コロコロのアート 見て歩記&調べ歩記

美術鑑賞を通して感じたこと、考えたこと、調べたことを、過去と繋げて追記したりして変化を楽しむブログ 一枚の絵を深堀したり・・・ 

■大徳寺・龍光院:曜変天目茶碗を所蔵しているのはどんなところ?

大徳寺は多数の文化財を所有しており、その一部は博物館などに寄託されています。サントリー美術館「狩野元信展」の《四季花鳥図》は大仙院、永徳の《花鳥図襖》は聚光院。国宝展の目玉《曜変天目茶碗》は龍光院の所蔵です。永徳の襖は国宝展でも展示されています。そんなわけで、今回の国宝展とは切ってもきれないお寺、大徳寺に訪れてみることにしました。

 

 

 

大徳寺の全貌

「大仙院」「聚光院」「龍光院」といろいろな名前が出てくるのですが、それらがどのような構成になっているのかが今一つよくわかりません。建仁寺に何度か訪れているので、お寺というのは、いくつかの塔頭(たっちゅう)と言われる、小さな(?)お寺で構成されていることは理解してきました。

 

大徳寺の場合、その全体像がどのようになっているのか調べてみても、その全貌がよくわかりません。大徳寺のHPがみあたらず、臨黄ネットの中で本山としての紹介にとどまっていました。(⇒山内図がpdf提供されていました)

 

 

大徳寺山内図

大徳寺の全体像がわかる境内図がないかと思ったのですがみあたりません。そんなことからもあまり外に対して公開していない様子がうかがえました。実際に訪れてやっと下記のような全体図がわかりました。

 

駐車場から総門をくぐるあたりに駐車場の受付があり、そこでマップをいただきました。

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 ●印がこの秋、公開されている寺院です。

 

上記を見てもわかるように、大徳寺は広い敷地に20以上の塔頭で成り立っています。この中で「常時拝観」できる塔頭と、「期間限定で特別に拝観」できる塔頭、「一切、公開がされたない」場所があります。大徳寺は、全体を通して拝観ができない寺院が多いところです。

 

 

■公開状況 

〇拝観可能なのは

・龍源院(りょうげんいん)・・・「猿猴図」長谷川等伯の作

・瑞峰院(ずいほういん)・・・三つの枯山水の名庭

・大仙院(だいせんいん)・・・相阿弥の山水画、狩野元信の花鳥図
              狩野之信の四季耕作図

・高桐院(こうとういん)・・・千利休の邸宅を移築した書院
               楓を巧みに配した庭が美しい
               中国南宋時代の山水画

 

〇2017年秋の特別公開

・黄梅院(おうばいいん)

・興臨院(こうりんいん)

 

2017年秋の公開  パンフレット

 

京都の観光案内所でゲット 

 

 

■拝観に関する情報 

国宝展と時同じく、大徳寺大仙院 狩野元信《四季花鳥図》サントリー美術館で見ていました。大徳寺にはレプリカが設置されているということだったので、それを見たいと思い、訪れようと思っていました。

 

そこに曜変天目茶碗の展示とは一石二鳥。さらに国宝展で展示されていた狩野永徳の《花鳥図襖》大徳寺だったというのは戻ってきてから知ったのでした。

 

いろいろ拝観について問い合わせたいところだったのですが、下記のようなブログを目にしました。わからないことは何でも問い合わせる私でも、ここは控えないといけないと感じさせるオーラが発せられていました。
 

 ⇒ 大徳寺に行くなら大仙院の庭園と花鳥図は必見! | 古都のコト

 ⇒ ■大徳寺《四季花鳥図》のレプリカ

 

サントリー美術館に展示された《四季花鳥図》のレプリカが見たい。曜変天目茶碗を所有している場所を見てみてみたい… テレビで放送された、国宝展で展示された。そんなことに乗じて問い合わせてくるようような電話は、けんもほろろ‥‥ だとばかり思っていました。

 

 

■ワンチャンスを逃すな 

とは行ってもそんなにちょこちょこ行けるところではありません。ここは、疎まれようが招かざる参拝者と思われようがどう思われても聞いてみようと思いました。対応は心配するに及ばず。拒絶されるような印象はありませんでした。対応される方にもよるのでしょうか? 問い合わせる塔頭によっても微妙に雰囲気が違いました。

 

他の塔頭のことについても聞いてみると、あまり把握されていない様子でした。その時は、まだ大徳寺がどれだけ広くてどんな構成になっているのかを理解していなかったので、同じ大徳寺なのに‥‥と思ってしまったのですが、これだけ広いと、他のことにまで手が回らないのはしかたがありません。

 

 

■公開の塔頭を拝観して感じたこと

実際に塔頭を拝観していて、次の塔頭について伺っても、場所は教えていただけますが詳細については、独立独歩。多分、パートの方のようで、他のことは関知していないというところもあれば、丁寧に教えていただけるところも。

 

それぞれの塔頭から受ける印象が違っていて、それは単に対応する人の違いによるものだけではなく、場が持つ空間感の違いも感じられました。明らかに一種独特の雰囲気を放っているところもあり・・・

  

拒絶されてると感じさせられるところもあれば、フレンドリーでウェルカムだったり、あるいは、お土産販売など営業色が強く感じさせられるところもあったり。それぞれの塔頭によって運営方針は任されていて、違うように感じられます。

 

 

大徳寺に訪れる前に全体を通して感じたのは、ここは信仰の場であること。観光客はそれを厳粛に受け止め真摯に訪れる場所だということ。観光目的で訪れることを、受け入れ側は総じて好ましく思っていない場所である‥‥

 

しかしながら、お土産の販売が積極的に行われ、住職(?)が自ら営業のような状態だったり・・・ というのも、それぞれの方針が全く違うことによるものだと思われました。

 

 

 

秋季の特別公開と一般公開されているところの拝観を終え、目的の「龍光院」へ向かいました。

 

 

■地図を見ながら探すもどこやら?

