SNSで火がついたと言われる「世界を変えた書物」展。 9月24日までと聞き慌ててでかけました。圧巻… 所蔵品もさることながら、こんな見せ方、こんなまとめ方、いったい誰が考えたの? 隠しテーマ(別に隠してはいないけど)は「知のつながり」。あまり気づかれていないようですが、「展示」と「マップ」「配布シート」が連鎖して繋がっていたこと知ってました?
■知の壁・・・
量と質もさることながら、入れ物のデザイン、雰囲気も演出されて、時間を経た場の空気が存在しているかのよう。カーブの先が見えなくなり、果てしない数の広がりは、知の広がりとも重なっているようです。
天井までびっちり。貴重な初版本が見開き展示されている下にも床すれすれに書物が…
見上げてればそにも書物が襲いかかるよう。
なんだかこのウェーブ、国立新美術館の曲線を思い出させます。知もデザインもどこかでつながっている?
■ 知の連鎖マップ
2つの「知の連鎖」マップが大きく掲げられています。
知の連鎖1 カテゴリーマップ:カテゴリー分けしてカテゴリーの中の連鎖。
知の連鎖2 系譜マップ:知を系統的、体系的に時代やカテゴリを超えてあらわす。
〇「知の連鎖1」・・・13のカテゴリーマップ
6~13のカテゴリ
「知の森」13カテゴリーのMAP・・・会場で配布しているシート
いろいろなカテゴリが連なり島を作っていますが、最後の島はアインシュタイン相対性理論に。
〇「知の連鎖2」・・・系譜マップ
こちらの系統マップは、前出のカテゴリーをはずして、時代もはずして、それぞれの繋がりを示したマップ。この線を追っていくとアインシュタインの相対性理論にたどり着いてます。両者ともに、アインシュタインに行きつくということらしい。
今後はいずこへ?
〇「知の連鎖1:カテゴリーマップ」と2階会場の展示が連動
「知の連鎖マップ」 樹形図、系統図、体系図って好き。こういう系統的な流れを、美術史の中にも見えて、自分なりに系統図を作ったりしてました。最初に作ったのは、ごくごく限られたカテゴリーの中の代謝サイクルだったなぁ…
こんなふうにまとめられるってすごい。見せ方も含めて。これそのうちきっと何かに役立つ! そして、こんなまとめはこの先、お目にはかかれない。と思って、全部、端から端まで写真に納めていました。
そして2階へ行くと… 「6物質・元素」と冒頭に。あれ? この文言、数字、カテゴリーマップで見たぞ。しかも赤。そしてこのガラスケースの並び。知の連鎖のマップのアイコンの配列と同じじゃない?!
マップを撮影していて、色分けされていることに気づきました。しかし色の解説が見当たりません。何を意味しているんだろう…と思ってたら、展示と連動させるためのサインだったのでした。すかさず、1階のマップに戻って確認したら、やっぱり・・・
これ、すごすぎるよなぁ‥‥
ってことは、前半の1階部分、カテゴリの1~5の展示も、このマップと連動していたわけだ。配布シートを見たら、表裏に、ちゃんと「1st floor」「2nd floor」と書いてありました。以下は、「それぞれのカテゴリー」と「通し番号」「色」が連動してい「マップ」と「展示」の対応です。
06 物質・元素
「菱形の中の6」「赤」「直角配置」 この展示とマップが一致した瞬間。
07 電気・磁器
08 無線・電話
10 電磁場
11 原子核
〇1階「知の森」エリアのカテゴリーマップは展示の配置図だった
配布されているシートの裏面の知の
カテゴリー別
カテゴリー解説
展示風景
いきなりこの空間に入って、人も多いとよくわかりませんでした。よくよく見れば、このマップの配置と同じだったのでした。
これで、やっと全体像がつかめました。ガラスケースがいっぱならび、人もたくさん。どこに何が展示されて、どういうまとまりのなのかさっぱりわかりませんでした。きっと何かテーマでまとまっているのだろうけど、混んでるから素通りして、あとで見ることに。ところが、次の「系統図」「体系図」のコーナーは釘付け状態で撮影。それが功を奏したみたい。
なにげなく置かれた(そんなわけはないのですが)ガラスケースは、上から見たら、マップと同じ配置になっていました。
さらにこれを、3次元にすると・・・・
