幻の大徳寺 曜変天目茶碗の公開。衝撃のニュースが走りました。その展示は2期です。訪問を予定していたのは2期と3期。見事に一致しました。見たい作品を絞っていましたが、大徳寺の曜変天目茶碗もそれに加わりました。(2017.11.03)
*追記しました
- 【追記】2017.11.27 実際に曜変天目(龍光院)を観察した化学者による記載
- 【追記】2017.12.04 国宝展の龍光院天目の観察記録
- 【追記】2017.12.04 MIHO MUSEUM の曜変天目
- ■情報が全くなかった大徳寺の曜変天目茶碗
- ■一般公開は全くされていないのか
- ■実物は違う
- ■公開の経緯
- ■見た人の感想から予測
- ■大徳寺 曜変天目を見た人の声
- ■大徳寺 曜変天目茶碗を見る前の予測
- ■近くで見る列に並んで20分
- ■光の当て方
- ■参考
- ■関連
■情報が全くなかった大徳寺の曜変天目茶碗
第4の曜変天目誕生か?! というあの衝撃が走った時、曜変天目茶碗なるものがいかなるものかを知りませんでした。世界に3つ、それが日本だけにあると言います。その一つが大徳寺の曜変天目茶碗。それはどんな茶碗なのか‥‥ と調べてみたのですが、とにかく情報がない幻の茶碗。そんな印象を持ちました。
それぞれの茶碗がどんな茶碗なのか画像検索をして調べてみたのがこちら。
① ②
①引用:藤田美術館の至宝 国宝 曜変天目茶碗
②引用:茶碗の中の宇宙 4個目の曜変天目茶碗!?: 世界の謎と不思議
① ②
①引用:世界に4点しか存在しない耀変天目茶碗の神秘的美しさに迫る! | GOLDDUST
②引用:茶碗の中の宇宙 4個目の曜変天目茶
大徳寺の曜変天目茶碗の一般公開はないらしく、画像が著しく少ないです。
■一般公開は全くされていないのか
大徳寺の曜変天目茶碗は「一切、公開がされない」「公開されるのは稀」「通常非公開であり、鑑賞できる機会は稀」「特別公開の類も行わない。いわゆる拝観謝絶の寺院」である[といった表現がされています。公開は皆無なのか。あるいは、特別な何かで公開されたことが過去にあったのでしょうか?
〇一般公開
〇1990年 東京国立博物館「日本国宝展」
〇2000年 東京国立博物館「日本国宝展」
〇2017年 京都国立博物館「特別展覧会『国宝』」
10月17-22日と24日-29日の12日間のみ展示予定
( wikipedhiaの脚注より)
今回で3回目のお披露目であることがわかりました。
〇専門家への公開
一般公開はほぼないに等しい。では、専門家の方たちでこれを見ている人はどれくらいいるのでしょうか‥‥
あの騒動の時、鑑定家の方は、大徳寺の曜変天目を見ているのだろうか‥‥という素朴な疑問がありました。あるいは、その他の2つを所有する館長さんたちは、大徳寺の曜変天目を見ることができるのだろうか‥‥
研究者や専門家への公開はどうしているのだろう。どんな人なら見ることができるのか。うろ覚えの記憶ですが、渦中の人となったもうお一人、曜変天目茶碗の再現をされている陶芸家の方が、大徳寺の茶碗を見ているという記事をどこかで目にしたような記憶があります。
あるいは、特別の催し(茶会のようなもの?)といういうのがあって、〇千家家元とかごく限られた人の間では公開されたりしているのではないか。
〇見ることが難しい「国宝(建築の場合)」の意味
見ることが難しいというのはどういう意味があるのか。さらに「公開制限」の意味について、関係者とのパイプがある・なしなどの特殊ケースも含め、書かれています。
〇公開しないのは・・・
大徳寺の曜変天目茶碗はとにかく情報が少ないのです。そんな数少ない情報から見える茶碗は地味。それらのことから心の中で思っていたこと。「他と比べると見劣りしている。だから比べられてしまうことを避けているのでは?」「お寺のプライド?」 だから公開しないんじゃないか‥‥って(笑)
またこんな話を聞いたことがあります。門外不出というものほどその実態は大したことがないことが多い。たいしたことがないから、ありがたがらせるために「門外不出」にして秘伝にする。誰にでもマネできる程度のことだから、秘伝にしないと広まってしまう。
もしかしたらそれと同じで、実際に見たら、な~んだ… って思ってしまう茶碗なんじゃないか? (←失礼なやつ) 数少ない写真を見て正直「これが曜変天目?」と思ったというのは正直なところです。
wikipedhiaでも、「国宝とされる三椀の曜変天目茶碗のうち、最も地味なものであるが、幽玄の趣を持つとされて評価が高い」とあります。幽玄の趣は、写真でなく実物を見ればそれを感じることができるのでしょうか?
