三菱一号館美術館で、「パリ グラフィックロートレックとアートになった版画・ポスター展」が開催されています。ブロガー内覧会が開催され参加させていただきました。しかし、ロートレックのことを知りません。そこで「知識0からの鑑賞」 会場でまず「何が目につくのか」というファーストインプレッションに沿ったレポートをしてみようと思います。
*掲載の写真は主催者の許可を得た上で撮影しております。
■複雑な構造の三菱一号館美術館
三菱一号館美術館って、訪れたら必ず迷います。自分のいる場所がわからなくなります。ここの内覧会に参加したのは、3回目でしょうか? いまだに建物の全貌がわかっておらず、自分がどこにいて、何を見ているのか、そして、危うく見逃してしまいそうになるエリアがあったりします。
18:00~ 受付開始後、自由鑑賞
18:30~ ギャラリーツアー
いつも上記のようなスケジュールで進められるのですが、今回はギャラリーツアーが始まる前の見学は、写真撮影はせず、まずは「全部を見て回る」こと「全体の構成がどうなっているかを把握」すること。そしてロートレックについては、「なんだか見たことがある」程度の状態から、解説を読まずに館内をウォーキング鑑賞して、何が目に止まるのか。それを確認してみました。
ロートレックの素性も年譜も、どんな作品を制作していたか知らない中で、何がフックになるのか。自分の興味が何に反応するのかというウォッチも兼ねて‥‥ そして、興味を持った部分は立ち止まって解説を見たり、その後、解説していただいたこと、調べたたことを加えてレポートしていきます。
■30分の館内散策で目にとまったもの
〇ここはどこ? パリの街並みが再現されてるみたい・・・
▲ パリの街並み、ストリートにでも入り込んだかのような演出です。
▼展示作品の背景も、パリの街並みの写真‥‥こうした展示は珍しい? 街中にポスターが貼られているようです
右: アリスティド・ブリュアン、彼のキャバレーにて 1893
中央: エルドラド、アリスティド・ブリュアン 1892
左: コーデュー 1893 すべてアンリ・ド・トゥールーズ・ロートレック
〇音楽が聞こえてきました
このエリアは音楽が流れています。この曲は何かしら?
壁にちゃんとパネルで表示されています。
当時のパリの街並みが再現され、その時代に流行っていたと思われる音楽が流れています。目だけでなく耳からも、時代をタイムスリップして1800年代後半、活気づくパリ、庶民の暮らしの中にワープします。
美術館で音楽‥‥ 初めてかもしれません。なんだか心地よかったです。
〇ここで頭に浮かんだキーワードは
【ベルエポック】ラリック美術館で「ベルエポック」という言葉を知って、その後も何度となくこの言葉を目にします。その都度、調べてみるのですがイマイチよくわかりません。でも、この展示の時代、ベルエポックの時代のような気がするなぁ‥‥
【ミュシャ】 ミュシャとも同じ時代なんじゃないかなぁ・・・あとで調べてみよっと
【ムーランルージュ】ムーランルージュってよく聞くけど、それは何?
【ボナール】ボナールは・・・ 人名っぽいけど?
【北斎】「北斎とジャポニスム」でロートレック展示されてたなぁ・・・ ここにあるポスターの中に同じものがあるのだろうか。どうも見覚えがあるものがないけど・・・・
【ロートレック】そもそもロートレックって誰? 名前を聞いたことあるような気もします。でも北斎展で見たから知っているような気もするし・・・
そんなことを頭に浮かべながら一歩、壁の裏に回るとそこは・・・・
〇エリートの世界
この企画展のサブテーマは《エリート(知的階層)からストリート(大衆)へ》(from elite to the street) です。前出のように街中に大型ポスターが貼られて、人気を博すとはがされてコレクションされるようになりました。
それ以前、版画は格下に見られていました。美術品の中でもエリートの位置づけだった絵画が知的階層の間で楽しむものでした。やがて版画の技術も向上し台頭してくると、その地位も向上。エリートの間でも版画がコレクションされるようになってきました。
1章と2章に立ちはだかる壁は、「エリート」と「大衆」を分かつ壁。あるいは古くから存在した「絵画」と「版画」の壁。向こう側の世界が「エリート」を表すという凝った演出です。この壁を超えて流れ出していく様子も示唆しているのでしょうか?
