大英自然博史博物館展が好評のうちに幕を閉じました。出口に地球館の関連展示のパネルがあったのは目に入ったでしょうか? 系統だった展示と合わせて見ると理解が深まり、違う視点で捉え直すことができます。関連展示されていたものをご紹介します。
一方、残念ながら行けなかった方も、同じものではありませんが、常設展で大英自然史博物館展の一端に、触れることができます。大英博物館展を見た方も、地球館を合わせて御覧になった方は少ないのでは? 勘違いして見ていたことに気づいたり、新たなに理解につながったり、喉元すぎないうちに、復習を兼ねて見ておくと、記憶も定着するのではないでしょうか?
■地球館 大英自然史博物館 関連展示MAP
下記は、会場出口にあった、地球館、日本館の関連展示の一覧です。気づかずに通りすぎてしまった方も多かったのではないかと思います。
大英自然博物館展の展示期間中、地球館の展示物にはポップが立てられていたり、わかりやすく特別展示の関連リストを配布しているのだろうと思いました。が、念のため写真の撮影をしておくことに。展示リストをいただこうと思ってインフォメーションで確認してみると、そのような配布物は作成されていませんでした。写真を撮影しておいて大正解!
これを頼りに館内を見て回りました。ところが意外にもみつけにくかったのです。展示場所とその回り方を紹介したいと思います。次回、訪れた時のために、自分のメモも兼ねています。
■周り方のおすすめ
短時間で、大英自然博物館の展示に関する復習をポイントに回ることを想定しています。(リピーターズパスを購入したので、他の美術館の企画展と並行して見ることを想定)
①「3階」:最初にエレベータで3階へ上がり、見終えたら
↓ ↑
↓ ③「1階」:最後に1階を見て → → 日本館に
↓ ↑
↓ ↑
②「地下2階」:一気に下におります。そのあと上に
このマップで実際に探すと、館内は広く展示数も多く、展示品い埋もれると「ここはどこ?」状態に陥り、ちょっと一苦労しました。
フロアの見取り図マップに、「緑の数字」が展示階と思っていたのですが、途中混乱し、左の「グレーの数字」が展示階を意味しているのか? と戸惑ってしまいました。また、展示フロアのどのあたりなのかが、会場に入ると方向感覚が狂い、なかなかみつけられませんでした。
「各階」ごとに、「どのエリア(通し番号参照)」に展示されているのかを示しつつ、「参考の展示物(展示番号参照)」で紹介します。 また、個人的なおすすめも加えました。
■3階:大地を駆ける生命
「5.絶滅の淵で」
【1】フクロオオカミのはく製
5番「絶滅の淵で」のあたりの展示です。3階の入り口から入って、番号が振られているブースを1から順番に見ていくと、最期の5番目のコーナーです。
【3/5】← この数字を参考に、下記のような解説パネルが設定されているあたりになります。このパネルは、展示されている動物の配置が反映されています。
↑
フクロオオカミはここ
展示はこんな感じでみます ↓ 正面側から
↑ ブースの番号順に沿って1から巡回してくると、最初は後ろを向いているのでよくわかりません。
【大英自然史博物展】フクロオオカミ
大英自然史博物館展では、このように展示されていました。
↓ このフクロオオカミは、どこのオオカミ?