そんなわけで、すご~く気になっていました。ぜひとも、実物を見てみたい‥‥ しかしそれはかなわないこと。と諦めていました。ところが国宝展で展示される! という朗報が飛び込んできたのです。
■実物は違う
実際に静嘉堂の曜変天目を見て思ったことは、写真とは全く違うということでした。写真も撮り方によって全く変わります。しかし同じ実物でも見せ方によって全く変わるということを今年、東博と静嘉堂の2回の展示を見てわかったことでした。
実物を見れば、一見地味に見える大徳寺の曜変天目に広がる「幽玄な世界」というものが浮かびあがってくるのだろうか‥‥ また曜変天目は見せ方によって変化し、ある意味、いかような見せ方もできるとも最近は思うようになりました。「京博では」どのような見せ方を披露するのだろうという期待に胸膨らませていたのでした。
■公開の経緯
私が公開知ったのは・・・・
10月6日 こちらの情報でした。
⇒国宝展@京都国立博物館は、2017年秋最強のオススメ展覧会でした!
事前に国立博物館から送っていただきゲットしていた作品リストを持っていました。そこには曜変天目茶碗の記載がありませんでした。(ゲットしたのは8月の中頃だったでしょうか?)情報公開はいつだったのでしょう? ネット内を見ると下記のtwitterを目にしました。
9月19日、橋本麻里氏のtwitterで発表
京都国立博物館「国宝展」、最後の追加作品が発表になりました。大徳寺龍光院所蔵の《曜変天目茶碗》です。10月17日〜29日。https://t.co/X59932VJJa 静嘉堂、藤田美術館の曜変を見たことがある人はそれなりにいらっしゃると思いますが、龍光院のは少ないのでは。 pic.twitter.com/IoO1hkbZDZ
— 橋本麻里 (@hashimoto_tokyo) 2017年9月19日
そして2017年9月17日 毎日ホール トークイベントにて発表されていたようです。
ここで最後の追加作品の発表されたとのこと‥‥
ぎりぎりまで交渉が重ねられて実現したということでしょうか? だとしたら、図録に掲載されているのはなぜなんだろうという疑問。図録の原稿や写真の締め切りってどれくらいなのでしょう? また図録の印刷が上がるのは? と考えると‥‥
記者発表の記事でにおわせています。
2017年4月22日
秋の京都は、京博で“国宝祭“だ! ワッショイ!! | ARTことはじめライターブログ
京都なら死ぬまでに一度でいいからお目にかかりたい《大徳寺龍光院蔵 曜変天目茶碗》あるかな?この秋京都はエライことになっているはず!
含みを持たせた表現です。おそらくこの場で、現在交渉が行われていて、実現に向け鋭意進行中、実現の可能性高し! といった話があったのではと想像しています。ほぼ出展は決まっていた。でも最後の最後のサプライズとして、発表を遅らせたのでは? はたして真実はいかに? (笑)
さらに 2017年春
龍光院の曜変天目を見る/国宝(京都国立博物館). 第2期 - 見もの・読みもの日記
今年の春の藤田美術館で、同館所蔵の曜変天目の解説をしながら、龍光院のものに触れて「秋の国宝展にもしかしたら出るかもしれませんね」と注意を促してくれた学芸員さんに感謝。
交渉が行われていることは、知る人ぞ知る状態だったと思われますが、担当の方の地道な交渉の結果、私たちの前にお目見えしたのだと想像されます。内々に作られていたであろうリストにも掲載をせずに‥‥
また勝手な想像ですが、某番組が新たな曜変天目発見! なんて情報を流したことに対する無言の抵抗もあったのでは? これを見て判断しなさい! ちゃんと自分の目で確かめて下さいと‥‥(笑)
■見た人の感想から予測
大徳寺の曜変天目茶碗を見た人の感想がツイートされ画像や感想がアップされています。
「国宝展」第2期の目玉、京都・龍光院の「曜変天目」を観た。現存する三碗の中では最も地味と言われているが暗室のような展示室でこの為に作られた特別な照明によりキラキラと妖しく輝いていた。言葉は悪いがヤバイものを朝イチで観てしまった。 #国宝展 #国宝 #曜変天目 #京都 pic.twitter.com/l5cZ79shz7
— Tak(たけ) @『カフェのある美術館』 (@taktwi) 2017年10月27日
この感想でだいたい、展示の状態が予測できました。全体に照明を落とした暗闇の中で、スポット的に光をあてる。すると他の曜変天目茶碗より鈍いと感じられる輝きも、照明の力によって浮かび上がっている。上記の図録を撮影したらしい写真の見え方は、想像の範囲の輝き。
ところが‥‥ なんなんだこの画像は! これまで見たことがない画像が登場してきました。これどこから持ってきた画像?