▼1章:大衆への広がり ▼2章:エリートの抱え込み
壁の外の世界 壁の内の世界
「大衆」と「エリート」
この演出とあいまって妙に心に刺さるキーワードになりました。
よし、今回のテーマはこれだ! エリートの版画コレクションの妙・・・・・ これを中心に、レポートすることにしよう。
〇時代の背景
この企画は、世紀末(1880年~1900年代)のポスターや版画(グラフィック芸術)に焦点をあてた展示です。この時代は産業の発展などに伴い、芸術の世界もブレイクスルーをおこした時代と言えます。
絵画の世界の技術革新は、リトグラフ(石版画)の発明によって、大量の複製が可能となりました。
▲石版画の版が展示されています
エリートの世界に留まっていた芸術(絵画=ファインアート)が、リトグラフという版画によって大衆へと広がりを見せました。
さらに版画の表現方法は急速な進化をとげ、これまでの低い位置づけで見られていた状況から、創作芸術として確立し、エリートの間でもコレクションされるようになって広がっていきました。
このあたりを抑えておくと、「知識0」からの鑑賞でも、なんとなく全体の理解ができてきます。
街中のポスターは大型化しましたが、エリートのコレクションはそんなに大きなものを飾ることができなので小型の作品が主流となったようです。しかし、その後、揺り戻しがおきました。大衆に向かった版画はどうなったのでしょうか‥‥ それについては2章の後半、2階あたりから展示されています。
〇ここはどこ?(3階)
「大衆」の世界から「エリート」の世界へ‥‥ エリートはこんなものを好みました。という展示を経て、同じ3階の奥の部屋に移動します。クリスマスイルミネーションが見えるクランクした通路の外を見ながら‥‥
次の部屋に行く頃には方向感覚を失い、ここはどこ? という状態になってきます。
〇フロアマップ発見!
今回は、廊下の壁を見ていると、自分の位置を示すフロアマップがありました。すでに見たエリアは「グレー」で塗りつぶされ、これから見るエリアが「ピンク」 これはわかりやすい!
現在状況が一目でわかります。今、どこにいるのか。そして、どれだけ見ていて、あとどれくらい残っているかが一目瞭然。ペース配分するのに役立ちます。得てして最初のエリアに力を入れてしまいがちになります。(これまでも表示されていたのかもしれませんが気づきませんでした) しかし次のブースに入ると・・・
このエリアは部屋が4つに分かれています。一つ一つの部屋を順に回って、一巡するのですが、回っているうちに方向感覚を失ってしまうのです。(私だけ?)
↓
ところでこのエリアは何章なんでしょう? 表示がないようです。新たな章になったのかしら? まだ2章は続いていました。
ぐるりと周回するエリア(3F)を出ると、上記フロアマップの白い部分になりますが、写真撮影コーナーです。 ⇒【*1】
煉瓦の壁に移る影がいい感じのフォトスポットも。「パリ♥グラフィック展」@三菱一号館美術館 を投稿しました。 #エキサイトブログ https://t.co/uCRmMPXJsx #パリグラフィック #ロートレック #三菱一号館美術館 pic.twitter.com/KBJj1wYQv2
— Y (@eye4you_y) 2017年11月12日
その上にもちょっと注目! 天井を見上げると‥‥
建物の内部構造を見ることができます。この建物はジョサイア・コンドル設計です。お雇い外国人だったコンドルは静嘉堂文庫美術館でも岩崎家のお墓を設計しています。(⇒〇岩崎家霊堂(岩崎家玉川廟))(⇒■河鍋暁斎とジョサイア・コンドル)コンドルの建物にも興味があるので、ここはまた改めて要チェック・・・
そしてそのお隣に移動すると資料室が‥‥
図録や関連図録がここにまとめられています。ちょっと図録を見たいと思っても、他館だと暗いしチェーンにつながっていて見にくいし、一人しか見ることができないため、先客がいると待つか、他の場所を探すか‥‥とちょっと不便さを感じていたので、これはナイス!
