「レオナルド×ミケランジェロ展」に出品された「レオナルドの習作」と「本作品」の制作年の関係、また「有名作品」との前後関係を把握するのに、作品を制作年別に並べました。「絵画」「素描」「習作」「手稿」に分けて一覧にしました。
手稿の制作年、内容の一覧。ミケランジェロとレオナルドの対決一覧など・・・・
- ■レオナルド作品 作品ジャンル別年譜
- ■作品年譜からわかったこと
- ■レオナルド手稿 制作年
- ■レオナルド手稿 内容一覧
- ■レオナルドvsミケランジェロ 作品年譜一覧
- ■レオナルド 「習作」と「本作」
- ■レオナルド・ミケランジェロ 同時代の画家
- ■参考にしたサイトや書籍
■レオナルド作品 作品ジャンル別年譜
【幼少期】
【ヴェッキオ工房時代】
【円熟期】
【晩年期】
＊矢印は制作年の幅を表しています
＊制作年については、資料によって違ているものもあり、今回の展示の作品リストを基準にしつつ、展示のない作品については適宜表示しています。参考文献については、末の示しました。
■作品年譜からわかったこと
【少ない作品数】
〇レオナルドの現存する絵画作品は、１５点程度ということを耳にしていました。いろいろなものに興味を示して手を出したため、完成品が少ないことや、完璧主義で、いつまでも手元におき、完成させなかったことなどが、作品の少ない理由のようです。15ぐらいの作品ならレオナルドの攻略もなんとかなると思い、リストアップして、順番に並べてみようとしたのですが･･････
どうも15よりもあるようで、どれが、それにあたるのかがよくわかりません。
【工房作品】
〇レオナルドの作品は、工房によるものも多く、弟子が作成したものに、レオナルドがちょこっと手を加えたり、下絵を描いてそのあと弟子が仕上げたり・・・ というものも多いとのこと。
〇今回の作品リストを見ていても「レオナルド・ダ・ヴィンチに基づく」や
「レオナルド・ダ・ヴィンチと弟子〇〇〇〇」
「レオナルド・ダ・ヴィンチ？」
「レオナルド・ダ・ヴィンチ あるいは 〇〇〇〇」
といった作品が、素描や習作でも結構、多かったということにあとになって気づきました。ぶらぶら美術館でも山田五郎さんが、こんなふうに言われていました。
素描をバカいしちゃいけない！ 工房制作の時代にあって、確実に画家本人の直筆で、その力量がわかるのが素描・・・
【素描にも弟子がかかわっている】
そんなわけで、てっきり素描は、レオナルド本人の作品だと思っていました。ところが作品を時系列に並べて、表にしようと思い、タイトルを見直していたら、結構、弟子が加わっていたり、「あるいは〇〇〇」という作品が以外にあるのです。素描の一覧を作成するにあたり、レオナルド単独作か、共作かをわかるように表示しようかと思ったのですが、めんどくさくなったのでまぁいいか・・・ということに(笑)
〇冒頭で《キリストの洗礼》の習作が展示されていました。これがどんな絵になったのかなぁと思って探してみたのですが、すぐに見当たりません。レオナルドの作品だと思って捜していたからでした。この作品は、工房の師であるヴェッキオの作品でした。（タイトルにはその旨が記されていたのですが気づきませんでした。）ところがこの作品、かなりの部分をレオナルドが担っていたことがわかりました。
一枚の絵が完成するまでには、下絵の段階からもいろいろな人の手が加わっていることがわかります。
〇また、《岩窟の聖母》《糸巻の聖母》《聖アンナと聖母子》などは、同じような構図で2種類の絵が存在しています。弟子が模写をしたり、後世にもあちこちで模写されていて、《糸巻の聖母》などは、実にたくさんの絵が存在していることがわかりました。（「習作」と「本作」「模写」の比較はこちら⇒■レオナルド 「習作」と「本作」）