【実は…】#大英自然史博物館展 を訪れた人が感じる疑問の一つがソッポを向くフクロオオカミ(タスマニアタイガー)。常設展示の一つだったのですが、長年にわたる展示のせいか、縞が消えてしまい、このような姿でした。同館は7月14日にリニューアルオープンします。新しい展示も楽しみですね。 pic.twitter.com/ibCN43PNFL
— 大英自然史博物館展 (@treasures2017) 2017年6月10日
本展では この前で、パチパチ撮影している人が多数。しかし、顔はそっぽ向いてるし人がいっぱだったのでいいや・・・と飛ばしました。それにしても何でオオカミがフクロウなんだかよくわかりいません。別にフクロウに似てるわけでもないし・・・ 夜行性って意味なのかな? でもオオカミって夜行性だよね・・・と思いながらスルーでした。が、これは絶滅種を展示していて貴重なはく製だったということを、やっと理解しました。
そして、さらに大きな勘違いに気づきました。「フクロウ」ではなく「フクロ」オオカミ。上記のtwitterを追加する時点で気づいたのですが、「フクロウ」じゃなかったのね。でもなんで「ウ」を省略するんだろう。なにか表記の関係があるのだろうと勝手に解釈。すると有袋類の「フクロ」だとelonpankumaさんよりご指摘いただきました。
「フクロ」オオカミですね。有袋類。 - Melonpankuma のコメント / はてなブックマーク
大きな勘違いでした。ちゃんと映像もみて、有袋類だってことも理解していたのですが、最初に「フクロウ」と思って見ていると気づきもしないのでした。
背中のシマシマ
背中にシマがあるという説明です。「だから?」という感じで、「タスマニアタイガー」という名称は、そこから来てるのね? と思いながら見ていました。はく製は、長年展示で、シマが消えてしまったということらしいのです。
こちらの映像も横を向いています。
〇興味を持つきっかけは?
余談ですが、始めて地球館を見た時、このコーナー、あんまり興味をそそられる場所ではありませんでした。ただ、たくさんの動物が展示されているだけ。動物に関する興味や知識がなかったため、見ていても、「なるほど・・・・」とか、「これがアレかぁ・・・」と思うものがありませんでした。なにかしら知っていることがあれば関心も向くのでしょうが・・・・
ところが、今回、地球館に行くにあたり、そういえば、地球館のこと書いていた人がいたなと思い、その記事を見ながら電車移動していました。
ここの大半が個人が寄贈したものだというから驚きました。ヨシモトコレクションといって、ハワイの実業家、故ワトソン T.ヨシモトが狩猟して集めたもので、大型哺乳類剥製標本を主とする約400点を私設博物館で展示していたものなんだそうです。ご本人が何よりもハンティングが好きだったこともあるのでしょうが、それをこれほどまでに美しく剥製にするなんて、ちょっと、こう、すさまじいですね。
こういうミニ知識があると、これらの展示を目にした時、がらりと印象が変わります。個人がハントしたものだったのか。すごいよなぁ・・・ どれくらいの大きさぐらいハントしたんだろう。原始の狩猟本能の現われだよなぁ・・・ ハワイじゃなく、なんで日本に来たのかしら?・・・などと思いながら周回していました。理由もわかりました ↓
■国立科学博物館:「地球館」で「大英自然博物館」関連展示 - コロコロのアート 見て歩記&調べ歩記
ハワイの博物館に寄贈したら、あまり大事にされなかったそうで、再度買い戻したそうですよ。すばらしいコレクションだから、科博で大事にされてよかったです。そして、「フクロ」オオカミですね。有袋類。
2017/06/14 17:14
これらのコレクション、大英自然史博物館、関係者も大絶賛されていたそう。
【常設展もチェック!】#国立科学博物館 の地球館3Fには世界有数の良質な剥製コレクションとして知られるヨシモトコレクションが展示されています。開会式に来場した大英自然史博物館の関係者も素晴らしい展示を絶賛してくれました。 pic.twitter.com/zx77fbpnYn
— 大英自然史博物館展 (@treasures2017) 2017年4月29日
〇動物と同じ目線で見たり 上から見たり
うわ~、動物と真正面でご対面だ~
