今年の看護師国家試験の内容ががらりと変わったそうです。試験を受けた学生からは悲鳴のような声がtwitterでささやかれているそうです。同じ医療系の国家試験を受けた立場からいろいろ思うことを・・・・
こんなニュースが飛び込んできました。
なんだか物騒な言葉が並んでいて何かと思ったら、先日、行われた看護師国家試験の出題が全くこれまでの傾向と違って、受験者におおきな戸惑いと不安が広がっているようです。
■国家試験の出題をネット批判できる時代
それにしても、将来看護師になろうとする人が、「くたばれ」はないんじゃないなぁ・・・と思ってしまうのですが。(便乗もあったりするのかも?)まあ、メディアはそういう言葉をわざわざ拾ってキャッチにして読ませようとしているわけで、みごとひっかかってしまったわけですがが(笑)
平成30年の試験から「思考や判断プロセスを問うような問題を積極的に出題することが望ましい」という医道審議会保健師助産師看護師分科会の報告をもとに、今後改善をしていくその過程の一環で、前年の今年はお試し出題だったようです。
出題傾向が変わって、twitterで受験生が批判。昔だったら、「急に変更になってあれはないわよね・・・」とブツブツ友達と言いながら帰ってるくるのがオチだったわけですが。
試験終了直後からネット上では「あんなの勉強しても取れない」「過去問が全く当てにならなかった」などの不満が書き込まれた。中には、試験を所管する厚労省を攻撃する言葉も並んだ。
それにしても、いきなり、全体が変わってしまったのかしら? 通常はいつから変更とアナウンスされるものだと思うのですが。何も知らされず、いきなり変更されていたのだとしたら、文句の一つも言いたくなるのはわかります。
■事前連絡はなかったの?
ちょっと調べてみたら、事前にお知らせはされているようです。
第106回看護師国家試験の概要(試験日・出題範囲など) | ナース専科 より
当然、学校からはその旨のお知らせが生徒にはされていたでしょうし、何等かの対策などもとられていたはず。今年から出題が変わるのであれば、過去問は役にたたないのは当たり前だし。「勉強してもとれない」というのは思考力を問う問題だと思うので、多くの人が解けないだろうから合格という点では、あまり問題にならなさそうです。
そして、私は問題すべての形式が変わったのかと思ったら、新しい出題形式は1題でその枝問題だったようです。
状況設定問題における単問の導入
現行の1状況あたり2連問又は3連問の状況設定問題に加え、長い状況文を付した単問の状況設定問題を導入する。
なんだか大騒ぎしすぎな気が・・・・
■医療系資格試験の性質
私が受けた時は、医療系の国家試験は、100点を目指す試験ではなく、あくまで認定試験であること。大学受験とは違う。合格点を超えればいいと考えればよい。よりよい点数をとった人が上から合格する試験ではない。ふるい落とすための試験ではない。必要な知識が身についているかを問う試験なんだと・・・・
いきなりの新しい問題にみんなが戸惑って答えられなければ、みんな条件は同じです。しかし、ただ、覚えるだけでなく、考えながら勉強をしてきた人は、他の人が解けない問題が解けたと思うのでちょっとは有利・・・ぐらいに思っていました。あとで調べたらこの問題の配点が高く設定されていたようなので、想像するより有利だったかもしれません。
当初、問題全体が変更してしまったのかと思ったら、全体からしたら3問ほどだったようです。そんなに大騒ぎすることでもなさそう・・・ 結果によっては、合格ボーダーを変更するでしょうし。
■学びの質、学び方が問われる
これからは、学びの「質」というのも問われる時代になってきたのだな・・・と思います。学校教育も2020年に向けて変わるといった動きが、看護師国家試験などにも波及しているのでしょうか?
