国民的風景画家と呼ばれた東山魁夷は、東山ブルーといわれる独特の「あお」を使ったことで知られています。東山魁夷が追い求めた青を集めてみました。時代を追ってその青はどのように変化してきたのか、魁夷の旅とともに追ってみます。
*写真の撮影は、主催者の許可を得て掲載しております。
- ■東山ブルーを制作順に並べてみる
- ■グッズ
- ■関連
■東山ブルーを制作順に並べてみる
東山魁夷の絵画は、夢幻的で祈りのような風景を描き、その多くがブルーを基調に描かれています。そのブルーは東山ブルーという固有名詞がつくほどの特徴的な青が使われています。その変遷を今回の展示作品を順に見てみます。
戦前に、ドイツ留学を終え、日本に帰る船上で、日本の風景を見て、群青と緑青(ろくしょう)の風景だと思ったという話があります。東山ブルーの基本は、群青と緑青の青がベースになっているようです。
旅する風景画家と言われる魁夷。旅の様子と合わせて青の変化を追ってみます。
1926年 | T15 | 18 | 東京美術学校日本学科 |
1926年 | S1 | 18 | 友人と信州の旅、木曽川、御嶽山に上る |
1933年 | S8 | 25 | 渡欧:ドイツ留学 |
1934年 | S9 | 26 | ヨーロッパ各地を旅行 |
ベルリン大学哲学科入学 美術史 | |||
1935年 | S10 | 27 | ベルリン大学 2学期終了 |
父の病気のため帰国 | |||
1943年 | S18 | 35 | 泰天、承徳を経て北京旅行、5月帰国。 |
1944年 | S19 | 36 | 山梨県に疎開した岳父・小虎の留守宅に移る。 |
1945年 | S20 | 37 | 岐阜県高山市森下町に疎開(病気の母と妻と) |
招集され千葉県市川市高石神の知人宅 |
〇40代で代表作《道》 東山ブルーの片鱗が見える?
・1948年(昭和23年)40歳 《郷愁》
・1950年(昭和25年)42歳 《道》
・1953年(昭和28年)45歳 《たにま》
・1960年(昭和35年)52歳 《青響》
1962年 | S37 | 54 | デンマーク、スウェーデン、ノルウエー、フィンランドの北欧4か所巡り7月帰国 |
〇 古都を描いた青
・1964-66年(昭和39-41年)56-58歳 《春静》《曙》
・1964-66年(昭和39-41年)56-58歳 《年暮る》《北山初雪》
〇北欧の旅で描いた青
・1965年(昭和40年)57歳 《白夜光》
・1967年(昭和42年)59歳 《月篁》
・1968年(昭和43年)60歳 《雪の後》
1969 | S44 | 61 | 〇ドイツ・オーストリアへ写生旅行 |
〇北欧の旅で描いた青
・1971年(昭和46年)63歳 《晩鐘》ドイツフライブルク
〇白馬のいる風景の青
・1972年(昭和47年)64歳 《草青む》
・1972年(昭和47年)64歳 《水辺の窓》 ドイツ北部・オイティン
・1972年(昭和47年)64歳 《白馬の森》
1975 | S50 | 67 | 〇渡欧:パリ・ケルンで個展「唐招提寺障壁画習作展」 |
〇唐招提寺障壁画の青
・1975年(昭和50年)67歳 《濤声》
・1975年(昭和50年)67歳 《山雲》
1976 | S51 | 68 | 【訪中①】⇒北京・西安・南京・揚州・上海歴訪⇒太湖・桂林訪れ写生 |
1977 | S52 | 69 | 〇渡仏:パリのプリバレ美術館で「唐招提寺展」展覧会 |
【訪中②】⇒ウイグル自治区の古代遺跡写生 | |||
1978 | S53 | 70 | 【訪中③】⇒洛陽・南京・揚州歴訪 黄山に登り写生 |
1979 | S54 | 71 | 〇渡独:西ドイツで「東山魁夷展」 |
〇70代 心の中の風景の青
写生に出るころもままならずこれまで描いたスケッチを元に制作。日本でも外国でもない心の中の風景を描くようになります。
・1982年(昭和57年)74歳 《緑響く》 長野県茅野市の御射鹿池
・1981年(昭和56年)73歳 《熱唱》(左) フランス・パリ郊外・ソース公園
・1982年(昭和57年)74歳 《春兆》(右) デンマーク・コペンハーゲン
1982 | S57 | 74 | 〇渡独:東山魁夷展のための旅行 |
1983 | S58 | 75 | 〇渡独:東山魁夷展のためドイツ旅行 |
・1999年(平成11年)74歳 《夕星》 長野県長野市善光寺花岡霊園
生涯に渡って描いた青を並べてみると、時代によって少しずつ変化していることがわかりました。同じように見える緑青のブルーも、重ね方が違っていたり、馬が登場する絵は同時期かと思っていたのですが、有名な《緑響く》は一度、紛失した作品を再制作したものだったこともわかりました。
同じブルーの絵を2度に渡って描く・・・・ 全く同じように再現をしたのか、あるいはそこに経過する時間が何かを変化させているのか、気になることろです。
■グッズ
スタッフの方に伺ったおすすめのアイテムです。
〇空也の空いろのほしとコラボ
最中で有名な空也から新たなブランドとして生まれた「空いろ」 餡にこだわりのある「空也」の伝統を今風にアレンジ。餡を食べるという提案をクッキー添えた商品nしています。空に続きそうな《道》をパッケージに採用
パッケージは《道》をイメージ スプーン型クッキーで餡をすくう
〇ロイヤルコペンハーゲンのコラボ紅茶
「ロイヤルコペンハーゲン」と「東山魁夷」がコラボ? どういう関係?
ご縁があって、ロイヤルコペンハーゲンから魁夷の下記のような美術登板画を出しているそう。その関係で、今回の紅茶のコラボ商品になったのだそう。
館内には原画もあります
その他にも下記のような陶板画があります。
⇒東山魁夷 ロイヤル コペンハーゲン美術陶版画 - ロイヤルコペンハーゲンオンラインショップ
パッケージに採用された絵は、陶板になった絵が使われているようです。
〇チケットフォルダー 一筆箋など
生涯を通じて追い求めた青を目に焼き付け、この鑑賞で気になった青のグッズを手元に残して、折々で思い返してみるのもいいのではないでしょうか? 次に出会った時に心惹かれる青はどんな青でしょうか?
■関連
【東山ブルー】
〇東京富士美術館 東山魁夷展!東山ブルーといわれる日本画の岩絵の具!
〇東山ブルーが美しい、佐藤卓によるシンボルマーク誕生《山種美術館》 -
〇snapshot.tokyo - web photo magazine for Tokyoe-kyoto「一言コラム」 » Blog Archive » 東山ブルーに浸る
【グッズ】
〇東山魁夷展の限定グッズが美しく機能的すぎて、まとめ買いしてしまった話
〇今度の東山魁夷展はスケール感が凄い!唐招提寺障壁画の再現セットを見逃すな!【展覧会レビュー・感想・混雑対策】 - あいむあらいぶ