コロコロのアート 見て歩記&調べ歩記

美術鑑賞を通して感じたこと、考えたこと、調べたことを、過去と繋げて追記したりして変化を楽しむブログ 一枚の絵を深堀したり・・・ 

■ヨコトリ2020:ニック・ケイブ《回転する森》鑑賞メモ

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ヨコトリ2020の開催が決定し会期は2020年7月17日(金)~10月11日(日)まで。新型コロナ対策で2週間、開催を延期し、記者会見もオンラインで行いYouTube配信されました。会見で見どころ作品について解説がありました。興味を持った作品について紹介します。

 

 

1■オンライン記者会見で作品紹介 (2020.06.22)

オンライン記者会見が、YouTubeでもライブ配信されました。展覧会の特徴や開催意義、ラクス・メディア・コレクティヴからのメッセージが読み上げられたあと、見どころとなる作品の解説が行われ、4名のアーティストが取り上げられました。

youtu.be

1-1  会見内容

[02:12]・ヨコハマトリエンナーレ2020の開催意義 (逢坂 恵理子)
[06:04]・タイトル「AFTERGLOW」について (ラクス・メディア・コレクティヴ)
[11:10]・特徴と見どころ - 作品、参加アーティストについてー (蔵屋 美香)
[25:23]・新型コロナウイルス感染症対策の取り組みについて(松本公良)
[32:49]・質問への回答

 

1-2  開催の意義

組織委員会の逢坂恵理子氏が、開催の意義について次のように語りました。「コロナ禍の影響で、デジタル映像による発信の可能性を拡げてきました。しかし生身の人間が会場に足を運び、作品と向き合い、感じて考えるという実体験の大切さ。それによって人間のバランスをとり戻し、世界の美術展に先駆けて実現する。それは、参加アーティストの創作活動を中断させることなく支援することにもなる」と。

ひとりひとりが光の破片をつかまえ、次なるステップへのきっかけとしてほしいとメッセージが伝えられました。

 

1-3  見どころ 紹介作品

〇ラスクとは(ラクス・メディア・コレクティヴの由来

イスラム教にスーフィーという考え方があります。それは、くるくる回わる踊りを通してトランス状態となり、悟りを開くという宗教なのです。くるくる動きながら深く考えるというところに共感しその名をつけました。

人はものを考えようとすると固まりがちになります。動きまわることで、自由な発想が生まれるとラスクは考えます。

動く中で、自由なものが生まれてくるという考え方は、展示にも表れており、それを表す5つのキーワードが掲げられいます。

 

〇5つのキーワード

「独学」自らたくましく学ぶ。
「発光」学んで得た光を遠くまで投げかける。
「友情」光の中で友情を育む。
「ケア」互いを慈しむ。
「毒」世界に否応なく存在する毒と共存する。

テーマを決めず、緩やかに流れるように、考えを固めないで作品を作ろうという意図が込められてキーワードです。

 

1-4  展覧会の楽しみ方

昨今の「わかりやすい」という風潮に疑問を抱き、あえてわかりにくい状況を作っています。自分の頭で考えること(=独学)にポイントを置いています。

詩のような解説文が壁にありますが、作家のプロフィールや作品の紹介はあまり書かれていません。それは、情報を与えられると、それによって見方がかたまってしまうからです。

情報がなければ、見たもの意外にも、様々な連想が生まれます。その連想の面白さの中に作品の広がりや、自分の成長の機会があると考えているようです。不思議、わからない(←これも毒かも)ということを避けずに、心を自由に広げる

わかろうとしなくもいい。体を使って楽しむ作品も多いので、動きながら自由に連想をふくらませたり、たとえ話として広げながら、楽しんで下さい。と語りました。

 

〇紹介作品

 〇ニック・ケイヴ :《回転する森》
 〇インゲラ・イルマン :《ジャイアント・ホグウィード》
 〇レーヌカ・ラジーヴ:《裏切られた無垢なる者》, 2019
 〇エヴァ・ファブレガス:《ポンピング》

これまで、折々で気になった作品について、感じたことや考えたこと、調べたことなどメモしてきました。リリース情報でもよく目にしていた、ニック・ケイブの《回転する森》 横浜美術館エントランスで展示されるとのことで、メインビジュアルと思われます。この作品についての記録を下記にまとめました。 

 

 

2■ニック・ケイヴ:《回転する森》(2020.06.13)

ニック・ケイブの作品についての、ランダムな鑑賞メモを、時系列に整理。どんな情報を得ることによって、何を感じたり考えたりしたかを列記。オンライン記者会見内で行われた作品解説によって作品の概要がわかり、それによる変化なども・・・・

(2020.06.13) ニック・ケイヴ作品からのファーストインプレッションメモ
(2020.06.22)オンライン記者会にて作品解説 概要知る
(2020.07.01) 英語でも検索、google翻訳にて参考情報を得る

 

3■写真情報から考える(2020.06.13)

3-1  写真によって受け取る情報量が違う

この作品は、オンライン上で写真を何度となく目にしていました。同じ作品ですが、写真は若干違います。どこを切り取るかで、印象が変わると感じていました。以下は、Tweetで目にしたこの作品の写真です。

同じ作品でも、写真によって見えるものや範囲、場所が違うため、読み取れる情報が異なります

一番上の写真は、部分拡大のため作品全体が不明。閉ざされた空間のようです。中央の写真では、窓のある展示会場であることがわかります。

一番下の写真は、二番目の写真と同じ場所と考えられますが、床面が見えています。モビールのような飾りが天井から床近くまで、垂れ下がっていることがわかりました。

 

3-2  作家・作品情報のない写真だけで何がみえる?

作家情報がない状態。作品についてもわからない。写真情報は、全体像はわからず、部分だけ。この画像から、何を感じとれるのかというのは、結構、重要なポイントだと捉えています。ツイートされる写真を見ながら、何を意味している作品なのか、どんな作家が制作したのかなど考えていました。

部分だけを見ていた状態から、写真全体の作品が見えた時の変化。さらに、写真画面にも映っていない作品全体の様子がわかったら・・・

「知る前」と「知ったあと」のギャップ、その変化に面白さを感じます。これまでは、作家や作品情報によってもたらされるものでした。今回は、全貌が見えない写真画像が、次第に姿を表すという、これまでとは違う作品との出会いでした。作品の一部の視覚情報から、全体に広がっていくプロセスが面白いと感じられました。⇒(*1

今回は、展示前の作品ネットに出回る写真だけで鑑賞するという条件があり、提供されている写真に写る範囲によって作品に対する印象が変わるという体験ができました。

 

3-3  流れていく写真をどう捉える?

作品に興味を持ち、ツイートの紹介記事をクリックすれば、2枚目、3枚目の写真は、同じ一枚の写真の部分であることがわかります。それぞれ違って見えた写真ですが、実は同じ写真が、トリミングされたものだったことがわかりました。

その写真を拡大すると、細部まで見ることができ、詳細がわかります。ただし、トップの写真は、トリミング範囲が固定されているため、拡大はできても、この範囲内でしか見ることができません。

どの写真で見るか、見た写真を、どのように閲覧するかによって、作品のビジュアル情報量が変わります。それによって読み取れる内容も違うので、思考の広がりも変わりそうです。事前にどこまで、どのように写真を見て会場に訪れるか。という個人差があることを感じていました。 

 

3-4  どんな独学をする?

