コロコロのアート 見て歩記&調べ歩記

美術鑑賞を通して感じたこと、考えたこと、調べたことを、過去と繋げて追記したりして変化を楽しむブログ 一枚の絵を深堀したり・・・ 

■庭園美術館:アール・デコの花弁 旧朝香宮邸の室内空間

東京都庭園美術館では、「アール・デコの花弁 旧朝香宮邸の室内空間「クリスチャン・ボルタンスキー アニミタス-さざめく亡霊たち」 が行われています。 ちょうど、「アールデコ」という流れが、 その時代にどのような影響を与えているのか。 「モードとインテリアの20世紀」の展示をとおして、 モードとの関係をパナソニックミュージアムで見てきたところでした。 また「アールヌーボ」「アールデコ室内空間の光が、当時はどんな光だったのか、 体験してみたいという希望を持っていたので、今回は照明に絞って見ることこにしました。 同時に、ボルタルンスキーの展示も同時に行われていますが、 それについては、また別の記事にする予定です。

 

 

*本題は 2.「アール・デコの花弁 旧朝香の宮邸の室内空間」より御覧ください。

 

 1.プロローグ・・・来館の歩み

かれこれ、庭園美術館は、今回で5回目の来館になります。 5回も建物を見ているのですが、その時その時で受け止め方が違っていて面白いです。 わかっているようで、わかっていなかったり、見ているようで見ていなかったり・・・以下は、自分の歩みの整理のメモなのであしからず。

 

  *本題は⇒こちら 

 

1-1 1回目 2005年9月

京都庭園美術館|庭園植物記 (2005年9月3日―11月6日)

 

上記HPより

本展は、あらためて日本における植物表現に焦点を絞り、自然観察と写生態度に基づき、描き出された幕末期の植物画ら、 植物をとらえた現代の写真作品までを展示。 そこには芸術性追求した作品だけではなく、:植物の真の姿(本質)に迫ろうとした植物学研究のために 制作されたものも含まれる。 また、生け花という日本独自の文化に魅せられその姿を残す芸術家。 絵画、写真、彫刻、工芸など様々なジャンルの作品を通して、 近代以降の造型表現において、植物がどのような存在であるのかを明らかに。 会期にあわせ、庭園では珍しい変化朝顔を栽培。

 

この時、興味を持っていた展示内容は植物学で、 ボタニカルアートとしての本草変化朝顔でした。   

   

  〇東京都庭園美術館:庭園植物紀展  (2005/09/30)

     ↑ こんな記録が残っていました。

 

建物には、特に関心を示すことなくスルーしていました。 ただ、香水塔の床のタイルの隙間に生えているように見える小さな植物。 これを見て、ベネッセハウスの壁で見た小さな草と似てるなぁ・・・と思っていました。 すると同じ作家、須田悦弘さんの作品だということがわかりました。 また直島で見た彫刻作品と似ているものが庭にある。 と思ったら安田侃の彫刻で、直島で見てきたばかりのものが、 ここでシンクロしている・・・と思っていたのでした。 そして蜷川実花さんの写真展や、土門挙さんの写真に触れ、 写真ってどうやって見たらいいのかよくわからず見ていました。 蜷川幸雄さんの娘さん・・・・  芸術家としての感性の血を、もともとひいているのだろう・・・とか、 幼い頃から、環境が英才教育となって花開くのだろう・・・とか 土門さんはイサムノグチは、接点があったんだ・・・ 自分が知っている人や物事と接点があると、興味を持つことができます。

 

 

1-2 2回目 2011年10月

東京都庭園美術館|アール・デコの館―東京都庭園美術館建物公開― 

      (2011年10月6日(木)~10月31日(月))

 

旧朝香邸の改装工事に入る前の特別展示でした。 しばらく見ることができなくなるため日ごろ、 見せないところも見せてくれるというので出かけていきました。

 

HPより

1920年代のパリでアール・デコ様式に魅せられ、 その建築空間を東京に再現したいと願った朝香宮夫妻。 それを洗練された技術と素材で形にしたフランス人デザイナーと宮内省内匠寮の技師たち。 本展では、旧朝香宮邸室内装飾のこだわりの仕事ひとつひとつをご紹介。 また今回は庭園にも着目し、宮邸時代から今に至る庭園の変遷を写真や映像資料をで振り返る。 本展は工事休館前の最後の展覧会となります。

 

