コロコロのアート 見て歩記&調べ歩記

美術鑑賞を通して感じたこと、考えたこと、調べたことを、過去と繋げて追記したりして変化を楽しむブログ 一枚の絵を深堀したり・・・ 

■学び:美術史の勉強方法 ~嫌いな歴史が知りたくなったのは?~

美術鑑賞をしていると、次第に必要を感じてくるのが、西洋と日本の美術史の知識。そして「歴史」も理解しないとなぁと。ところが、日本史、世界史ともに記憶ははるか彼方。室町時代鎌倉時代、どっちが先だっけというレベルからスタートした美術史。嫌いだった歴史に興味を持てるようになったきっかけは?学び方はいろいろだと思いますが、私が試みた方法を記録を兼ねつつ紹介します。

 

 

■展覧会を通して学ぶ

興味ある展覧会に行ったあとは、その「画家」のことや、「流派・様式」について調べました。もっと知りたいと思った画家は「年譜」を自分で作ってみたり、同じ「流派・様式」の画家の「生没年表」を作成して、前後の関係性を探ってみたりしていました。それと同時に、その時、日本は何時代で、どんなことが起きてたのかも知りたいと思うようになってきました。

 

展覧会に何回か訪れると、少しずつ、知っている画家や流派が増えてきます。すると、自分が知っている流派と、今、見ている流派の関係が、気になります。どれくらいの年代の広がりがあるのか。あるいは、お隣どおしで、影響しあっていたり・・・

今度は、美術史の全体の流れの中では、それぞれがどんなポジションなのか知りたくなります。古代から現代までに至る歴史の帯。そのどのあたりに、この画家の作品や流派は、位置づけられるのでしょう。それを確認しながら進めたくなってきたのです。

ざっくりでいいから、美術史全体の流れを把握できる年表が欲しくなりました。

 

 

 

西洋美術史の年表探し

西洋美術を俯瞰した、全体の流れがわかる年表を探しました。ネットで探せば、すぐにみつかるだろうと思ったのですが、なかなか思うようなものがありません。

下記のような年表をみつけたのですが、自分が求めている年表とはちょっと違うのです。

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 引用:https://stat.ameba.jp/user_images/20141014/07/ca-1pixel/2a/0a/j/o0600030013097475070.jpg?caw=800

 

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引用:https://ameblo.jp/about-art/entry-11443977600.html

 

 

美術娘bot@bijutuko_bot
 
 

西洋美術史年表2】 ゴシック、ルネサンスマニエリスムバロック

 
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もう少し、時間軸にリアリティーが欲しい。ないのなら、自分でつくるしかないのか・・・・ しかし、美術史を、お決まりのように順番に勉強していくのは苦手。俯瞰できるマップは、きっと探せばどこかにあるはず。既存のものから探したい。全体像がわかる年表がみつかったら、歴史はきっと面白くなるに違いないと確信みたいなものがありました。

 

美術史という形で、最初から順番に勉強しなくちゃいけないのはイヤ。でも今、見てきた展覧会の時代や歴史は知りたいと思います。そして歴史全体との兼ね合いを見るのも好き。また自分がこれまで見てきたことと、つながっていくのは、もっと面白いと思う。でも、順番に勉強するのは、しなくちゃいけない感があって嫌いなのです。

知りたいから調べるけど、覚えなくちゃいけないからするのはどうもなぁ‥‥ 

 

こんな感じの年表で歴史を俯瞰しつつ、その時代の作品の画像がある資料があるといいんだけどなぁ‥‥

https://www.mitsumura-tosho.co.jp/2016material/images/kyokasho/k_bijutsu/point3_02.jpg

引用:https://www.mitsumura-tosho.co.jp/2016material/images/kyokasho/k_bijutsu/point3_02.jpg

(高等学校芸術科 美術 教科書 光村図書)

 

 

■やっとみつけた参考書 

ネットにないなら、書店で探すしかないと、あっちこち散策しました。しかし、帯に短し、タスキにに長し状態。簡潔でわかりやすいものがみつからないのです。

そんな時、何気なく手にしたのが、「続・西洋・日本美術史の基本」でした。それは、美術検定、1級・2級の公式テキストでした。

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〇生没年表が掲載

よく画家との関係を把握するのに生没年表を自作していました。生没年を元にした美術史年表があったらいいのにと思っていたのですが、そんなものはないだろうと勝手に決めつけていました。それが掲載されていたのです。

