科学博物館にて「特別展 人体ー神秘への挑戦ー」が2018年3月13日より始まりました。人類は、「人体」の構造や機能をどのように理解してきたのか。先人たちの挑戦の歴史と医学研究の最先端が紹介されています。
インターネットミュージアムにて、人体の発生、胎児の成長を中心にレポートしました。
国立科学博物館 特別展「人体 -神秘への挑戦-」 | インターネットミュージアム
以下、補足説明です。
*写真は主催者の許可を得て撮影しております。
■関連放送 NHKスペシャル “生命誕生”見えた!母と子 ミクロの会話
2018年3月18日(日) 21時 〜 (49分)
受精卵というたった一つの細胞が、一人の人間の姿形にどう変わっていくか。その命運は、細胞たちが盛んに交わす“会話”が握っていることがわかってきた。あなたがあなたになるまでの神秘の物語を、最新科学でひもといていく。
この番組内で使われるセットが展示されていました。
子宮を模したセット。番組内ではタモさんがこの中に抱かれる模様。
■日数による(〇週)の成長
こちらの模型は、〇週といった時間で分けています。
■人体の発生
胚子期:受精後の発生初期段階。この時期に受精卵は分裂、分化を繰り返し複雑な人の形へ。単純な球体から8週間で人の形へ
胎児期:胚子期に続く期間。各器官は完成に。一部の器官は活動開始。40週で誕生。
成熟期:出生から15年
青年期:次第に老化 老化も発生段階の一部‥‥発生は個体の死によって幕を閉じる。
生殖能力を失っても長い間、生きるのは人類だけの特徴。
■胎児の成長
(↓)この模型が何であるかを理解するためには、(↑)赤い囲みの理解が必要。
というように、人体の理解に貢献した人たちの努力は、知ろうと思って見ないと見えてこない側面があることを感じさせられたのでした。
胚をスライスするのに何を使ったのだろうか‥‥ 組織標本を作製するのに、臓器を薄く切り出すミクロトームという機械があります。それで切ったのかしら? しかし、ミクロトームで、こんな厚さには、切れないはず‥‥ と思っていたら、この模型を製作したオズボーン・オーバァートン・ハードは、ミクロトームの改良までおこなっていたことを、図録の中で知りました。
しかも、切片を作る際に、どうしても歪んでしまう弊害を、パン切り包丁の原理を生かして、歪みのない標本を作っていたというのですから、驚きを超えてしまいました。
これと同様のことが、脳の展示のところでもされていると、このブースの担当である坂上和弘氏(人類研究部人類史研究グループ研究主幹)に教えていただきました。
上記のスケッチは、スライドを巨大化して脳の神経細胞をスケッチしたものだと思っていました。染色されない神経細胞の染色技術の開発によって、神経の状態がわかったというのを、巨大なスケッチにしましたという展示だと。しかし、だたのスケッチではなかったのです。人の杯をスライスして模型を作ったように、脳の組織を薄くスライスして、 一枚、一枚、描いていったというのです。
猫の脊髄10㎜の中の神経細胞がどのように走っているかを確認するために、100μmの連続した切片を100枚作成。1枚の切片につき、54枚の顕微鏡写真を撮影。つまり100枚の切片があるので5400枚の写真になります。それらをつなぎ合わせることでその全貌を解き明かしたというスケッチだったのです。
解剖学は、2次元の世界を3次元に頭の中で再構築するという作業があると感じていたのですが、それを顕微鏡下の世界で行っていたのでした。
なんとなくこういうものと理解したつもりになって見ていましたがこれらの標本がどうやって作られたものなのか‥‥ そんなところに目を向けてみると、先人たちがいかなる努力のもとにそれを解明していったかが見えてきて、恐れ多くなります。
実習で組織標本のスケッチをしましたが、与えられた標本が臓器のどこの部分だかさっぱりわかりませんでした。しかし図譜を見れば、それが何であるか理解することができます。しかしその図譜の作成の裏には、こうした地道な気の遠くなるような研究をコツコツと積み重ねられてきたからからこそだと解説をしていただきました。
何も知らずに見てしまうと、「胎児の模型ね…」「脳の組織図ね…」で終わってしまいますが、解説も一緒に丁寧に見ていくと、その裏に隠された先人たちの努力に触れることができます。
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受精した、着床した‥‥ それはホルモンによってコントロールされていると理解していたのですが、最新の医学ではどのようなことがわかったのでしょうか? 新たな伝達物質がみつかったのかな?
卵子が卵巣から飛び出す時、卵管采が卵巣に近づくことがわかったらしいです。その動きももしかしたら、子宮からの伝達物質によるものかもしれません。
今度のNHKスペシャル、長年の疑問が解明できるかも‥‥ ちょっと楽しみ。
人体標本を初めて一般の来館者対象に展示される
国立科学博物館での人体の世界展の開催となる.
人体標本を始めて展示した展示を、私、見ていたんだ‥‥ この時にプラスティネーションが話題になっていました。美術館、博物館の鑑賞で、貰い物チケットでなく、自分で行きたいと思って見銭を切った初めての展示が確かこれだったという記憶。その後の美術への興味も、この展示でレオナルドは画家でなく解剖(学者)だったことをしったから。
また、この企画に恩師が携わっていらっしゃって、会場で偶然、お目にかかったというのも何の因果か‥‥ 〇〇先生、偉い先生だったんだ・・・と、卒業後に、しかも仕事も離れたあとに知ることに。プレパラート渡して、はい、描いて・・・ そんな授業、ないでしょ‥‥ と噴飯ものだったのですが‥‥ 自分で学びとることを教えられたのか‥‥
その後に行われた人体の不思議展。どうも怪しい‥‥ しばらく情報散策していたのですが、喉元過ぎたら状態に・・・ 今は、検証されているようです。
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