明かに演出過多。光あてまくり。どこでだれが撮影した写真? あれだけ秘匿させているお寺がどうしてこんな撮影許可したんだろう。と思ったら日曜美術館の映像らしいことが判明。自然光で撮影されたようです。
自然光に照らされた大徳寺 曜変天目#国宝展#曜変天目#日曜美術館 pic.twitter.com/xq2lhyVIOh
— 音 (@yuradonv) 2017年10月22日
これまで日美や美術関連番組を見てから、実物を見てわかったこと。テレビの映像は演出が加わっていることがままある。強調したいこと、伝えたいこと、見せたい意図、テーマがあって、それが伝わるような光の演出が加わった映像が流されている。
(のちに、照明を次第にあげて、暗闇の中から曜変が次第に浮かび上がってくるような演出? があったらしいこと書かれていたのを目にしました)
この画像は、おそらく実際に見える曜変天目の状態とは違うはず。京博の展示がこのように見えるかといったら、きっとそうではないと私は思いました。
■大徳寺 曜変天目を見た人の声
ところが、見た人の感想を見ると・・・・
大徳寺龍光院 曜変天目。2時間並び本日の一番乗り。先にご覧なった方々の感想を目にはしていたけど、やはり違う。展示室に足を踏み入れた途端に目に飛び込んできた星々の輝き。2列めからではまるで違う。並んででも最前列で観るべき。 #曜変天目 #国宝展 pic.twitter.com/gHjdpvBYvp
— magrittian(m25) (@magrittian) 2017年10月27日
龍光院さんの曜変天目茶碗、念願叶い京都国立博物館 #国宝展 でやっと拝むことが出来ました。内側までじっくり眺めたい方・特に小柄な方は是非間近列で!梅にも似た白い花(もしくは小さな猫の足跡)が夜空に緑や青の光をまとって浮かびあがったかのような不思議な世界がそこに広がっていました…! https://t.co/um85RowSJA
— ちらいむ (@chilime) 2017年10月28日
そして最後は #京都国立博物館 #国宝展 。見てきました、龍光院の #曜変天目 。照明がものすごくよくて、まるでプラネタリウムのような輝き。これで世界に三点しかなくて、すべて日本にあるという曜変天目をすべて制覇しました。他の展示作品も見応え十分。満足の関西日帰り旅行でした。 pic.twitter.com/BMBdOMlsOz
— YAMA@SANのぶらり散歩道 (@yn600301) 2017年10月19日
#国宝展
— 璃 (@123dekakaka) 2017年10月28日
曜変天目の展示室へは、後ろから観る列、最前列で観る列があるので迷わず最前列を選ぶべし。
とても小さい茶碗であり、平均身長の女性では後ろだと見えないと思う。
最前列でも(私は162センチ)、茶碗の奥底を覗きこむには背伸びしなければ見えなかったので。
そしておそろしく綺麗。
いやもう、やきものとは信じられないあの白い斑紋。星。これが螺鈿のように輝いて。瑠璃感よりこの白い星がアタマから離れない。なんなのあのひかり。白い星、あやしいやつ!白い!!藤田家や岩崎家のは名手によって数々の写真や映像が撮られて公開されてるが、これは写真では。#曜変天目#龍光院
— カモ鳥(カモノハシは鳥でない) (@kasumyon) 2017年10月21日
■大徳寺 曜変天目茶碗を見る前の予測
どうやら、展示エリアの回りを暗くして、強い光をあてて、曜変を浮かび上がらせる「演出」が加えられていそうです。そのため、これまで見てきた写真とは全く違う輝きが確認できる。そんな予測を立てていました。
だって一般的に流れている画像は、こんな感じなんですよ。
