「マティスとルオー展」のチケットやパンフレット、HPに使われている《ラ・フランス》 この女性の展示にちょっとした仕掛けがあるのでは? と思ったことがあったのでご紹介。
《ラ・フランス》というのは、フランスの中のフランスという意味で、「ラ」は、フランス語の冠詞。 女性・単数名詞→La につけられるとのこと。ちなみに、男性・単数名詞→Le 複数名詞(男女とも)→Les
↑ 上記で作品の解説や見た感想を書いていますが、こちらの展示で、あれ? と思ったことがありました。
■遠くから近づいてみると
この絵を遠くから見ていた時には、椅子がよく見えませんでした。
その位置は会場図でいうと第2章の ㉛と㊱の作品のあたりです。
この場所から、第3章の No71の《ラ・フラランス》に向かって歩いていくと、
遠目で見ていると、この女性は立った姿に見えるのですが、次第に近づいていくと、背景と同系色の黄色で描かれたフレームがあることに気づき、それが椅子であることが見えてきます。
なんだ・・・立っているかと思っていたら、椅子に座ってたのか・・・・と理解するのですが、よくよく見ると椅子に腰かけているようには見えないのです。
■両端に女性像が・・・
この絵を一番、離れて見えるところは、偶然なのか意図的なのか、両サイドに椅子に座った女性のスケッチと、ブロンズ像があるのです。
㉛肘掛け椅子に座る裸婦(1923年)鉛筆・紙 ・・・・スケッチ作品
㊱肘かけ椅子の裸婦 (1924年)ブロンズ ・・・・ブロンズ像
71 《ラ・フランス》(1939年)
■展示の秘密?
マティスの重要な主題に、室内画におけるモデルがあります。作品 ㉛ ㊱が展示された2章のあたりには、豪奢な調度とポーズをとるモデルの肢体が有機的に描かれた作品が展示されていました。(1920年)
こうした室内で椅子に座ったモデルを描きながら、1939年~1945年の第2次世界大戦の悪夢が最後になるようにと、椅子から立ち上がる女性を絵がいた《ラ・フランス》(1939年)へとつながる三角形なのかな・・・・と思いながら見ていました。
以前、そごう美術館の展示でも、「”この章”から”次の章”へ橋渡しが、担当学芸員は違ったのですが、偶然、見渡せる関係の位置になりました」と言われていたことがありました。これが意図された展示なのか、結果、このようになった偶然の妙なのか、あるいは全く関係ないのかわかりませんが、「椅子に座る女性の三角形を発見!」と密かに楽しんでいました。
■ビデオの解釈は違ったけど・・・
ところが、外で上映されていたビデオを見ていたら、この作品を「ここちよい肘掛椅子おような芸術」と解説されていて、「立ち上がれ!」というメッセージではなかったようです。椅子に座って、心地よさげな絵だったんだ・・・・ と苦笑しつつも、私は私の解釈で、「立ち上げれ!」のメッセージととらえることにしました(笑)
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