そしてこんな本が紹介されています。『エグゼクティヴは美術館に集う』 この本、知ってます! いろいろ思うところがあって以前、記事にしたことがある本です。⇒『エグゼクティブは美術館に集う』を読んで ①思索的に読む』
さすが、東京丸の内にある美術館。ビジネスマン向けの書籍が参考図書として紹介されるのですね。東京ステーションギャラリーでは朝の鑑賞会もやってるし… (⇒京朝の鑑賞会[館長いよる開館前のギャラリートーク])と思ったら、三井一号館美術館でも早朝鑑賞が行われているようです。
⇒『パリ♡グラフィック ロートレックとアートになった版画・ポスター展』
三菱一号館美術館に行ってきた! –
この書籍紹介コーナーを見てそんなことを思っていたのですが、今回のサブタイトル「エリートから大衆へ」にひっかけた参考図書だったのだということに気づきました。
〇今は何の展示?
そして2階に移動します。またフロアマップがありました。
3階から階段を下りてくると上記のマップのグレーの部分、2階右手の部屋の前にでます。そして隣の部屋に移動します。またまた、このエリアは何章なのでしょうか? 章の表示がありません。どうやらまだ2章が続いているようです。
このエリアの鑑賞が終わると、廊下を渡って新しいエリアへ移動します。クランクした廊下でまた方向感覚を失いながら‥‥ 入口に版画が見えました! 印象的です。
入口部分にある版画 ↑ このあたり
その先は・・・・ この一帯も2章でした。(いくらなんでも2章 長すぎ! (笑))
〇浮世絵コーナーも2章!
そして最後のブースには、ゴッホがコレクションしていた日本の版画が展示されています。(これはゴッホが本当に所有していたもの。ファン・ゴッホ美術館からの借り物です)
その奥の細いコーナーには、「書斎にいる文筆家、芸術家の写真」が
危うく、ここ見逃しそうになりました。
さすがにここのエリアは、新しい章立てになっているだろう‥‥ と思いきや、ここもまた2章なのです。いったいどれだけ~ という感じです(笑)
「大衆」に対して「エリート」が所有したロートレックを初めとする版画。エリートの好みはいかに?! と思って見てきたのですが、見ても見ても終わりません(笑) この企画、2章だらけ‥‥ エリートの趣味・嗜好がこれでもかと堪能できる企画なのでした。
■企画の「章割」と「フロア割」
そんなわけで今回のロートレック展の「章割り」と、三井一号館美術館の「フロア割」がどう対応しているかを頭に入れて見ないと、自分がどこにいるのか、今、何を見ているのかがわからなくなります。章別に色分けしてみました。
【1】「はじめに」があって ↑
【2】「1章」はここだけ ↑
【3】 残りがぜ~んぶ2章なのです ↑
途中、この本が紹介されていて変化球を投げ(オレンジ色部分)
そこから、2階に降りても全てが2章
↑ そのあとも2章
エリート趣味をピンポイントでまとめようと思いながら見てきました。ところが、あまりのボリュームに、これだけの量を、エリート趣味でまとめるのは大変‥‥
3階から続いていて2階もすべてが2章なんです。この一連の「エリート」の部分は、さらにどうカテゴライズされていたのでしょうか。もう一度、追わないと把握ができません。
やめた! テーマ変えよっと! そうだ、この戸惑いをレポートすることにしよう‥‥
〇展示作品を入口で導入に
入口にあった印象的な版画は、下絵とともに展示されていました。
《アムール(愛)》表紙 下絵 モーリス・ドニ作
婚約者マルトへの愛を版画にしたものです。
知らない作家であり絵ですが、つい数分前、入口に掲示されているのを見ました。するとそれがフックとなり「あっ、あれだ! 見たことある! 知ってる!」となって、この版画の前で足が止まるのです。
〇大型ポスターがなぜエリートのエリアに?
街中に貼られていた大型のポスターですが、このエリアにも展示されいます。
エリートのコレクションは小さかったはず・・・ 何で大きなポスターがこのエリアに展示されているのでしょうか?