大徳寺・藤田・静嘉堂の順に並べてみましたが、他の2つが、スープに浮かぶ油膜のようにはっきりと斑紋が出ているのに対して、斑点が細かく散っているような印象ですね。写真だとだいぶ暗いですが、光を当てるとどのように輝くのか気になっています。(藤田の曜変も写真によっては真っ黒に見えるので) pic.twitter.com/homouDYg0y
— 潤 (@extudes) 2017年10月21日
それがこんなふうに見えるなんてありえません。なんらかの手(?)を加えないと、こんな状態に見えるはずはないというのが私の推察でした。
自然光に照らされた大徳寺 曜変天目#国宝展#曜変天目#日曜美術館 pic.twitter.com/xq2lhyVIOh
— 音 (@yuradonv) 2017年10月22日
日曜美術館の龍光院の曜変天目の録画を視聴。テレビ用の照明とズームで、現地では見ることが出来ないものが映ってはいるが、展示ケースをの前を歩くおばちゃんやお嬢さん方が思わず「きれいやなぁ」と思わず口に出してたようなきらめきは感じられない。何故だろう #曜変天目茶碗
— これだけ (@koreda_k) 2017年10月22日
■近くで見る列に並んで20分
会場に入ってしばらくしてから、目的の曜変天目茶碗の展示コーナーへ。その手前から「近くで見る列」「外側から見る列」に分かれています。迷いもなく近くから見る列に並びました。ところが、いつのまにか、列は一緒になっており、というか、外から見る人がいないのです。近くから見なくちゃ意味がないし、20分程度の並びなら許容範囲。順番がやってきました。
〇第一印象
暗闇の中でスポットライトを浴びて浮かぶ・・・・
ということを想像しており、特設のブースでも設けられているのだと思っていました。深海魚展で蛍光発色生物を見る時のような暗闇のボックスブースの中に展示されているのだと‥‥ ところが、他の展示室と同じで中央にガラスケースが置かれ、回りの照明は極力落とされている状態でした。
順番がきて茶碗を見ると、息を飲むほどの美しさ。「他の曜変天目より見劣りがするから見せないんだろう」なんて、なんて失礼なことを思っていたのか! しかも、それは周回するごとに模様が変わり変化しているのです。見た人が猫の肉球といっていたのはこれのことか… 写真ではその模様が全面にひろがっていると思っていたのですが、見る角度によって全く違う表情をもたらします。底の茶溜まりの部分への集中が、静嘉堂よりも多くて、白く発色しています。そして溜まり方は均一ではなく、一部に強くかたよるように集まっていて、一面が白く輝いているのです。
〇秘密主義なのは・・・
するとまたまた、こんなことを思っているのです。秘密主義の大徳寺は、本当の美しさを知らせないために、わざとライティングを落とした、他よりも見劣りする茶碗にして情報を提供しているのではないか(笑) それによって実際に見た時の驚きがより大きなものとなります。そんなことまで考えてしまうほどの違いだったのです。
〇2度目の鑑賞
東博、静嘉堂で展示された曜変天目は、じっと立ち止まって観察ができました。しかし、こちらは立ち止まることができません。一瞬、一瞬の映像を目に焼き付けようとするのですが、その変化が著しく記憶にとどめることがなかなかできません。が、覚えている限りここに残してこうかと。
ぱっと見た瞬間に思ったのは、静嘉堂の曜変天目の原理と同じだ! ということでした。模様の出方は違いますが、これらの模様は「海」と「島」に分けて考えられるという原理はやっぱり同じ。釉の成分が移動して、集まったり流れたりしながら模様を形成している。原理は同じだけども、現れる結果は違う。静嘉堂の茶碗では最初よくわからなかった星紋と虹彩の間の「城塞」と言われる部分が、大徳寺の曜変天目でははっきり認識できました。
