琳派の絵師3人によって描かれた《風神雷神図屏風》 先達を私淑していますが、それぞれに特徴があります。その一つが、風神と雷神の目線と言われています。それぞれの風神雷神はどこを見ているのか、2015年当時、自分なりに解釈した経過を下記よりリライトして転載します。
出典:風神雷神:④風神雷神の目線は、自分の見つめている目線 (2015/11/18)
2015年 京都国立博物館で「琳派誕生400年記念 琳派 京を彩る」が行われ、3つの風神雷神が展示されました。それぞれの目線の違いについては、いろいろ解説されていますが、あまり先入観を持たないようにして、予備知識は記憶から消し去ってどう見えるかを確認しました。
■3つの風神・雷神はどこを見ている?
3つの風神雷神を比較するのに適した画像がなかなかなくFsの独り言・つぶやきに掲載されている画像をお借りしました。 出典:鈴木其一「風神雷神図襖」 - Fsの独り言・つぶやき
〇宗達の風神雷神
両者の視線は、いかようにも見ることができます。こっちを見てると思えばそのようにも見えるし、下界を見てるって思えばそう見えます。ただ、風神の目は、どう見ても、下界を見てるとは私には思えませんでした。宗達の風神雷神は、下界を見てると言われています。そういう先入感を持ってみても、風神の目玉は、下を見てはない、横を見てない? と思いました。それが、私の先入感を取り払って見た結果です。そして、次に先入感を目いっぱい持ってみたのですが、風神の目は、下界を見てはいない。というのが私が感じたことでした。
〇光琳の風神雷神
目を合わせている・・・・ そう言われて見れば、そう見えます。でも、目玉は中心にあるので、いかようにでも見えると思いました。ちょっと下を見てると思えば下に見えるし、上を見てるとは思いませんでしたが、両サイドに行ったら、どうにでも見えるな・・・・と思いました。
〇抱一の風神雷神
こちらは、見つめ合っている。とのことですが、別に光琳と視線は変わらないって思えば、変わりません。無理に、見つめ合っているって見れば、そう見えなくはないですが・・・三者の目線を見て、これは、事前の言葉に誘導されてるのではないか? と思いました。
■名作の目は、どこでも見てる
〇モナリザ
よく、モナリザの目は、どこから見ても、自分を見ているように見えると言われます。
wiki pedhiaより
〇眠り猫
眠り猫の目も、見ている人を見ていると言われます。
wiki pedhiaより
(修正⇒眠り猫
遠くから見ると、前足をしっかりと踏ん張っていて、寝ているように見せかけ、いつでもとびかかれるよう徳川家康を護っている。近くで見ると、踏ん張る足が見えないので、安らかに寝ており、裏に彫刻された雀が舞っていて、平和な世を表しているのである。寝ているからどこを見ているかは、わからないわけでした 笑)
〇八方睨みの龍
龍の八方睨み・・・どこから見ても自分を見ているように見えます
出典:京都 天龍寺雲龍・・・八方睨みの雲龍にござぁい 検 手描き・リメイク・ジャケット・和・京都 | 京都 祇園どっと.ていらーブログ
〇名作の目の表現
名作の「目」というのは、見る人がどこにいても、その人を見てるいるように見えます。3者の風神雷神の目も、見る人の位置や、心のありようで、いかようにも、視線が変わるのではないか・・・・と思いました。
三者三様の視線が、どちらを見ているかという定説ができてしまうと、そう見えてしまうだけなのではないか? というのが私の印象でした。視線は、見る人の心の中にある。あっちを見てると思えば、あっちを見てるように見え、こっちを見てると思えば、こっちを見てる・・・・定説を知ってしまうと、そっちを見ているように見えてしまっているのでは? と思ったのでした。
■味覚地図が誤り
・5つの味覚地図は、栄養学者でも生理学者でもない心理学者によるもので、
・医学書にも掲載 権威のある専門書に載ってしまうと疑うことができなかった
→それまで、だれも疑問に思うことがなかったのかが不思議でした。 自分自身も確かこの実験をした記憶がありますが、「こういうものだ」って言われると、そう感じていたようです。ここに味覚の落とし穴があると・・・
■小林美術科学 俵屋宗達風神雷神 視線のトルネード より
実寸大のレプリカを使ってわかった秘密は、ふたりの視線。ふたりがにらみ合っている印象を受けますが、よく見ると微妙に違っているのです。彼らの視線は屏風から前の方に飛び出しているのです!向かって左手からやってくる緑の風神は、視線は前に飛び出しているものの、その視線はやはり白い雷神を見ているように見えます。しかし、一方の雷神の視線は、もっと手前、ちょうどふたつの屏風の真ん中手前へと注がれていました。ですから、ふたりの真ん中に座って鑑賞者が雷神を見上げると、まさに視線があうような感じに!その視線に威圧感を覚え、鑑賞者はもとの風神へと視線を送ります。すると風神はまた雷神へと視線を注ぎ、さらに雷神は鑑賞者を見下ろして……。これぞ、視線のトルネード!
■絵画は心の中を移す
〇視線は心の現れ
言われたまま、素直に受け入れる人は、言われたままに見え、本当にそうなのかな・・・・という疑いの目で見ていたら、その目は、いろいろな方向を見ているようにも見えてくる。人が言ってることに、とらわれないぞ・・・・ って思って見たら、新しい方向を見つめる視線をみつけることもできるのかもしれません。風神雷神の目。定説にとらわれずに、まっさらにして、もう一度見直してみたら、また、違う方向を見ているように見えないでしょうか?
〇目の描き方のテクニック探索はじまる
そして、目が「いろいろな方向に見える」ということは、そのように見せるための描き方のテクニックがあるはずだと考えました。それは「影の描き方」なのか「目の位置」なのか「目の玉の描き方」なのか・・・今は、わかりませんが、いろいろな方向に見える目をいくつか見ることで、そこから共通点を探ってみようと思たのでした。
2015年、京都博の琳派展を見たあたりから、鑑賞頻度が各段に増え始めました。そしてその時に見た印象というのは、次に見た時には変化してしまうことを感じ、それを記録しておかないと、第一印象は忘れると思い、記録が始まりました。
また、「作品が理解できない」というは、「何がそれを阻んでいるのか」ということを意識するようにしました。また「どんな知識を得ることによって」理解に至るのか・・・ということに目を向けながら、記録しておこうと思ったのでした。
■展示情報
現在、東京国立博物館 常設展にて尾形光琳の《風神雷神図屏風》の展示が行われいます。
▲雷神の目 ▲風神の目
それぞれの目はどこを、何を見ているのでしょうか。じっくり見るチャンス! 自分にはどう見えるかを確認してみてはいかがでしょうか?
初めてこの絵を見てから2年。作品の背景や周辺の関連作品などを見きてから見る光琳の《風神雷神図屏風》 また新たなことが見えてきます。
指定:重文
名称:《風神雷神図屏風》
作者:尾形光琳筆
時代:江戸時代・18世紀
場所:本館7室
期間:2017/5/30~2017/7/2
■参考サイト
〇風神雷神図屏風 | 同じようで同じでない | ポストカード音楽会