いかに学ぶか・・・ 国家試験の勉強では、一つ一つを理解しながら進む方法を選択したのですが、全く前に進まないという壁にぶつかりました。自分は何をやっているのか・・・・ こんなことしていたら、試験に間に合わない! ところがある時から、理解が飛躍的に進んでいることを感じていました。
このような学習効果を、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか』の著者、細野真宏さんが、語っているコラムを以前、見たことがあます。その表現方法なども含めて、すっごい納得させられたので紹介します。
■細野真宏の勉強方法
ただ覚える勉強を、「Y=X」 の勉強
なぜを考えながら勉強することを 「Y=X2」(二乗)の勉強
というグラフを例に挙げて解説されていて、それが自分が、国試の勉強をしていた時に感じていたことと全く同じで、妙に腑に落ちる解説でした。
〇Y=Xの勉強法
ただ覚えるというのは、情報が1つ得られたら、その分の知識が増えていく、1:1の学習方法。グラフで表現すると、下記のように Y=X の形で、1:1で知識量が増えていきます。つまり入れただけの知識がそのまま知識となる状態。
(出典:http://www.gcse.com/maths/graphs3.htm)
〇Y=X2
一つの情報が得られた時に、この意味は何だろうと考える。知識に対して、その理由もセットにして身につけていく。それを習慣にしていると、ある時点から加速度的に、知識量が増えて、Y=X2 の曲線を描いて知識が増えていく。つまり、下記のグラフの右側の状態のカーブを描いて、知識量が増えるということ。
(出典:http://twi-papa.com/archives/12395)
コラムでは、「円高」「円安」を例にあげていました。なんとなく「円高」は1ドルが日本円だと低くなる。「円安」は1ドルが日本円だと高く。ぐらいに理解している人が多く、経済関係の人でも、「円高」「円安」のしくみをきちんと把握して説明できる人が少ないのだそう。しかし、この構造やそれに伴う現象もセットで理解していれば、これに伴う世の中の動きの見え方も飛躍的に変わる・・・と。
これを繰り返していくと、新しいものが入ってきても、「それまでに得られた知識」との関係を使えるので多くの自丙が見えてくる。つまり情報が一つ得られると、新しい知識は、それまでの情報と一緒にかけ合わさって、飛躍的に多くのことがわかるようになる。
自分自身も体験してきたことだったので、その意味はダイレクトに伝わってきました。そして、その勉強方法を、「Y=X」「Y=X2」 というグラフで表現するという着目点に感心してしまいました。
いかにわかりやすく伝えるか・・・・
という部分でも秀逸。と思ったのですが、おそらくこの方法は、私にはドンピシャ、ツボにはまったのだと思います。もし、数学嫌いで、グラフを見ただけでもアレルギーを起こしてしまいそう・・・・という人には、逆効果になっていたかもしれません。
〇思考の原点
ここでも、モノを考える基本がどこにあるのか・・・を感じさせられました。数学の予備校講師らしい着眼であるし、表現だと感じました。人の思考の基本的な骨格というのが、高校を卒業したあたりの時期から、「何」を「どのように」「どんな環境の中で」「どんな指導者のもと」学んだか・・・・ それが、主たるアイデンティーを形成する元になっていると感じています。
物を考える時の「素材」となるものは、自分が主に学んできたものから発想されるということなのです。
面白い発想をする人だなぁ・・・ その着眼点はどこから来るのだろう・・・と思ったとき、高校卒業以後の経歴を調べると、たいてい納得できることが多い気がします。
〇「なぜ」とともに考える
最初は、ゆるやかで、全く進んでいないように感じられたとしても、その後の飛躍に期待して、ただ覚えるのではなく、理由、なぜも一緒に学ぶことが大事だということでした。
■池谷裕二氏 ゆるめの勉強法
東京大学・大学院薬学系研究科 脳研究者池谷さんが、勉強時間と成績の曲線について、次のように語っていました。
短時間でも忍耐強く勉強できる人には、累積効果がある。学習時間が少ないうちは、成果はあがらないが、ある一定期間続けると急激に成果が表れる
脳の海馬では繰り返し情報が送られてくると、脳は「この情報は重要だ」と判断し長期記憶になるメカニズムがある。
習慣づけるためには、練習が必要なのですが、30分は長くてできない人が多い。できないなら無理しなくてもいいから、すこしずつでも続ける。すると、急激に成果が表れるといいます。
しかし、自分に今があるのは、過去の実績や努力のおかげ。自分に投資しないと未来は・・・・
やはりここでも最初は、効果がないけども、そこを我慢・・・・ そうすれば、劇的な(?)飛躍が待っている?
■コロコロ氏 酵素反応速度論による学習効果の頭打ち
そして、私が感じているもう一つのパターン。酵素が反応するときの速度を表す「酵素反応速度」という曲線があります。この曲線を見ると、これも、学習効果を表す一面だな・・・・と感じていました。
出典:酵素反応速度論 - ミカエリス-メンテン速度論 - Weblio辞書
酵素が作用する「基質」を増やすと、最初は急激に反応速度が高まります。しかし、さらに増やしていくと、速度は、比例的には伸びず、頭打ちとなって変化しなくなります。
これは、学習というよりは、運動における効果が、このような曲線を描くような気がしていました。何もできない状態から、指導者を得てトレーニングをすると、最初の段階では飛躍的に効果が表れます。練習をしただけの効果が自分でもわかります。
以前、ジムに行き始めた時に、トレーニングの荷重が、どんどん増えていきました。記録好きなので、グラフにしたりして(笑) このまま行ったら私、すごいことになるかも! と思ってしまうくらいの伸びでした。ところがそうは問屋がおろしません。ある一定のところまでくると、伸びは止まってしまいました。⇒【*1】
運動などにおいては、最初、急激にのびる。あるいは、新たなトレーニングに取り組むと、飛躍的に伸びるということがあるように思います。しかしそのうち、伸び悩みの壁に。学習でも似たようなことがあるように思います。頭打ちを感じたら、こういう曲線を描くものなのだ。と割り切り、また別の方法(基質を変えて)で、新しい反応スピードを享受すればいいのかな・・・と。
■まとめ
学習方法にもいろいろな方法があって、その効果を語る手法にも、いろいろな表現方法があります。自分にあった方法、表現に出会えると、効果も倍増? その内容が腑に落ちて納得できるのは、自分と似たような思考傾向の人の言葉だと、納得しやすく、より効果的に作用すると思いました。
学習法もいろいろで、合う、合わないがあるはず。自分にあった方法と、それをいかに伝えてもらうか・・・・というのも、腹落ち具合に影響すると感じえいたので、紹介してみました。
■関連
■脚注
*1:■パーソナルトレーニングが必要
↑ のちに、ジムで最初に設定した負荷は、自分の能力よりも、かなり過少に設定されていたのだということがわかりました。学生時代、運動をしていたので、脚力などは平均よりもあったようです。パーソナルトレーニングを別料金で受けないと、個々の適した負荷の設定はされないもよう。あるいは、過少設定してどんどん増えれば、利用者のやる気も引き出すという一つのテクニックなのかも・・・と理解したり (笑))
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