当初は、小さなものを飾っていたようですが、次第に街中を飾っているような大型のものを欲するようになり、引きはがして飾っていました。(引きはがしていたのは大衆ではなく、エリートだった!? ←わがままな人たち! )しかしそうしたエリートの需要にこたえる制作がなされます。エリート向けの大判ポスターが制作されたのでした。
エリートのあくなき所有欲が、版画制作を変えていきます。そして一度は大衆に解放されたかに見えたのですが、逆戻りしてしまったようです。それと同様な歴史、日本のアートシーンでもあったなぁ‥‥ ⇒【*2】 ⇒【*3】
時代の流れ、歴史というのはどこか共通している。アートはそんことを教えてくれているのかもしれません。
〇ゴッホの版画もエリートのコレクションカテゴリ
さらに最後の版画紹介(黄色)のコーナーも2章です。
↑ ここ 版画コーナー
「エリート」が所有した版画ということで、エリート中のエリート、ゴッホが所有したコレクションが展示がされているのでした。
▼こんな屏風の展示もあります
これはボナールが制作した版画でできた屏風です。エリートは希少価値の高いものをコレクションしていました。
他にも、このようなものが・・・
▼《星への歩み》ポストカード
版画集にポストカードがついています。そういえば現在、刊行されている「ニッポンの国宝100」にもポストカードがついてましたっけ…
このエリアのBGMは‥‥ 牧神の午後への前奏曲(ドビュッシー)
なんだかこの音楽が妙にマッチしていました。夕暮れ時に向かう午後の気だるさの中でマイコレクションをひそかに眺めうっとりするのにぴったりの曲?
でも、最後のエリア、展示物の関連性が、今一つよくわかりませんでした。
■章構成
以上のように展示のほとんどが2章であるということを、鑑賞する前にざっくり把握することができました。
〇はじめに:崇高(ハイ)から低俗(ロー)まで
〇第1章:庶民(ストリート)向けの版画
〇第2章:知的階層(エリート)向けの版画
2章の内訳はこんな感じになっていました。
・室内の闇
・交流の場
・密かなる書斎の楽しみ
・世紀末の室内
・連作
・収集家の室内
・ファン・ゴッホの浮世絵コレクション
最後のブースは「収集家の室内」というくくりでまとめられていたようです。
▼連作
色を変えた連作物は、摺数も少なく非常に希少性も高くて高価。となればエリートの間ではもてはやされました。
というわけで長い長い2章でした。「エリート」の知られざる趣味、好み、めくるめく淫靡な世界を、邸宅のような美術館で、密にのぞき見するような気分を味わいながらの鑑賞‥‥ なかなかシュールかもしれません。
日本でも上流階級に伝わる淫靡な世界があったと聞きます。また浮世絵もエリートから大衆に広がったメディアでした。日本に春画があったように、パリにもそれに匹敵するものがありました。
ベルナールが、リトグラフで挿絵を入れています。なんとこれ、複製で手にさわって他のページを見ることができます!
