コロコロのアート 見て歩記&調べ歩記

美術鑑賞を通して感じたこと、考えたこと、調べたことを、過去と繋げて追記したりして変化を楽しむブログ 一枚の絵を深堀したり・・・ 

■ヘレンド展:超絶技巧は、日本だけじゃない! ヘレンドの透彫り

インターネットミュージアムにて、パナソニック汐留ミュージアムの「ヘレンド展 ―皇妃エリザベートが愛したハンガリーの名窯」展のプレス内覧会のエリアレポートが掲載されました。御覧いただけましたら幸いです。

 

パナソニック 汐留ミュージアム
「ヘレンド展 ― 皇妃エリザベートが愛したハンガリーの名窯」
| インターネットミュージアム

 

 

 ■ヘレンドの歴史を一望

こちらは、プレスリリースに掲載されたヘレンド窯の年譜です。

            【章立】 【西暦】 【ヘレンド窯の動き】 

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7章構成となっておりますが、その年代と、経営者などが一目で確認でき、年代区切りも一目できるすぐれもの。ちなみに、2章、3章は、2部構成になっています。

 

また、章の構成に合わせて、壁が色分けされていました。

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■コンパクトで手になじむ図録 解説に写真あり!

そして図録と「章」はこんな感じで対応していて

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図録の解説ページは写真入り というサービス精神旺盛の構成

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章のインデックスを、本編のインデックスに合わせてつけておくと、見たいページがすぐにひけます。

 

 

■撮影コーナー

ヘレンドの代表的な食器、「アポニー・グリーン」はテーブル右側の手前のティーポット。これだったら見たことあるという方も多いのでは?

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                      ↑ 「アポニ・グリーン」

こちらは撮影自由。ヨリの写真がOKかわからなかったため、拡大できませんでしたが、撮影可能とのこと。カップの高台の部分にある模様が、昔から今に連綿とつながるモチーフだそうです。展示と合わせて探してみては?

 

1階 ショールムには、1851年パリ万博に出品された「ヴィクトリア」シリーズが展示。蝶や花がモチーフの食器は今も販売され購入可能。

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スープポットの蓋の取っ手にも注目!  何のモチーフでしょうか?

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レモンでした。

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 美術館内にも工夫をこらしたスープポットの取っ手がいろいろあります。

上記のレモンのような取っ手

3章-2 No.112 《色絵金彩「ビクトリア」文スープ鉢》(図録p166)と同じような取っ手がついていますのでチェック

 

持ち手の精巧な作りも見どころです。

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↑ 2章-2 No.35 《色絵金彩「ヴィクトリア」文スープ鉢》

1階ショールームで展示されている「ヴィクトリア」シリーズ。1851年、ロンドン万博のためにつくられたものが展示室にあります。この出品でヴィクトリア女王の目にとまり、ウィンザー城用にディナーセットを注文。それによって国際的にヘレンドの名が知られ渡ることになりました。

 

そんな器を、ショールームで展示? しかも撮影OKにしていいの? 

 

と思っていたら、この文様はヘレンドの代表として、今尚引き継がれているそう。実際に購入も可能だそうです。そんな関連性が、1階のショールーム展示と展示室の展示となってたようです。

 

パリ万博1位の「ヴィクトリア」をぜひショールムでも‥‥

 

 

■展示の裏話 

もう一つの見どころ

 

この壺の展示にあたり、学芸員さんと同行されたハンガリーのスタッフの方で、「そっちの向きは傷あるからNG」「こっちの向きはいいけど、歪みがあるなぁ…」でもこれでいいでしょ…という感じで決まったそう。

 

ところで、ハンガリーではどの向きで飾っているのでしょうか? 特にそのあたりにこだわられた様子はなく、パナソニック汐留ミュージアムの空間や光に合わせ、一番いい向きを選択されたらしいです。借物の展示の場合、展示方法は、借りた先の同行者の意向に合わせるそうです。

 

両方とも口をあけている飾りものも要チェック。他の飾り物は「阿吽」? それとも同じ「阿阿」? そのあたりも、東洋と西洋の違いとして比べてみると面白いです。

 

 

■テーマ選び裏話(【追記】2018.1.27)

〇美術の企画も日本上げ(ジャポニスム)が目白押し?

美術展も最近、「日本ってすごいよね‥‥」という企画が重なっています。

国立西洋美術館「北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」 | インターネットミュージアム

 

 

なんだかんだ言っても、日本人上げはうれしい。今回も「ジャポニスム」にスポットをあて、「柿右衛門」あたりでまとめようと思いながら鑑賞していました。ところが会場で「ジャポニスム、そろそろ飽きてきた‥‥」という声を耳にしてしまいました。

主催側は、それだけではなく、見て欲しいところは別のところにあるのですが、表面的には「日本上げ」をしているように見えてしまいます。裏メッセージとして、そのアレンジ力、想像性にも注目してという思いが込められているわけですが‥‥(西洋美術館の館長さんも、インタビューでそこのところを強調されていらっしゃいました)

 

〇「日本すごい!」への警鐘の声

とは言え、私のレポートもジャポニスムが続き、マンネリかな…とは思っていたところでした。しかし、なんだかんだ言って「日本リスペクト」ネタは、耳に心地よいから受けると思うし‥‥  しかし、日本上げのテレビ番組に対して、こんなことを語る方を目にしていました。

また、失念しましたが、この社会現象は、確か東日本大震災のあとに多くなり、なぜこういう番組が多くなったかについて考察されていた方も見かけたことがあります。「北斎ジャポニスム」に対する声も、似たような視点のコメントをチラリホラリと散見されました。

 

〇テーマを何にしよう?

ジャポニスム」‥‥ 世間的に外から観たら、美術界もこのネタに頼り始めたのか。そんなふうに見る方もいらっしゃるのだろうな‥‥と。そこで、ヘレンド展は、ジャポニスムから離れ、透彫り技術にスポットを当てることにしました。

 

 

パナソニック 汐留ミュージアム
「ヘレンド展 ― 皇妃エリザベートが愛したハンガリーの名窯」
インターネットミュージアム

  

とりあえずテーマ変更するにあたり、考えられる「項目」をリストアップして、タッグをつけてみました。

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 「透彫り」「セーブル・マイセン」「柿右衛門」「スープポットの取っ手比較」「ウェールズ」「ヴィクトリア」あたりでまとめられないか? キーワードに沿って該当部分に付箋をつけてみると、思いの他、作品が少ないし撮影した写真がない。ということで、「透彫り」に決まりました。