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コロコロのアート 見て歩記&調べ歩記

美術鑑賞を通して感じたこと、考えたこと、調べたことを、過去と繋げて追記したりして変化を楽しむブログ 一枚の絵を深堀したり・・・ 

■「モードとインテリアの20世紀 ―ポワレからシャネル、サンローランまで―」

 >アールデコ  >アールヌーボ ◇光・照明

パナソニック汐留ミュージアム「モードとインテリアの20世紀 ―ポワレからシャネル、サンローランまで―」が開催されています。タイトルから興味を持ったのは「インテリア」の部分でした。

 

1900年から1960年代までのパリのオートクチュールのモードの歴史を、各時代のインテリア・スタイルの展示造作の中で表現されているという触れ込み。ファッションとインテリアの流れが見られるのは当館だけ


人々のくらしに深く関わる衣服と生活空間。いずれも人間の営みを包むものとして、それぞれの時代の装飾デザインの傾向が顕著に反映されるもの。これらを同一空間で紹介することで、より立体的に各時代の造形をご覧いただけます。(HPより)

「インテリアと衣服」との関係性に興味はふくらみます。

 

 

 

■これまでの鑑賞体験が生かせる?

特に「アール・ヌーヴォ」「アール・デコ」の時代は、ガレやラリックのガラス工芸品や家具を通して何度となく見てきました。アール・デコ様式の建築も、庭園美術館に何度か足を運んでいるので、⇒(過去の来館) これまでの鑑賞経験は、なんらかのつながりを見いだせるのではないかと期待。


アール・ヌーヴォ、アール・デコの工芸品、建築、そして「モード」が、どのような形で、影響しあい関係しあって時代を築き上げていったのか。そんなところに着目して、見ることができたらいいなと思っていました。が、なかなか訪れることができず、会期ぎりぎりになってしまいました。


〇ファッション関連企画目白押し

インテリア、建築では庭園美術館の他にも、ラリック美術館でもベルエポック時代の室内が再現されているのを見ています。

 

〇今年(2016)、ポーラ美術館の企画展では、下記のような展示会もありました。

ファッションとともに、一部、室内空間が再現されてしつらえが展示されていました。

 

庭園美術館でも下記のような展示が・・・


〇三井一号館美術館 ファッション


以上のように、この時期、美術館ではファッション企画が目白押しです。そんな中で、インテリアとファッションの流れを見ることができるのは当館だけ!というキャッチフレーズを掲げ、さらに美術館照明に定評のあるパナソニック個別調光により美しさをより引き立たせているというのは楽しみです。

どんな光空間の中に、モードが映えているのかでしょうか・・・・

 

 

 ■インテリアの展示状況は?

実際に訪れてみると展示は、パネルで背景が作られその前に衣装が展示されていました。リアル空間を想像していたため、ちょっと拍子抜け。

●しかし、1900年代、アール・ヌーヴォー様式の女性用の居間のパネル。ドレスは、ヌーヴォーらしいドレープのきいたフォルムのイブニングドレスや、植物的な曲線模様が施されたコートが展示。

アール・デコ様式は、1932年 ジュリエット・レヴィ邸のサロンで、モダニズムへの移行期でもあります。こちらのドレスは、シンプルで直線的・・・でも、その中にきらびやかさを備えています。

●20世紀半ば(ミッドセンチュリー)になると、インテリアはモダンになり、それとともに、モードも、クリスチャンディーオールなどのダンなデザインに。

●さらに1960年代は、既成概念のぶち壊し。航空機の発達や、1969年には人類初の月飛行など宇宙開発の時代に突入。そんな時代背景を反映して、モードに使われる素材も、ビニールや金属、紙などが用いられます。未来的なイメージの素材によるインテリアと共に展開されています。


 

 ■インテリアと照明への期待

 インテリアと照明については、アールヌーボー時代の照明、アールデコ時代の照明の違いを体感したいと思っていました。

 

電球が発明されたのが1879年(明治12年) 19世紀後半ですが、その普及にはタイムラグがあると考えられます。日本と諸外国の普及速度の違いなどもありそうです。電球の普及とともに、居室空間の明るさは変化し、間接照明から直接照明にも変化しているはず。⇒(電球の発明とアールヌーボー・アールデコ

兼ねてからアールヌーボー、デコ時代のガラス工芸品(ガレやラリック)を、その時代の照明の中で見てみたいという希望を持っていました。「屏風」をその時代の室内照明と同じ光で見るのと同じように・・・・

屏風はここではかないませんが、今回は「モード作品」をかわりにその空間に置いて見ることで、時代の光を体感できるだろうという期待を抱いていました。

そのような展示ができるのは、パナソニックミュージアムだからこそ。時代を反映した生活の光空間の中のモードとその変化を見せるという展示だと理解し、期待が膨らみに膨らんでいたのでした。

実際のインテリア空間が再現されていると思っていたので、ちょっと(本当は、かなり)がっかり感は否めなかったのですが・・・・

 

