾丸…ティアドロップ。穏やかさは恐ろしいものに置き換えられました。そして、その微妙で個人的な認識の瞬間に、展覧会のメッセージが送受信されます。
4-3 ビーズクリフウォール
◎ビーズで作られた記念碑的作品
数百万のポニービーズを靴ひもに手でねじ込んで作られた記念碑的な作品、Beaded Cliff Wall(ビーズクリフウォール)です。これは、地形的、物理的なものではなく、アリーナ(劇場)の社会的および政治的特徴をマップして文書化しています。この空間に身を置き、その中に自分の声とエージェンシーを見つけ、自分の力について考えることをお勧めします。希望に満ちた場所です。
Beaded Cliff Wall、2015-2016は、ビーズ、靴ひも、ネットから手作りされた、3つの側面に掛けられた巨大な2層の作品です。ケイブのスタジオチームがこのような細かい運動技能を使用してこの作品の壮大なスケールを実現したことは、小さな偉業ではありません。(なぜアートの世界では、映画業界のようにすべての寄稿者が定期的にクレジットされないのですか?)フォームの豊富な個性は、部分的なインスピレーションであったストリートスローガンやシンボルよりも雄弁にこの集合的な成果を物語っています。
引用:Nick Cave: Until — Art Guide Australia
4-5 コミュニティーフォーラム
◎展覧会は「彫刻作品と同じくらい精巧なコミュニティフォーラム」
展覧会の会場は、歌や演奏、ダンスなど自発的に行われるコミュニティーとして機能
5 ■Untilの由来 「無罪が証明されるまで無罪」
「疑わしきは罰せず」=「有罪が証明されるまで無罪」を同義として、そこに潜む問題を考える時、アメリカの現状と日本の現状の違い。そこで作品が持つ意味をいかに理解するのか。
5-1 「疑わしきは罰せず」
展覧会名は法格言「疑わしきは罰せず(innocent until proven guilty)」からきてます。この意味が、今一つわかりませんでした。これは、アメリカ社会において、実際の法は、大義名分とは違う形で、運用されているという意味のようです。
5-2 推定無罪(wikiphedhiaより)
広義では(建前としては)、有罪判決が確定するまでは、何人も犯罪者として取り扱われない(権利を有する)ことを意味する(国際人権規約B規約14条2項など)
「無罪の推定」という表現が本来の趣旨に忠実であり(presumption of innocence)、刑事訴訟法学ではこちらの表現が使われる。近時、マスコミその他により、推定無罪と呼ばれるようになった。[要出典]
この原則は刑事訴訟における当事者の面から表現されている。これを裁判官側から表現した言葉が「疑わしきは罰せず」であり「疑わしきは被告人の利益に」の表現から利益原則と言われることもあるが、上述の通り、「疑わしきは罰せず」より無罪の推定の方が広い。
Until —における「無罪が証明されるまで無罪」
「無罪が証明されるまで無罪」というフレーズの演劇は、アメリカにおける銃の暴力、銃規制政策、人種関係、およびジェンダー政治の問題に対処しています。
5-3 無罪推定の誤用「無実が証明されるまで有罪」
「有罪が証明されるまで無罪」という大原則は、世界人権宣言の第11条にも定められています。しかし、無罪推定の概念の誤用が生まれました。「無実が証明されるまで有罪」と・・・・
米国社会において、銃器、警察の残虐行為、人種差別の拡散によって、原則が定期的に損なわれる現実があります。そのアンチテーゼとして「Until」という作品が生まれました。
ロドニーキングの暴力をめぐる暴力が彼の初期の作品の原動力であったように、エリックガーナー、トレイボンマーティン、マイケルブラウンなどの黒人男性の死が今日の彼のイメージを動かしています。
参考:Nick Cave: Until - Announcements - e-flux