この時、やっと朝香邸がいかなるものかを認識しました。 1933年 昭和8年という時代に洋風なアールデコの建築の中で暮らす皇室の人々。 そして、その中には見慣れたラリック作品が、いくつもあったこと。 ラリック美術館に初めて訪れたのが、2008年。 「ラリックに咲いたシーボルトの「和の花」」]でした。その後、2011年までに、ラリック作品は何度か見ていたので、 旧朝香邸のランプや壁面ガラスを見れば ラリック作品だとわかるようになっていました。 ラリックの作品が、こんなところにつながっていたのかと感慨深いものが・・・

 

 

1-3 3回目 2014年11月

アーキテクツ/1933/Shirokane アール・デコ建築をみる 

    (2014年11月22日(土)–12月25日(木))

 

改装工事が終わり、新規お披露目にでかけました。

 

HPより

[b:1920年代から30年代にかけて世界中で流行したアール・デコ建築]が [b:日本で花開いた作例]として国内外の専門家から高く評価されており、 東京都の有形文化財にも指定されています。アール・デコ建築の特徴は、建築物の外観そのものの造形的な美しさだけではなく、 [b:空間にあわせてデザインされた内装や家具]などにもあります。 「東京都庭園美術館建物公開」では、通常の展覧会の際には展示していない家具やオリジナルの壁紙、 そしてデザインに関わったフランス人室内装飾家アンリ・ラパンや :ガラス工芸家 ルネラリックをあわせて紹介しています。リニューアルオープン後、最初の建物公開である本展では、 3年に及ぶ休館中に行った調査・修復活動をご紹介するため、 朝香宮邸建築に携わったアーキテクツ(設計者・技術者たち)に焦点てをあてて、 この建物が白金の地に誕生するまでのストーリーを追います。 また、現在の職人たちによる調査・修復記録の展示を通して、 歴史的建造物を未来に残す意義について問いかけます。

 

新しくリニューアルされた旧朝香邸。 このころになると、「アールヌーボ」「アールデコ」 どっちが先か迷うこともなくなり、それぞれがどういうものか違いも わかるようになっていた頃です。 改装前に、心して見たつもりでした。が、リニューアル後に見ると、 随分と記憶のかなたに行ってるものが多く感じられました。 建物に興味を持ち初めてはいましたが、まだ、深いところまで知ろうという余裕はありませんでした。 建物のパンフレットをいただいても、目を通すこともないままでした。それでも、これ、ラリックっぽいなぁ・・・・  ラリック美術館で見たことある・・・・ぐらいの 理解ができるようになっていることに満足していました。

 

 

1-4 4回目 2016年2月 (3回)

ガレの庭 花々と声なきものたちの言葉

     (2016年1月16日(土)–4月10日(日))

 

その次の企画は、今年2016年 春の「ガレの庭」です。 兼ねてから、見たいと思っていた北澤美術館のガレ作品が大挙してやってきました。 このガレ展は、かなり気合も入っていて、3回訪れました。 ということは、庭園美術館には都合6回、訪れていたことになります。

 

このころになると、館内の様子もだいぶ把握できて、 館内の意匠なども理解でき、どこに何があるかも、わかるようになっていました。 建物にポイントを置いて、見ることができるようになってきた頃でもあります。

 

また、ガレやラリックのガラス作品が、 光の種類によってどう見え方が変わるのかという展示も他館でされていて、そんな部分にも興味も抱き始めていました。以前、 ラリック美術館では、ガラス作品を自然光の中で時間を変えて見るという試みが行われていました。 [b:自然光で見る作品]という部分に強い興味を持つようになりました。 さらに時間を変えて朝の光]、昼の光夕方の光と興味は広がります。

 

実際にこの展示の2回目に訪れたのは、2月だったので、5時ぐらいになると、あたりは薄暗くなり、夜の照明で見ることはかないました。 しかし、心して見ておらず、なくなんとなく体験したという感じで終わっていました。

 

  ⇒エミールガレ:ヒトヨダケ文花瓶・・・自然の摂理と輪廻] (2016/02/10) 

   

 

1-5 7回目 2016年11月

「アール・デコの花弁 旧朝香宮邸の室内空間」

 

 そして今回の企画は、館内の装飾を中心とした展示と、 ボルタンスキーのインスタレーション的な展示です。 建物を見るポイントはいろいろありますが今回のテーマは「花弁」です。 でも、私は「照明」を中心に見て行こうと思います。 たまたま、ボルタンスキ―のインスタレーション講座が開催される日が、 夜間展示もされていたので、夜の照明をしっかり意識して、 見てこようと思ったのでした。