画家の生没年が、時代ごとに一覧にまとめられていました。そして全体の美術史は、ちょっと細かすぎる感はありましたが、概略がつかめそうです。やっと自分が望むテキストをみつけることができました。

 

〇日本と西洋の併記

西洋美術史を勉強していると、その時、日本はどんな時代だったのか・・・・知りたくなります。しかし、なかなか、そこまでは手が回りません。

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 ↑ この本には、年表の下の部分に日本の時代が併記されています。(赤い囲み)

 

一目で、西洋と日本の時代を把握することができる構成です。
 ところが、ここに、西洋美術史の時代区分が、書かれてないのです。

 

それを確認するには、「日本の歴史」のページを見ないといけないというわずらわしさ・・・・ 

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日本美術史の下部に、「西洋の時代区分」があります(赤い四角)

西洋のページから、日本の歴史のページに飛び、記載された西洋の時代区分をいちいち見るのはちょっと煩わしい作業でした。

 

(ちなみに、緑のインデックスで日本の時代区分の見出しもつけました。これによって、何時代が先か後かという、並びを視覚として認識して、自然に覚えられるようにしています。)

 

 

〇年代インデックスで連動させる

そこで、「西洋美術史」(黄)と「日本美術史」(青)の年表のページに100年ごとに、年代のインデックスをつけました。

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1600年代、西洋美術史の年表を見たら、日本美術史の1600年のページにすぐに飛べるように、インデックスを並べて貼りました。

また、「ルネサンス」を調べたい。「バロック」を調べたいといった時に、「何年代」の流派であるか、自然に覚えるようになってきます。

 

〇西洋と日本を同時に見る習慣を

西洋の1600年代を引いたら、必ず日本史の1600年のところも見るようにしています。それを何度も繰り返していくうちに、西洋と日本の歴史が少しずつ、連動させることがきっと、できるようになるはず。

西洋の美術史を勉強していて、同時期、日本では何がおきているのか、ふわっとした感じでもいいので、記憶にとどめておきます。ここは、覚えようとしなくてもよくて、繰り返していくうちに、いつの間にか覚えていたということに期待をしています。

 

  

■インデックス法

私が勝手にそう呼んでいるのですが、何度も読み返す参考書にはインデックスをつけて、すぐに引けるようにしておきます。これは、すぐに見ることができるという効果だけでなく、学ぶジャンルの全体を俯瞰して見ることができるという効果があります。(⇒*1

 

〇本の構成、学問体系がわかる

目次を元に、インデックスをつけるので、その本の構成を把握することができます。つまり世界・日本美術史という流れがどのような流れなのかてっとり早く大まかに理解できるのです。

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インデックスがいつも目に触れる状態にもなるので、覚えようとしなくても、なんとなく歴史の流れが頭に入ってくるというしかけです。

 

 

〇ついでの閲覧で次第に深めていく 

「年表」の「ルネサンス」の項目を見たら、「各論」の「ルネサンス」の解説を見ます。(黄) そのついでに、日本の「近代」(青)を見ておきます。ここはあくまでついでです。「ルネサンス」時代の日本は、こんな時代だったんだと流す程度でOK。当初、ルネサンスが、室町時代というのが意外でしたが、だんだん、それが普通に受け入れられるようになります。余裕があれば、各論の「近世」もパラパラ目を通します。これを何度も繰り返していくうちに、世界と日本がつながります。

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「中世」を見た時も同様です。解説を読み、ついでに日本の「中世」もさらりと流す。西洋と日本の同じ時代を、同じ並びでインデックスを張る。それによって日本と西洋を一連の時代として、橋渡しできます。その都度、覚えるではなく見た残像が重なっていけば、そのうち記憶として定着すると信じています。

 

 

■チリも積もれば、美術史もつながる 

〇マーキング法

美術館に行くごとに、そこで見た画家にマーキングをしています。

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印象派界隈は、結構、美術展も見ているので、もうすぐ網羅できそうです。

 

ところが、バロックロココはほぼ空白。

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〇美術の好みの傾向が明らかになる

このマーカーの埋まり具合で、好みの傾向が顕著に表れます。どのあたりに興味があって、どのあたりを敬遠しがちなのか。それがわかったら、あえて、あまり行っていない空白地帯の画家や流派の展覧会を狙って訪れます。気乗りがしなくても、一度、行ってみると、いろいろ、前後との関係性がでてきて、次のステップにすすむきっかけになったりします。