以前、私が国家試験を受けた時に悩みながら、どうやって学べばよいかを考えて選択したのがこれなのですが・・・・
この時、試験に「でる・でない」にかかわらず自分が知りたいと思ったことを調べるという自分なり学習方法を身につけることができたことは、とてもよかったと思っています。
国家試験が、選択問題じゃなく、記述式なら私、強いと思うんだけどな・・・そんなことを思いながら、試験を受けてました(笑) 現に卒業試験の記述問題は、かなり解けました。
■ラスコー展で学んだこと
今回、ラスコー展をみて、この時の状態と同じだ・・・と思っていました。
「ラスコーのクロマニョン人というのは、人の進化の中でどういう位置づけなのか」知りたいのはそれだけなのですが、流れの中でとらえようとすると人類の壮大な歴史をしらなくてはなりません。これは、生体内の巨大なサイクルの中に迷い込んで、茫然としていた時と同じ感覚です。
さらには人類だけじゃなく、その前の生命の進化にもつながっていくし・・・・ クロマニョン人が鳥を描けば、彼らは鳥と同じように飛びたいという欲求はあったのか? って思ったら、生物の進化は、鳥となって空に向かった系統と、そのまま地上に残った系統。その分岐点はどんな生き物なのか。なんて考えると、今度は人の進化だけでは足りなくなり、また途方のない生命のサイクルをさまようことになってしまいます。
しかし、そうやってわざわざ地球館まで行って調べたことは、クロマニョン人のことを知る意外の、それに付随した人類の祖先の情報を一杯、知ることができました。
■学びの目的が違う
試験のための勉強は試験のための勉強のノウハウというものがあると思うのでそれはそれとしてテクニックとして身につける。しかしそれとは別に、興味のあることの周辺情報のつながりでさぐりながら、深めていく。こうして深めた情報が、あちこちに散在していると、他から何か情報が入ってきた時に、その情報とつながりやすくなっていきます。こうしたネットワーク、網目がどんどんつながっていくと、それまで網目をすり抜けていたものが、キャッチされてひっかかるものも多くなる感じがします。
■資格試験・受験の勉強
目の前に控えた試験。しかもそれをとらないと仕事にならないような資格試験・・・
その時の勉強法の定番は、過去問を解くことなのでしょう。しかし、出題の変更があったら時などに対応できるのは、本当の理解に基づいた学びがあれば、なんとか対処ができるのでは? と思うのでした。
資格試験だけなく、大学受験においても、システムは変わります。私たちは、共通一次の受験の端境期でした。「今年受からないと大変だぞ~ 来年からは、共通一次だから・・・ 是が非でも、今年の合格を目指せ!」 共通一次元年は、過去問がありません。(一応、想定問題はあったようんですが)どんな問題が出るかは手探り。しかも5教科、国公立受験を諦めた人も多かったようです。共通1次の翌年。まだ過渡期。出題も手探りのため、問題の傾向は固まっていない可能性も・・・ どんな問題が出るかは、不確定・・・・ 国立やめて私立に行った人。そんな改革も、変わるたびに受験の対応策が確立されていきます。
その後もいろいろな形で受験制度は変わり、2020年に向けて、大きな変革を迎えるようです。「正解のない問題を解決する力」「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」が求められるそうです。しかし、どんな問題が出されても、受験産業はそれに対応策を立て、テクニックで乗り切らせる方法論をきっと模索するはず。学びの楽しさ、自分で興味を広げることを身につけるためのテクニックとして・・・・ 塾から、興味の持ち方を教えられる時代になっていくのでしょうか?
学びってなんでしょうか?
■追記(2017.02.28)
実際のtwitterの内容、報道ほどじゃないんだろうな・・・と思ってたのですが、いろいろな声が上がってました。調べてみた以上に変更があった感じで、これまた報道されている様子と違ってました。
みんなができなければ条件は同じ・・・・ そんなに騒ぐ必要はなくて、逆に来年じゃなく、今年にその試験でよかったって思った方がいいのかも。来年、どんな問題がでるかの想定ができて、これまでの勉強のしかたの差が大きく差になってしまうのだと思う。覚えるだけできた学びの習慣をそんなにすぐに変えることはできないと思うから・・・・ 今年は、普通に勉強してきたのなら、なんとかなる・・・ 来年からの人が大変。
いずれにしても、問題は、看護師に何を求められてるか・・・・ ということが試験に表れているのかなと・・・・
卒業して、仕事ついて、やめて、しばらくして教科書見返して思ったこと。私たちは、「医師の指導監督のものに・・・・」 この条文を、繰り返し、繰り返し、何度も何度も、あきれるほど、テストに出題されて意識下に植え込まれたんだな・・・・ってことでした。最初の一般検査、法規と形を変えて、高校卒業して間もないまだ、何も考えていない状態のところに、そのヒエラルキーを叩き込まれ、3年間、何度も、何度もそれが繰り返されていたのだと思いました。もう、わかってる・・・って。と思っても何度も繰り返されていました。