コロコロのアート 見て歩記&調べ歩記

美術鑑賞を通して感じたこと、考えたこと、調べたことを、過去と繋げて追記したりして変化を楽しむブログ 一枚の絵を深堀したり・・・ 

■ルーヴル美術館展:Sheageにレポートしました

国立新美術館で「ルーヴル美術館展 人は人をどう表現してきたか」が、2018年9月3日まで開催されております。 Sheage(シェアージュー私らしくもっとかがやくライフスタイルメディアーに、レポートしました。

sheage.jp

以下、記事でご紹介できなかった作品や補足説明をレポート致します。
*写真の撮影は、主催者の許可を得て掲載しております。

 

■ナポレオンに関する最後の肖像

ナポレオンに関する肖像は5点展示されています。Sheageでは3点を紹介しましたが、残りの2点の中で、興味深いのは、ナポレオンのデスマスクです

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フランチェスコ・アントンマルキ《ナポレオン1世デスマスク1833年

1821年5月5日、ナポレオンは、追放されたセントヘレナ島で病に伏し息をひきとります。その2日後、主治医は石膏でデスマスクを作成するのですが、なんともう一人の主治医、フランチェスコ・アントンマルキが、デスマスクの頭部だけを持ち去ってしまったというのです。

それだけなく、12年後の1833年デスマスクの複製をブロンズと石膏で作成し、予約販売までしてしまいました。その複製は、当時の国王、ルイ=フィリップまで手に入れており、しかもブロンズ5点、石膏25点を入手していたというから驚きです。そんないわくつきのデスマスクの1点がこちらになります。

民衆や知識人から共感を得ていたナポレオンを、崇拝する動きがあったようです。国王はそうした動きを支持していますというアピール政策だったようです。ナポレオンの作ったイメージは、のちの政策にも利用されながら、今の時代に伝わったことがわかります。

 

顔ではなく耳のあたりを見ると・・・・ 

フランチェスコ・アントンマルキ《ナポレオン1世デスマスク1833年

どうもつながりが微妙なことがわかります。盗んだ顔の部分とのつなぎ目があります。そんな様子からもナポレオンをとりまいていた歴史が伝わってきます。

そして、妙に鼻が高いことに気づきます。実際に高かったのかもしれませんが、もしかすると2日後に型をとったため、顔の皮膚が削げ落ちてしまいより鼻の高さが強調されていたのかもしれないと思いました。

 

 

■周回したり見上げたり覗いたりして鑑賞

クロード・ラメ 《戴冠式の正装のナポレオン1世》 1813年

圧倒的な迫力のある彫刻です。 両サイドから纏った衣装を見ると、緻密な再現にため息がでるばかり。そして背後もくまなく見るとミツバチの紋章がちりばめられているのが目につきます。

従来、フランス国王はユリを紋章としていました。しかしナポレオンは、フランス最古の王朝とされる、メロヴィンク朝ゆかりのミツバチを選びました。


見上げたり、周り込んだり・・・・ そして最後に、足元から中をのぞき込んでみて下さい。こんなところまで作り込んであったのか・・・・と驚かされます。

 

 

■展覧会情報

展覧会名:「ルーヴル美術館展 肖像芸術ー人は人をどう表現してきたか」

会期:5/30(水)~9/3(月) ※毎週火曜日休館、8/14(火)は開館
時間:10:00~18:00(金・土は6月は20:00まで、7~9月は21:00まで開館)
会場:国立新美術館 企画展示室1E