また、この茶碗は周回するごとにいろいろに表情が変わります。猫の肉球が見えたという感想が多くありますが、そこの部分は、他の部分と比べると輝きがおさえられています。それは、「虹彩」といわれる「干渉反応」の部分の広がりが少ないからです。島と言われる「星」の部分をとりまく「虹彩」。その状態、広がる範囲によって見え方が大きく変化するのです。
静嘉堂の曜変天目の「虹彩」よりも広くひろがっている部分があって(底の方の一部)そこに光があたると、非常に強い輝きになるのでした。底面は白く発色しています。いやそれは「発色」ではなく「発光」と表現した方がいった方がよさそうな輝き方です。それは光の反射によるものではなく、自らが輝くいている状態に見えました。
しかしこれまでの写真を見ると底の部分の白い輝きが一切見えていません。ということは、光を当てたことによって見える現象だと考えられます。
それがこの茶碗を見る角度によって表情をここまで変えている要因だと思われました。そして「虹彩」は干渉によるものだ‥‥ ということも改めてこの茶碗によって確認させられました。
「虹彩」「干渉」という反応は、ティファニーでも使われているもので、条件設定をすれば、それほど難しい反応ではないとも言われています。先日、その原理に迫れたらと、ディファニーの工芸品を泉屋博古館分館で見てきまました。(日本の工芸技術の向上のために海外から作品を持ち込んだ浅井忠や尽力した中澤岩太の展示です。)
似て非なるもの。しかしその原理は、ティファニーにも通じる‥‥ ということをこの茶碗からも感じさせられたのでした。
また茶碗の傾斜と星紋の関係も同じ原理で、傾斜のきつくなる腰のあたりから流れて、溜まりのあたりにたまっています。その溜まり方が、静嘉堂の茶碗よりもより顕著です。ただ、それは部分的なので、見る角度によって出現したりしなかったりしています。
茶碗を見せる高さというのも絶妙でした。(背の高い人、低い人でも見え方は違ったかと思いますが) 一見して、全体を一望できない高さ。そのため周回しながら、現われる模様は、絵巻を広げながら見ている感覚に通じるものがありました。次の部分に移ると、前の状態とは全く違うものが見え、変化を顕著にとらえることができるのです。
【参考】上記の「島」「海」「虹彩」「干渉」などは下記を参考
■光の当て方
どうせ、暗闇の中で、強い光をあてて発色させてるんでしょ‥‥ だから、あんなに輝いて見えてるってこと。それが行く前の正直な印象でした。
曜変天目茶碗はガラスと同じ。光の当て方でいくらでもその姿は変わると思っていました。美の巨人で静嘉堂の曜変天目が紹介されていました。その茶碗は、これまで見てきたものとはまた違っていて、ツルツル、テカテカの曜変天目茶碗でした。強い光をあてて見せればそれなりに見えるし、光の当て方を変えれば、見え方はコントロールできてしまうもの。そんなことを思いながら訪れていました。
ガラスケースは、MOA美術餡で《色絵藤紋茶壷》を展示していたケースと似ていました。
MOA美術館にて撮影
上部の網目のようなライトの部分の光はとても抑えられていて、中央にスポットライトのようなものがありました。中央からの光は、決して強い光ではなく、やわらく茶碗を包み込むようにとりまいていました。
確かに茶碗は浮かびあがっていたのですが、新たな写真で見た曜変天目のような「わざとらしい輝き」ではありませんでした。
ホントに見れてよかった。わざわざこれのために来たわけではありませんでしたが、たまたま計画していた時期と重なってくれたという偶然に感謝・・・・・
翌日、この茶碗が鎮座まします大徳寺の龍光院を訪れました。それがどんなところなのかぜひ、確かめたくて・・・・ 目の前で「龍光院」はどこですか? と聞いたお寺の周囲をお掃除をされていた方といろいろお話をしました。
なぜ大徳寺は公開しないのか‥‥ そんなお話も伺うことができました。
(続く)⇒■大徳寺・龍光院:曜変天目茶碗を所蔵しているのはどんなところ?