本展ではキリンの長首を目の前の高さで見た衝撃が重なります。旭山動物園と一緒だ~ こちらでは、動物を上から眺める位置になるよう見学コースが設定されています。旭山は頭上にペンギンを飛ばしたけど、ここは足元に動物を置いちゃったぞ~ 下がガラス張りになっていて動物たちを頭上から眺めることができます。
〇展示する人の思いが人を動かす
そういえば、動物にあんまり興味なかったけど、旭山動物園の閉館後の特別展示を見に行って、坂東園長の話を聞いたことあったっけ・・・ 興味がないこともきっかけなんですよね。それを作っている人たちの思いとか(関連→「年間300万人の大ブームは本当に辛かった」旭山動物園の園長がいま語る真実 - Yorimichi AIRDO|旅のよりみちをお手伝い)ハントして展示して寄贈した人が何を考えていたとか・・・(ヨシモトコレクション >> 標本・資料データベース :: 国立科学博物館 National Museum of Nature and Science,Tokyo)
でも、前回、ここを見た時は、そんなこと気づくことはできませんでした。どこかではく製を集めてきて展示してあるだけと思っていたから、あまり興味につながりませんでした。それ以降、足を踏み入れることもなく・・・・
〇絶滅危惧種について
最期は「5.絶滅の淵で」というゾーンです。そういうくくりでここは、まとめられて展示されていたことに気づきました。絶滅危惧生物については、いろいろ思うところがあり、旭山動物園でもその啓蒙学習をいろいろな形で行っていました。そういうことには興味を持っていたわけですから、始めて見た時も、そのあたりから、ここの展示へとつながるきっかけはあったはずなんです。なのに、素通りしてしまいました。有名な日本オオカミも展示されています。と思っていたら、フクロオオカミはその隣にいました。
「絶滅した動物」や「人の手で生かされている種」など、絶滅の淵に立たされている種が並んでいます。
〇絶滅危惧種の保存 人類の遺産の保存
絶滅によって失われてしまうDNA。それは人類の貴重な財産を失うに等しいこと。しかしこうしたはく製が残されていることで、今後の技術の進歩によって、いろいろに活用できる可能性が残されるわけです。
なぜ、「フクロオオカミ」が絶滅してしまったのか。ビデオで解説されています。このエリア、改めて見にこようと思わされたのでした。
■B2:地球環境の変動と生物の進化
★ のあたりに展示されています。
「5.陸上に進出した生物」
↑ こんなブースです
「シダ植物の巨木の森 石炭紀」の前に「グロッソプテリス」はあります。
↑
ガラスケース内 一番上の列の「左から二番目」がこれです。
【常設展もチェック!】#国立科学博物館 の地球館B2Fにはオーストラリアで見つかったグロッソプテリスが2点展示されています。#大英自然史博物館展
— 大英自然史博物館展 (@treasures2017) 2017年4月29日
にはスコットたちが南極から持ち帰ろうとした化石と南アフリカで発見された化石が展示されています。 pic.twitter.com/FCNaxjACGI
【4】グロッソプテリス
南極探検隊のスコットが発見した南極の植物化石。大陸移動の証拠となりました。
【大英自然史博物展】グロッソプリテリス
出典:世界への探検が遺したもの | 見どころ | 大英自然史博物館展
〇南極はいかに大陸移動したのか
南極の植物化石で大陸移動の証拠って言われてもその意味がわかりません。この植物は緑の葉っぱを持っています。つまり南極が緑で覆われていたことがわかります。そして、この植物は、アフリカ、オーストラリアなどにも生息していたことが化石からわかりました。それが何を意味しているのか・・・ 大昔、大陸はつながっていたという仮説が成り立つわけです。それが離れて今の形となったということなのでした。
この話、いろんなところで聞いたことがあると思うのですが、どうやって大陸は離れたのでしょうか? また、同じ植物があるということから、大地は続いているということを導き出すのも、昔は大変なことだったはずです。
私は大陸に切れ目があり(大地溝帯)みたいなもの。そこからちぎれて、ひょっこり瓢箪島のように、ぷかぷか浮きながら、それぞれの位置に移動したのだと思っていました。しかしよく考えたら、大地は浮いて移動はしないはず。また人類がいろいろなところに散ったのは、この大陸の移動のプカプカ浮いた島に乗っていたのでは? と思ったこともありましたが、人類の発生と時期が違うようです。