ソースが渡され、事前に「独学せよ」というコンセプトが掲げられています。独学をする前に、写真情報だけで、何を感じとれるのか作家や作品の情報を知る前に、一枚の写真から、何を感じさせられるのか。

ここの部分を、記録に留めて、その後の変化を比較するのが、美術鑑賞の楽しみと思っています。個人的に、独学する上でのテーマでもあります。作品の情報が変化すると、思考はどう変わるのか。逐一、モニタリングするには、どんな写真を見た時に何を感じ、さらにどんな情報が加わると、何が変化するのか。

見え方、感じ方の変化をもたらすものを、意識的に捉えたいと思っています。

それぞれが、独学する際、作品情報として、どんな写真を手にするのか、それをどのように見るのか。作品の写真を見るという行為の中にも、それぞれの経験これまでの独学のしかたによって違いがあると考えられます。

さらに、手にした画像を元に、人はどれくらいの深度で、独学を進めるのでしょうか? 作品について事前に調べたり、考えたりする人はどれくらいいるのでしょう。

 

3-5  独学の個人差への対応は?

個人的には、今回、情報を探して海外サイトまでたどり着きました。自分にとっては、異例の調べ方です。これは、自身のキャパをはるかに超えてます。

ヨコトリに興味を持っていても、流れていくTweetの画像を眺めるだけということもあれば、是非、行きたいと思っていても、全く何も見ないで訪れる人。気になるから行ってみようかな?というように、興味の度合い、事前の独学の状態もそれぞれ。

気になる作品、作家について、調べたり、ソースを読み込んだり。HPに掲載される情報は漏れなくチェック。さらに一般にも提供されるプレスリリース配信サービスを利用する方も・・・ 

一方、通りがかりに立ち寄って、トリエンナーレということすら知らず、何かのイベントだと思って訪れることもあるのではと考えられます。

芸術祭への参加というのは、美術展以上に、目的に大きな違いがあるように感じていました。その上で、今回は「事前にソースで独学を」というコンセプトがあり、来場者の意識の幅はさらに大きいと想像されます。

 

〇サポーター・ボランティア活動は?

そんな参加者像が想定される中で、サポーターやボランティアの方たちは、どのように対応されるのだろうと思っていました。参加の目的が違うところに、今回は、独学という課題が与えられています。参加者の意識には、これまで以上に大きな違いがあると考えられます。対応の難しさがあると感じていました。今回は、新型コロナの状況を鑑みて解説は中止となり、ハンドブックが用意されるそうです。

 

 

3-6  調べても情報がない!

事前に、目にした作品の画像に興味を持ち、一歩、踏み出し調べました。ところが、情報がほとんどないのです。それでも、情報をつかもうとするか。どれだけの深度でトリエンナーレに参加者はかかわるものなのでしょう。どれだけ興味が持てて、事前に調べたり考えたりするものなのでしょうか?

与えられた既存の情報と、自ら探して引っ張り上げてくる情報。それは、自分の前に立ちはだかっていた語学の壁を突破することで手にできることがわかりました。それを手にすると、作品への向き合い方が、格段に変化することを経験しました。

何を手にできるかによっても、作品への理解は、大きく変化していくのを今、実感しているところです。

 

3-7  情報に頼らず、どこまで見ることができる?

「情報に頼らない」という解説がありました。まずは見て感じることはとても重要だと考えています。そのため、ネット上の写真だけでどれだけ、感じ取れるかを試み記録にとどめたいと思っていました。

しかし、全く情報のない、しかもトリミングされた写真画像だけでは、何も考えることはできなかったのです。

3つのトリミングされた写真を頭の中で合成して、全体をイメージしてみましたが、そこから、伝わってくるものはまだありませんでした。さらに、写真を見る範囲を拡げアイテムを拡大していく。そのプロセスで、やっと少しずつ見えてきたり、感じたり、思うことがあって、考えたりできるようになってきました。

タイトルがわかり、作家プロフィールを知る。それによって作品への意味づけが自分の中で形になっていきました。

全く何も情報がないと、考えることができない。これが現実。よく情報を見ずに、「作品のタイトルを考える」という絵の見方もありますが無理でした。最低限の情報(タイトル・作者プロフィール)は必要だと感じていました。特に現代美術はそれがわからないと、考えることは無理な世界。最低限、タイトルとプロフィール情報は欲しいと感じました。⇒(*2

以下は、情報を得てどう変わっていったかの記録です。

 

 

4■作品情報探し(2020.06.13)

4-1   アーティスト情報 WEBサイトから強拡大で見る

参加アーティスト WEBサイト

TLで流れてくる画像情報を見たあとに、展覧会HPのアーティスト紹介を見ました。パソコンで閲覧すると、画像はかなりの倍率まで拡大が可能となります。一つ一つの装飾品を詳細に確認することができました。

 

〇拡大してみることで広がる世界

形状、構造、素材、より細部にわたる認識が可能です。それによってイマジネーションの幅も広がります。写真に写っている範囲に限っては、網羅的に確認ができます。

上から下げられているものが、何であるか、それは何を意味するのかを考えながら、上から徐々に下までスクロールします。途中、右へ左へと寄り道しながら・・・・

 

〇写真の中を立体的に散策

それは、写真作品内を、ぶらぶら散策している気分でした。そして掘り出し物を見つけている感じです。

平面の画像ですが、その中に広がる空間が立体的に変化していて歩いているような感覚がありました。限られた範囲に限定されますが、上から下へ、右へ左へ、広範囲の空間を、思うままに歩き回っているようです。

それは、顕微鏡の中を見ているのとも似ていました。写真を強拡大にして画面一杯に広げると、世界が無限に広がっているようです。

自分で作った散策路から、自分だけが知っている宝物探しをしている気分。そして、最後、視線は床面にたどり着きます。そこにあったものは・・・ なんだこれは!これまでとは全く違う形状で材質のものを発見しました。

 

4-2  作品解説リスト(PDF)をパソコン vs プリントで見る

一方、作品リストは、同じ内容がPDFでも提供されています。⇒ 参加アーティストこちらの画像をパソコン上で閲覧すると、拡大はできますが、画質はかなり粗く、作品の印象もサイトで見るのとは受け取る印象が変わります。

中には、このリストをプリントして参考にしている場合もあるかと思われます。プリントだけで見た場合、写真は小さく、作品の印象は全く違ってきます。

以上のように、ソースやKWを元に「独学してトリエンナーレに参加しよう」と掲げられていても、事前の作品情報のキャッチの仕方も人それぞれ。さらに学ぶ人、学ばずに訪れる人。学んだ人も、その学び方の深さはいろいろであることが想像されます。

 

 

4-3  別角度からの写真探し 

この作品の別角度からの撮影カットはないのでしょうか。この作品の全体像を知りたいと思いました。見えない画面の奥はどうなっているのでしょうか?