5-4 一般的には、運用されない現実
タイトルの「 Until」に2つのフレーズの中心にあります。
1つ目は、私たちの司法制度の中心となる「有罪が証明されるまで無罪」もう1つはより一般的に行われていると見られる「無罪が証明されるまで有罪」です。
参考:MASS MoCAでのニックケイブの記念碑的なインスタレーションの内部にある何千もの金属製の芝生の装飾品が輝く
「Untilは、人種差別、銃による暴力、権力に関する瞑想です。タイトルは「有罪が証明されるまで無罪」というフレーズを参照していますが、展覧会自体がそれを適切にし、その意味を完全に逆転させています。
建て前と本音。総論賛成、各論反対・・・・ のようなことでしょうか? 人種によって、法の運用が逸脱してしまうことがおきているという問題? 本来守られなければいけない絶対的な人権について、展覧会では、守られていないことが当たり前の世の中になっていることへのアンチテーゼとして表現されています。
アメリカにおける人権について、ジムクロウ法とは? 廃止後の変化、ジムクロウの由来は?ことばの意味も、実情も知りません。
と思ったところで、日本は? メディアで使われている「被疑者」という言葉には、「無罪が証明されるまで有罪」というニュアンスが含まれているという指摘が・・・
「容疑者の疑いがある男性」・・・容疑者=犯人 容疑者は疑いのある人のこと。
6 ■人種差別の歴史ー芝生の旗手
「芝生の騎手」と言われる人形が登場します。これが何かを意味しているようなのですが、その意味がわかりません。それに関して記載された部分をピックアップしてみました。そこから見えてくるものは・・・・
6-1 クリスタルクラウドスケープの17人芝生の騎手
特に空中18フィートのクリスタルクラウドスケープに17人の黒い顔をした芝生の騎手が登場す恐ろしい風景を通る道に訪問者を導きます。
MASS MoCAのNick Cave 10月のインストールのプレビュー
参考:銃との戦争:MASS MoCAのNick Cave
6-2 レトロなチョッチケの中の「芝生の騎手」
先住民のアーティストであるトニーアルバートと同じように、ケイブはキッチュな小物を展開して最近の過去につながり、このインスタレーションで文字通り頭に浮かぶ偏った遺産に信号を送ります。レトロなチョッチケの中には「芝生の騎手」があります:卑劣な黒人男性の形のグロテスクな人種差別的な庭の装飾品。
参考:ニック・ケイブ:まで
6-3 プライベートガーデンの鋳徹の芝生の騎手
それは、金属製の芝生の装飾品の密集した彫刻のフィールドから始まり、鳥、花、鋳鉄の芝生の騎手が住むプライベートガーデンで覆われた水晶の雲につながり、その後、靴ひもで手織りされた山のふもとで休憩します。そして何百万ものカラフルなポニービーズ。ここはアクティブな空間であり、魅惑的なキネティクスと豪華で圧倒的な物質性が銃、弾丸、標的の画像を荒らし、私たち全員を不法行為、脆弱性、そして潜在的に攻撃を受けていると位置付けています。これは、素晴らしく、刺激的で、最終的には楽観的である、(非)素朴な喜びの庭園です。ケイブは人類を信じ、可能性を祝いながら、「天国に人種差別はあるのか」という質問を引き起こす批判的な議論の場を作りました。
参考:Nick Cave: Until - Announcements - e-flux
6-4 10,000以上のクリスタルの中の芝生の騎手
繊細なほど複雑な作品は、約16,000の風力モビール(その多くは弾丸またはターゲットの画像で覆われています)、何百万ものプラスチックの真珠、何千もの鳥、花、果物で構成されています。セラミック、10,000以上のクリスタル、何十もの鋳鉄の芝生の騎手(de dizaines de jockeys de pelouse en fonte)(3)通常、黒い人物を表す装飾的な人物の庭など
参考:Nick Caveで人間を信じる
6-5 天国にも人種差別はありますか?