大陸はどうやって離れたのか。それを解決してくれたのが、日本館にあるシアター360 「マントルと地球の変動–驚異の地球内部–」でした。興味のある方は、ぜひそちらも御覧になって見て下さい。(上映月があるので注意)
科博の常設展示はこうして、一つを知ることで、他からのつながりを得られてより深く知ることができる場所です。
「3.絶滅と進化を促す地中環境」
「3番」の「絶滅と進化を促す地中環境」の壁一面に展示されています。
【5】微化石(マリンスノー)
小さな化石びっしりつまったメッセージ
小さな動物の遺骸や糞が沈降したもの。それが水中に舞があがると、雪のようだということで、マリンスノーとも言われています。この堆積物には、過去の地球の様々なメッセージが込められています。
【大英自然史博物展】微化石
大英自然史博物館展では・・・
こんな小さな生物の遺構でもある微細な化石を使って、現代風のメッセージを残した研究者がいました。それは、大英自然科学史博物館の研究者で、アーサー・アーランド(AE)です。共に研究を続けていた同僚、エドワード・
【メリークリスマス!】
— 大英自然史博物館展 (@treasures2017) 2017年5月27日
この拡大鏡をのぞいてみると・・・アーサー・アーランドが同僚に向けて、微化石で作ったクリスマス・メッセージがご覧頂けます。ちなみにこのカードを受け取った同僚はエドワード・アレン。名前だけでぴんと来たあなたは大英自博通!なんと呪われたアメジストの所有者でした。 pic.twitter.com/3HuER5rAcg
Authur Earland(アーサー・アイランド)
A E
↓ ↓
X M A S
1912年
〇共同研究者への信頼
この小さなは微化石、どうやって制作したのかな? と想像してみると、メッセージとなるアルファベットになりそうな色付のものを選んで文字をまず作り、一つ一つを並べながら、周囲の背景を埋めていったと思われます。気が遠くなりそうです。でも、微化石の研究者には、こんな作業はお茶の子さいさいだったのかもしれません。こんなの朝飯前だった?(笑)
きっと、お互いの研究の労をねぎらうべく、相手がびっくりする顔を思い浮かべながら、アーサー・アーランドが、コツコツ並べていたのでしょう。その姿を思うと、25年という研究生活を共にした、お互いの信頼関係のようなものが伺えました。
研究の世界というのは、競争社会。いかに他を出し抜くか・・・という側面もあります。それはもしかしたら共同研究者の間にも存在したかもしれません。そんな中、よい関係を続けられたのだなとほほえましくなります。
一方、このメッセージを受け取ったのは、 エドワード・アレン 呪われたアメジストの所有者です。恐れをなして捨てたのにこのアメジストは戻ってきてしまったという・・・・
↑ 拡大せず小さいアイコンで見るとなんだか人に見えてくるのは気のせい?
この呪いのアメジストの詳細については、こちらに詳しいです。
〇ロンドン自然史博物館 『呪いのアメジスト』の真相 - マリルボーン村の異邦人日記
〇金曜夜にリベンジ鑑賞「大英自然史博物館展」<第1会場編>:はぐれ鳥うろちょろ記:So-netブログ
【追記】2017.06.16 「呪いのアメジスト」 呪いは大丈夫なの?
1900年代(明治33年~)の科学・・・ いまいちピンときていませんが、この時代の科学者は、呪いを信じていたということ?! 呪われたものを博物館に所蔵して大丈夫なんだろうか? そんなもの展示して、こんなに大勢にお披露目してしまったら、それを見た私たちにその呪いが被らない? なんてことを考えてしまいます。
しかし科学は、火の玉、ポルタ―ガイスト、金縛りなど、その原理や現象を解明してしまうと、なんだ・・・ということに。大昔は雷、竜巻、日食、月食といった自然現象も畏怖を感じさせていました。
【付記】(2017.06.23) 風神雷神図屏風
風・雷が神の仕業と思っていた時代の絵 風神雷神図屏風が、東博にて 2017/5/30~ 2017/
科学によってこのような現象が解明されてしまうと、雷、台風という得体のしれない恐怖というのはなくなってしまいます。ダーウィンの種の起源が1859年。この時はまだ神が信じられていて生命の進化という考え方は冒涜と言われた時代。それから40年後の1900年。当時、呪いというものを科学者は信じたのか・・・・なんて思っていました。
実物を見てもそれほど禍々しい感じは全くしないんだけどなぁ……?