 

〇ついで学習法で、西洋と日本をつなぐ

こうして、展覧会に行くたびに、このテキストにマーキングを続け、関連の解説を見て理解してきました。画家名の横には、そのページを書いておきます。あとから、いつでも何度もすぐに見ることができるためです。そして、ついでに日本美術史も覚えなくていいから「眺めておく」というのがポイントです。

日本美術の展覧会を見た時も同じです。その時代、西洋はどんな流派だったのかを確認します。日本と西洋の結びつきが、日本側からも西洋側からも、両方からはりめぐらされるので、次第に強くなっていきます。

 

さらに「西洋」と「日本」だけでなく、「中国」と「日本」との関係も、日本美術を理解する上では重要になってきます。そんな「東洋」と「日本」に特化した年表も用意されています。

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日本の「〇〇時代」、中国は、「〇〇」の時代ということは、中学の社会の先生が、熱心に教えてくれたので、比較的つながりやすい下地があります。ところが、中国の時代の変わり目がどこにあるのか、わかりませんでした。この年表で理解ができるようになりました。

こうした簡単な相対年表があるだけで、世界は繋がっていくのを感じさせられます。

 

〇点が線、面、立体へ 

知りたいこと、疑問が出てくれば、その部分だけ掘り下げて調べます。

最初はそれぞれが、点にすぎない知識です。しかしそれぞれがつながりだし、線になります。そのうち、掘り下げたところ同志が、奥の方でつながっていることに気づくと、非常に面白くなってきます。

さらには、全く違うジャンルの知識とつながることもあります。それは、線が面になり、さらに立体となって、別の形が浮かび上がってくるような感覚です。ここに学ぶことの発見や面白さがあるのだと感じます。

 

〇いつのまにか、美術史全体を網羅

このテキスト、1冊分のマーキングが終わった時、美術史の全体像が自然につながっていて、気づいたら、西洋・日本の美術史が理解できていた。そんなふうになればいいなと思いながら、美術史を勉強法をしてきました。

 

〇系統的なアプローチも加える

最近は、断片のパーツが少しずつ増えてきました。そこで、断片だけなく、苦手な系統的なアプローチの勉強を加えれば、これまでのつながりも、より早く効果があがると思いだしてきたところです。

系統だった美術講座を受講したり、年譜や、図録などで、全体を俯瞰してみるようにもしています。最初から、歴史を順番に下ってくるのは、私には苦痛です。しかし、ある程度、部分、部分を網羅できるようになったあたりで、全体の流れを押さえれば、知らないことばかりではなくなるので、効率もよいはずです。

 

〇ミクロとマクロ、部分と全体、帰納法演繹法

よく物事を理解するのに「ミクロとマクロ」の視点。あるいは「部分と全体」。その両面から見る目が大事と言われます。また思考法には演繹法帰納法があり、物事をどちらよりで物事をとらえがちかという習慣があると思われます。

かたよりがちですが、どちらか一方からだけでなく、両方の側面からアプロ―チをするとよいと言われます。

西洋・日本美術史も同様で、常に「部分と全体」を意識することが大事だと思うのです。今、私が学んでいる場所は、全体の流れの中のどの部分なのか。

最初は部分、部分をとらえていきますが、ある程度のところに来たら、全体との兼ね合いを見ながら進めていく。そんな方法で学習をしてきました。(⇒*2

すると、ギリシア神話宗教画のアトリビュートなども、個々に覚えるのではなく、まずは、相関図全体を俯瞰できる一覧が欲しいと思うのです。その上で「部分と全体」を照らし合わせながら理解を深めたいと思います。

折をみつけて、そんな一覧を探したいと思っているところです。自分にあったものがみつかると、全体の中でどういうポジションなのか確認しながら、理解を深めていけると思います。

 

〇思考、学びの癖に合わせて

思考や学び方には、癖があって、総論的なところから入った方が理解しやすい人もいます。私は、最初は、興味のある「部分」だけを積み重ねていきます。そのうち、それぞれの関係性やつながりが見えてきて、面白くなってくるパターンです。

一つのことから派生した疑問を、掘り下げていくのが好きで、それを知るために何年もかけて、あちこちでかけながら、のんびりと進めています。やっと解明できた時の喜びはひとしおです。