【弟子と共作の作品の制作年が長い】
弟子によって描かれたものは制作年の幅がかなり広いです。《聖アンナと聖母子》は1901～1920年と19年もの長い期間の推定がされています。しかも、レオナルドがなくなった1919年の翌年をまでになっています。
《岩窟の聖母》も弟子との共作は1495－1508年と13年の幅があります。
制作期間の幅は、表の中の破線矢印で示しています。《糸巻の聖母》も1501-1507年と6年の年月がかかっています。 弟子が関与したものは、制作年を特定するのが難しく、幅を持たせているのでしょうか？ 数字だけで表わすと、その幅があまりよくわかりませんが、一年刻みの年譜のコマでみると、その幅の大きさがよくわかります。
【有名作品の制作年と背景】
〇最初の単独作品、《受胎告知》は、20歳の若い時の作品
〇最初の手稿、アトランティコ手稿は26歳（1478年）からスタートし、亡くなる１年前まで４０年に渡り書き続けていた。
〇《ウィトルィウス人体図》は、３３ /67 歳（1485年）まだ解剖をする前のもの
〇《最後の晩餐》は、タイトルから晩年期の作品かと思っていたら４３ /67 歳(1495 年)
〇《モナリザ》は、５１/67 歳作（１５０３年） ミケランジェロとの対決、ヴェッキオ宮殿の壁画、アンギオアーリの戦いに取り掛かる前に描かれたものでした。
〇レオナルドが解剖を行ったのは1510～1511年の58～59歳。２年間に３０体を解剖。1515年には教皇レオ10世の不興をかい解剖の権利剥奪。
レオナルドは、若い頃から解剖に基づいた絵を描いていたのかと思っていましたが、解剖を始めたのは晩年の58～59歳から。それ以前の絵は、実際の解剖に基づいていたわけではなかった？ 観察による人体表現だったようです。（解剖学者がみたミケランジェロ 篠原治道 ｐ19より）
〇レオナルドが人体解剖学の正式な教育を受け始めたのは、ヴェロッキオの徒弟時代のこと。師のヴェロッキオが弟子全員に解剖学の知識の習得を勧めたため。レオナルドはすぐに画家にとって必要とされる局所解剖学の知識を身につけ、筋肉、腱など、人体の内部構造を描いた多くのドローイングを残している。（wikipedhiaより）（このドローイングは解剖学手稿を意味しているのか？）
〇レオナルドの自画像は晩年の作品 亡くなる4年前 ６３/67歳
↑ この時代の63歳 はこんな感じ？
■レオナルド手稿 制作年
年齢 0 10 20 30 40 50 60
手稿の制作年は上記のとおり。20代後半から始まり、没年1519年の前年まで、長きに渡り様々なジャンルで書き続けられています。「アトランティコ手稿」や「ウィンザー手稿」などは、生涯のライフワークのように書き続けていたテーマである一方、「鳥の飛翔に関する手稿」は１年でだけです。
■レオナルド手稿 内容一覧
出典：レオナルド・ダ・ヴィンチ手稿 - Wikipedia よりまとめ
＊解剖学手稿はレオナルドによってまとめられてはおらず、弟子のフランチェスコ・メルツィに託されたが言及範囲の広さと独特の筆記法のために、メルツィの存命中には出版できなかった。死後50年以上放置。
■レオナルドvsミケランジェロ 作品年譜一覧
■レオナルド 「習作」と「本作」
■レオナルド・ミケランジェロ 同時代の画家
■参考にしたサイトや書籍
〇『レオナルド・ダ・ヴィンチ』バトリシア・エミソン 森田義之・小林もり子訳より Ｐ26 年譜
〇少年少女名作絵画館 レオナルド・ダ・ヴィンチ 監修中山公男 執筆 三神弘彦 ｐ38 年譜
〇もっと知りたい ミケランジェロ 池上英洋
〇解剖学者がみたミケランジェロ 篠原治道
〇レオナルド・ダ・ビンチ（年譜）(れおなるどだびんちねんぷ)とは - コトバンク