エリートのわくわくドキドキ感の体験・・・・・
紙質は同じものなのかなぁ・・・と思ったら、その当時と同じというわけにはいかないようです。しかし製本の様子が妙にリアルに再現されています。昔の本って何度もめくっているうちに、こうしてばらけてしまいましたよね。
ってことは・・・・・ この本、何度も、何度もめくったという形跡ということです。
こうして特別のものを所有したい。一人で楽しみたい。古今東西、人間に共通した性なのかもしれません。
■時代の息吹を反映するアート
ポスター、版画が庶民に浸透した時代の背景には、
1900年 第2回 オリンピック
1900年 パリ万国博覧会
1903年 ツールドフランス パリで開催 などがありました。
産業の発展とともに、大きな世界的イベントもパリで開催されました。その告知としての役割をポスターや版画は担っており、時代の要請で進化していったことがわかります。
日本の国も、1964年のオリンピックの際には、言葉の壁を超えるためのサイン、デザインが確立されたと言います。2020年にも、きっと新たなアートシーンがお目見えするのだろうと、過去ー現在ー未来の予感までもさせられます。
三菱一号館建物着工は、1894年。ロートレックと同じ時代を共にした建物の中で展示されるポスター類は、なじまないわけがないのでした。
いかに告知して人の心をつかむか。三菱一号館美術館周辺のロートレック関連ポスター
そしえ三菱一号館美術館は、新たなイベントが開催され人の心に投げかけようとしているようです。
■イベント
〇「思いやりウィーク」→障害の有無にかかわらずお互い思いやりを持って鑑賞
〇トークフリーデー→声の大きさを気にせずおしゃべりしながら見ることができるそう
■展覧会概要
■関連サイト
〇SNS関連
〇ブログ
〇『パリ?グラフィック―ロートレックとアートになった版画・ポスター展』レポート 思わず立ち止まる“路上の芸術”が集結(SPICE) - goo ニュース
〇三菱一号館美術館「パリ♥グラフィック」展 の自転車ポスター - Mas Ciclism
〇三菱一号館美術館で開催されたパリグラフィック展が最高に面白かった件 - 28歳から目指すフリーランスLIFE!
〇「パリグラフィック ロートレックとアートになった版画・ポスター展」@三菱一号館美術館内覧会へ - ぐらっぱ亭の遊々素敵
〇テレ朝メルマガ 編集部ブログ | 三菱一号館美術館の安井学芸員が教える ロートレック、ルドン、ヴァロットンの楽しみ方
〇パリグラフィック展〜あの頃のパリに行けちゃった感想〜 : アートの定理
■脚注
*1:■SNS用の撮影コーナー
ここで、写真を撮って広めてね・・・ という美術館が用意したスポット。多くの人がここで撮影する場所。と思ったら、そこの撮影はスルー。抑えとしての写真もありませんでした。ところが、レオナルド&ミケランジェロ展の時には撮影しているんです。タッチの拡大写真を納めたかったから。撮影可のコーナーで何を撮影するか‥‥このあたりにも、自分のモノのとらえ方が現われるのだなぁぁ・・・と妙に納得(笑)
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日本の工芸について尽力した浅井たち。一時は、復活させることができたようですが、また揺り戻しがあったとどこかで見たのですが・・・
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*3:■過去も未来にもみられる「揺り戻し現象」
■告知:第11回 shiseido art egg」によせて(資生堂ギャラリー) より
写真の発明によって絵画の存在意義が問われるようになりますが、絵画にしかできないことを模索した歴史。フイルムからデジタルへ・・・ しかしデジタルが蔓延するとフイルムのよさが見直されます。音源もデジタル音源からアナログへの見直し。LPレコードの見直しなど、進化が進むと必ず、過去への揺り戻しが起こるというのは、世の常なのかもしれません。
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*4:■「牧神」つながり
怖い絵展でチャールズ・シムズの≪小さな牧神≫という作品がありました。
出典:怖い絵展〜時空を超えて共感する痛みの感想〜 : アートの定理
これを見て「牧神」が半人半獣の神のだったことを始めて知りました。この絵を見た時も背後に「牧神の午後への前奏曲」が流れているのを感じていたのですが、もしかすると一連のロートレックの版画の中に「牧神」が描かれていたのかもしれません。
ちなみにこの《小さな牧神》がなぜ怖いのか・・・ 私が解説やタイトルも見ずに想像したのは「食べようとしたお皿にのったお料理の牛が、食べられるのを嫌がって、お皿から元の牛にもどり、逃げていこうとしているシーン。それを擬人化している。ごちそう(食)も、タイミングを逃すと、食べ損ねてありつけなくなる。飽食がいつまでも続くと思うな・・・という示唆。この先、食べられなくなるかもしれないという怖さと表裏一体であることを表現しているのだと思っていました。
⇒ この時、とってもお腹がすいていて、何かを食べたい。でも食べられない・・・ そんな状況でした。 半人半獣は肉が化けた姿と理解したのは、私の食べたいのに食べられないという意識だったのでした。この半人半獣が「神」であることを知らないと、「肉が逃げていく状態」と理解してしまうというのは、おもしろかったです。)
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