全体として見ると、とても魅力的なのですが、その一つ一つを見ていくと、その中に醜いものが見え隠れします。金色の豚の間に陶磁器の鳥や、金属の花が見えます。極めつけは、17の黒い顔の芝生の騎手です。芝生の騎手は、人種差別主義のアイコンとして組み込み、変容させる以前の作品からつながっています。芝生の騎手は多くのオブジェクトの中に埋もれています。ニック・ケイヴが問いかけた「天国にも人種差別がありますか?」という問題も、天国でさえ深く埋め込まれていることを示唆しています。
参考:天国での人種差別:MASS MoCAのNick Cave
6-6 雲の上のジョッコ 芝生の騎手
しかし、クラウドの上側は別の話をしています。洞窟はアメリカの歴史と文化を表すオブジェクトを集めており、その中に17の鋳鉄製の「ジョッコ」 (17 cast-iron ‘Jockos’.)があります。これらの芝生の騎手は、誇張された顔の特徴と奴隷を意味する丸まった姿勢で、色の人の人種差別的な描写です。クラウドの2つの側面のコントラストは、1つのレースが別のレースを犠牲にして豊かになることを反映しています。
参考:シドニーの現代美術展:Nick CaveのUNTIL
6-7 庭の装飾品ジョッコ 歴史的意味
17の鋳鉄製の「ジョッコ」スタイルの芝生の騎手(彼らのしつこく人種差別的なルーツがさかのぼる)法制化された人種差別のジム・クロウ時代に)。
見た目はランダムで、捨てられた日常のオブジェクトが美しく並べられているように見えます。が、よくよく見ると、それらは細心の注意を払いながら配置されたブリコラージュとなっていることに気づかされます。時間をかけて、配された錬鉄製、セラミック製、布製、ガラス製のオブジェクトの塊を詳細に見ていくと、黒の中で目が目立つ「ジョッコ」の人形、芝生の騎手に気づいた時、いいようのない感覚に襲われる瞬間となります。
かつてアメリカで人気のあった庭の装飾であったジョコは、現在では過ぎ去った時代の人種差別的な道具として広く認識されています。彼らは、1980年代のオーストラリア郊外の庭園では珍しいことではない、槍を持ち、ふんどしを着た黒い像を思い起こさせます。洞窟は、彼のジョッコがかつて夢のキャッチャーと一緒に運んでいたランタンに取って代わり、彼らの進化に新しい希望を与えてくれました。
鋳鉄製の「ジョッコ 」スタイルの芝生騎手。その歴史的なルーツは、1877-1965年に米国の一部で活動していた、法律で分離されたジムクロウの時代にまでさかのぼります。芝生の騎手がかつて持っていた提灯に代わって、洞窟の「ジョッコ」はヴィンテージのテニスラケットとビーズから作られているドリームキャッチャーを持っています。
引用:https://bsi.com.au/nick-cave-until-at-carriageworks/
6-8 ジョッコとは? 芝生の騎手とは? 庭の装飾品ジョッコ 歴史的意味
◎「ジョッコ」とは何か? 「芝生の騎手」「ローンジョッキー」とは?
◎それが何を意味しているのか、
付随する言葉を少しずつ集めながらその全貌を探っていきます。
【芝生の騎手】
・「芝生の騎手が登場す恐ろしい風景
・極めつけは、17の黒い顔の「芝生の騎手」です。
・17の鋳鉄製の「ジョッコ」 (17 cast-iron ‘Jockos’.)がある
・黒い人物を表す装飾的な人物の庭
・鋳鉄製の「ジョックコ 」スタイルの芝生騎手。
【庭の装飾品】
・卑劣な黒人男性の形のグロテスクな人種差別的な庭の装飾品。
・偏った遺産に信号を送ります
・「芝生の騎手」は、人種差別主義のアイコンとして組み込む
・「芝生の騎手」は多くのオブジェクトの中に埋もれています
・「芝生の騎手」は、誇張された顔の特徴と奴隷を意味する丸まった姿勢
・かつてアメリカで人気のあった庭の装飾であったジョコ
【歴史】
・変容させる以前の作品からつながっている
・アメリカの歴史と文化を表すオブジェクト
・色の人の人種差別的な描写
・目が「ジョッコ」や芝生の騎手に着地したときなど、ここでも耳障りな認識の瞬間
・現在では過ぎ去った時代の人種差別的な道具として広く認識。
【歴史的なルーツ】1877-1965年に米国の一部で活動していた、法律で分離されたジムクロウの時代(1876年から1964年にかけて存在した、人種差別的内容を含むアメリカ合衆国南部諸州の州法の総称)にまでさかのぼる。