そのプロセスで論文にでくわすこともあり、初心者なのに、妙なところはくわしかったりすることもあります。

知りたいことを掘り下げていくと、根っこのところでは繋がっていると感じることがあります。それを白洲正子さんは、地下水脈をあてるという表現をされていました。それがみつかると、いろいろなことがつながっていて、突然いろんなことがわかると言われていました。そんな経験を何度となくしてきました。(⇒*3

その逆に大枠の全体のも、うすぼんやり浮かんできます。地下に流れ込む水が、どのあたりから流れているのか。それは、先人がナビゲーションする地図のようなものを作っているはず。探せば必ずどこかにあるはず。自分にあったものを見つけ出した方が、ここは絶対に効率がいいのです。

それを見つけることができると、そのあとの理解が飛躍的に進むという経験をこれまでにしてきました。私は「続・西洋・日本美術史の基本」と出合えたことで、嫌いな歴史が面白いと思えるようになりました。これまで、つかみどころなく、なんとなく散乱していた歴史の一コマが、やっと手の中に入ってきた感じがしました。

これまで積み上げてきた各論は、歴史の流れのどの位置に当てはまるのかを見ながら「全体と部分」が見えてくるようになったのです。

こんな勉強法を、国家試験の勉強した時に身に着けました。それからはずっと変わらずに今に至ります。

 

〇自分にあった勉強法がある

世の中にいろいろな勉強法があります。勉強法に関する本もいろいろ出版されており、なにか他に良い方法はないかと興味はあるので、ざっとですが目を通しています。いろいろ見ても、やっぱり自分の方法が一番で、自分にはこの方法が合っていると感じています。

効率としては、非常に悪いのですが、自分の知りたい欲求にそった無理のない方法なので、勉強しているという感覚がありません。

ただ、この方法は、試験のための勉強には向きません。美術史の知識を得るために、美術検定を受けるのも一つの方法だと思います。期限と出題範囲(?)があると、火事場のバカ力ではないですが、瞬発的な記憶力の高まりに期待することができるかなとも思います。しかし、私には、向かないかなと思いました。調べたいことを納得できるまで調べてから次に進みたいから。というより、記憶力の衰えを目の前に、悪あがきはやめよう・・・と(笑)

 

 

■新しい参考書 「西洋・日本美術史の年表」

最近、新たに購入したのがこちら

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購入するかどうか迷っていました。 西洋・日本の歴史がコンパクトに、並列で記載されていて自分が求めていた年表に近いものです。かねてから、もう少し簡略化されたざっくりとした時代区分の表がないかなぁ‥‥と思っていました。この本もまた、美術検定の公式テキストの副読本でした。

 

 

こんな感じで、西洋と日本が一目できます。図版が入っているのもうれしいところ。

 

 

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時代の流れを作品で追っていたり

 

「主義」の流れで追ったり 

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あるいは「画家」で追ったりしてまとめてくれています。これまで自分でまとめてきたことが、丁寧に整理されています。参考書に加えました。

 

 

 

■勉強法はいろいろ

それぞれの学び方があると思うので、合う合わないがあると思います。多くの場合は、西洋美術史、日本美術史と、分けて考えがちです。覚えなくてもいいから、同時進行で大まかにとらえながらすすめていく。というのは、歴史というのを、総体的に見たら、必ずどこかでつながっているはずです。それを最初からセットにしておくと、関連性に気づける機会も多くなります。

さらに、社会の流れも関係していますから、世界史、日本史との連動も必要です。美術史とともに世界史、日本史の必要性を痛切に感じるようになりました。これも参考書となる、年表や図版をあれこれ探しました。悩んだ末に選んだのが『詳説 世界史図録』『詳説 日本史図録』を選びました。こちらの本については、またの機会に紹介できたらと思います。

 

 

みんなどんな勉強方法で、美術史を学んだのかな?と探ってみました。やはり、自分には、自分の学び方があると思いました。そしていろいろ参考書もありますが、自分が求めている情報は何なのか。それを見極めていないといけないのではと思いました。おすすめを参考にするけども、最後は、自分の目で、自分の求めるものを探すことが一番なんだと思いました。自力で探してみつけた参考書には、愛着があります。(⇒*4

こういうことを知りたいから、こういう資料が欲しいという目的を持つことが大事ではないかと思います。私はたまたま美術検定の副読本がそれでした。ということは、これまで調べたり勉強してきた方向は、あながち間違ってはいなかったのかなぁ‥‥と思っているところです。

 