#世界を変えた書物展 2次元の知の体系は3次元の知のつながりへ。ここでも最後はアインシュタイン。さてこの先はどんな世界? これ、積木ブロックみたいな商品になるといい。色だけで合わせようとしても積みあがらないと言ってた人。こんなおもちゃを与えられてたら、知らずに知の世界が広がりそう pic.twitter.com/FqYvs07hYr
— コロコロ (@korokoro_art) September 24, 2018
■世界を変えた書物 年表
年代順に「世界を変えた書物」が並び、その書物がどういう内容のものか、下部で示しています。こういう示し方を見たのは初めてです。これらも、考え抜いた形なんだろうな…
こんな一見、文字ばかりの年表に、人だかりができてました。きっと自分の知ってる本を探しているのでしょう。興味を持つ入口って、やっぱり知ってる。聞いたことがあるが、大きなきっかけ。
「教授になると、こんなにおぼえなきゃいけないのか…」「本の内容、実はこんな内容だったってわかるように表示してるね。これいいね」
みんな思い思いに、そこで立ち止まり物思いにふけっているようでした。
自分が知ってる書物、触れたことがあるもの、アップで撮影したりして…
全体をつかむことに重きをおいてしまったため、個々の書物がほとんど撮影できませんでした。最終日、行くかどうか悩む~
■本好き、自然科学好きは必見
本が好きなら見逃せない展示との評判。私、本をほとんど読まなかった。読書って好きじゃなかった。それなのに、この手の展覧会は興味深々。いそいそ出かけるわけです。本好きでなくても楽しめる企画だと思いました。(ベースに自然科学があるからというのは大きいのかもしれませんが)
以下は余談
〇読書って?
最近、わかったのは、本を読まなかったわけではなかったこと。興味を持って読んだ本は、「読書」と思っていなかったのでした。何かを知りたい。そのために必然的に見る(読む)。それは、読書という認識がありません。
見る(確認する)本の多くが、自然科学に関するものだったことが見えてきました。これっておかしい。ほんと?という疑問が生じたら、その直観を確認するために、いろいろな本を見て、それが正しいことを証明するための理屈を探す。
実際に、全編、読んでいたわけではなかったので、読書とは言えないわけですが。必要な部分を探して抜き出して見るだけ。という感じなので、自分は本を読まないという認識になっていました。
〇読書をする美術
最近、美術に興味を持つようになって読書するようになりました。美術ってすごいなぁ・・・ 知りたいという欲求を、読書に駆り立ててくれるのです。
ところが、それは違っていたようです。私にとって「読書」は、お勉強というイメージ。苦労してわからないことを理解し、大変な思いをして体得するもの。つまり美術の世界は難しくて、勉強しなくちゃいけない世界。だから「読書」が必要って思っていたのでした。
自然科学系の本なら、見てはいた。でも読んではいなかった。見るだけは読書ではい。知りたいところを見る、確認にするのは当然のこと。それを読書とは言わない。そんな捉え方をしていたことに最近気づいたのでした。
〇本が好き
本を見る、本を読む。これは、理系、文系関係なく、何か知りたいという欲求から湧き出るもの。今回はジャンルがジャンルだけに理系の人は、のめり込んでいくようでした。そこにはかつての学びがあるから。自分の古巣であり、自分の本質的を形成する「知」がそこに存在し、目の前に現れるのですから、どうしても見入ってしまいます。
しかし、ジャンル外でも、これらの知の構造を見て、自分の世界に置き換えているのだと思います。今回、一部、文系の書物とクロスオーバーしていました。学問が未分化だからなのでしょう。
文系ジャンルでも、こういう展示をしてくれたらいいのになぁ‥‥ そして自然科学との接点から橋渡しをしてくれる人が登場したら・・・ そんな壮大な世界へのつながりも想像させてくれる展示でした。
この展示、この前、科博で行われた南方熊楠展が重なってきました。美術展、博物展、一見関係ないように見えても、こうしてどこかでつながっているのを感じます。知は四方八方へと自由に伸びていくものだと改めて・・・・
今回の展示の解説と参考書物が紹介されています。同じ自然科学でも、こういう本は私の中では「読書」に分類されるんだなと
■参考サイト
〇主催関連
〇その他