 

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以上、前置きが大変長くなってしまいましたが、 これまで庭園美術館に訪れ、 その時、その時に、何に興味持って訪れ何を感じていたのか。 漠然としていたので、開催年を確認してみました。それによって その前後には何を見ていて、何に影響を受けていた時期なのか、知識レベルはどの程度だったのか。 そんな関係を自分の中で整理をしておきたかったので、 余計が前置きが長くなってしまいました。あしからず・・・

 

 

 

2.「アール・デコの花弁 旧朝香宮邸の室内空間」

▲香水塔

入り口を入ると、目の前にすぐ香水塔が目に入ります。 ここで、今回の展示の肝ともいえるボルタンスキ―の展示が、どのように行われているのか、事前に行かれた方のブログを いくつか拝見していたので、ネタはばれています。

 

ささやき声が聞こえる・・・・・

 

実際は、ささやきとは思えない声が聞こえてきました。これについては、また別の記事に譲ることにして、隣の隠し部屋のような小客室へ移動しました。

  

 

  

・美の饗宴「旧朝香宮邸」前編 ~庭園美術館に建つアール・デコの館~

                    2016年12月17日(土)放送より

香水塔、上部は光がすけるほどの薄く仕上げることに成功したセーブル製。そこに香水を入れて電球の熱で熱せられ、アロマ効果。香水塔の足元は、コンクリートに漆塗り。壁は朱の漆にプラチナを施してキラキラ。 

 2-1 香水塔横の部屋 小客室

今回の鑑賞の目的は「照明」を見るつもりだったのですが、この部屋で 最初に目を引いたのは壁紙の絵でした。

 

 ▲滝のような流れが見えます     ▲流れを拡大すると・・・

 

壁紙に描かれた「水」の表現に目がくぎ付けになりました。

 

ちょうど、鈴木其一の癸巳西方日記で、実にいろいろな水の流れの表現を見たあとだったので、その違いに愕然・・・・

http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/library/t226/image/02/t226l0038.jpg http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/library/t226/image/02/t226l0046.jpg

 

▼上記のスケッチをもとに描かれた集大成のような《夏秋渓流図屏風》

http://www.museum.or.jp/uploads/topics/topics3561341600a0761816619e8cb5fdd588.jpg

(出典:インターネットミュージアム)

 

壁紙の水表現と、上記の水表現を比較すると、同じ「水」だというのに、こうも、とらえ方が違うのかと感じさせられました。日本から依頼されたということもあって、一生懸命、日本を意識して滝を描いたようにも感じられます。しかし、 明らかに日本とフランスの水のとらえ方の違いを、見せられた気がします。

 

壁をぐるりと一巡してみます。

  

▲正面          ▲コーナー        ▲出入り口の壁

 

 かつての日本人が表現してきた「水」とは似て非なるものです。

其一が影響を受けたと言われている北斎や応挙などの水流表現を例にあげます。

 

北斎

f:id:korokoroblog:20161130004944p:plain f:id:korokoroblog:20161130005031p:plain

▲東都葵ケ丘の滝      ▲木曽街道おのの瀑布

 

 〇応挙

http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/120128/images/p001.jpg

保津川図屏風

 

 

日本人は水の表現が非常に巧だと 浮世絵を通して知りました。この壁紙の絵を見てそのことを納得させられました。 聞けば、フランスのアーティスト、アンリルパンが描いた壁紙だそうで、この壁紙は キャパス地に油絵具で描かれているそうです。 彼は、隣の香水塔をはじめ、一階の内装を担当しています。 

 

2-2 間接照明と壁の構造 そして光の反射

小客室を出て香水塔の部屋の照明を見て、最初に飛び込んできた照明。 ここの照明は、こういう形の間接照明だったことに今さらながら気づきました。この部屋は何度も、何度も、出入りしてきたはずなのですが・・・ ここに照明が点灯しているのは初めてだったのでしょうか?