■いろいろな勉強法の紹介(追記:2019.08.20)

www.youtube.com

目からウロコだった勉強法。ゴールから先に見ちゃう勉強法。何も知識のない状態からいきなり過去問を解く。最初は全くわからない状況だけども、参考書を見ながら解く。参考書の知識は、本番でどういう形で出るのかを知った上で暗記をする。(社会は過去問10年解くと問題は使いまわしであることがわかる。大事なポイントの部分が先にわかる。手数は決まっている。)そして参考書も自分でみつけています。

過去問を元にして勉強する。こういう発想なかったなぁ・・・・ 以前、美術史を勉強するのに、美術検定の過去問で勉強しようと思うと言った友人に、「過去問は断片の知識で細切れ情報だから、勉強するなら系統立った参考書を使った方がいいと思う」と話したことがありました。

問題を解くには、基礎知識が大事と、何年にも渡って思っていたので、問題を暗記するという勉強法には否定的でした。ところが、この方法、これまでの自分の考え方を根底から覆される方法でした。(初めて、勉強法を見てなるほど…と思わされた)

要領よく限られた時間の中で学ぶということに目的が置かれていますが、いかに「ポイントを要領よくつかむか」という点で参考になりました。

過去問は覚えた結果の力試し。力がつくまではどうせやってもわからないので無駄と思っていました。そんなこれまでの固定観念を大きく崩されました。

もう数十年も前になる国試の「公衆衛生」「関係法規」の出題傾向は、まさに繰り返しでパターン化していました。社会系の学問ってそういう傾向があるのだろうか・・・・ 

まずは、教科書をまとめて基礎を固める。それから過去問。しかし後半、寄生虫学などは、全く手つかず状態でまとめる時間がなくなりました。先輩がまとめたノートをコピー、そして青本の出題ポイントをマーキング。切羽詰まると、参考書を見ながら問題を解くということはしていたのでした。これはすごいと思っていましたが、状況に応じて勉強法も変わり、同じようなスタイル勉強法をしていたことがわかりました。ただなりゆきでそうなってしまったのと、目的意識を持っていたのとは大きな違いがあります。

 

「記憶力」ではなく「関連付ける能力」が優れている

「流れ」を非常に重視した勉強をします。

時代背景が書いてあるページをしっかり読み込んで、大まかな「流れ」を理解し、ほかのものとの「つながり」や「流れ」の中で一つひとつの出来事がどのように位置づけられるのかを理解していく

一つひとつ独立した知識を覚えるのではなく、「大元のイメージ」をしっかり覚え、それと関連付けていろんな知識を覚えていくほうが暗記しやすい……。

 

■補足

*1:■国試で身に着けた勉強法

国家試験の勉強を始めて、わからないところを何度も、何度も、教科書を広げるのがめんとくさく感じていました。見たいところを一発でひらけるようにするにはインデックスをつけること。その一番の効果が感じたのが「微生物学」の教科書でした。

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はずかしいくらい、ボロボロ状態ですが‥‥ 
自分でも驚いたのは、「細菌学」「ウィルス」「真菌」という大きなカテゴリの間に、紙のインデックスルーズリーフを入れ、中綴じの部分に張り付けて、明確に分けてあったこと。これによって、ウィルス学は、こんなちょっと。これだけでいい・・・ そして細菌と全く違う微生物のページに、すぐに移動できるようになっていたのでした。

このインデックスをつけて、一番得ること大きかったのは、教科書の細菌は「系統」にそって並んでいるということに気づけたことでした。

それまで細菌学は、一つ一つの菌を、「球菌か桿菌か」「G+かG-か」「好気性か嫌気性か」を覚えていました。ところがインデックスをつけてみると、まずは大きく「好気性・嫌気性」で分かれており、「G+」の「球菌」「桿菌」と順番に並んで、グループになっていたということが理解できたのでした。各論の内容がボリュームがありすぎて、前後の関連が見えなくなっていたのでした。

大腸菌群のような大きなグループがあります。すると、そこに含まれる菌は、タッグをずらして細かく並べて、大分類、小分類であることを視覚的に認識できるようにしたり・・・

 

その後、解剖学、生理学など基礎医学の教科書にインデックスをつけていくと、体の構造というものがどのように分けられているかというのが見えてきました。「解剖学・組織学」の臓器インデックスは、同じ位置に並べて、臓器を見たら、組織もついでに見ておく。そんな関連学習を、習慣づけました。ついでに、生理学の教科書の、臓器も見ることができれば、尚よしなのですが‥‥