すでに始まっていれば、様々な人が思い思いに撮影した写真を見ることができます。(画像検索)それらの画像を元に、頭の中で作品の全体を立体構成することができます。部分、部分の写真の組み合わせによって、ある程度のところまでなら、イメージは可能です。

 (*3■(2020.06.23)『芸術と科学のあいだ』
 (*4)■(2020.06.23)余談:「空間認識力」
 (*5(2020.07.04)【独学】部分から全体へ

アート作品を見る時、画像検索をよく行います。それは、鑑賞者は作品のどんなところを見ているのかを知る手がかりとしてでした。しかし、様々な角度の一枚一枚の写真を組み立てて全体像を把握する作業にもなっていたことに気づきました。いろいろな角度から撮影された写真を探すと、大抵は同じアングルに集中します。ところが、ユニークなアングルから撮影した写真の記事は、内容もユニークである確率が高いというのがこれまでの経験です。【独学】

現段階で、《回転する森》は未公開です。生の作品情報は得られませんが、過去に出品した作品の写真から全体像をつかむために、参考情報探しを始めたのですが・・・・

 

4-4  他会場の写真探し 

 ⇒検索してもみつからない 
 ⇒そもそも「ニック・ケイブ」で調べても「シンガー・ソングライター」ばかり
 ⇒こんなところにも、すぐに調べられないしかけが(笑) 
 ⇒こんな時はマイナス検索(学び) しかし同名人物をどうやってマイナスする?
  (‐Singer-songwriterで検索→除外されない)
  (シンガー・ソングライター和製英語?)断念

 ⇒参加した展覧会名でも検索 その展覧会すらひっかかない。
 ⇒日本語で探してもみつからない時は英語で探す ←【今回の独学の成果】

 (*6)■(2020.07.01)ニック:ケイブ作品 英語検索

作品に関する、様々なアングルからの画像情報が欲しくなりました。また、他会場でも作品を展示しているらしいことがわかり、それらを見たいと思いました。この作品をいろいろなパターンでとらえたくなります。

これまでの経験では、美術作品の「作品名」「作家名」で検索すれば、別アングルの画像は、容易に探すことができました。しかし、今回は、他の画像が検索されません。もしかして検索されないように、なんらかの方法でガードをかけているのかとまで思ったくらいみつからないのです。(笑) 理由は単純なことでした。ソースが日本語ではなかったからです。

個人的には、これまで不可侵だった、英語の扉を開くという新しい世界に踏み込むことができました。新しい独学の世界を見につけることができ、自分の中では、大きなブレークスルーになったと感じています。

今までは、調べる先が海外サイトになると、自分にはお手上げと、引き返していました。これ以上は無理と断念していたのですが、google翻訳を使えば、ある程度、読めてしまうことがわかりました。 ⇒(*7

 

 

5■プロフィール情報から(2020.06.13)

5-1  作家・作品紹介WEBのプロフから 

生まれ:1959年、ミズーリ州フルトン(アメリカ)生まれ、
活動:シカゴを拠点
代表作:着脱可能な彫刻作品《サウンドスーツ》 ⇒(*8
  それをきっかけに起きた、ロサンゼルス暴動へのレスポンスとして制作。

・特徴:鮮やかな色彩と豊かな装飾性を特徴
テーマ:人種、ジェンダー、社会階級に基づく差別への問いを投げかける。

展覧会:
 大規模個展「Until」2016年から世界巡回中 ⇒(*9
マサチューセッツ現代美術館ほか)⇒(*10
 *展覧会名は法格言「疑わしきは罰せず(innocent until proven guilty)」から 
  本展では、「Until」展の構成要素でもある《回転する森》を、会場に合わせて新たに制作する。*11

 

5-2  タイトル:《回転する森》から

・風に吹かれて回転 ⇒ 揺れる ⇒ あっちにこっちにぶつかる
アメリカ社会での生活を暗喩 ⇒生きづらさ

・回転する森=揺らされる=こわされる
・森林の破壊・・・白人によってゆらされこわされていく
・アフリカだけの限定した問題でない。全世界への広がり

 

タイトルの《回転する森》からイメージされたこと。 森の回転は風によっておこります。風の強さによって動きは変化します。ゆらゆらゆれたり、ぶつかったり、からみあったり。ニック・ケイブに流れる生まれた土地と、森が重なりました。風にゆられたり、あおられたり、風の吹くままに流されたり・・・

そして、現実問題として、アメリカ社会でアフリカ人が生きていく生きづらさを、森の環境で表現しているのだと思いました。故郷のアフリカの森も重ねながら・・・

風は、心地よいそよ風もあれば、時に嵐もおこします。森の木々をなぎ倒し破壊します。破壊は自然だけでなく、人為的な力によってもおこります。白人による開発の嵐が、森を奪います。

しかし、この問題は、アフリカだけに限ったことではなく、世界中でおきている問題です。白人による開拓だけでなく、現地に住む人々、自らの手でも破壊されています。生活維持、貧困の差、教育など、当事者にとっては解決策が見いだせない、避けることができない問題も潜んでいます。

 (*12■(2020.07.01)白人のために作られた白人

 

5-3 白がメインのカラーの中に 

・白の中に点在するカラー⇒マイノリティの生きにくさ
・白人の中で生きること⇒風に吹かれるように流される 白の中に埋もれる

MASS MoCAが主催で行われたUntilの展示の別角度からのアングルです。こちらの写真では、作品全体は白い装飾物が主体のように見えます。その中にカラフルな装飾品が点在していた作品だと理解しました。

部分写真では、カラフルでポップなカラーリングに見えていたので、部分と全体では、随分と印象が違うと思いました。それによって、思ったことは・・・・

ニック・ケイブのプロフィール情報も手伝い、白人社会で生きることの問題を表現しているのだと思いました。白い装飾物は白人を表しており、その中の少数派は、白人の中で埋もれながら、それらによっておきる風に吹かれるように生きなければならない現状。そんなことを表しているのではと。

 (*13■(2020.07.06)プロフィールによって生まれる先入観

 

5-4 床に置かれた鏡が意味するものは

床に鏡が敷かれているようです。森に降った雨が大地に落ち、川となって流れ、水たまりを形成する様子でしょうか?

 

手前に鏡が敷き詰められており、水面が広がっています。森全体の様子が映し出されています。こちらの写真は、空間全体が、合わせ鏡で構成されているように見え、お互いの反射で広がりとともに、没入感があります。
 

一方、同じ作品でも光の状態が変わると雰囲気も変わります。こちらはローアングルなので、合わせ鏡のようには見えません。
 

・森に漂うモノ 大地や川に流れ溶け込む 大海へ注ぐ 
・大地を肥沃にするものもあれば、汚染させるもの(毒とケア)
・森が豊になれば、その下流域も豊に 海も豊になる

 

水は集まり、より大きな水たまりを形成していきます。水たまりは鏡面となり、水の上の森をそのまま映し出します。森の構成成分は、溶け込んでいなくても、いずれ、そこに流れ込むことを意味しています。森が内包している問題、顕在化していませんが、水面に映し出されます。

森に内在する問題は、川となって流れ出し、次第に大きくなるとともに、周囲の問題とも合流して、海に流れ着きます。清濁併せ持つ流れを構成するものは、周辺を肥沃にすることもあれば、汚染させることもあります。

当初、鏡は森に内在するもの全てを映し出し、それらは、水に流出し、最終的には外界へと波及することを示唆していると思っていました。そして、それらはまた循環し、天から雨水となって降り注がれます。これらの循環を考えたら、森を豊かに維持することが、全体を豊に維持することにつながるという啓蒙かと思いました。

また、写真では、鏡によって投影された像が反射しあって増幅しているように見えました。ここに起こっている状況は、ひとところに限られた問題ではなく、全世界に増幅していることを暗示していると思われました。

 (*14■(2020.07.08)足元の反射パネルについて

 

(2020.07.08)ニック・ケイヴの言葉より

アフリカ系アメリカ人として、米国の市民として、シカゴの居住者として。記録されている履歴とその反応に興味があります。」

ニック・ケイヴのプロフィールとして刻まれた背景を知った時、そこに生まれる見る人の反応。それを鏡は映し出しているのかもしれません。

 