(と思っていたら、やはり呪いうんぬんの下りはどうもねつ造の可能性があるようです。アレン氏がChristopher Blayre名義で書いた小説『The Purple Sapphire』に出て来る呪いの宝石をもっともらしく思わせる為に寄贈したものだとかなんとか)
こうやって考えてしまうと、せっかくの呪いの話も味気ないものに・・・(笑)
「怪奇現象の裏に科学が存在している」と基本的には思っています。「呪われた宝石」と言われて、それは単なる偶然の重なりにすぎない。と科学を学んだ者としては思っていました。しかしながらそれでも「これ、撮影して大丈夫?」「呪いがかからない?」 なんて思いながら撮影していたのも事実・・・・ そして宝石が人の姿にみえてしまったことも・・・・(笑)
人の認知というものは、「・」が3つ三角に並ぶと、目と口をイメージし人の顔を想像すると聞きます。人面魚や壁のシミなどが人の顔に見えてしまうのもそうしたことから生まれていると・・・ 3つの穴があると、それを「目」と「口」に見立て、それに伴いその他のパーツを「手」「足 」と認識してしまったということでしょうか(笑)
と思ったら現地の大英自然史博物館の展示は、逆さまだった!
出典:ロンドン自然史博物館 『呪いのアメジスト』の真相 - マリルボーン村の異邦人日記
参考:
〇呪われたアメジストの恐ろしい都市伝説と、その驚くべき”真相”とは? - そよかぜ速報
〇持ち主に悲劇をもたらす「呪われたアメジスト」―英国から日本に運ばれる [インターネットコム]
「2.地球のおいたちを調べる」
【常設展】輝安鉱 (B2)
こんな感じの展示エリアです。
こちらは、参考展示としての紹介はありませんでしたが、大英自然史博物館展で展示されていた同じ鉱石があります。とても特徴のあるきれいな鉱石です。
フロア:地球館B2F 地球環境の変動と生物の進化 -誕生と絶滅の不思議-
エリア:「2.地球のおいたちを調べる」
コーナー:「2.地球の営みの記録」
↓ これも、輝安石では? と思ったら案の定・・・・
ところで、この鉱物、希少なめずらしいものだから大英博物館にあるんだと思っていたのに、日本の科学博物館にもあるじゃない・・・と思ったら、もともとは日本の鉱物で、そのめずらしさに目をつけた昔のイギリス人が持ち帰って研究していたのでした。
そういえば、日本は植物などの研究には長けていたけども、鉱物関係の分類整理はめちゃくちゃだったと企画展のシ―ボルト展で展示されていました。
【大英自然史博物展】輝安鉱
本展の展示はこちらです。
母岩つきのこの大きさというのが希少だったことがわかりました。 ↑ ここが母岩かな? 撮影するポイント、逃しました。
こちらの前では、人がいっぱい。あちこちの角度から撮影しています。得も言われない輝き・・・・ 見る角度によって変化する色、輝きは魅了されます。
さらにアップしてみると、鏡面反射しているような部分もあります。
↑ これが母岩か?
「4.海で起こった生物の爆発的進化」
【大英自然史博物館展】三葉虫
でも個人的には「集団で交尾したまま窒息死」というパワーワードが一番好きです。こういう感じが続く #大英自然史博物館展 (笑) pic.twitter.com/FJkeBkUKJL
— うちゃか (@sayakaiurani) 2017年6月5日
展示の三葉虫、遠目に見ていたのですが、人だかりでいっぱい。なんだか群れてると思ったのですが、どこかで見たことある気がするしまあいいか・・・と思って戻ってきました。すると、この状態、交尾状態だったとは! よく見てくればよかったなぁ・・・と思いながら、そうか・・・ 火山か何かの爆発で埋もれる前に、生命をつなごうと思って交尾したんだ・・・と妙に納得していました。
【常設展】三葉虫
常設展、地球館を見ていたら、三葉虫発見!
しかも群れてる・・・
こちらも交尾中?
三葉虫が群れるのは珍しいわけではなく、もしかして習性だったりして!
その他ににもこんな化石が・・・
三葉虫の這ったあとや休んだ跡まで化石になってしまうって!?
