コロコロのアート 見て歩記&調べ歩記

美術鑑賞を通して感じたこと、考えたこと、調べたことを、過去と繋げて追記したりして変化を楽しむブログ 一枚の絵を深堀したり・・・ 

■ミケランジェロと理想の身体:ミケランジェロの彫刻2体がやってきた! これってすごいことなの?

国立西洋美術館ミケランジェロと理想の身体」が開催されています。ミケランジェロの彫刻が日本にやってきた! 前代未聞と大騒ぎのようです。しかしミケランジェロの彫刻が日本に来ることが奇跡? と思った方、いないでしょうか?(実は私も)そこで、どれだけすごいことなのか、ひも解いてみます。 

 

 

ミケランジェロってだれ?

ミケランジェロ・・・・  その名は美術に興味がなくてもだれもが聞いたことがあるはず。しかしどんな人で、どんな作品を作っているのかと言われると、そのあたそう。り、あやふやになる人もいるのでは?

 

この像なら見たことないでしょうか?

引用:ダビデ像 (ミケランジェロ) - Wikipedia

 

この彫刻を制作したのが話題のミケランジェロです。(ところで「ダビデ」って聞いたことあるけど、何した人? ほかにはどんな作品を制作したの?)レオナルドならいくつか浮かびますがミケランジェロとなると・・・・

 

 

ミケランジェロの傑作2点が来日する意味

 今回、来日したというミケランジェロの傑作2点。ミケランジェロの作品2点が、日本で同時展示されるというのは、画期的なことらしいのですが、2点を展示することがそんなに、大変なことなのでしょうか?

 

ミケランジェロの全彫刻の5%が、今、日本にある!

ミケランジェロの彫刻は現在、40点しか残っていないのだそうです。(ミケランジェロは、自分が気に入らないものは制作を途中でやめてしまったり、壊してしまったりしたそう)「40点のうちの2点」というところに重みがあるようです。

    2/40   

この2点が来日したわけですが・・・・

↑ フライヤーより

ミケランジェロの作品が4点集まれば、それで全作品の1割、10%にあたります。2点が日本にあるということは、全世界のミケランジェロ作品の5%が、今、日本に集結していることになるのです。言い換えたら、400点の作品を制作していたら、そのうちの20点が日本国内にやってきたのと同じということなのです(ちょっとまやかしっぽいですが…笑)

 

〇2点の重み

モネは、睡蓮を約300点、制作したと言われています。その中の作品2点が来ても、私たちはそれほど驚きません。しかし、ミケランジェロの彫刻は、たった40点! そのうちの2点だということが奇跡と言われるゆえんのようです。同じ2点でも多作のアーティストとは、2点の重みが違うということのようです。

 

〇運ぶのが大変

そして、絵画と彫刻。形の複雑さがまったく違います。以前、仏像を展覧会に搬送するドキュメンタリーを見たことがありますが、彫刻された凹凸を保護するために、いろいろな工夫がされていました。

こちらは仏像のように木ではなく大理石です。とにかく重い大きい。運ぶのが大変。今回展示される2点の彫刻の重さはわかりません。参考情報として、《ラオコーン》の重さが2.5tだということがわかりました。

重さの単位は、「kg」ではなく「t」です!《ラオコーン》よりは重くないと思いますが、こんな重さのものを飛行機に乗せて大丈夫だったのでしょうか? 飛行機のバランスも考えないと・・・・

 

ちなみに他の石と比べて大理石ってどれくらいの重さなのでしょう。比重を調べてみました。2.7で、ここには掲載されていない石でもっと重いものもあるようですが、重い方の部類のようです。

 

出典:天然石の性質と優位点|石材のことなら三国産業株式会社

 

 

〇温度差による収縮と膨張

 昨年もミケランジェロ作と言われる大理石の彫刻が、三菱一号館美術館で展示されました。その時に聞いた苦労話を思いだしました。日本とイタリアの梱包に対する考え方の違いにびっくりされたり・・・・

 ⇒■蓋をあけて見ると・・・

 ⇒■ミケランジェロの巨大彫刻展示は日本初 

 

そして、飛行機で運ぶということは、上空の低温にさらされます。それによって収縮が起きてしまったり、温度差による結露もおきるので、厳重に温湿度管理がされているといいます。到着してもすぐに開けずに、何日かそのままの状態で安定させるのだそうです。

 