・「芝生の騎手」がかつて持っていた提灯・・・奴隷を地下鉄道に逃すための合図
洞窟の「ジョッコ」はヴィンテージのテニスラケットとビーズから作られているドリームキャッチャーを持っている。
・「芝生の騎手像」は、奴隷を地下鉄道と自由へと逃がすのを助ける男性を象徴
6-9 「ジョッコ」=芝生の騎手=ローンジョッキーの歴史
クラフトショップ通販にて扱われていました
参考:Black Lawn Post Topper Jockey JOCKO Historic Vintage 11 Inch Cast Iron
芝生の騎手像は、奴隷を地下鉄道と自由へと逃がすのを助ける男性を象徴しています。
■ ローンジョッキーの歴史 1776-1913
ローンジョッキーは、3つの関連する像が進化。
・1800年代に馬のヒッチポストとして主に使用。
・革命戦争と内戦の任務のツアーの伝説で歴史を生き生きとさせます。
・タイムマシンのように、ユニークな彫刻は文化的重要性と多くの領域に影響
・像が最初に登場してから数百年もの間進化
これらの歴史をさかのぼると、そこには複雑に変化しながらローンジョッキー=芝生の騎手に意味が付加されて発生し、変化をしてきたことがわかります。
7 銃社会について
アメリカの銃関連情報。銃にまつわる様々な問題。日本とは違う側面が・・・
7-1 すべての銃、パート1
7-2 すべての銃、パート2:すべてテキサス版
7-3 たとえアートであっても、UHには銃はありません。8月まで。
7-4 One Get One Gunsを購入する:Yes Menが再び登場
■開催を前に・・・
ヨコトリ2020開催に向けて、掲げられたキーワードの一つ「独学」は「たくましく学ぶ」ことを求めています。その一方、解説などの情報のみに凝り固まらず、連想をふくらませて、作品や心を自由に広げてることも望まれています。
何も情報がない状態で写真を見た時に、連想したことは、この会場はどんなところだろう? この作品の全体はどんな感じ? 意外にもこのファーストインプレッションは、的を射ていたように思います。
初めてニック・ケイヴの作品《回転する森》の写真を見て心をとらえたのは、会場の「窓」でした。
少しずつ手にできた情報を元に、会場の様子と、作品の全貌が明らかになりました。作品が伝えようとしているコンセプトは壮大で、ヨコトリ2020に展示される作品はその一部です。
また、スピナーの構造や、これをどうやって作るのか? どのように発想したのか?そんなことを想像していたら、ある事実に遭遇。これらのことは、知ってしまってよかったのかどうか・・・・
公式HPで提供されているアーティストのプロフィール。情報に頼らずに、頭でっかちにならないように・・・と言われても、自ずと目に入ってきてしまいます。知ってしまうと気になることも出てきます。どうしても理解できないこともいくつか・・・・
それは、日本の社会にいると、あまり問題意識を持たずに、過ごしており、今回、はじめて知ることだったりします。
アメリカにおける人種や社会問題を始め、世界で起こっている差別について、表面的にしか見ていないことがいかに多いかを、ヨコトリ2020の独学を通して目の当たりにしたところです。
銃の問題にしても差別にしても、深くはびこった根。深いところまでは、表に出てきにくいから語られない。そこには、歴史という時間とともに、源流から形を変えながら、深く広がっていることなど、一言では語れない歴史があることもわかりました。
知識がなさすぎて、解説される言葉の持つ意味が、なかなか見えてこないもどかしさ。背景を少しずつ探って、やっとほどけかけたと思ったら、その先には、さらなる深淵で複雑な絡みが存在していることを目の当たりにしました。
日本の歴史との違いも感じさせられました。生まれ育った国の違い。しかし、日本にも似たようなこは起きていたことも知ります。
事前に探って見えたこと。ニック・ケイブの《回転する森》は「Until」という作品の一部にすぎません。2016年にスタートした「Until」は、今も世界を巡回しており、少しずつ形を変え、発展しています。それを知った上で見る《回転する森》は、何を伝えてくれるのでしょうか?
「知らずに見る」「知って見る」 「学ぶ」というのは、何をどのように学ぶことなのかと考えながら・・・・
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