コロコロのアート 見て歩記&調べ歩記

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■建仁寺の障壁画について

 京博で行われた海北友松展が終わりました。建仁寺には行かれたでしょうか? 忘れないうちにぜひ障壁画も御覧いただきたいと思い、建仁寺の障壁画についてまとめてみました。あの軸装された障壁画がどのような場所に設置されていたのかを見ると、一層、あの作品の価値が深まると思われます。

 

 

 

建仁寺障壁画についての解説

建仁寺方丈障壁画| 大遠諱法要・行事| 栄西禅師八百年大遠諱 | 建仁寺より抜粋

・かつて方丈に飾られていた全50面の襖絵からなる重要文化財
安土桃山時代から江戸時代にかけて活躍した海北友松が制作。

 

そして下記のような解説があります。

 

〇障壁画構成

「竹林七賢図」 室中    6面

「琴棋書画図」 衣鉢之間  10面

雲龍図」   礼之間   8面

「山水図」   檀那之間  8面

「花鳥図」   書院之間  8面  

 

しかし、これがどういう配置になっているのかは、実際に行ってみないとわかりません。実際に行ってみましたが、私はすぐに理解することはできませんでした。建仁寺の見取り図が欲しいと思いました。今度行く時は、それを片手に一つ一つ対応させながら見たい・・・と思って。やっと間取り図がみつかりました。これで全貌が見えてきました。

 

 

建仁寺間取り図 

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(出典:東京国立博物館 - 1089ブログ より)

 

襖絵に関する解説を見ると、部屋の名前が書かれています。しかし建仁寺の建物はどのような間取りで、どこにどの部屋があり、どの襖が設置されているのかが、当初、理解できませんでした。これでやっとわかりました。あの襖の裏は、あれだったんだ・・・・という表裏の位置関係が見えてきました。

 

建仁寺の障壁画の位置関係 

しかし、私には上記の図もはわかりにくいので、自分が見てすぐわかるように作り直しました。

 

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建仁寺障壁画と部屋の一覧

上記の見取り図を一覧にすると次のようになります

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〇海北友松展を見た方はぜひ建仁寺

 海北友松展が京都博物館で行われ、前期・後期で展示も変わりました。もともとはこのような構成で設置されていたものだということは、あの展示からは伝わりません。せっかく海松友松展を御覧になったのなら、記憶の新しいうちに、ぜひとも建仁寺に行って確認をしていただきたいなと思うのでした。どのような場所に設置されていて、自分が見た襖絵は、どの部分であったのかということを確認すると、余計なお世話ですが、より理解が深まると思うのです。

 

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                   ↑ 展示された数

ちなみに実際に展示されていた員数が上記のような状態です。

《花鳥図》《山水図》などは8幅のうちの3幅しか展示されていませんでした。せめて片側の4幅なら理解できるのですが、この中途半端な展示ではもったいないです。

 

《山水図》

 

この作品は、個人的にとても好きな作品で、じっと見ていると見えてくるものがあります。ぜひ8幅を目の前にして、京博で見たものを重ねながら御覧になって欲しいと思います。

  

   関連:■海北友松:《山水図》(建仁寺) 間抜けな襖絵かと思ったら・・・

 

《花鳥図》も同様です。これも、全体を見てそこ価値があると思ったのでした。

  

   

 

 

 

建仁寺境内図

これらは方丈の障壁画・・・・と言われるのですが、方丈とはなんぞや?です。

建仁寺と一口に行っても、下記のようなたくさんの建物によって構成されています。実際に見学する場所は赤い点線で囲まれた場所本坊・方丈・法堂・小書院・大書院です。

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出典:境内見取図 | 建仁寺

 

 

〇本坊

下記が建仁寺の見学できる部分で本坊からの案内図です。

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出典:拝観案内図 | 建仁寺

 

 

〇順路によっておきる ここはどこ? 状態

上記のマップに順路が書かれています、

1.本坊を入ったところに《風神雷神図屏風》や案内ビデオがあります。
2.方丈へ行くと、いきなり《雲龍図》とのご対面です。
3.そして法堂の《双龍図》を見て、また方丈に戻ります。


この時点で、方丈と法堂を結ぶ妙な渡り廊下と柵があり、方丈との位置関係を見失います。
また、もう一つの龍、双龍図を見てしまうため、襖絵鑑賞の流れが分断されてしまいます。

 

4.石の庭の前を通りながら、方丈の障壁画を見ます。
5.すると秀吉の茶室への散策ルートが。

 

ここを散策路に出て、戻ってくると、茶室見学モードとなり、障壁画を見ていることをわすれさせ、さらに方向感覚をより喪失させられます。方丈が一つの建物でそこに、障壁画が周回していることなどすっかりわからなくなっています。(女性特有の方向認識が弱い現れかもしれませんが・・・・) 

 

6.そして大書院に行って《雷神図屏風》 さらに庭や小書院の襖を見ます。
7.戻ってみるとあれれ? 最初に見た《雲龍図》がある・・・という状態。

 

改めて帰ってきてから確認すると、あっちにいったり、こっちに行ったり・・・ 襖絵の連続性がなくなります。「襖絵は方丈という建物の襖だった」ということに気づかされ、大混乱をしてしまったのでした。これは建仁寺の見取り図を手に入れないと・・・ そしてどの襖絵がどのように設置されているのか。どの絵とどの絵が背中合わせだったのか・・・ 方丈周辺も含めた全体図が欲しい・・・と思いながら、それを探し出し、3度目にしてやっと、建仁寺の構造や全体像を把握したのでした。

 

〇おすすめルート

海北友松の障壁画をメインに見るのであれば、最初に、他のところに寄り道をせず、方丈だけを周回するという順路が個人的にはおすすめです。

 

 

■用語の確認

〇障壁画  

障壁画(ショウヘキガ)とは - コトバンクより

日本建築の室内の床貼付(はりつけ),壁貼付,襖(ふすま),杉戸,衝立(ついたて),天井などに描かれた絵の総称。単に襖絵と同義に用いることもある

 

襖絵のことと理解してもよさそうです。

 

〇本坊:本坊(ホンボウ)とは - コトバンク

①(子院に対して)本院のこと。
② 寺で、住職の住む所。

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〇方丈:方丈(ほうじょう)とは - コトバンク

禅宗寺院で長老や住持の居室または客間をいう。堂頭(どうちょう)・堂上・正堂・函丈(かんじょう)とも。維摩居士(ゆいまこじ)の居室が1丈四方であったという伝説に由来。

 

建仁寺方丈

東京国立博物館 - 展示 日本の考古・特別展(平成館) 開山・栄西禅師 800年遠忌 特別展「栄西と建仁寺」

 

 

〇法堂:法堂(ハットウ)とは - コトバンク

禅寺で、住持が修行僧に教えを説き、指導にあたる建物。仏殿の後方にあり中心的なもの。他宗の講堂にあたる。

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出典:日本の遺産~建仁寺の遺産

 

 ここに双龍図があります。

 

〇位置関係

 

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以上、建仁寺の位置関係について、自分の備忘録も兼ねてまとめました。

 

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