【追記】2017.11.27 実際に曜変天目(龍光院)を観察した化学者による記載
『古文化財科学』(1954)「曜変天目の研究」名古屋大学教授 山崎一夫博士
茶碗内面の斑点は黒色で光沢なく、内部の一部は黄白色を呈し、極めて細かい結晶の集合であるー中略ー 釉は光沢あるガラス質で、小さな凹凸が多数ある。これは主として斑点の周囲に多く、形は不規則で、一定の配列をしているわけではない。-中略ー 星紋と呼ばれている斑点は光らない。
光彩は黒い表面に薄い膜状になって存在するものである。星紋と光彩は別であり、まら青紫色の光彩の部分も、見る方向によって色を変ずるとは認められない。ただ見る方向により青紫色の光彩は呈する場所が移動し、極めて美しい。これらの斑点と光彩とが、曜変天目の特徴であり、この両者を合わせ有する者のみが真の曜変天目と呼ばれるべきものであろう。
この青紫色の光彩を呈する薄膜の化学成分、及びこれがいかにして生じたかについては、残念ながらなんら詳細を知ることができない。ただ青紫色の光彩が斑点の周囲に多いことは、斑点の生成と密接な関係があるに違いない。
次に斑点は、茶碗生成の途中において釉が溶融した時、一部が変化し、それが滴状となって釉の上に浮かび、これがそのまま冷却して滴は結晶し、釉は結晶せず、ガラス質のまま固化したものではないだろうか。
斑点がいかなる成分のものかについては不明であるが、顕微鏡で見た様子では油滴天目の結晶、すなわち第二酸化鉄の結晶とは異なり、非常に細かく、400倍に拡大しても個々の結晶の形を認めることができない。
『碗の中の宇宙』 曜変天目茶碗の研究と成果 安藤堅著 (p14)
(400倍の顕微鏡で観察している模様。どこで? 搬送とかどうしたのでしょうか? どういう経緯で観察が許されたのか、気になる~)
【追記】2017.12.04 国宝展の龍光院天目の観察記録
京都国立博物館の国宝展の龍光院曜変の感想。図鑑などでは黒にしか写っていないところが淡くクリアブルーに発色(発光?)していたのを確認できた。それもごくごくわずか。稲葉天目や藤田のものは写真の時点で青いが龍光院も同ジャンルの茶碗なのがよくわかる #曜変天目茶碗
— これだけ (@koreda_k) 2017年10月19日
龍光院曜変の感想②展示は茶碗のショーケースを取り囲むようにU字型に順路が設置されているが、U字の最後のあたりの位置で茶碗の底にチラチラと赤い光が見え、背伸びすると光が移動する。これは長江惣吉氏が以前から国宝3碗の特徴として指摘していたものでバッチリ確認できた #曜変天目茶碗
— これだけ (@koreda_k) 2017年10月19日
龍光院曜変の感想③長江惣吉氏が指摘していた口辺の艶消し状のシワ(これは焼成温度1300度の証拠らしい)は立ち止まり厳禁の芋洗い状態だったのとライティングが暗すぎたので他の国宝の鑑賞では大活躍だったビクセンの単眼鏡でも確認できず #曜変天目茶碗
— これれけ (@koreda_k) 2017年10月19日
龍光院曜変の感想④茶碗外側に何か星や青色が出現していないか、図鑑では国宝三碗の中でも白めに映る高台の色は肉眼ではどうかなどチェックしたかったのだが、いかんせんライティングが暗く、見えないので断念。ただ、シルエットはシャープで造形にボケがなかった #曜変天目茶碗
— これだけ (@koreda_k) 2017年10月19日
【追記】2017.12.04 MIHO MUSEUM の曜変天目
MIHO MUSEUM の曜変天目(燿変)の感想。虹としか表現出来ない数色に分かれた帯がくっきり見える。光が当たった部分に色が出るが、見る角度によって色が変化したり色が移動したりはしない。曜変の共通項の「赤い光」も見た感じでは確認できない
— これだけ (@koreda_k) 2017年10月20日
MIHO MUSEUMの曜変の感想②器の外側にも内側と同様の虹色が出ている。高台の表面に見える土も非常になめらかで角も丁寧にに面取りしてある。
— これだけ (@koreda_k) 2017年10月20日
これが確認できたのはすばらしいライティングのおかげ。国宝展の龍光院曜変もこの照明で見たかった・・・
■参考
〇話題の国宝展で曜変天目茶碗の中に宇宙を見る事が出来たのか | 殿上人日記 - 楽天ブログ
〇 龍光院の曜変天目凄い! 京都の国宝展、東京から日帰りで行ってきた | 日本美術鑑賞倶楽部
〇龍光院の曜変天目を見る/国宝(京都国立博物館). 第2期 - 見もの・読みもの日記
■関連