万が一、表からは見えない内部に亀裂などがあった場合など、管理されているとはいえ、温度差の激しい環境。なんらかの変化をおこし破損をおこさないとも限りません。

 

また、《若き洗礼者ヨハネ》は、内戦で破壊され修復が行われており、その亀裂のあとが痛々しく残っています。

 

↑ フライヤーより

残った大理石部分と、欠損部分(緑色)は合成素材で修復され、異素材が使われています。それらはマグネットで結合され、ミリ単位の正確性で再現しつなげています。温度管理されていても、異素材でつながっているということは、収縮、膨張の歪で。ズレがおきる可能性がないとは言えません。送り出す側は、冷や冷やものだったのではないかと想像されます。

 

 

〇至宝の彫刻作品は貸したがらない

大理石の彫刻作品が2点、日本にやってくる。そんな大変なことなんだろうか? と最初は思ってしまいました。何でも技術で解決できる時代。それくらいのことは、なんとかなると思ってしまいます。

 

しかし、「神のごとく」と言われるミケランジェロは、イタリアでは日本人がとらえるのとはまた違った、ヒーローのような存在なのかもしれないです。しかも40点しかない貴重な作品を所有しているという誇りも持っているはず。日本で考えたら大きすぎますが「奈良の大仏」や運慶の「金剛力士像」を飛行機に乗せて貸し出すような感覚なのかも・・・・

 

絵画と違って複雑な形をした彫刻です。搬送中、何がおこるかわかりません。ガラスや陶磁器は、何もしなくても自然劣化で、さわってもいないのに割れることもあると聞いたことがあります。そうした万に1かもしれない危険が、大理石彫刻におきる可能性だってあります。ミケランジェロを所有する美術館が貸し出しをしぶるというのも、だんだん理解できるようになってきました。

 

そんな状況の中、地道に交渉を重ね、信頼関係を築き、実現に至ったというプロセスがあります。しかし日本の美術関係者は、なんだかんだ言ってもこれまで、実現不能と言われる作品の展示にこぎつけてきています。何度も奇跡と言われるような貸し出しを目にすると、それらの努力に対して、免疫ができてしまったかもしれません。

 

改めて、ミケランジェロの彫刻2体が西洋美術館にやってきた。今回のもう一つの目だまのラオコーンなど彫刻を運び入れるというその裏舞台の一部を、twitterから拾ってみました。

 

 

ミケランジェロや有名な彫刻がやってきた!

〇どこをつるす? バランスが大事

ラオコーンは包帯みたいな布でぐるぐる巻きです。頭にかみついたウミヘビは、どのように養生されていたのでしょうか?

 

〇設置の大変さ

 

 〇重さ2.5t 下地もちゃんとしないと

加重が均等になるよう、鉄板も準備。その重さも100kg! 西洋美術館の床の強度もまたすごい! 

 

 

〇展示室の囲い より作品が映えるように

たった2体のミケランジェロ彫刻が、より際立つように…

 

 

大理石彫刻の2体ぐらい、今の技術を持ってすれば、どうにでもなるんじゃないか・・・・ とどこかで思っていました。しかしこうして設置の様子を見ると、本当に大変な作業だったことが見えてきます。

 

 

ミケランジェロ作品が「2点も!」それとも「たった2点?」 

この展覧会のミケランジェロ作品は2点です。

 

それを、「たった2点だけ?」と思うのか、「2点も!」と思うのか・・・・

 

美術のことをある程度、わかっていれば、ミケランジェロの大理石彫刻がやってくる。と聞いただけで、どれだけありがたいことなのか理解できるのだと思います。しかし、「ミケランジェロ、聞いたことはある」程度だと、それが大変なことと言われても、なんとなくそうなのかな?と思うくらい。いまいち、ピンとこないというのが実際のところではないでしょうか?