〇汐留ミュージアムの照明

上記HPに書かれているように、いろいろな照明の工夫がされているようです。一日の時間によって変化しているということを、あとで知ったので、意識して見てくればよかったと後悔・・・・ 「絵」にあてる照明は、色の再現性が高いようです。が、絵が立体=ガラスになった場合。そして、ガラスケース内ではなく、作品に

直接ライトアップされた場合・・・・どう変わるでしょうか? これまでの作品展示とは違う環境における照明だったことに、あとになって気づき、貴重な見どころポイントだったことを逃してしまいました。

インテリアがパネル背景で示されていたことで、その時代の光が演出されてはいないと勝手に判断してしまい、注意してみることを怠ってしまいました。もしかしたら、時代の光を演出していたのかもしれません・・・(アールデコのランプの展示は一部にありましたが・・・)

時代とともに変化する光の違いについてはわかりませんでしたが、モードは時代の「空気」を映す鏡で、女性の社会進出という社会情勢が強く反映していること。それは、20世紀を疾風のように駆け抜けたデザイナーの生き方のれでもあると感じさせられました。



 ■時代とファッションの変遷

女性の進出とファッションの関係でよくとりだたされるのは、体をしめつけるデザイン。女性は内という、抑圧的な社会情勢が反映していたものと考えられます。次第にラインはゆるくなっていきますが、まだ活動的とは言えません。


それを打ち破ったのがシャネルと言われています。黒、スポーティーなデザインは、活動的な女性、働く女性をイメージさせます。


そして、現代につながるディオールなどのドレスや、アメリカの機能的な新素材を取り入れたデザインへ。そして、日本でもモーレツ!で一斉を風靡したミニスカート異素材のパコ・ラバンヌやクレージュといった、既知のデザイナーへと引き継がれていきます。

これまで、ファッションの世界で断片的に見聞きしていたことが、時代の流れとして、全体がつながった気がします。

 

〇アーツアンドクラフトとアールヌーボ

 そういえば、アーツアンドクラフツ運動のウィリアムモリスの壁紙はおみかけしませんでした。モリス柄の壁紙があってもよさそうなのに・・・ ⇒ 壁紙画像

 

ウィリアムモリスは、一連の歴史のどのあたりに位置しているのだろう・・・・と思ったら、こちらは、19世紀 1880年代から始まったようで、今回の展示の前の時代でした。(広義には、アール・ヌーヴォーの理論的先駆がヴィクトリア朝イギリスの アーツ・アンド・クラフツ運動ということらしいです。)

 

アールデコと旧朝香宮

近々、アール・デコの花弁 旧朝香宮邸の室内空間』が開催されている庭園美術館に訪れる予定です。アールデコの建築やインテリアを改めて鑑賞したり⇒*1 『クリスチャン・ボルタンスキー アニミタス-さざめく亡霊たち』は、この邸宅暮らした人の声、ささやき、ざわめきに耳をかたむけようという、コンセプトで展示がされていると聞きます。⇒*2 邸宅に暮らしたの人の声とともに、日々、どのようなお召し物を着て、暮らしを紡いでいたのか・・・・そんなことも想像しながら、鑑賞するのもおもしろそうです。

 

 

〇モードと美術展

「ポーラ美術館」「庭園美術館」「三菱一号館」と、美術館でモードを絡めた展示が、重なり最近のトレンドなのでしょうか? 庭園美術館三菱一号館は、建物そのものが時代を表し、室内インテリアなどとともに相乗効果を生んでくれそうです。(見学はしていないので・・・)


それぞれの美術館で企画された「ファッション」「モード」関連の展示が、同じテーマを軸にしてつながり、それぞれ、どのような糸を使って縫い上げているか・・・という視点で見比べるという楽しみ方もできます。

 

 

■美術展の効用 歴史が見える

美術展というのは、時代の流れの中の「点」の展示であることが多いと思われます。そのため、全体の流れをすぐに把握することはできません。しかし、何度か足を運ぶことで、その「点」が思わぬところでつながり、全体が見えてきたりします。

 

しかし、それはまだまだ入り口にすぎないのですが、・・・各美術展からそれぞれの時代が見えてくる面白さを最近、感じているところです。 私は歴史や美術史、モード史といった時代の流れを総論として学ぶよりも、その時、その時に見た記憶の点が、あとになってつながって、あの時のあれが、こことつながっていたんだ・・・と確認しながら次第に全体像が見えてくるのが好きです。

 

 

 

■過去の展示からのつながり

モード、ファッションの展示で過去にさかのぼると、

2014年 国立西洋美術館で、上記の展示を見にいったことを思い出します。



この時、後半の7章で、モードと指輪と題した、「神戸ファッション美術館」所蔵の18世紀~20世紀前半の衣裳をマネキンに着用させて展示されていました。


「指輪」の展示から、いきなり巨大マネキンが登場し、豪華賢覧なドレス。テーマとの親和性が、ちょっと飛躍しているかに感じながら、場違いのような会場に戸惑っていました。