インデックスをつけることで、個々のこれまでの学びの構成要素が明確になり、他のジャンルの構成と繋がっていきます。これまで学んだことが、学問体系のどの位置に相当するのかが見えると同時に、他のとの関係も見えてくるようになりました。

この効果は、計り知れないもので、それまでばらばらだった知識が、直線の上に並んだように感じました。そして部分でしかなかったことが、全体との兼ね合いで見えるようになったのです。

インデックスをつけるのは、時間もかかかり、一見、無駄なことをしているようにも思えます。しかし、その後の効率や、全体を把握したうえでの理解を考えると意味のあることだと思い、すべての教科書にインデックスをつけていました。

それは、クラスにも波及し、みんなが教科書にインデクスをつけるようになったのでした。

 

先日、東大に3人のお子さんを入れたお母さんの勉強させる方法という動画の中で、子どもが勉強をしやすいように、参考書にインデックスをつけてあげるといい言われていました。それは親のすることではなく、子ども自身にさせた方が、絶対に効果があるのに・・・と思いながら見ていました。

インデックスをつけることで、多くの知識が得られること、お母さんは、体験をしていないのかな?親につけてもらったインデックスで子供が勉強するというのは、私の経験からは考えられないことだったのでびっくりしました。無駄な時間に思えるかもしれませんが、自分の参考書です。自分で自分が使いやすいように、カスタマイズする、どうやって付けたら、見やすくなるかを考えさせることも大事だと思うのです。

 

以上のことから、何度も見る本には、必ず、インデックスをつける習慣がつきました。それによって全体を把握できるようになり、その後、部分との兼ね合いも見えるようになるので効果ははかりしれないのでした。

 

よく見る図録にも章立ての見出しと、作品と解説がすぐに引けるような

korokoroblog.hatenablog.com

 

 

*2:■全体と部分をとらえるのはいろいろな場所でも生かされる

たとえば、科博の展示を見る時、最初は部分を見ています。しかし、その周辺のいくつかのコーナーを見たら、これらのコーナーはどういうカテゴリーの中の、どういう文脈で展示されているのかを理解します。

日本館1階の時計コーナー そこが展示室内ではどういう位置づけかを把握して理解します。さらには、1F~3Fまでがどんな展示になっているのか。日本館は、どこから見てもいいのですが、3Fから始まっています。その並びのどんな場所を理解できるようになると、全体と部分の理解ができます。

■「時を知る -時計-」の見学ルート

というように博物館の構成や、美術展の展示構成なども、大枠を理解し、その中のどこの部分かを意識しながら見る習慣ができます。

 

このような見方を、記憶という点から解説されている方がいらっしゃいました。

展示物をみるときには、同時に、その展示室の場所(位置)も確認するとよいです。何階なのか? 南側の部屋か北側の部屋か? 館内マップなどをみて地球館の建物全体をイメージして、そのなかのどこに今いるのかも確認します。

展示物:要素の記憶
展示室:場所の記憶

引用:国立科学博物館・地球館を概観する - 自然との共存をめざして - : 発想法 - 情報処理と問題解決 -

それぞれの要素と場所をセットにして覚える方法で「建築記憶法」「空間記憶法」というそうです。

ちょっとニュアンスは違いますが、全体のどこかを意識するという共通性点があります。ラスコー展を見た時も、地球館のどのあたりに位置づけられているのかを書く院していました。

■ラスコー展:⑦ラスコーのクロマニョン人の位置づけを地球館で調べてみた - コロコロのアート 見て歩記&調べ歩記

 

*3:■民族のアイデンティティーとは何か?

西洋の戦争と日本の戦争の違い。国境、言葉、民族。歴史観の違い。

■中国絵画に高い評価を与えた日本の財閥

捨てる神あれば、拾う神あり。日本を救った欧米人もいれば、日本人だって中国美術を救っている

*4:■参考書探し

解剖学や組織学、生理学、生化学など、基礎医学部分は、教科書だけでは分からないので、参考となる医学書が必要になってきました。数ある書籍の中から、どれを選ぶのか・・・・ 選ぶ時も、図書館に行って、あれこれ見て借りてからこれだというものを選んでいました。学生時代から、自分に合う参考書は自分で捜して選ぶ。そんな習慣がついていてそれが今も、連なっているのを感じました。