5-5  鮮やかな色彩と豊かな装飾性 

・アフリカの色彩感覚 盾や道具、民族衣装の色彩 
・サプールなどのファッションが話題に

・背景のカラー⇒アフリカの色彩感覚?⇒民俗が持つ色
・背景の色で森を囲ってる?
・アフター グローカラーもあり

装飾品は、アフリカの民族衣装や盾や道具に見られる色彩が反映されているようです。最近注目されている、サブ―ルの色選びなどにも、通底しているのではと思われました。

会場の回りをタペストリーが囲んでいます。これらのカラーも民俗が持つ色が反映されているのでしょうか? 森の回りを自らの由来となる土地のカラーで覆っている? そのカラーにはアフターグロー(残光)の色も含まれています。

 (*15■(2020.07.01)アフリカのファッション
 (*16)■(2020.07.01)黒体とは?
 (*17■(2020.07.14)サプールとは 

 

 

6■吊るされた装飾を拡大して見えるもの(2020.06.13)

6-1  生命の根源  

・森=水中(原始の海)
・原始生物 ビッグバン 地球 生命体 生命の起源がスピナーで表現
・細胞のミトコンドリア ゴルジ体
・森に生きる微細生物⇒未知の生物⇒すみ分け⇒突破⇒未知の病原菌
・森は海を表している 森と海はつながている 

回転する森。モビール状の連なりが林立しています。そこに連なっているのは、森を構成する様々な要素。生き物を主体に、目には見えない微細生物が表現されていると思われます。生命の誕生は、ビックバンによってもたらされました。古代の海に溶け込んだ元素が、原始生命体が形成します。その連鎖の先に森の中の生き物たちが存在しています。

海と森の生き物、似て非なる生物ですが、その根源は同じ。森と水(海)はつながりあっています。モビールの中には、原始生命体から進化した生き物が表現されていると考えられます。あるいは、生き物のパーツをデザイン的に表したものかもしれません。

 

6-2  生命が持つエネルギー 生きるための効率的な形状

フラクタル構造  螺旋  渦 エネルギーを蓄える 循環 
  福岡伸一 芸術と科学の間に 北斎

同心円に繰り返されるモビールの形は、フラクタル構造になっています。宇宙と人体も同様の構造が認められます。これは、形態を形成する上で効率的な構造です。

円形・螺旋・渦は、生命を維持するのに効率的な基本形態と言われています。エネルギーを蓄えて放出したり・・・ DNAも螺旋構造を形成することで、効率的な複製を可能にしました。

円形から派生する、螺旋や渦は、生命維持を担う仕組みに取り込まれています。円を基本とした、モビールの様々な形は、生命の根源的なものを表し、デザインしたものだと確信していました。

 

 

6-3  森と水

・しずく・・・森林に降る雨  黒 透明 ブルー
  酸性雨、汚染物質の混入 きれいな水  清濁併せのむ

円が多くを占めるモビールの中に、雫が見られます。森にもたらす雨を表しているのでしょうか。この雨も循環によってもたらされます。よく見ると、黒っぽい雨も見られます、酸性雨などの汚染を意味していそうです。

透明、ブルーのきれいな雨粒もあれば、汚染物質が含まれる雨粒も・・・・ これらの雨に含まれるものも、循環によってもたらされています。森の雫から流れ出したものが川ととなって、その川には、社会の中で生まれる清濁も流れ込む。そしてその川は海へ流れ、水蒸気となり、汚染物質ともに、回転する森に、全世界にふり注ぎます。

 (*18■(2020.07.08)水滴は、ティアドロップだった

 

6-4  バランスの崩れ

・森の破壊は、ウイルスの流出・・・・現代、今に通じる問題
・バランスの崩れによって起きる問題
・森の開発の速度の早まり その根源はどこに?
・現地だけの問題ではない 植民地 

 

森に風が吹くとモビールは、ぶつかりあいます。そこには様々な摩擦もおきます。生命の起源を内包している豊かな自然にほころびが出ます。

森林の破壊によって、未知のウイルスの流出がおこります。森林の開発スピードが速まれば、新たなウイルスと遭遇する頻度も高まります。森林の破壊は、様々な要因が起因しています。

現地が農地を拡げるために焼畑で森林を失う以外にも、天然資源を求める開発、肉食の増加で森林に畜舎が進出するなど、現地だけの問題ではありません。

未知の感染症の原因は、開発による環境破壊によって、病原体を持つ動物と人間の接触が原因と考えられています。これまでバランスが保たれていた状態を、人間の手で破壊することによって、毒が流出したと考えられます。

今、まさに新型コロナによる新たな感染症と私たちは向き合っています。 

 

www.wwf.or.jp

 

6-5  銃社会・・・ 黒人と銃 

 ⇒包まれる 封じ込める

・警察官による黒人への発砲
・対策として子供の頃からの教えられてきたこと
・黒人社会での摩擦、犯罪
・銃を円形内に綴じ込める⇒問題提起⇒解決への模索  

 

一見、キラキラとした、生命感にあふれる森ですが、突如目に入った銃に驚きます。ニック・ケイブの作品のテーマが、人種、ジェンダー、社会階級に基づく差別であることとつながります。ロドニー・キング事件によって制作活動が誘発されたことなどともつながり、銃の問題を、忍ばせていることが読み取れます。

 

⇒(*19■(2020.07.01)黒人コミュニティーの銃
⇒(*20■(2020.07.01)事件後の動き

 

 

6-5  共生 大地のつながり Shake hand

・床の金の手⇒唯一床に置かれたもの⇒大地?⇒手と手を取り合う⇒共生 

作品を拡大して、上から下まで見ていたら、床面に、ゴールドの手を合わせた置物が置かれていました。床面に置かれているものは、大地は続いている? 森の生き物も人間も同じ命。力を合わせ、手を取り合って問題を解決し共生していこうというメッセージだと理解しました。他のものとは違う、オーラのようなものがあり、これだけちょっと異質な感じでした。

 

 

(2020.07.01)

合わせた手の上に銃が置かれている写真を目にしました。

もしやと思い、ニック・ケイブの《回転する森》を、こちらで(⇒アーティスト - ヨコハマトリエンナーレ2020)拡大して、この部分を確認しました。パっと見ただけではわかりませんが、ゴールドハンドの上に銃があることが確認できました。

銃は円に包まれています。封じ込めを意味しているのではないでしょうか? 銃の封じ込めを祈る・・・・ ShakeHandではなく祈りだった?

 

 

(2020.07.01)大地に動物がいることを確認
部分写真では、床面には、ゴールドハンドしか確認ができませんでしたが、MASS_MoCAで展示された写真には、動物も設置されていました。森に生きる生物との共生も表していそうです。

 

 

 

7■オンライン記者会の作品解説から(2020.06.22)

7-1  モチーフはガーデンスピナー(2020.06.22)

無数に上からつるされているキラキラとした装飾品は、アメリカの庭でよく見られるガーデンスピナーであると紹介されました。これがスピナーと明かされたのは、ここが初出かと思われます。

・スピナー⇒かざぐるま(風車) スピナー⇒スピン スパン
・風車(ふうしゃ)⇒オランダの風車イメージ 

写真だけを見ていた時は、モビールみたいに見えました。何を表しているのか、全くわかりませんでしたが、ガーデンスピナーとわかると、そこにストーリーが生まれ積み上がっていくように感じられました。

⇒(*21

 

 

7-2  螺旋・回転・エネルギー(2020.06.23)

⇒自然界の水の循環に通じる ⇒レオナルドの水循環・・・森の循環

 『芸術と科学のあいだに』(福岡伸一)渦に生命の本質をみた北斎 P165

上記の北斎の波、渦と重なる。らせん状に渦巻く水流 エネルギー 次の螺旋へ 連綿と引き継がれる 生命の本質 生きることの実相 螺旋のエネルギーを持ったまま進む 切っ先はあらゆる分帰路 いかなる隘路にも飛び込む 身体は潤され生かされる。