地図で見ると、この壁の向こうあたりなのです‥‥ ところが入口は?

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 どうやら行き過ぎてしまったみたい  ここ入口のようです。隠れるようにひっそりと…

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門の前には柵が‥‥

 

近づいてみると…   確かに「龍光院」の文字

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目印はこれだけです。 これでは見逃しちゃいます。

やっぱり、ここは、見つけられることすらも避けtているような‥‥

 

近くでお掃除をしていた方がいらしたので、伺ったところやはりここで間違いありませんでした。「中には入れないよ‥‥」と言われたので「外から見て、写真がとれればいいかな・・・と思って」

 

 

■お寺を一目見ていく人

「めずらしいね。ここめざして来るなんて…」という話から、「今、京博で龍光院のの茶碗が展示されていて、 昨日で終わったのを見てきたところ。どんなところに置かれているのか、見てみたいなと思って・・・・」という話をしていました。

 

すると、数日前にも男の人が一人でやってきて、「中には入れないのか・・・」 って言ってたんだけど、「ここは、これまで一切、一般公開をしてきていない」ところなんだそう。他の塔頭は特別公開があったりするのだけど、ここだけはそれをしていない。って話したら、「わかってただけど言ってみただけ。万が一なんてことがあるかもと思って言ってみた」そんな話題になりました。

 

wikipedhiaによれば、観光を目的とした拝観は一切受け付けておらず、特別公開の類も行わない。いわゆる拝観謝絶の寺院といった強い言葉で表現されているのでした。

 

 

■兜門

せっかく来たのに残念…  「昼間ならこの門も空いているから中が見えるんだよ。開けてあげたいとこだけど、また昼の開いている時に来て」 

 

また次のお楽しみと思っていたら、空いている時の状態が紹介されていました。

 

 

また、この門はなんでもないように立っててるけど、重要文化財「兜門」と言われていて、横から見ると兜をかぶった人のように見えるのだそう。

 

角度を変えてみたのですが、どう見れば兜と顔になるのか‥‥

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これ京都検定にも出たらしいです。

 

 

この龍光院のとなり玉林院は、幼稚園のようで子供たちが帰ってくるところでした。「いつも子供のお迎えに来るお坊さんがいて、毎日、この門の前に立ちどまって、これは立派な門だ…と言ってしげしげ見ているから、本当に立派な門なんだと思うよ‥‥」と言われていました。

 

そんな話をしているところに、幼稚園児が2人、近くにやってきて「おじさん、いつもきれにしてくれてありがとうございます」といって頭をちょこんと下げいきました。

 

ここには、長きに渡って信仰が宿っている場所だなと感じさせられました。すると「ここは一切、公開しないお寺なんだけども、それは、400年の空気を壊されたくない。これまでの時間や状態を保つためなんだって、お寺側は言っている」というお話が、ぽろっと出てきました。

 

期間限定であっても、観光客を入れてしまったら、保たれていた空気が壊れてしまう。最近は特に、スマホの写メやSNSで気軽に発信したり撮影に夢中になって回りを壊したり… 

またこの近くに〇百年、続くお店があるんだけど、若い子は、AとB、どっちがおいしいですか? って聞いて、こっちがおいしいなんて全国的に広げられて支持されたら、何百年ってやってるお店はたまったもんじゃない‥‥  

今に至る時間というものを大事にしなくちゃいけない。なんて話をしていました。「自分で食べて確かめてみて」と言ったら、そのあと報告にやってきて「両方食べてみたことこっちの方がおいしかった」って報告にきたのだそう。

観光客はやはりその土地の生活の中に土足で入り込んで、汚してしまっている部分があるんだということに気づかされます。

 

それまでに見てきた塔頭での出来事をお話したところ「ただ観光でついでだから見ていこうというのではなくて、〇〇が見たいと思ってきた人に対しては、それなりの対応をするという対応はあってもいいよね」「ちゃんと大徳寺のマップを持ちながら、それをボードにはさんで回ってる人、初めてみたよ‥‥」って言われました。

鑑賞にボード持参は効果あり?

 

 

そういえば、栗林公園でも庭作業をしている方に、マップを持ちながら、ここはどこで、ここにはどう行くのかって聞いたら、小一時間、話をして直島を知ったということがありました。

 

今は、インターネットで何でも調べることができて、へたをしたら地元の人が知らないことを観光客の方がしっている状態にもなってきました。でも、こうして現地で、そこにかかわりのある方とお話をするからこそ、見えてくるものがあります。それはとても貴重なことだと思いました。

 

秀吉を怒らせたという利休の山門があります。しかしあれは、利休が自ら作ったものではなく利休のファンが作ったものらしい。秀吉は利休が好きだった。謝れば許すつもりだったのに、我を通し切腹してしまったため、秀吉もその後、とても悲しんだ。そんな話もあるらしいとか。〇〇という説があって、それはまだ確認できてないから、他言は困るんだけど‥‥ と歴史に疎いのですが、楽しくお話を伺うことができました。

 

17:00すぎて、あたりは日が暮れて暗くなる中、誰もいない大徳寺山内を通って、利休の山門を目指しました。歩いていると、建物の上部だけ、ぽっかり夕日があたって輝いていました。

 

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おじさんから教えていただいもの

〇精進料理  いずせん

〇あぶりもち

 

 

今回びっくりしたのがこれ‥‥

 いろいろ考えさせられました。

 

 

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#龍光院 hashtag on Twitter

大徳寺の拝観謝絶寺院「龍光院」と土塀 - 日和の下駄で「ロハスな生活」

 

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