当初、白状してしまうと「たった2点しかないんだ・・・・」と思っていました。40点のうちの2点ということをうわべでは理解しても真の意味で理解できていませんでした。彫刻は2点しかこないけども、その他の展示は、ミケランジェロにまつわる関連展示で満たされているとばかり思っていました。だってミケランジェロと理想の身体」なのですから・・・・ 当然、ミケランジェロに関する展示がされているはず・・・・ 

 

ところが、冒頭の展示を見ながら、ミケランジェロと、どうつながっているのかよく理解できず、考えてもわかりません。次第に、どうもミケランジェロだけにスポットをあてた展覧会ではないことに気づき始めました。

 

理想の身体というものを、古代、そしてルネサンス期にどのように表現してきたか。その歴史もふまえた展示だということを理解しました。

 

 戻って、下記の新聞を見てやっと理解できました。

 

  

上記の新聞を拡大して読むとちゃんと次のようなお断りが書かれていました。

 

本展覧会はミケランジェロの展覧会ではありません。彼の傑作を中核として、ルネサンス古代ギリシア・ローマで追及された「理想の男性像」をご覧いただく展覧会なのです。

 

「たった2体しか」と感じるか・・・・  「よくぞ2体もはるばる」と感じるのか・・・・
ミケランジェロの彫刻がお好きな方にとっては垂涎ものの展示。2体だけでも十分のようです。 

 

「2体しか…」と思われた方、ぜひ、実際に行って確かめてみてはいかがでしょうか?

 

 

追記】ラオコーンってだれ? ラオコーンの彫刻はいくつかあるらしい

「ラオコーン」も撮影可能だと話題になっています。 

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すっごいド迫力! でも「ラオコーン」を私は知りませんでした。なにやらミケランジェロが生きていた時代にこんなものが発掘されて出てきたそう。それを聞いたミケランジェロは、すっ飛んで見に行ったらしいです。ギリシア時代にこんなもの作った人がいたのかぁ‥‥ たいしたもんだ。でも、これ掘り起こすのもさぞかし大変だったはず・・・・ と思いながら、戻ってからラオコーンについて調べたり、解説を読み直してみると…

 

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えっ? これ複製だったんですか? てっきり掘り起こされたラオコーンかと思ってた… しかもウミヘビに頭をかまれているのは、一般的な解釈とは違って、作り手が考えたオリジナルらしく、どこかパロディーっぽいと思ってしまうのは私だけでしょうか? 解説では「復刻」再構築と説明されています。てっきり本物かと思ってた(笑)

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(これ、本物だと思っている多くない?)小声・・・・

 

でも、もともと、本物の存在を知らないから、これがラオコーンだと言われればそう思っちゃいます。それ以前に、「ラオコーン」さえも知らなかっので、本物も複製もないんですよね。つくづく美術の真贋ってなんなんだろうと思った出来事でした。

 

本物の映像

youtu.be

確かに違う・・・・  本物を知ってしまうとその違いが判ってしまいます。

 

参考:

ラオコーン像(Gruppo del Laocoonte)について | Espressoのブログ

ラーオコオーン像 - クール・スーサン(音楽 芸術 医学 人生 歴史)

 

◆ラオコーン(wikiphedhia)より

神話によれば、アポローン神殿(『アエネーイス』などではポセイドーン神殿)の神官ラーオコオーンは、トロイア戦争の際、トロイアの木馬をイーリオス市内に運び込もうとする市民たちをいさめたが、この行為はアテーナーの怒りを買った。アテーナーはラーオコオーンの両目を潰し、さらにに潜む2頭の怪物を使ってラーオコオーンを襲わせた。ラーオコオーンは子供たちと一緒にいたが、子供たちは2人とも怪物に食われてしまった。このことは『アエネーイス』の第2巻などに歌われている。また、蛇を送ってラーオコオーン親子を殺させたのはポセイドーンないしアポローンだともいわれる(アポローントロイア戦争に於いてイーリオス側に味方した神だがラーオコオーンがかつて自分の神殿内で妻と交わったためこの時罰を与えた)。

 

トロイアの木馬に潜む兵士の策略を見抜き、それを阻止しようとしたのに、アテーナー(アテナ)の怒りをかったという。アテーナ―はギリシア神話の知恵の神。知恵の神がなに、なぜこの行為に対して怒ったのかが不明。この戦いはどういう戦いで、アテーナはどういう立場をとっているのかががわからない。この戦いは誰と誰の戦い? 誰が敵で誰が味方? ラオコーンとアテーナの関係は? そのうち追々。

 

参考:そもそもアテナって何者?美しき知略の女神の意外過ぎる真実8

   ラオコーン

      ここでも不明

 

トロイア戦争

 

これを読みこなせると全体像がわかりそうな・・・・

>まあ、実際大筋を抑えるために端折ってる部分は多々あります。

>これで興味持って本格的に読む人が増えると良いなと思って書き込ませてもらった。