よくわからないないと思いながらも、窮屈な服、コルセットで女性をしめつけ、女性の従順さを求めた社会の抑圧、それが時代の要請でありその象徴のようなドレスとして理解し眺めていました。

時を経るとシャネルがゆったり活動的な服を提供し、女性を解放していきました。それは今につながる女性の役割の変革をもたらしていたことを肌でなんとなく感じていたことを、うっすら記憶していました。

今回の汐留パナソニックの企画は、18世紀、19世紀に続く、1900年から1960年代。シャネルの時代を重ねて、ひきつぐかたちの展示でした。これによって18世紀から20世紀中半までのモードの変遷が、今に至る一連の流れとして俯瞰できたように思います。その時に、興味がなくて、見ていたとしても、どこかに何かが片隅に残っていて、こんな形でつながってくれます。


 

■美術展のつながり

以前の企画で「指輪」と「モード」というテーマにちょっと無理無理感がない?  なんて思っていました。しかも、テーマの「指輪」に興味があったわけではないのに、指輪にあてる「光」と「ダイヤのカット技術」という、その一点だけに着目してでかけた美術展でした。


私の中では、おまけの中のさらにおまけのような展示、「指輪とモード」が今回のファッションの流れと結びついてしまいました。


ファッションやモードからとらえる「アンティークの指輪」それは当時、劇的に進化発展した「光」の発明によって、石の「カット法」までも変えてしまいました。

ここにも、「光」が技術を大きく飛躍させることに貢献しています。



ファッション、モードとして「指輪」をとらえたり、モードのスタイル変化は、生活の変化ももたらします。(その逆も・・)、それは、生活「空間の変化」もを伴い「インテリア」とも結びついていきます。

こうして俯瞰してみると、アートの世界というのは、生活すべての一つ一つのの物や人、技術を網羅していて、いかなる組み合わせでも見せることができるということのようです。



これまでの美術鑑賞を振り返ってみると、自分の中に裏テーマがあったことに気づかされました。「時代」における「光」と「作品」に着目していたようです。

そして「光」と「物」の関係に興味を持つきっかけは、屏風の鑑賞を通して知った「光」との関係によって、意識的になった昨年のことかと思っていました。

ところが、その前の2014年(7月8日~9月15日)の展示で、すでにそういう視点を持って見ていたことがわかりました。


  「光」と「作品」その「時代」


という視点で鑑賞をするとき、これからのパナソニックミュージアムへの期待は大きいです。今後の企画に注目していきたいと思います。


 

■【追記】(2016.11.24)菊のパジャマドレス

最後に飾られた森英恵の「菊のパジャマドレス」

島根県 石見出身の森英恵さんと美術館という関係性による展示だと思っていました。


60年代を代表する日本のモードを代表するデザイナー。それは、べつにだれでもよくて(というわけでもないですが)たまたま、森英恵さんが石見出身というご縁からの展示ぐらいにしか思っていませんでした。

ところが、その意味をイメージコンサルタントの望月順子さんが参加されたプレス向きの内覧会情報の中で解説されていました。

正直、プレス向きの内覧会レポってって、自分にとってあまり役立つ情報がない・・・と思っていました。ご自身の専門性に絡めての解説は、ぐぐっと、興味が持てます。




「パジャマドレス」って?  
ホームパーティの女主人ホステスは、ホステス用のガウンを着て、おもてなしをする。そんな習慣があるようです。
そのガウンのことをパジャマと言っているらしく、私たちが寝る時に着る「パジャマ」とは意味あいが違うわけです。そんな話を聞いたことがあったことを思い出し、やっと「パジャマ」の意味の理解に至りました。

 


何かを理解するには、その時代であったり、あるいは、階級における習慣や文化なども理解しないと、わからないことも多いということです。それぞれの土俵で活躍されている方が、つなぎとしての解説をしていただけると、理解の助けになります。

 

■参考資料 「アールヌーボーアールデコ時代」の関連年表 

  「工芸作家の生没年」と「旧朝香邸」の関係に

  「ヌーボ デコ時代」の「モード」を重ねる

     ⇒生没年表:アールヌーボー・アールデコ 関連  より  

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アールヌーボーアールデコを生きた人たち

・アーツアンドクラフツと、アールヌーボとの関係

・ガラス工芸家 エミールガレ・ドーム・ラリックの生没年

アールデコに影響を受けた朝香宮邸との関係

エジソンの電球の発明と、ガラス作品、ランプへの影響

 ・アールヌーボ・アールデコ時代のファッションと室内インテリア

   (モード展の展示より)

 

 

■【参考サイト】

今現在の商業美術意匠がいかにして作られてきたかについて解説

イメージコンサルタントの視点から

ぐるっとパスの解説・・・プレス資料にたよらず丁寧な解説

▼ギャラリートークに参加され学芸員さんの話あり

ファッションに興味のなかった方が解説する服飾史は一番わかりやすい 

ファッションとモードの違いとは

▼一つの展示会でいくつも記事を書かれる掘り下げ系のブロガー 


■脚注