これを生痕化石(せいこんかせき)というそうです。
科博の地球館、大英自然史博物館に引けをとらないもの持ってませんか? 企画展でなくても、常設展でより以上に、楽しむことができちゃいます。
ちなみに、三葉虫の交尾について・・・・
交尾といっても三葉虫はカブトガニ同様に体外受精なので、メスが産んだ卵に雄が精子をかけることで受精します。この化石はそのような三葉虫の生殖行動がが分かる貴重な化石…らしいです。
なお、三葉虫は海底の土砂崩れに巻き込まれてそのまま化石になるケースが多く、この化石も交尾中に土砂に埋まったと推測されます。なんと気の毒な。
出典
三葉虫は土砂に紛れて化石になるとのことで、この状態で発見されることが多いことも判明。大英自然博物館の展示だけみていたら、それがとっても希少に思ってしまいますが、日本の科博にも存在しています。
■1階:地球史ナビゲーター
「1.地球史ナビゲーター」
【3】始祖鳥 サーモポリス標本(レプリカ)
科博側からも待ち時間などを利用して常設展を見ることをおすすめしていました。
【見学前に予習】始祖鳥コース#大英自然史博物館展 に関連する #国立科学博物館 地球館1FとB1Fの常設展示です。時間があったら是非!15〜30分で見学できます。 pic.twitter.com/5qNj2b6B7C
— 大英自然史博物館展 (@treasures2017) 2017年5月5日
地球館1階にエントランスから入って 中央のあたり・・・
こんなパネルが前にあります
レプリカがの始祖鳥
↑ 触れてもよい化石のレプリカです 骨のしっかりした感触が伝わります。繊細な羽根の感触もこのレプリカで・・・・ わかるような、わからないような(笑)
【大英自然史博物展】始祖鳥
↑ 始祖鳥の化石全景 ↑ ちょっと寄ってみました
↑ こんな感じで埋まってます
〇始祖鳥は飛べるの? 鳥なの? 恐竜なの?
始祖鳥が飛ぶ様子が映像にもなっていました その解説 ↓
口を開くと鋭い歯、そして顔の鱗のようなものはまさに恐竜でした。映像ではその飛ぶ様子が映し出されていました。しかし、パネルには・・・
始祖鳥は飛んでいたのかいなかったのか・・・・
そして鳥類なのか、恐竜なのか・・・・
まだ答えはでていないのでした。
「4.系統広場」
【2】プラスチネーションのマダコ
同じく1階の「4番」系統広場には、周囲を覆う標本がぐるりと展示されています。その中に展示されているマダコ
ホルマリンで保存をすると色が変化してわからなくなります。そこでプラスチネーションという技術で標本が作製されています。
【大英自然史博物展】ブラシュカ父子のガラス模型
本展では昔はそれを回避するために、ガラス技術を使って、リアルさを求めていたという展示が行われていました。昔のガラスで作成した技術と現代技術とを対比させた展示です。
↑ 私はこのタコ、頭のとれたタコを正面から見て再現しているのだと思っていました。何で頭をとっちゃったんだろう。そうか採取するとき、ちぎれて中身が出てきてしまったんだ。その出てきた中身までリアルに再現したその技術もまたすばらしい! と思って見ていました。しかし、どうせ標本を作るなら、頭つきを選べばいいのに。なるほど、この時は、初めてみるめずらしい生き物で、そんなにお目にかかれるものではななかったんだろう。と思って見ていたのです。
そしたら、これ、ちゃんとタコの形をしていて、目もあることに気づきませんでした。見る角度で見え方が全然ちがってしまうことに茫然。
大英自然史博物館展のガラスのタコは、表面の紋もさることながら、吸盤の柔らかい白さに溶け込むような薄紅色が!ガラスとは思えない程の美しさだった。この技術が「絶滅」と知り、生命だけでなく技の保存も大切と痛感する。 pic.twitter.com/lGl5jlfI2A
— ちびぃ (@mini_chibyi) 2017年5月11日
〇標本の技術について
