たばこと塩の博物館で行われている、「江戸の園芸熱 浮世絵に見る庶民の草花愛」のレポートがインターネットミュージアムにアップされました。様々な花が紹介されていますが菊にスポットをあてています。
⇒たばこと塩の博物館「江戸の園芸熱」 | インターネットミュージアム
上記でご紹介できなかった部分や補足を追加しました。
*写真の掲載は許可をいただいております。
■前期・後期で大幅展示替え!
本展覧会は、前期、後期で大きく展示替えがあります。8割が展示替えとなり、壁面に展示されたものは全て変わるそうです。会期は下記のとおりで、前期は、残すところ数日となってしまいました。
前期:1/31〜2/17 後期:2/19〜3/10
〇比べてみよう所蔵の違う同じ作品
ちょっと通な鑑賞法を紹介。前期と後期で、同じ作品名でも、所蔵の違う作品が展示されるものがあります。例えば、インターネットミュージアムでご紹介した2つの作品は、前期・後期ともに見ることができます。しかしそれぞれ、所蔵が違います。
▲前期:百種接分菊 歌川国芳 個人蔵
後期:百種接分菊 歌川国芳 文京ふるさと歴史館蔵
▲前期:菊の細工物 歌川豊国 個人蔵
後期:菊の細工物 歌川豊国 川添裕氏蔵
*この版画、菊人形になっているのをみつけました。(⇒*1)
赤字で示しているとおり、個人蔵や所蔵が異なります。浮世絵は光に弱いため、長く展示ができないという理由からです。そこで所蔵館や版による違いに着目して鑑賞してみると、面白いのではないでしょうか?
その他に、
前期:144 小村井梅園 秋の七くさ 三代歌川豊国 すみだ郷土文化資料館蔵
後期:145 小村井梅園 秋の七くさ 三代歌川豊国 個人蔵
なども、前期・後期で違う作品が展示されます。
3階の常設展示室「たばこの歴史と文化」にも、 外国人が花を愛でる様子を描いた浮世絵がありました。
▲全期:3階 常設展示室「たばこの歴史と文化」にも展示
亜墨利加之商人小樹之桜を求めて大いに歓喜之図
こちらと同じ作品が、前期は、2階の展示室にもあります。
▲前期:亜墨利加之商人小樹之桜を求めて大いに歓喜之図
歌川貞秀画 個人蔵
桜の盆栽を入手して喜ぶアメリカ商人と外国人女性。鉢は木製。
■どんな違いがあるの?
さて、版が変わると具体的にはどのような違いがあるのでしょうか? 同時に並べられていないと、わかりにくそうです。図録で見ると発色が違っていたり、部分的に着物の色が違っているところも。あるいは、空のぼかし加減が違っていることも確認できます。
学芸員さんに、どんな違いがあるのかを伺ってみました。じっくり摺を見ると、図録の印刷ではわかない微妙な違いが認められるとのこと。また、版が傷んでくると、廻りをカットすることもあり、サイズが違うものもあるそうです。
100円という入場料なので、お時間が許すようであれば、前期・後期訪れてみて、微妙な違いを探してみるのも楽しそうです。
〇こんな違いにも着目してみて!
「八幡祭小望月賑」は、いろいろなバージョンが存在するそうです。
前期(1/31〜2/17)と後期(2/19~3/10)で違うバージョンの作品が展示されます。背景の植物が違ったり、登場人物も違っています。
[前期] No.188(図録より)お富(右の女性)の背後の窓辺に描かれる植物は、朝顔と実をつけた万年青(オモト)
[後期 ]No.189(図録より)お富の背後は、「ほや」(植物を守るための金網)をかぶせた植木鉢、波千鳥模様の水盤に入った石菖、赤い実をつけた万年青が描かれています。
楽しむポイントを、自分で見つけるのも一興かもしれません。
他にも菊の「百種接分菊」や、「朝顔」について紹介しました。江戸の園芸熱を感じながら、自分が熱くなれるポイントを探してみてはいかがでしょうか?
■関連:江戸の園芸熱レポート
■江戸の園芸熱:浮世絵に見る庶民の草花愛は、ディーブでマニアック
2003年に展示された菊人形を発見
引用:『江戸東京紀行(菊人形の頭「かしら」は?生人形!名古屋城の巻)』名古屋(愛知県)の旅行記・ブログ by 一歩人さん【フォートラベル】
その他にも、お江戸博物館でも展示されていました。https://deskgram.net/p/1918232740123960289_4624081484