 ▲香水塔上部の間接照明

この時代に、このような間接照明が日本にあったというのはびっくり! 一般家庭にはまずなかっただろうとのこと。日本で最初と言っていいでしょうか?  アールデコ時代のフランスならではの照明といえるのでしょう。

 

 

〇照明の光を反射する天井のレリーフにも注目

  

 ▲窓側は窓のカーブに合わせたR構造   ▲反対側は直線

 

これまで、ずっとラリックのブドウのランプ・・・・だとばかり思っていました。《パイナップルとざくろだということを今にして知りました朝香宮邸にラリック作品が納められているということを知ってから訪れた時、このデザインを見た瞬間、ラリックだ! と感じさせられた作品です。

しかし、天井の構造にまでは目は向いていませんでした。中央のランプの他に、壁際に間接照明が施されていて、壁にはレリーフを刻みながら緩やかなR形状になっています。この天井によって複雑な光の反射効果が得られているのだろうと考えられます。

他の部屋にもいろいろな形で間接照明が取り入れられていました。そして その照明が照らす天井の形状も、いろいろな計算の上で、照明効果を狙っているのだろう ということが想像されました。

  

・美の饗宴「旧朝香宮邸」前編 ~庭園美術館に建つアール・デコの館~

                    2016年12月17日(土)放送より

漆喰は渇くまでに時間がかかり、重力で垂れやすいため角を出すのが困難なのだそう。しかし、当時から左官の技術は、西洋のモールディングや曲線などを再現しており、アールデコの天井の難しい角やその交点の仕上げにもその腕をふるったのだそう。

 

2-3 ラリック作品:シャンデリア・レリーフ・ラリック美術館

▼大客室のシャンデリアブカレストもラリック作品です。 

ラリックらしさが漂う照明です。

つりさげる天井もカーブとレリーフが施されていてます。

 

庭園美術館のHPで見た画像

http://ryo1216.c.blog.so-net.ne.jp/_images/blog/_4d3/ryo1216/m__MG_3018-bbdba.JPG?c=a0

(出典:アールデコの館、東京都庭園美術館4 照明:カレイドスコープ -photo message-:So-netブログ

 

この照明はどこにあったのだろう・・とずっと考えていたのですが、どうやら上記のシャンデリアを真下から撮影した写真だということが、帰ってきてからわかりました。あんなに複雑な構造をしているのに、真下から見るとこんなにシンプルなデザイン。どから見ても、デザインとして成立させてしまうところがお見事!

 

 

▼正面玄関 ラリックのガラスレリーフ

見てすぐにラリックとわかる作品でした。が、朝香宮邸のための新作だったそうです。一点物、そしてこの大きさはラリック作品でも貴重。大広間側のレリーフが割れてしまっています。これは、殿下が・・・・という話を耳にしたことがあります。

 

この玄関のパネルや照明器具を作成されたのが、1993年 ラリック67歳の時のこと。ということが、ラリック美術館の展示でわかったと語られていた方が・・・

 

  〇ラリック美術館内に素敵なレストランを発見!

 

コロコロ

コロコロ 2011/12/18

 

マダム・チェッチーリア様が、ラリックに訪れ、朝香宮邸の照明の
制作年を知ったことに驚かれたように、
こちらを訪れて、かをりの創業年がわかったことが驚きでした(笑)

そして私はラリック美術館に訪れたとき、
以前、何もわからず見ていた朝香宮邸の作品が
ラリックだったことに驚きを感じました。

先日、改装のための休館前、
改めて朝香宮邸を訪れました。

 

  〇オリエント急行の旅とティータイム 時を超えて

    ↑ 旧朝香邸を訪れる前に見ていたラリック作品

     オリエント急行のサロンカーにて・・・

 

2016年「ガレの庭」展では、「ラリックの邸宅にガレをお招きする」 というコンセプトだったと言います。入り口を入ったら、まずはラリックのガラス作品がお出迎え・・・という粋な演出となったと伺いました。

 

  

2-4 タイル:玄関 妃殿下の居室

 

▲エントランスのタイル      ▲妃殿下居室 布目タイル

 

玄関のラリックによるガラスレリーフ作品の下の床には上記のようなタイルが敷かれています。妃殿下の居室には布目タイルで「泰山タイル」と言われているものです。他にもバルコニーやベランダなどにも使われていてます。色合いや表面加工がなされ美術タイルと言われていました。アールデコの特徴でもあるのでしょうか? これらのタイルは、デジャブ感があります。 起雲閣のバルコニーのタイルと同じような雰囲気を感じさせられました。  

 

 

  

・美の饗宴「旧朝香宮邸」前編 ~庭園美術館に建つアール・デコの館~

                    2016年12月17日(土)放送より

エントランスのタイルは宮内庁、匠寮によるもの。ラッリクのガラス作品の後光のような光と呼応させており、フロアにつながっているとのこと。

 

2-5 その他照明:大広間 2階広間 小食堂

照明 各部屋、趣向を凝らされた照明器具が設置されています。

 

〇大広間

  

▲40個の半円球照明    ▲真下から       ▲鏡の効果を利用

 

 

▲2階広間            ▲小食堂 

 

 

2-6 照明はLED? 白熱球?