地球館で紹介されているプラスチネーション技術には個人的な思い出があります。この技術は1995年、科博で行われた、「人体の世界」で日本で初めて紹介されています。ドイツで医療用の臓器の標本最新技術として開発されたものでした。20年以上も前の話です。その技術が今、こうして生物標本の保存技術として生かされていることの感慨深さが・・・ その一方で、この技術は「人体の不思議展」という展示にその後、引き継がれており、そこでいろいろな物議を発することにもなりました。
この「人体の世界」は、私が美術展、博物館に自らお金出して行こうと思った初めての展示だったと記憶しています。これがきっかけでダ・ヴィンチが解剖学者だったことを知り、絵画の世界へ興味を広げていきました。またこの展示では、解剖学や解剖実習をご指導いただいた恩師が会場で解説をされているのに遭遇するというサプライズもありました。これもまた何かの縁だったのかもしれません。その後、解剖を通して生命、生物というものに興味を持ちながら、絵画の鑑賞をするに至ったのでした。
「4.系統広場の展示の発見」
床に模様(?)が描かれています ↓ これ
↑
これは進化の過程におきた、生物の分化の様子を表しています。
分岐した先にガラスケースがあって標本展示がされており、とてもわかりやすく、うまく表現したものだなぁ・・・と感心していました。
↓ ガラスケースの標本が周囲を囲みます
↓ その足元には系統分類がされ
全体のどの位置なのかも示されています
↓ フロアにはこのような系統分類、進化が電飾で
これってすごくないですか?
こういう見せ方というのは、誰が考えるのだろうか? 研究者というよりも、デザイン関係の人たちなんだろうな・・・なんて思いながら、以前も感心しながら見ていました。(科博のハンドブックのようなものに研究者が考えたように書かれていて、この工夫された表示に気づいた利用者の投稿が雑誌に載ったことを喜ばれていました)
しかし、生物の進化について、あまり知識がないと、あまりにこの展示内容はディープすぎて、専門すぎのため、始めて見た時は、お腹いっぱいで、私は受け付けることができませんでした。どこからどうとらえていったらいいかつかみどころがなく、これまた足が向かなくなった場所でした。
しかし、こうした展示の工夫が、今回は、身近に感じられるのも、大英自然博物館展を見たあとだからなのだと思いました。
〇生命の樹
ところが・・・・ この系統図の大元はどこだろう? とタコからその大元へとりから下ってみました。いろいろな分化の分岐点をたどりながら、最後にたどりついたのが、この「生命の樹」の足元だったのです。
↓ここでは定期的に、5分ぐらいの映像が上映されているようです。
↓ 解説パネル
〇原始生命体から
↓ その足元は「原始生命体」のスタート地点なんです
この床を踏んだら、電飾が点灯しました。大元はここのようですが、接触がわるいのか、偶然だったのか、点灯のタイミングが悪かったのですが・・・・ 順にここから、たどってみるのも面白いかも・・・・なんだか奥が深いです。
〇生命を描くアーティストたち
ここにある展示を見ていているといろいろなアーティストが頭を浮かびました。
↓生命の樹? ↓水玉は自然界にも? ↓
↓ 三葉虫が這ったあとの化石 似てる! ↓
《黄樹》(出展:みどころ | 草間彌生展「わが永遠の魂」国立新美術館)
まさにこの絵を彷彿とさせられる展示が、別のフロアにありました。クジラ(?)の腸の中に、うごめくような鉤頭虫がいっぱいです。生き物が生きていくための生存競争。ということを考えると、画家がこれを見ていた、知っていたということにかかわらず、似たような情景が存在するのかもしれません。「生」を描いた画家のモチーフは、生物界にも同じようなモチーフが存在してるのかと・・・
■日本館
↓ 日本館の関連展示は、パスを購入したので再度、改めて・・・
■関連
〇上野国立科学博物館の常設展示と特別展の見所と周り方のコツ!
→科博のエキスパート? 科博大解剖といった感じです
→確かに展示の意味がよくわらない・・・と思う部分も。
こちらを見るとそうだったのか・・・と理解が深まります。
〇大英自然史博物館展 - shorebird 進化心理学中心の書評など
→進化心理学という視点から