この循環は、人体だけでなく自然界の循環にも通じています。
今では、周知となっていますが、山に降った雨は集まって川となり、海に流れ、そしてまた水蒸気となって天に。そしてまた雨を降らせる。400年前、レオナルドは、それを手稿に残していました。また髪の毛の渦巻、水の流れの渦などについても・・・・

参考:パリ手稿A55v - 56r 水の循環 | レオナルド・ダ・ヴィンチのノート

 

血液は、心臓から送り出され隅々まで運ばれ循環します。この時に末端まで届かせているのが螺旋の渦巻く水流。螺旋から螺旋へと引き継がれエネルギーが手渡されます。お金の流れも、血液の循環にたとえられます。

おびただしい数の同心円からなるモビールは、生命を維持する根幹となる形であることを表現してるのでは? 森の形成、命の形成における本質的な構造。細胞の一つ一つでもあるのかも・・・・

 

以下に書いた、「地球を流れる水=身体の血液」「地球=呼吸する身体」そこで行われているエネルギーの交換。そんな仕組みを、ニック・ケイヴの作品の写真からイメージしていました。 

■デザインの解剖展:感想 「解剖」って? 「デザインの解剖」「美術解剖」「医学の解剖」より(2020.08.07)

レオナルド・ダ・ヴィンチ解剖学者だったことを知りました。さらに彼は、「解剖学的視点」をあらゆるものに当てはめていたように思います。「地球を呼吸する身体」ととらえていました。地球を流れる水は身体の血液になぞらえています。(まさに解剖学的な捉え方です)地球が発するエネルギーの循環を天文学、水力学、地球物理学の視点から解きました。それは「地球」を「人」と見立て、体動する身体、エネルギー代謝によって放出されるエネルギーが、高次から低次へと流れていく生命活動、そして循環を解説をしていたのです。

 

 

7-3  螺旋の形をしたスピナー(2020.06.23)

【メモ】

・螺旋の形をしているスピナー その間を通りぬける風 
・いかなる狭いところも風は吹き抜ける 広がる 水流 媒介 回転 エネルギー 
・風もいろいろ:そよ風 凪 ゆらぎ 微風 台風 嵐 氾濫 (毒とケア)
・スピナーは風の強さや状況を表す

 

同心円、螺旋形のスピナー。その間を風が通り抜けます。面に風があたると抵抗が強くなりますが、同心円の重なりにすることで、風を逃がす効果もあります。あるいは、血液を体全体にいきわたらすのと同じように、全体に風をいきわたらせ、風通しよくする効果も。

 

 

8■作品を理解するにあたって感じたこと(2020.07.01)

8-1  ソースに無意識に収束させている

5つのソースとKWを事前に知り、それについて少しずつ調べていました。事前の独学によって、見た作品を、これらのいずれかにあてはめて、そこに収束させようとしていることに気づきました。無意識の誘導が生じていることを感じました。

とくに「毒とケア」というソースに、帰結させようとする意識が、他の作品の理解においても顕著に生じている気がします。

 

8-2  英語で「作品名」「作家名」を検索 広がる世界

今回の企画において、ソースやKWは、検索ではみつからないという壁(?)に当たります。しかし、英語で検索すれば、見つけることができることもわかりました。さらに、記者会見で作品解説を聞いたあと、「作品名」と「作家名」の両方を検索ワードにかけてみると、検索結果は飛躍的に増え、情報のバリエーションも各段に広がったのです。

「Spinner Foresut」「Nick Cave」この2語によって、世界の窓は大きく開きました。スピナーの部分アップ画像もたくさん検索され、最後に発見した「ShakeHand」と感じた置物の拡大写真もありました。銃も、いろいろなパターンで、登場しています。

これを見たら、「ShakeHand」と思った金の手は、銃の封じ込めを願う祈りだと考えられます。

その一方で、床(大地)には、動物がいます。親子でしょうか? 動物も人間もみんな仲良く生きようというメッセージにも感じられます。

www.artsy.net

 

さらに、作品は、インスタやfacebookにも多数、存在していることがわかりました。会場に訪れた人が思い思いに、撮影した写真が投稿されています。生憎、インスタ、facebookは利用していないため盲点でした。

 

言語の壁を越えた時、そこには、さらに世界が広がっていることを身をもって知ることができました。

 

8-3  動画までみつかる

作品の動画が、みつかってしまいました。探してみつけたのではなく、たまたまひっかかってきました。逢坂氏が会見で「この作品の動画を見ましたが、キラキラしてとても美しかった」と語られていました。

きっと、海外サイトを探せば、みつかるのだろう・・・と思っていましたが、探してみようとは思いませんでした。探せるとも思わなかったので・・・・

動画は作品のネタバレ注意

www.youtube.com

見つけてしまったこと、それを見てしまったことを後悔しました。

この映像の体験は、何も知らないまま、現地で初めて遭遇したかった・・・・ この動画を見てしまったことで、はじめて見る驚きや感動が半減してしまったと感じました。

これまで、あれこれ、調べたり、他の展覧会の関連画像も事前に、結構な数、見てしまいました。そうなると、それ以上の何かを、果たして見いだせるのだろうか・・・・という不安も出てきていました。

しかし、本物を見ることに大きな価値を見ていました。その一つのサプライズを、失ってしまったような・・・・ それを超える、現地での体験に期待したいと思います。

 (*22■(2020.07.06)プロフィールから表出した民族の色
 (*23■(2020.07.06)スピナーは自作品でなく既製品だった
 (*24■(2020.07.12)Untilの天国の雲が5t?
 (*25■(2020.07.06)現代美術が投げかけるもの?
 (*26)■ (2020.07.08)カタログ製品であることは折り込み済みだった

 

 

 

9■開催に向けて(2020.07.02)

組織委員会の逢坂恵理子氏が語ります。

情報のみに凝り固まってはいけない」
コンセプトに掲げられた「独学」と一見、矛盾するようにも感じられました。何をどこまでどのように独学すればいいのか? 独学するということは、情報を得ることではないのか?

美術展は、予備知識なしに見ることを基本としています。見る前にここまで調べて訪れるのは「ミュシャ展」以来。一度、知ってしまったことは消せません。

ヨコトリ2020の「独学」を通して、ここでいう「独学」とは、作品の裏に潜む社会背景を知ることだと感じ始めていました。それは一言で表されるものではなく、複数の事象がからみあっています。立場が変われば見方も変わり、言葉では表しにくい複雑な状況が見え隠れしていて、それを自分なりにつかんでいくことだと思いました。

それは、単に作品を見ただけでは、決して、理解することはできないと思いました。身の回りに起きているのに、知らないこと、見ようとしていないこと、それらをまず知ることから始まるのだと。

情報に頼らず、連想することのおもしろさや、それをもとに考えることで成長する過程に重きを置いた展覧会。会場に訪れて「実体験」することの意味が強調されています。

だれかに教えられるのではなく、自分で考えようという意味です。それは、自発的に会場を動き回り体で感じとっていくことも意味していたのでした。

パソコンの前でじっとして、情報のみをかき集めて考えるということではなかったのです。事前の学びができなくても、体験を通して感じられることはたくさんあると言います。そして、あとからでもいいので、ソースを通して、また考えてみて欲しいと・・・

これまでソースを片手に「独学」をしてきましたが、何をどのように「独学」するのかという、根本的なことを考え直させられているところです。

 

 