ちょっと気になったことがありました。

▼今風のLED照明が追加されているところがありました。

 補助的に追加されたのでしょうか?

 

そして、これまでのアールデコ時代の電球は、リニューアルによってLEDの 白熱タイプに変わったのでしょうか?  LED照明は技術開発により、色の幅が広くなり、白熱タイプのものが登場しています。最近の美術館は、どこも趣向を凝らしたLED照明が使われているようです。庭園美術館の場合は、リニューアルの際、LEDに 切り替えたのかどうかにとても興味がありました。

 

この施設の性格上、LEDは取り入れず、 昔のままの白熱球を使うのか・・・・

監視スタッフの方のお話を伺うと、LEDを使っているとおっしゃる方もいれば、 白熱球のままだと答えられた方もいらっしゃりはっきりしませんでした。その後、ボルタンスキ―のセミナーを受講した際に、学芸員の方に伺ったところ、LEDの白熱タイプを使っているとのことでした。 やはりエコの観点から、LEDを使うのだそうです。

 

往年の時代を再現・・・・・ というテーマを持った館。しかし文明の利器、今の技術も取り入れながら展示がされるようです。 アールデコ時代の室内照明はいかなるものか・・・を先日行われていた「モードとインテリアの20世紀」をきっかけに、体験したいと思っていたので、よい機会となりました。

この時代の照明は、想像していた以上に、明るく感じられました。もっと暗くて、一部のスポットのような照明だと思っていたこともあり、 部屋全体が照らされていたことを知りました。最も朝香宮邸は、昭和の時代に入っていたわけですが・・・ (暗い部屋については、補助照明が追加されています

 

 

【追記】2016.12.1

2-7 建物、インテリア、造作物に着目した鑑賞

これまで、7回に渡り、庭園美術館に訪れてきましたが、照明にここまでスポットをあてて見学をしたのは初めてです。最も、これまでは昼間の見学だったので、照明の様子は見ることができなかったということもありますが・・・・ また、他の企画テーマの作品があると、どうしてもそちらに気が寄せられてしまいます。

 

企画展示のない庭園美術館は、朝香宮邸の様子がダイレクトに伝わってきます。展示作品で覆われて、見えにくくらくなっていた、室内の骨格(?)がはっきり見えたように思います。このような建物を主体にして見せてくれる展示は、さえぎるものがなくその時代の空気を伝えてくれ、そこでの暮らしぶりも浮かびあがってきます。そんな空間にこだまする亡霊たちの声・・・ その組み合わせは、またとない舞台を得たように思いました。

 

建物にスポットを当てた企画展は、定期的に行われているようです。建物やインテリアをテーマに集中して探訪するのも一興です。また、照明を堪能するには、夜間展示を狙うのが絶対条件です。昼から夕暮れ、そして夜・・・ 光の変化に浸りながら、壁や空間にしみ込んだ、この場所に集った人たちの声に耳を傾ける。今回の企画は建物や内装の見学の邪魔をしない、ボルタンスキーのインスタレーション展示もあって、一粒で二度おいしい企画展です。

 

  

3.【参考】庭園美術館のライティングに関するプロの情報

vol.362 香水塔に隠された白熱電球の秘密 | 【日日の光察】 アーカイブ

vol.355 今、東京都庭園美術館の照明を見ておくべき理由 | 【日日の光察】 アーカイブ

vol.360 その場だから感じられること ー アール・デコのあかり | 【日日の光察】 アーカイブ

 

 

■【関連記事】庭園美術館 アールデコ 

■庭園美術館:ボルタンスキー「アニミタス-さざめく亡霊たち」

■庭園美術館:アール・デコの花弁, 旧朝香し宮邸の室内空間 の検索結果 

■エミールガレ:ヒトヨダケ文花瓶・・・自然の摂理と輪廻

 

■【関連記事】展覧会関連プログラム

▼今回の企画に際して行われたインスタレーション講座のレポートです。