10■「エピソードX(エックス)」を開始(2020.07.03)

www.youtube.com

開幕に先駆け、7月3日(金)から「エピソードX」が始まりました。
「エピソードX」は、ラスクがキュレーションする「エピソード」の一つ。デジタル空間として、公式WEBサイト上で毎日、映像コンテンスがアップされます。

本来の開幕日であった、7月3日にスタートしました。 

昨今、テレビドラマなど、いきなり始まって、その後、タイトルやオープニングが入るという手法「コールド・オープン」がよく使われます。ヨコトリ2020も、これと同様の手法でプレスタートしました。

パンデミックによって、本来の優先順位が変わり、無秩序な状態ともいえます。そんな時代を反映したかのようなデジタルの点火装置が着火したようです。

 

■関連

 

■補足

*1:■ファーストインプレッションが大事

『琳派 京を彩る・・・・ 予備知識は必要?』コロコロさんの日記 [食べログ]
〇情報を入れず見てから再度見るのが理想but入館料が阻む
『山下裕二:驚くべき日本美術』コロコロさんの日記 [食べログ]

 

*2:■わからなかれば解説をみればいい(2020.07.06)
作品を見てわからない時は、無理にうなって考えなくていい。そういう時は、解説を見ればいいんです。と伺ったことがあります。
 ⇒ポイントを押さえれば美術はもっと楽しめる。館長に聞く「歌川国貞展」の楽しみ方 | Sheage(シェアージュ)

それ以来、見てわからない時は、むりやりひねり出さず、解説を見ることにしています。

 

*3:(2020.06.23)『芸術と科学のあいだ』P4 はじめに 
⇒顕微鏡下に置かれた細胞の断面。

丁度、読んでいた『芸術と科学のあいだ』(福岡伸一著)の「はじめに」に書かれている内容と重なりました。顕微鏡で細胞の断面を見る時は、これがどの臓器のどこの部分なのか。すぐに把握できる空間的感覚が、要求されます。目の前の細胞は、横方向にカットされたのか、縦方向なのか、斜めなのか・・・・

それと同様に一枚の写真を見て、作品のどこの部分なのか。全体はどうなっているのかと想像することと似ています。また、拡大した写真の中をぐるぐるめぐるのは、強拡大したプレパラート(ガラスではさんだ生物標本)の視野をのぞくことにも似ていました。

学生時代、平面を立体に再構成するところでかなり苦労してきた経験が今に生きていると思いました。今のように3D画像などない時代。2次元の写真を、頭の中で組み立てて立体にして把握することが身についていたようです。

CTや超音波画像を見る時も同じ。こちらはさらに平面を立体に変換するのが複雑でした。その苦労は、美術作品を見る時、平面写真を自分でかき集め、立体として把握することにつながっていたのでした。

関連:⇒【追記】(2016.3.14)ガレのテーマ 顕微鏡的「ミクロとマクロ」の視点

 

*4:(2020.06.23)余談:「空間認識力」を調べてみるとこんな記事を発見
唯一男性脳の優れているのは? | 東京クリニック | 千代田区の先進医療・人間ドック・がん医療 東京女子医科大学 脳神経外科教授が、男脳、女脳についてコラムを書かれています。男脳・女脳は似非科学と認識だったのですが・・・・

 

*5:(2020.07.04)【独学】部分から全体へ
これまでの独学を振り返ると、はじめての触れた知について、少しわかってくると、それは、全体の流れの中の、どんな位置にあるのかを知りたくなっていました。その原点がこんなところにあったのかも。美術の流派も、全体の美術史の中でどんなポジションなのかが気になってくる。何かを知ると、その背景の流れがわからないと先に進めない。

■展覧会を通して学ぶ
〇クロマニョン人って進化においてはどんな人?
■版画はどうやって作成されるの?

  

*6:(2020.07.01)ニック:ケイブ作品 英語検索 
下記の画像や、これまでの作品、ニック・ケイブ情報がピックアップされ出しました 

引用:Nick Cave Sounds Off, SchoolArts Magazine – FRANK JUAREZ

右下の作品が、関連作品と思われます。別の展覧会で出品された作品のようです。上記は鏡によって反射しているのでしょうか? 残念ながらサイトは、日本語翻訳ができませんでした。記事の本文は画像処理されていました。またもや壁にあたりました(笑)

 

*7:■別会場の作品写真 発見!(2020.07.03)
本来の開幕だった日、何気なく「ニック・ケイブ」「回転する森」で画像検索していたところ新たな画像を発見。
クラシック音楽とアート : 横浜トリエンナーレ2020は7月17日開幕|ニック・ケイヴ: 回転する森 
やっとの思いでみつけた海外情報でしたが、英語を操れると簡単にたどりつけてしまうのだなと感じさせらました。

   

*8:■(2020.07.01)着脱可能な彫刻作品《サウンドスーツ》とは?
⇒みつからない  ⇒英語で検索【独学】

2 ■サウンドスーツについて

    ロドニー・キング事件(1992年)無罪判決 ⇒(((■(2020.07.01)ロドニー・キング事件について

1992年(30年前)ロドニー・キングという黒人男性が、ロサンゼルス市内を運転中にスピード違反容疑で停止を命じられたのち逃亡し現行犯逮捕。車を降りたキングが警官らの指示に従わなかったとして、警官4人が集団で激しい暴行。
偶然撮影され、全米のTVで放送、市警の対応に強い批判。警官4人は暴行の容疑で起訴されるが、無罪となる。

 ⇒現代も変わらない ⇒リアルタイムの事件として勃発
 英雄視? しかしその根源にある犯罪と社会の背景。
 犯罪をしなければいけない環境 暮らし
 犯罪を繰り返していたロドニー・キング ⇒利用もされた?
 問題の本質がすり替わる?

 ⇒2-8  (2020.07.09)ロドニー・キング事件、無罪判決のレスポンスとして

*9:■(2020.07.01)展覧会「Until」 

⇒全く検索されない 「まで」という意味が表示される
⇒展覧会名からの情報収集ができない。
⇒「Nick Cave」「Until」で画像検索 

山のような画像、動画、一般の人が撮影したものが検索される

3 ■展覧会「Until」について

 

www.artshebdomedias.com

ニック・ケイブは人類とその議論と推論の能力を信じたいと言っているからです。「この作品は、劇場の舞台であり、集団討論の場でもあり彫刻でもあります。」 

 

www.wbur.org

洞窟との1対1の面接を待つ間、歌手、ダンサー、振付家フランチェスカハーパーは、ぶら下がっている風車を一人で歩き回っていました。展覧会内のさまざまな場所でそれがどのように感じられるかを試し、彼女はいくつかの滑らかで優雅なダンスの動きを即興で演奏しました。

もう1つの新しい芸術作品が作成されていました。

ニック・ ケイブが目指しているのは、見て終わらせるのではなく、この空間にいるという直観から得たインスピレーションを、何か別の形にして生んで欲しいと望んでいるようです。それは、歌であったり、踊りだったり、作曲だったり・・・

 

*10:■(2020.07.08)美術館名でも検索できない
 マサチューセッツ現代美術館⇒  MASS MoCA(マスモカ
  (Massachusetts Museum of Contemporary Art) 

 

*11:(2020.07.08)untilについて

www.artsy.net

Until —「無罪が証明されるまで無罪」、またはこの場合は「無罪が証明されるまで無罪」というフレーズの演劇は、アメリカにおける銃の暴力、銃規制政策、人種関係、およびジェンダー政治の問題に対処しています。

 

 

*12:■(2020.07.01)白人のために作られた白人(2014.12)

ブラックアイデンティティ&ホワイト

ブラックのアイデンティティは、ホワイトだけで定義されたわけではありません。それとは正反対に、このアイデンティティは、現状維持にとって最も弾力性があり、最も困難なものの1つです。

(略)ホワイトは実際には植民地の用語であり、これらの多様な、しかし同様に着色されたヨーロッパの新人の共通の目標を説明しています。確かに、たとえば、アイルランド人がどのようにして白になったか)、ヨーロッパ移民の支配的なエリートにとって便利なバッファ。「白」の大きな格差の1つ。クラスについて決して話さない別の方法。余談です。

引用:REVIEW: Made by Whites for Whites

アメリカに暮らすアフリカ人。というプロフィールによって、作品に対し、差別などに対するイデオロギーが主張されているものとして理解し、見てしまいます。アフリカでの暮らし(植民地としての生活をイメージしていました)が、原風景となって作品の根幹に流れていると捉えました。

ニック・ケイヴがいつ頃までアフリカで暮らしたのかはわかりませんが、その経験が、原体験として潜在的に深く作品の根幹をなしていると感じていました。

そしてアメリカに渡り、白人優位(?)な社会で暮らし、アフリカとは違う軋轢や歪を感じつつ、かつて暮らした原風景のアフリカの現状を憂い、行きつ戻りつしながら、問題を引き上げ作品に昇華している。

ところが、差別は白人vs黒人ではなく、白人社会の中にもあること。白人内での格差社会が存在していること。それをこの問題は、アフリカや黒人という限定した話ではなく、どんな世界にも、存在する問題であることが見えてきます。「白人のためにつくられた白人」は、同じ白人の間でも、同様の問題があることを気付かせてくれます。

 

アイルランド人がどのようにして白になったか
 ⇒白人とは何か?

アメリカにおけるアイルランド系移民の白人化と、イギリス本国と上記の自治植民地におけるアイルランド系移民の同化のプロセスとの比較だけでも、新しい歴史研究の地平は広がるだろう。

 

改めてニック・ケイヴのプロフィールを見ると、生まれたのはアメリカでした。アフリカでの生活はなかったようです。しかし、黒人の差別の問題について探ってみると、どこで生まれたか、どこで育ったかの問題ではない、根源的な問題があることを、後述のスターウォーズ俳優の叫びの中に見ることができます。⇒

ある時、すべての黒人が「自分は黒人だ」と気付かされることがあるんだ。人から「お前は黒人だ」と思い知らされる。その瞬間、すべての黒人は覚えている。

 

 

*13:■(2020.07.06)プロフィールによって生まれる先入観

別の作品で、ニック・ケイヴが語った言葉にハッとしました。「アメリカ系アフリカ人」というプロフィールを知ることによって、作品に対して見方が変わっていました。先入観の目で見ていること。

人種的に刺激的なオブジェクトのサンプルといくつかの骨董品が含まれています。それは私たちを過去にしっかりと置き、アフリカ系アメリカ人アイデンティティーの先入観を、好奇心の人種差別的なキャビネットとしか見なすことができないもので取り上げます。

引用:REVIEW: Made by Whites for Whites

何も知らずに見ていた時は、この作品が、アフリカ人の血を引くアーティストによるものとは、全く思いませんでした。明るくてキラキラとした印象を受けいます。ところが、作家のプロフィールを知ったとたん、この作品のカラーリングに、民俗由来と意味を与えて紐付けし、白い装飾品とカラーリングされた装飾品の割合から、圧迫される環境を想起してしまっていました。

 

*14:■(2020.07.08)足元の反射パネルについて

下記にて、空中にあるもが、私たちの足元にも存在することに言及されています。

吊り下げられた風車の迷路に突入する前の反射パネルの床から始まるまで。ぼやけた反射は次元を統合します—空中にあるものは私たちの足の下にもあります。

引用:「市庁舎を再考する:彼の大規模なMASS MoCAインスタレーション「Until」のニックケイブ」acism in Heaven: Nick Cave at MASS MoCA 

 

 

*15:(2020.07.01)アフリカのファッション

ニック・ケイブは、様々なアート作品を生み出していますが、ファッションにも造詣が深く、シカゴ美術学校の教授であり、会長でもあります。

サウンドスーツも500を超える数を生み出しました。これらは、アフリカの儀式用の衣服や、カーニバルの衣装、ボール文化を連想させます。

《回転する森》のカラーも、アフリカの儀式用の衣類やカーニバルの衣装のカラーが反映されているのでしょうか?  

 

*16:(2020.07.01)黒体とは?

「Until」は、魅力的な反応速度論と豪華な物質性がイメージを荒らし、現在アメリカ合衆国を分断している銃暴力、人種プロファイリング、ジェンダー政治の複雑な問題、そして世界中のコミュニティにおけるこれらの問題の拡大に言及しています。そのため、Untilはサウンドスーツの機能を反映し、 黒体を同時に脆弱であり、断固として存在するように配置する。 

引用:Event Details

 

黒体:black body とは?(wikiphedhiaより)

黒体とは、全ての波長にわたって電磁波(光)を全く反射しない物体である。そのような物体は実在しないため、理想気体剛体と同じように、黒体は実在しない。現在、工業的に作り出された最も黒体に近い物質は、99.96 % の光(電磁波)を吸収するベンタブラックである。

黒体という言葉からイメージされたものと、実際の意味

 

*17:■(2020.07.14)サプールとは 

調べてみると、イメージでしかとらえていなかったことが見えてきます。コンゴ共和国に限っていること。身にまとっているのは、自らデザインしたものではなく高級ブランドあること。それを身にまとう意味やその生き方・・・・ 奇抜にも感じられるビビッドカラーは、民俗の色と思ってしまったが、それを選ぶ理由が別のところにあるらしい。

 

 

*18:■(2020.07.08)水滴は、ティアドロップだった 

 「私は、並外れた、魔法の、そして美しい何かのこの感覚でショーを開きたかったのですが、あなたが見ているものがあなたのようなものだとわかったら、「それほどきれいではない」とアーティストは言いました。展覧会のターゲット、銃、ティアドロップの画像は、視聴者に不快感を与えることを目的としており、それによって一種の対立を引き起こしています。 

引用:「市庁舎を再考する:彼の大規模なMASS MoCAインスタレーション「Until」のニックケイブ」acism in Heaven: Nick Cave at MASS MoCA

一見、美しく見えるインスタレーション。雫は天からもたらされる水の恵みととらえていましたが、ケイブは、あなたが考えるようなきれいなものではないと語っています。恵の雨ではなく、涙のしずくを意味していたのでした。

 

 

*19:■(2020.07.01)黒人コミュニティーの銃

洞窟は、発見された歴史的オブジェクトと、黒人コミュニティによって、また黒人コミュニティ内で与えられた銃による暴力と死についての現代的な対話を組み合わせることで、記念の空間を作り出します。大規模な設備には、黒ずんだ手の海を貫通する溶接された拡大鏡の塔が含まれ、木製の胸像は植民地時代の階級構造を示す家具のクラスター内に収められています。洞窟は、「黒と黒」の犯罪と見なされることが多い犯罪の背後にいる個人を拡大し、視聴者に解決への無関心を、黒人アメリカに向かっていることが多い近視の視点と調和させる。概念的にはジェレミーベンサムパノプティコン刑務所を連想させるケイブの彫刻は、私たちの社会の自己志向が人口制御の同様の目的に役立つことを明らかにしています。

引用:Nick Cave | Wall Street International Magazine

 

*20:■事件後の報道(2020.07.01) 

[8:50~]みんな生まれ育った環境に染まる。自分で勉強し考え行動をする。育った環境の正しいは、間違っていることもある。自分で取捨選択し、自分の人生を作り上げる。

ニック・ゲイヴの作品と、プロフを見た時に、これと同じようなことがよぎりました。これは人種だけの問題でなく、実はだれにでも出自にまつわる悩みや問題はあると考えられます。奥の方で眠っているだけで意識されていませんが、気付くと断ち切ることができない、避けられないこととして、目の当たりにさせられます。そんな、世界の中に潜んでいる、見て見ぬふりしている何かを、この作品を通して表出させている気がしました。 

 

ある時、すべての黒人が「自分は黒人だ」と気付かされることがあるんだ。人から「お前は黒人だ」と思い知らされる。その瞬間、すべての黒人は覚えている。

ニック・ゲイブの原体験が、これだと思った。具体的なことはわかりませんが、作品の根底に流れている原風景。それは、生まれ育った場所で体験させられた、逃れられない現実。それを抱えながら、新たな世界、白人社会の中で暮らす今。自分だけの問題ではなく、全世界、至るところに及んでいることを示しているのだと。

(⇒ニック・ゲイブはアフリカで生まれ、子供の頃にアメリカへ移民したと思っていましたが、生まれもアメリカでした。)

日本人は、ジャップと呼ばれたり、イエローモンキーとよばれたりすることがあります。しかし、すべての日本人が「お前は、日本人だ」「イエローモンキーだ」と思い知らされる瞬間を経験はしていません。それに遭遇するのあ、海外で暮らす経験を持った人。

 

 

*21:■ガーデンスピナー

アメリカの庭で使われているガーデンの装飾 ガーデンスピナー

 

■(2020.07.06)展示されているスピナーが販売・・・ 

magicalspinners.com

www.youtube.com

 

 

*22:■(2020.07.06)プロフィールから表出した民族の色

スピナーのカラーリングを見た時に、アーティストの奥底に潜む感性や環境色が反映されて、生まれたものだと思いました。 

てっきり手作りの自作品によるものだと思っていたので、作家の根底にある本質的なものが表出したのだと理解していました。一つ一つのスピナーに、自身を投影し、様々な思いが込められているのだと・・・・www.youtube.com

一つのことを知り、得られたことを元に一つ一つ確かめていく作業。そこには、別の新たな意味が含まれているかもしれないと思ってのことですが、時に思いもかけない情報が舞い込んできます。

作品内を散策するように、スピナーの構造を見ながら、これらの一つ一つをデザインし、構造、仕組を考えて作り上げた(制作スタッフはいると思いますが)と考えると、気の遠くなるような作業と忍耐、発想力に畏敬の念を抱いていました。

作品に投入したエネルギーが満ち溢れていて、人種、階級、差別など社会に潜む問題への警鐘の形と理解しました。また、一つ一つのスピナーを見ながら、生命の根源的な形態を見出したように感じていました。自分なりの発見は、事前の独学による成果と思っていたのですが、そのスピナーは市販品だった・・・・ 出来合いのものにあれやこれやと意味付けしていたのかと思うと、言いようのないがっかり感が(笑) 

とは言っても全てが既製品ではなく、ピストルなど、作家が伝えたいメッセージは、オリジナルとして制作されています。しかし、オーダーの受注も受けていることまで、知ってしまうと、楽屋裏を見てしまったようで・・・・

www.youtube.com

 

*23:■(2020.07.06)スピナーは自作品でなく既製品だった

丸い形状だけでなく水滴の形をしたものもあります。それぞれ色が違っていて、この水滴は、森林に降り注ぐ恵みの水。しかし、その中には、黒っぽい着色がされているものもあり、酸性雨を意味しているかな? その水滴が集まって流れとなる。その過程で、水にはいろいろなものが溶け込みます。栄養分もあれば、毒もある・・・

そんなストーリをイメージしていたのですが、この水滴と全く同じスピナーまで目にしてしまいました。これまであれこれと考えていたこと。ニック・ケイヴがデザイン、カラーリング、全てを0から起して制作したものとばかり思っていたので、一瞬、固まってしまいました。

www.youtube.com

 

*24:■(2020.07.12)Untilの天国の雲が5t?

Untilのクリスタルでできた天国の雲が、重さは5t! ところで5tもの重量、どうやって支えているのだろうか? 天井から吊るして? 天井の強度は大丈夫? このために補強をしたのかな? 階段の支えはあまり効果なさそうだし 安全対策は?・・・ と5tの重量、どうやって支えているのかあれこれ想像を巡らせていました。すると、実は・・・ということが書かれているのを目にして納得。

 

*25:■(2020.07.06)現代美術が投げかけるもの?

勝手にアーティストが制作したものだと思い込み、それが違ったことがわかってがっかり。知らない方がよかった。と思ったところで、デュシャンが投げかけた既製品ではダメなのか?という問いが響きます。

そして、これまでも現代美術で、似たような落胆に遭遇してきました。作品の物質性を掘り下げていくと、最後、矛盾が出てきて、それらは文脈として作られたという側面が見えてきます。ボルタンスキ―の展覧会でも、最後に、同じようなことを感じていたわけですが、今回は、見る前に、気付かされてしまった感じ・・・・

作品の物質性がどうしても気になってしまうので、何でできているのか、どうやって作ったのか、また、このスピナーの特徴、光を反射したり変化させたりする構造、仕組は、何をヒントに考えたのか。そういうところを追い求めてしまいます。

すると、どこかに矛盾が生じてきます。べつに全て、自分で作らなくてはいけないなんて思っているわけではありません。こちらが勝手に、自作したものと思い込み、それも含めての作品と捉えていたことに、忸怩たる思いを抱いてしまったのでした。騙されてしまった・・・というか、見抜けなかった自分への落胆のような・・・・

作品の中に入った時、通販の販売サイトが、頭の中に浮かんでしまわないか。新たにオリジナルなアイテムをみつけても、これは、オーダーしたのかしら?そんなことを考える自分がいそうで不安・・・・

そんな些末なことを考えさせない。力が作品にあって、すべてを忘れさせてれることに期待をすることに・・・・

 

*26:■ (2020.07.08)カタログ製品であることは折り込み済みだった

valleyadvocate.com

しかし、落とし穴があります。スピナーの約3分の2は、Caveがメーカーのカタログから選択した標準パターンですが、残りの3分の1は、アーティストがカスタム設計した銃、弾丸、ターゲットの表示パターンです。あなたがそれらを期待するのに十分知っているときでさえ、これらの銃と弾丸はまだ爆発的な暴力の衝撃値で視野に爆発します。Untilの固有のスイベルは、弾丸が回転するたびに点滅します。 

 知ってはいけないことを知ってしまった・・・と思っていたのですが、アメリカで庭によく使われるというスピナー。アメリカの人が見たら、市販品であることがすぐ理解されたり、同じものを使っている人、街で見かけたりしているのかも・・・ 

Untilを構成する材料の量を数えると、数百万のビーズ、数マイルの結晶、数千の風車、13の金色の豚が、サイズ(巨大)は伝わりますが、スケール(本来は人間)の邪魔になります。洞窟はUntilを彫刻と同じくらい劇場セットとコミュニティフォーラムとして説明しています。全体として、Untilは参加型の旅を提供しています。バランスにぶら下がっているのは、人種と人種差別、脆弱性と暴力の自由な質問です。  

参加型の旅の提供・・・・ 作品の中でさまよいながら、人種や差別、脆弱性と暴力について、いろいろな形でぶら下げられているようです。それらの問いかけにに対し、こちらからも自由な、問いを発する場のようです。